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5年目の刷新

さて、連休明けの本日は株式売買システム「アローヘッド」が約5年ぶりに刷新された。今回も初代に続いて富士通が請け負った模様だがポイントとしては注文処理のスペードや件数が現在の2倍に、また呼び値単位の適正化や気配値表示本数の増加、それに発注証券会社のシステム障害時に自動取消機能を設ける等の信頼性の向上といったところか。

5年前に刷新された当初はいくつかの銘柄で僅か数十秒の間にストップ幅近くの急落急騰を演じて早速個人が翻弄される光景が話題になったものだったが、今回の新システムは売買ルールに見直しが入り野村の試算では1分間の株価変動率が平均で上下4%を超えないようになる見通しとか。

これに関してはアローヘッド稼働後に当欄でも「二次的な乱高下に対するセーフティーネットのような物の必要性が問われてくるのは必至か」と書いた事があったがこの辺に対応してのものか。また呼び値も縮小傾向でここまで来たが、今回はさすがに縮小し過ぎた分の見直しがTOPIX100構成の一部で行われる。

しかし5年前のアローヘッド開始時に「はやこんなところまで来たとは時の流れを感じるが、これでも日進月歩だけにまた古くなる日が何時の時代か来るのだろうな。」と当欄では末尾で書いたが5年目で刷新、都度ディーリング等も変遷を強いられてきたがいたちごっこのHFT業者と容易には太刀打ち出来ない個人の共存がまた継続されてゆくこととになる。


変動率に商機

ちょうど1週間前の当欄では「増幅要因」の題でジェットコースターさながらの乱高下の毎日が続いている旨を書いたが、昨日の日経紙マーケット面にも今週過去20日間の変動率が米量的緩和の縮小懸念が始まった2013年6月以来、2年3ヶ月ぶりの高さとなった旨が書いてあった。

文中では長期投資家による買いが入りにくく、実需の売買が縮小するなかで短期投資家による売買が主導する展開が続くとも書いてあったが、今や急増するETF残高も本来であれば長期投資のツールというのが世界標準なのだがとりわけ国内ではレバ型の短期売買等に傾斜しこうした構図も成り立ちにくい。

とはいえこうしたレバ型が売買代金ランキング上位の常連になってきているなど短期系が流行っているだけに、日経平均VIの急上昇やリーマン・ショック直後以来の高水準を記録している恐怖指数であるVIXの50台への上昇などにも商機を見出すETN系も賑わい、大手金融機関も変動率に注目した商品の上場を検討する動きも出ているという。

とはいえこうした眺めは裏を返せば投資家心理の冷え込みを端的に表しており、ボラへ賭ける投機や商品開発の熱は乱高下離脱の先行き長期化を表しているともいえようか。


秋の味覚

今の時期は秋の味覚サンマがほとんど毎日チラシで登場するが、先の日曜日付け日経紙・春秋にはこのサンマが近年のアジア周辺諸国の漁獲量急増で末端価格もその辺のシワ寄せが来ている旨が書いてあった。この辺はTV放映でもたまたま見かけた事があったが、卸値も5年で3割上昇となり今後も上昇見通しが強まる傾向という。

そんな背景もあって漁業管理を議論する国際機関「北太平洋漁業委員会」の初会合が今月はじめに開かれサンマに関しては同海域の公海で操業するサンマ漁船数を急増させないという日本案が採択されている。また水産物の規制強化といえばクロマグロも資源量が減少し漁獲規制導入で先高観が台頭している。

ここ近年は鰻の高騰が言われて久しかったが、上記の通り高級路線のクロマグロから庶民派のサンマまで何やら厳しくなってくる気配。高級路線といえばもう一つサンマと並ぶ秋の味覚の松茸も店頭で品揃えが豊富になってきたが、これまた地球温暖化の影響や林業衰退から里山の崩壊が影響して収穫高が急減してきている模様。一つ一つ特に日本人の味覚ばかりが枯渇に向かっているようでなにやら気味が悪い。


かんぽが刺激か

本日の日経紙社説には「契約者の利益を重視した生保再編に」と題して、大手生保による国内外での買収が活発になってきた旨が出ていた。国内では先月に日本生命が三井生命保険を買収した件が話題になっていたが、国内生保も時を経て再編機運が再燃してきた感がある。

現在生保の上場組といえば大手では第一生命保険だが、上記の買収では保険料収入や資産規模も同社を抜くことになる。とはいえこれがほんの再編スタートとの見方が多いのはやはり先に上場承認となった「かんぽ生命保険」の存在がやはり大きいか。16年3月期の経常利益は3割減予想とはいうものの、その規模は日生を凌ぎ全国の郵便局網を駆使出来る販売力は脅威だろう。

以前にも書いた事があるが、地銀業界よろしく人口減少等で環境変化も激しくなる中で中堅や外資系への動向も注目されはじめている。上記の第一生命以外でも株式を上場している中堅もあり、各社それぞれの思惑が一致すれば再編の枝葉はどんどん広がる。またM&Aも活発化してきており、かんぽ生命上場と絡めどういった構図に塗り替わるのかまだまだ注目である。


取引多様化

先週末の日経紙一面には「日本株売買シェア外国人7割超」と題して、乱高下が続いたここ最近の乱高下相場で概ね60%台だった外国人投資家の売買シェアが9月第一週には72.5%に跳ね上がり、実質最高を記録した旨が載っていた。

その背景にはここ最近の値動きの荒さを好機と見たヘッジファンドの活発な動きがあるが、斯様に乱高下が投機勢を増殖させるのかはたまた投機勢が乱高下を誘発するのか何れにせよ鶏と卵ではないがこれらは相互に関係。東証が新システムを導入した2010年以降は相次いでこの手のコンピューターで高速、高頻度に取引する海外勢が日本市場に参入し増加している事が伝えられているが、日本取引所の自主規制法人は今月に海外投資家の株式売買を専門に監督・審査する「国際審査室」を新設。

この手の取引が普及するに伴い分散注文から果ては国境を越えた取引まで取引実態の見えにくさが際立ってきたが、これまで売買審査部のスタッフが全て審査していたものを細分化する試み。これまで証券取引等監視委員会等の機能にしても日本は長年その手薄さがいわれてきたが、この辺のマンパワー拡充も市場成熟と共に課題になってくるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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