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鯨二頭

さて、その運用資産が3月末時点で約150兆円にのぼる世界最大の機関投資家であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、20年1月〜3月の運用損失が新型コロナウイルスの感染拡大が金融市場を直撃した影響を受けて17兆7072億円と四半期で過去最大となり、今後は外債投資を増やす方針との旨の発表をしている。

もっともその後の株価上昇を勘案するに四半期で過去最大の損失云々はそう心配することもなさそうだがそれにしても約35.5兆円の存在は大きい。これと双璧の鯨的存在に日銀の存在があるが、こちらも先週に東証が公表したところによると日本企業の株主構成で日銀の比率が一段と上昇している旨が週末の日経紙に出ていた。

しかし東証の時価総額が現在約548.2兆円、うち冒頭のGPIFが上記の通り約35.5兆円、そして日銀が約31.2兆円とこの両者で実に東証時価総額の12.2%を占めている歪んだ構図はやはり気になる。形を変えたPKO論からコーポレートガバナンスへの影響論も喧しいが、金融緩和のランディングの在り方としても今後課題となってくるだろうか。


総会もバーチャルへ

先月は株主に総会関係の書類が順次届き株主総会も先週ピークを迎えたが、通常は多くの企業が株主に参加を促す株主総会も、今年は新型コロナウイルスの影響でクラスター発生防止の観点から送られてきた封筒には「株主総会当日のご来場はお控えいただけますようお願い申しあげます」等の一文が印字されているのが各社目立った。

この辺は先に経団連が公表していたガイドラインに即したもので議決権行使に関してもまたインターネットによる議決権の行使を選択するよう推奨されていたが、過日の日経紙夕刊一面にもスマホを使って株主総会で議決権を行使できるサービスを導入する企業が2020年3月末時点で424社と、サービスが始まった18年の3.7倍となるなど増加している旨が書かれていた。

昨年にこれを取り上げた時点ではサービスを開始した企業は約160社と書いていたが、上記の通りとその数は急増しており簡素化による個人参加の上積みで議決権比率が上がっている会社があるのも想像に難くない。これが始まった当初は新型コロナウイルスなど未だこの世に存在もしていなかったと思うが、ここでもまた新型コロナウイルスが総会における形の在り方をも変えてゆく契機となるか。


機能分散論

はや7月入りだが都内の新型コロナウイルスの新たな感染者数が今日は緊急事態宣言解除後として最多を更新、既に東京都が休業再要請をする基準として用いていた指標の数値も超えてきているが、先週に自民党は斯様な感染症などの事態を踏まえ国会や中央省庁、企業、研究機関等が一度に機能不全に陥る事態を防ぐべく首都機能等の分散をめざす議員連盟を立ち上げている。

このコロナ禍では各所のリモートワークなどで地方が俄かにキーワードになってきているが、こうした首都機能の分散・移転に関して本腰を入れて議論されるのは東日本大震災後に沸き上がったのが記憶に新しいところで、その3年後にも政府機関の移転など提言されたもののなかなか進展しなかった経緯がある。

首都機能分散に関しては年内にも具体策を盛り込んだ提言を取りまとめるとしているが、近年のSDGsの流れもあるだけにこの100年に1度ともいわれるコロナ禍でいよいよ一極集中のリスクに対して踏み込んだ議論からコロナ後を見据え現実味を帯びたモノが出て来るのかどうか注目されるところ。


相次ぐ有名処の更生法申請

さて、このコロナ禍の影響で劇団四季など劇場公演が中止になり一部小中学生など芸術鑑賞の授業が残念なことに無くなってしまったところもあるが、長引く劇場上演中止であのカナダのシルク・ドゥ・ソレイユ・エンターテインメント・グループが会社更生手続きに入るとの衝撃的な報が昨日あった。

同劇団といえば「アレグリア」の東京での初回公演に招待された時その演目もさることながらレネ・デュペレの曲にも魅了され、以降日本公演がある度にそれぞれのストーリーを観るのが楽しみであっただけに本当に残念な一件で兎にも角にも更生から一刻も早い興行復活が望まれるところ。

しかしコロナ禍により破綻の憂き目に遭った事例で誰でも知っている有名どころでは直近でも上記以外に高級食材の仏フォションや、米ディーン&デルーカなども衝撃的であった。何れも国内では大手百貨店や一等地に店を構え女子に人気で、幸いに国内事業に影響は無い模様だが著名ブランドをも侵食するコロナウイルスの憎々しさが改めて際立つ。


破竹のIPO

さて、米での新型コロナウイルスの感染再拡大により経済活動が再度制限され始めたことなどが投資家心理を冷やし日経平均と共に本日の東証マザーズ指数も3営業日続落となっていたが、そんな中で先週末に上場したECプラットフォーム関連事業のコマースONE HDが2日目にして後場に公開価格1,600円に対し漸く約4.4倍の6,970円で初値を付けたのが目を惹いた。

2か月半ぶりのIPO再開という事で溜まった鬱憤を晴らす?が如く上記のようにロケットスタートのものが目立つが、同じく先週に上場した機械学習を用いた画像認識ソフトのフィーチャーなどは連日の買い気配から上場3日目にして漸く公開価格520に対し実に約9.1倍の4,710円での初値形成と破竹の勢いである。

目下のところマザーズ指数は大引ベースではかれこれ12週間連続の続伸を記録し2003年9月の指数算出開始以来で最長となっているが、先に当欄で書いた通りその時価総額も東証二部を上回ってきている。IPO再開熱の一巡感が台頭してもなおコロナをテコに今後も暫く独り勝ちが継続されるのか否か、この辺には注目しておきたいところ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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