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ハロウィーン経済

さて、秋の一大イベントになりつつあるハロウィーンから1週間が経過したが、今年の渋谷も初の交通規制導入するもあまり費用対効果が得られなかった模様だが、1,000億円の大台を軽く超えバレンタインを既に抜いていると言われた経済効果の方は果たして如何ほどであったのだろうか。

この辺の経済効果に関して最近では草食化する若者を背景にした恋愛減少からこのハロウィーンがバレンタインの市場規模を侵食したとする見方も出てきたが成る程妙に説得力がある。ところで経済と言えばもう一つ、ハロウィーン翌日を高値に急速に値を崩した日経平均だが「株はハロウィーンに買え」との格言がある。

2000年以降の16年間を検証してみると外れたのは5回ほどで、その平均騰落率は2000年以降は7%ほどのプラスとなっていると日経紙で見掛けた所謂アノマリーだが、昨年から今年にかけてはこの間に日経平均が12.7%下落した外れパターン、さて今年はアノマリーの期待に適うや否や米大統領選を挟む注目のサンプルである。


プラチナ熱

さて、昨日の日経紙夕刊には「プラチナ投資活況」と題して、貴金属販売最大手の田中貴金属工業で先月20日までのプラチナ地金販売量が前月同期の3.7倍となり、石福金属興業でも前月比4倍のペースで売れているなど金に対して下鞘が恒常化しているプラチナの販売が好調な旨が載っていた。

工業用需要一辺倒の特性から欧州や中国の景気減速を背景に両者の鞘は夏場から倍以上と更に大幅な広がりを見せ、「余りものに値無し」の構図をまざまざと見せられているが、これまでのアノマリーに賭けてストラドルを組んだ向きのロスカットもこの辺に一役買っている部分もあろう。

本日の日経平均はこの土壇場に来てのいわゆる「トランプリスク」の台頭で急反落となったが、VIXあたりの連日の続伸を見るにつけ来週以降もより現実味が増してくればまたぞろ一方で対極である金が注目され両者の鞘は更なる拡大となる可能性も高い。

この両者が逆鞘一周年となった今年の一月に当欄では、「需給は全てに優先」の先物と対照的にETF含め現物が絡む本邦の特異な買い手を指摘した事があったが、大統領選を挟んで今後も引き続き資産残高その他の推移を見てゆきたいところ。


ピンポイント消費

さて、今朝見掛けたTVでは最近のインバウンド需要の傾向をかつての「爆買い」から、「錦鯉」や「ウイスキー」から「ニッカポッカ」等々に狙いを定めてくるというような所謂ピンポント消費の傾向になってきている旨の報道が為されていた。

とはいってもこの辺は以前より世界中のシェフが挙って買いに来る「包丁」や、上記の錦鯉よろしく生物では「秋田犬」から上記のニッカポッカのようにファッションとして注目されている「ランドセル」や「着物生地」等々、一寸思い返しただけでも幾つも過去に報道されていたような気がしないでもない。

ともあれ爆買いの勢いに陰りが出始めホテル稼働率等の数値はそれを如実に表し始めている。日本経済新聞社がまとめた8月都内主要18ホテルの平均稼働率は、79.2%と前年同月より6.2ポイント下がり低下は実に7ヵ月連続となっており、割安プランの販売強化が各所で目立ってきたという。

また、首都圏ほどではないにしろ大阪・名古屋でも稼働率低下が目立つというが、当欄では東京五輪も睨んだ高級ホテル競争について7月に触れたばかりであり、ここからの局面で外資系含めた各社政策にブレはないのか否か引き続きインバウンド動向はこれら稼働率等睨みつつ見てゆきたい。


相互インスピレーション

さてここ一週間で気になった報としては、長らく作者不明とされてきたオランダのライデン国立美術館所蔵の6枚の絵が江戸時代後期の浮世絵師、葛飾北斎の肉筆画である事が同博物館の調査でわかったという件か。親交があったドイツ人医師シーボルトから影響を受けた作品群とみられるが、西欧の水彩画技法を真似た異色の作品とか。

葛飾北斎といえばこの間久し振りに会ったピアノ講師をしている知人女性と逢った際にも、ドビッシーが浮世絵が好きで自身の交響曲「海」の楽譜の初版表紙には此処からインスピレーションを得たとして、北斎の富嶽計三十六景の第二十八景[神奈川沖浪裏]を使用、自室にも同じ北斎の絵が飾られていた云々の話をしたばかりであった。

また、印象派の画家も浮世絵に影響を受けた向きが多く、例えばエドガー・ドガは「北斎漫画」を参考にした人物像を描いた事で知られているが、この「北斎漫画」を用いたのはこのドガだけではなく、アール・ヌーヴォーを代表するガラス工芸家のエミール・ガレもまた「北斎漫画」の鯉を図案に入れた花瓶を世に送り出すなど挙って自身の作品に浮世絵の要素を取り入れていた。

斯様に世界中の多くの巨匠にインスピレーションを与えてきた北斎も今回の件で同様にまた西欧技法からインスピレーションを得ていたという事が窺える話だが、いずれにせよドビッシー然りドガ然りこの頃のパリの東洋趣味を象徴する話と併せアートの世界は時々こうしたエピソードが舞い込んでくるから面白い。


サイダーの甘い匂い

さて、以前の当欄でも触れていたが今月上旬には東証マザーズ上場の「ALBERT」株の公表前の業績予想を保有する親族らに伝え、損失を回避させた等として金商法違反に問われた元会長の初公判が開かれ起訴内容を認めた旨が報道されていた。

インサイダー取引といえばもう一つ先月も「みんなのウエディング」株でクックパッドによるTOB情報からインサイダー取引をしたとして兵庫県の男性が証券取引等監視委員会から課徴金納付を命じられる件もまた明るみになっている。

更に先週報道されたものには、TOCOMの元市場取引監視委員会委員長を務め同所取締役も務めた元大学教授が、知人の上場企業幹部から得た未公表情報を基にインサイダー取引をして1千万程度の利益を得たとし証券取引等監視委員会が強制調査をしている件もある。

不正な取引を監視する市場取引監視委員会の元トップというのがなんとも皮肉な話だが、斯様にインサイダー情報の甘い匂いに誘われウッカリ手を出しバレてしまう輩は後を絶たないが、本邦の市場もソコソコの利益を得てしまうような取引においては一昔前から比べるに摘発率が格段に高くなったなと感心することしきりだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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