369ページ目   雑記

狭まる効率営業

さて、今週は6日付けの日経紙にて「円高の年の冬ボーナス・外貨投資 狙い目は」と出ていたが、円高といえば先週あたりから入ってきたニュースには「通貨デリバティブ」を購入した中小企業が多額損失で経営難に陥っている事例から、金融庁が同商品の販売方法や取引先の損失状況などについて実態調査に乗り出すという報もあった。

そういえば先週3日付けの日経紙夕刊一面にも、06年から07年に発行した円高で支払い金利がハネ上がる仕組み債でここ近年各地方自治体が損失拡大しているという記事も目にした。しかしこの手の話は続々と出て来るが、今に始まったことではなく二年前だったか駒澤大学や立正大学のデリバティブ損失も大きな話題になっていた記憶がある。

さてこうした被害者?というか顧客側をザッと眺めてみるとなんとなくだが共通項は毎期決まった入り勘があって且つ特段設備投資の用もないというところが多い。辣腕の営業なら先ず効率を考えこの辺を集中的に落しに入ったのだろうが、幸運?にも手垢の付いていない向きなどは売る方が心配になるくらい決裁が単純なものという。果たして今更の大騒ぎになっている訳だが、この期に及んでどういった商品内容なのかを精査するところは少なくない。

ある程度の敗戦処理が片付いた段階で、顧客側もこの手の物への再考論など出てきそうだが、7日付け日経紙にも金融庁が金融機関に対して、投資信託を勧誘・販売する際の利用者への説明を丁寧に行うよう求める旨が出ている。証券界では所謂「仕切り」と共に長い歴史を歩んできたこの回転売買も然り、この時代になって漸く売りの手法も転機が近づいてきたという感じがする。


現物志向色々

さて今週は週初の日経紙上で、絵画など美術品のオークションが長引く景気低迷により落札価格が下がったことから、これに参加する一般の人が増えている旨が載っていた。同紙には絵画や陶磁器の「投資適格順位表」なる物も載せてあったが、斯様にこの押し目?を投資対象として捉える側面も書かれている。

さて、こうしたパブリックなものから有名芸術家作品が続々登場するのはクリスティーズやサザビーズなどやはり大手どころ。今週はまた作品価値66億円を超えるといわれるパブロ・ピカソの未公開作品が大量に見つかった旨が報じられていたが、このピカソなど「ヌード、観葉植物と胸像」は美術品最高額の約100億円で競り落とされたのが話題になっていた。

上記のパブリック系ではまだまだ手頃な出物が出て来ているようだが、こちらは名品を手放す向きがある一方で主要国の金融緩和で大量に出回った過剰流動性がこれらを呑み込み、作品全般で価格も急上昇という。

近年コモディティーがより一層金融商品の色彩を濃くし始めたのは周知の通りだが、そこで受け皿から溢れた一部は美術品という現物への志向も強くしている。以前当欄で書いたようにリーマン・ショックの二年前にはサザビーズがピカソの名作「アルルカン」の出品を市況低迷から延期するまでに至った経緯があるが、金融緩和はアート市場の冷え込みまでも転換させるか。


星獲得は別れ時?

11月も本日で終りだが、例年この時期になると話題になるのが「ミシュランガイド」か。はや日本進出から4年目、今回の東京版の内容は横浜・鎌倉へとエリアを拡大、三つ星は3店増え14店、これで先の関西版と合わせると26店となり、本拠フランスの星と同じ数となったと過日報道されていた。

本日たまたま立ち寄った書店にて買うまでもないのでパラパラと捲ってみたが、その内容は一応大義名分的に安価な店にも星を与えているような構成にはなってはいるが、本流はやはり上から目線の印象が強い。今や御節のシーズンだが、今年も星獲得の経験組が絡んでいる店のものは内容の割になんとも強気な価格設定になっているのがヤレヤレという感じ。

ヤレヤレといえば、アジアで初の試みとなったこの本が発売された3年前には「ザッと見て少ないながらも行った事のある店で確かにあそこは旨いと思った所もあるものの、約三分の二は明らかにもっと美味しい他の店があると思った次第」と当欄で書いた事があるが、今回その「もっと美味しい他の店」の一部が新規に星を獲得していた。

しかしながら「時既に遅し」?その当時とは違ってロケーションもお約束な一等地へと移転し、値も上記の御節ではないが、いわゆるその他の勘違い店よろしくインフレ?進行中である。これで予約も難しくなるだろうし近年大手ホテルとのコラボなどショー的要素の強いものへ手を出していたあたりから危惧していたものの、気に入って通っていた頃のイメージが強いので何とも残念な気もするが、まあ各々の道があるのでこればかりはなんとも。


インフレ輸出

さて、本日のTOCOMでは金の先物が実に1983年2月以来約27年9ヶ月ぶりの高値をつけた事が話題になっていた。しかしFRBが追加の金融緩和を決めてからというもの斯様に国際商品他の高騰が著しい。

金は上記の通りでいわずもがな史上最高値更新、ソフトものでは粗糖が30年ぶりの高値にコーヒーが13年ぶりの高値、穀物なども各々数年振りの高値等々、日経紙などでも頻繁にこうした個別の記事が目に付くようになってきた。

今は挙って輸出競争力を高める通貨安競争が言われているが、上記の高騰するコモディティーには2年ぶりの高値にまで上昇した原油先物などに象徴されるように、それらと一緒に厄介なインフレまで同時に輸出が始まっている。そうした弊害に目を瞑れるうちはいいが、今後訪れるであろう宴の後の戦後処理では、出口戦略から一気に6,000億ドル規模の追加量的緩和転換の必要性があったのかどうか非難が出てくるのは想像に難く無い。

一方で量的緩和といえば、日銀も今週からの国債買い取りを手始めに資産買い取りを順次始めることとなった。更に12月半ばからは日経平均やTOPIXに連動するETFやREITなども買い取りを始める方針となっているが、国債と違って額面償還など無いリスク商品へのオペは、市場歪曲論もさることながら仮に損失が出るようなことになればこれまた税金が充てられるという構図だ。

しかしなんというかこんな時世に、部分バブルにまたぞろ懐かしいPKOやPLOなどを彷彿させる政策が出てくるとは何とも複雑な気分である。


功罪

さて週末に飛び込んできた話題で目立っていたのは、やはり尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で海上保安庁が衝突時に撮影したとみられるビデオが「YouTube」に投稿されているのが発覚した件か。

しかしこうした流出モノといえば、ここ最近では警視庁公安部の内部資料とされる文書がネットへ大量に流出する一件もあり、先に衆参予算委員会のメンバーでこの衝突ビデオの視聴が行われた際には入室時に携帯電話まで没収されたそうだが、これを嘲笑うかのような直後の流出とはなんともお粗末な感は否めない。

事の是非はともかく、半ば圧力に屈し超法規的に犯罪容疑者を釈放してしまった上に、流出したらしたでこんどは闇に葬られるところであったモノを世に解き放った者へは複数の罪で捜査へ乗り出しているというが、世論もあり何とも扱い辛いケースだけに脆弱な政権へまたも試練である。

それはともかく、今でこそ何の疑いもなくごく普通にネット生活が浸透しているが、「YouTube」なんぞ無かった時代を思い返してみると改めて劇的な構造変化だなと。それは一部新聞などに見られたように今までは情報を制御出来る向きが居て、一般はある意味それを読み解く力のある向きとそうでない弱者が存在したが、こうした物の登場でそうした関係が殆ど対等になった事か。時代の功罪論はさておき今またメディアのあり方も問われてこようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2025

9

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30