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老舗と相乗効果

さて、先週の当欄では「フュージョン料理」と題してユネスコの無形文化遺産に登録されたことで更に世界中で和食ブームに拍車がかかっている旨を書いていたが、和食といえばちょうど先週末の日経紙一面には「老舗料亭「なだ万」買収」と題し、アサヒビールがなだ万を買収する事になった旨が載っていた。

アサヒは料亭経営参画で得たノウハウを外食産業への営業や経営支援に生かしてゆくというが、大手飲料の外食事業買収はサントリーくらいしか聞いたことがなく、アサヒの件はなだ万という名前と併せてけっこう新鮮なニュースであった。

一方のなだ万は営業基盤を安定させ海外への出店を積極化してゆくという。海外といえば日曜日の日経紙でもフランスで輸入規制緩和を受けて和牛が店頭に再び並び始め、国民議会の議員有志は日本酒愛好会を立ち上げるなど和食人気の裾野が広がっている旨が取り上げられており、この辺絡めて機運とみたようだが今後どのような展開になるのか楽しみである。


サンゴバブル

さてこのところ問題になっていた小笠原諸島や伊豆諸島周辺での中国漁船による赤サンゴの密漁だが、最多観測だった先月末から今週にかけてはこの泥棒連中の船が大きく減っている模様だ。この件、10日の日中首脳会談以降にこうした事が顕著になるなど潮目が変わった事でいろいろと思惑も出ている。

密漁対象になるほど魅力的になってしまったその価格だが直近では入札価格が3年前と比べて2.6倍に膨らんでいる模様で、とりわけ赤サンゴは白サンゴの100倍以上になるという。中国ではコモディティー投機でも毛色の違うものとして、ここ数年プーアール茶から新型インフルエンザが出てきた時には唐辛子やその価格が前年同期比で120倍以上になった大蒜が投機対象になった件が思い出されるが、儲かると思えば果てしなく煽るキャラが如実に現れている。

しかしこうした単純な投機熱なのか、上記のように政治的な背景があるのかその辺は不明だが何れにせよ相変わらず世界へ醜態を晒し続けていることに変わりはない。


還元機運

本日の日経平均は、市場予想に反してマイナス成長となった7-9月期GDPを受けて16,973.80円と前週末比500円以上の急反落となり5日ぶりの大幅反落で取引を終了した。日経平均へ寄与度の高い銘柄はもとよりほとんどの銘柄が売られていたが、一方でこんな日でも年初来高値を更新している銘柄もあった。

富士フィルムホールディングス等がそれだったが、この辺は日銀のサプライズな金融緩和第二弾で総上げとなった銘柄群とは違い持続的な上昇が特徴となっている。これは先週の日経紙にも「電撃緩和より株主配分」と題してキーエンスやヤマトホールディングス等と共に同銘柄も上がっており、このヤマトホールディングスもやはりこの悪地合下で年初来高値を更新している。

この株主配分、上記の富士フィルムは今年度から配当と自社株買いを通じ2,000億円強を株主に還元と発表しているが同実施期間の純利益が3,000億円見当とされているから約70%程度を株主に戻す計算となる。株主還元といえば先にサプライズな100%還元を発表したアマダがあったが、直近ではインテリア大手のサンゲツが3年で純利益の100%以上を配当や自社株買いで還元すると発表しておりまさに挙ってという感がある。

この一連の動きの先にはやはりROEという一つのテーマがちらつき上記もサンゲツなどのそれは東証平均の半分程度という現状の問題を抱えている。何度も挙げてきたJPX日経インデックス400の登場が如何に企業を刺激し資本効率の向上を意識させているかだが、来週には同指数も先物の上場を控え今後もますますこうした動きが広がるのは想像に難くない。


フュージョン料理

さて、今週あたま迄にユネスコの無形文化遺産に登録された「和食 日本人の伝統的な食文化」の認定書をユネスコ事務局長が文部科学相に手渡すはこびとなった。こうした動きが世界で巻き起こっている和食ブームに拍車をかけ、なかでも寿司などは人気が不動のものになりつつある。

過日もTBS系で「世界に巻き起こる寿司ブーム」として全国寿司商生活衛生同業組合連合会と国際すし知識認証協会が主催する「ワールド寿司カップ」の模様が放映されていたが、今年は12か国が出場した模様で独創的な素材を用いたなんとも創造性のある作品?が並んでいた。

今や定番となっているアボカドをはじめとして、例えばチェコの職人はウニが手に入りにくい為にカボチャでウニを、グリーンピースでわさびを表現した軍艦を、またブラジルの職人は生ハムにチ−ズ、そして仕上げにコアントローを垂らすなど一度トライしてみたいと思わせるような作品もあった。

一昔前にはお笑いのネタになりそうな見様見真似の和食屋が世界各地で見られたものだが、今や隔世の感。既にアパレルでは世界同一規格を謳いつつも現地の嗜好性を取り入れたラインナップを展開するのが普通になってきたが、上記のように漸く食の世界も旨みの文化がその地の料理と融合し新しい物を創造してゆくという形態が整ってきたように感じる。


消えゆく歴史

過日所用があって横浜に行き日本大通り近辺を通った際に思い出したのだが、この辺で最古とされる1910年に完成した旧「三井物産横浜支店倉庫」の解体工事が最近着手された件がある。地元ではこのところ保存を求める声が上がっていただけに、いろいろと物議を醸している。

明治末期に建てられ輸出用生糸を収めていたこの倉庫、関東大震災の被災を免れその後の貿易復興の先導的役割を果たした貴重な遺産として知られていた上、国内では現存例がほとんどないレンガや木造、鉄筋を組み合せた混構造と技術的面でも可也の価値があっただけに建築関係者からも惜しむ声が上がっていた。

生糸といえば8年前には生糸先物を上場していた横浜商品取引所もひっそりとその100年以上の歴史に幕を閉じたが、それはともかくも他にも旧帝蚕倉庫もリーマンショック後には同じような憂き目に遭い、横浜松坂屋本館、日本ビクターの工場など歴史的建造物の取り壊しが相次いできた。いろいろ事情があるのだろうが行政としては為す術がなかったのであろうか一連の件は甚だ残念である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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