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TOB其々

さて、国内企業へのTOBでは最大規模といわれたNTTによるNTTドコモの完全子会社化に向けたTOBは本日NTTがドコモ株の保有比率が66.21%から91.46%に上昇しTOBが成立したと発表、今後TOBに応じなかった株主にも持ち分の売り渡しを請求して残りの株式を取得しドコモを完全子会社化する意向としている。

ドコモはTOB期間中という事情もありこの間他社のサブブランド追加を横目に沈黙していたが、これで菅政権が求める携帯電話料金引き下げに対応した新しいプラン発表が近々に行われるか否か注目されるところ。ところでTOBといえば注目されたニトリが突如として参戦した島忠へのTOBもあったが、果たしてこちらは競っていたDCMにニトリが競り勝つ決着となった。

鳶に油揚げをさらわれたこの乗り換え劇も結局は愛の力?よりカネの力の方が勝ったという下衆な勘繰りは兎も角も、コロナ禍にあって勝ち組と囃されてきたニトリとはいえこれほど大掛かりなM&Aは過去経験が無く、これから「お、ねだん以上」に企業価値を高められるか否か今後の舵取りが試されるか。


飛び付く輩

さて、およそ9年ぶりにデザイナーのジルサンダーとのコラボ商品が先週金曜日に発売となったユニクロだが、オンラインストアが一時サーバーダウンするなどアクセスが集中し名古屋店では店内がすし詰め状態となり店舗のガラスが破損するなど客が殺到してパニック状態になった様が話題になっていた。

確かに前評判の高さから全国の店舗で長い行列が出来るなか、同店は整理券も無く入場制限もしなかったなどの杜撰さが指摘されていたが、ディスプレイのマネキンの服まで剥がされ怒号が飛び交う光景を見るにさながら中国のユニクロで何度も目にしてきた光景を彷彿させこれがコロナ禍酣の下の日本で起きた現象というところに恐怖さえ感じる。

さて、こうした事態の後には必ずといっていいほど転売ヤーの存在が話題になるが、御多分に漏れず今回も早々にフリマアプリなどには+Jの商品がズラリと並び、その値段は定価の数倍から中には10倍近いモノまである始末。そもそもこんな値段を出すならオリジナルのジルサンダーが手に入るワケで、冷静に考えればこの値で買う方こそどうかしているが値が付いているというのはそういう事なのだろう。

資本主義の原則といえばそれまでだがこのユニクロの+Jに限らず直近ではPS5からはては鬼滅の刃のコラボ商品までくまなくこの転売ヤーの格好の餌食になっている模様で、メーカー側のマーケティング戦略のバイプロとしてのこうした現象は成功の証左か否かいろいろ考えさせられる。


新政権トレード

さて、本日の日経平均は後場にマイナス圏まで沈むもあと大幅に切り返すなど続伸し、かれこれこれで2019年9月以来となる8日続伸である。とはいえSQを前にした高寄与の値嵩に因る部分が大きく、さすがに東証一部の騰落数でみれば値上がりの734に対し値下がりは1365と値上がりの倍近くに上っている。

そんな中でも前日に続いて値を飛ばしていたものには再生可能エネルギーのレノバなど目立ち本日も大幅続伸して年初来高値を更新、他にも今週は太陽光事業のAbalanceも年初来高値を更新していたが、これらの背景にあるのは米大統領選におけるバイデン氏の勝利が確実視されてきた事でクリーンエネルギーへの多額投資の公約が取り沙汰されてのもの。

これら株式に限らずコモディティーもまた然りで、上記の個別銘柄を刺激したところの再生エネルギーやEVの一段の普及を睨みアルミや銅にニッケルといった非鉄金属が軒並み物色され、気候変動対策強化に絡みバイオ燃料エタノール需要減退思惑から原油やトウモロコシには売り圧力が掛かる。

斯様な環境政策から新政権下で米は「パリ協定」に復帰する見通しだが、これに限らずトランプ政権に移行して変わったオバマ政権時の重要な取り組みが新政権になった場合如何ほど復活するのか?それらを睨みながら今後のマーケットもバイデントレードが粛々と進行という構図になってゆくか。


トップの嫌疑

本日の日経紙社会面には一昨年にドン・キホーテがファミリーマートにTOBを仕掛けた際に当時の社長が知人に自社株の購入を不正に推奨した疑いで東京地検特捜部が動いている旨が出ていた。この一連の取引を巡っては先月あたりから一部報じられていたが、TOBはプレミアムが乗るだけに重要事実の中でも首位を争える勝率?を誇る。

先に当欄でもDCMホールディングスが同業の島忠に対してのTOB実施中のところに対抗する形で家具小売り大手のニトリもここへ参戦した件を取り上げたが、この一連の期間で島忠株はDCMの第一弾で上昇し、ニトリ参戦の第二弾ではそこから更に上昇と二段階で大幅高となったが、このドンキのケースでも公表当日だけで約10%株価が上昇しその後更に値上がりした経緯がある。

ところでこの一連のTOB、結局は不調に終わってドンキはファミマを手中に収める事が出来ず終いであった一方で疑惑の関係者のみが利益を手中に収めた?のか。それは兎も角も東証一部でこういった件は当該部署の部課長かそれ以下の小物クラスの小遣い稼ぎが発覚する例は多くあったがトップが関与したケースはなかなか無く、思えば前社長の突然の退任も謎だっただけにこの辺が絡んでいたのか否か何れも注目される。


期待と不安の並走

周知の通り米ファイザーと独ビオンテックが新型コロナワクチンの臨床試験での有効性が9割に達したとの報で米株式が急反発しザラバ史上最高値を更新、これを受けた本日の株式市場も29年ぶり高値水準である25000円台を示現するなどバブル崩壊後の高値を3営業日連続で更新することとなった。

株式に限らずこの新型コロナワクチンに関する朗報を受け直近103円台で推移していたドル円相場は105台へ迫る水準まで軟化、債券も売られ金利が上昇、金も急落と安全資産が軒並み売られる展開となるなどリスク回避の取引が一斉に巻き戻しの様相となった。

また個別でも米市場ではウォルト・ディズニー・カンパニー株が前日比11.9%の上昇を演じた一方で散々持て囃されたビデオチャットサービスのZoomやエクササイズマシーンのPelotonは共に13%安の憂き目に遭い、東京市場もOLCが前場段階で昨年記録した上場来高値を上回る場面があった一方、これまで我が世の春を謳歌していた銘柄群が売られマザーズ指数は急落となった。

さて新型コロナワクチンの朗報が発表される一方で昨日は新型コロナウイルス対策分科会が緊急提言を訴えるに至り、本日の都内での新型コロナ感染者数は290人超と300人に迫る勢いとなっている。日経平均は引けにかけて一時マイナス圏に沈むなど尻すぼみとなったが、原油もまた然りで期待と並走している不安をマーケットは如実に表しているといえようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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