414ページ目

相乗効果は未知数

昨日は百貨店について一寸触れたが、この流通系といえば本日の日経紙社説には「流通業界で進む多角化戦略に潜むワナ」と題して、流通業界で業態の垣根を越えた買収や出資が昨今盛んになってきているものの、企業規模を拡大しメニューを増やしてもただちに相乗効果が表れるわけではないとの旨が載っていた。

近いところでは昨年末のセブン&アイ・ホールディングスの相次ぐ買収劇が記憶に新しい。私もTOB先の一つであるニッセンをたまたま直前に買っていたので、このTOBで年末に一寸した恩恵にあずかったが、これ以外にもその後のバーニーズやフランフランなど矢継ぎ早の買収はけっこう目立ったものである。

また直近では百貨店のエイチ・ツー・オーリテイリングも中堅スーパーのイズミヤを小会社化するとの発表があったばかりだが当のイズミヤの株価は反発する一方で、みずほや野村は統合に不透明感として相次いで目標価格の引き下げを行いエイチ・ツー・オーリテイリングは大幅安と明暗を分けていた。この辺も疑問符を如実に表しているといえようが各社共に今後の舵取りが注目される。


水合わず

本日の日経紙真相深層には「三越+伊勢丹 大阪の誤算」として三越伊勢丹HDが大阪の百貨店事業から事実上撤退するさまが書かれていた。この辺は先に同社はJR西日本と共同運営する百貨店、JR大阪三越伊勢丹の面積を5万平方メートルから6割減らすと発表している通りで、鳴り物入りの乗り込みも3年足らずで幕を下ろすこととなった。

競合店に入居している有力ブランド誘致が美味くかみ合わなかったのが主因ともいわれているが、この辺は東証大証統合前の重複上場構図にも似ているか。他、幅広い層を手厚くカバーする戦略が中途半端感を際立たせたという見解に加え首都圏で近年よく見られるブランド縦割り撤廃構成も西では水が合わなかったようだ。

ともあれ昨年の全国百貨店売上高は全店ベースで一昨年比1.2%増と実に16年ぶりにプラスに転じたという。上記のJR大阪三越伊勢丹にとって大きなネックとなった阪急うめだ本店を含めた阪急などの売り上げの伸びが顕著だった模様だが、アベノミクスに乗じた高額消費が牽引したのは想像に難くない。となれば大納会をピークに大幅下落が続く日経平均がこの辺に影響してくるのかどうか、引続き推移を見守りたいところ。


逃避した資金

週明けの本日も連鎖的な世界株安の流れから日経平均は大幅に3日続落となった。一目均衡表やら移動平均線やらと次々とテクニカル指標を持ち出して下値メドを測るコメントが彼方此方で見られるが、下げが下げを呼ぶスパイラルな動きで順次追証回避の処分売りが誘発されるわけでこの辺はあまり事前に測るのも意味がないだろう。

新興国景気の先行き不安からこうして株式市場も調整色が一段と強まったワケだが、一方ではこんな不安を背景に金市場に逃避した資金が流入しているとの観測も出ている。先週末の日経紙にも、金市場に逃避資金と題して当面の先安感は薄らいでおり投資家の多くは米財政・金融政策や地金需要の行方に注目している旨の事が出ていた。

この地金といえば本邦では田中貴金属が先に発表したところによると、昨年の販売量は前年比63%増の37.3トンに増加し、また買い取り量は23%増の35トンと9年ぶりに販売が買い取り量を上回る事となった。円建て事情や消費税率引上げという特殊事情も背景にはあろうが、本格的な資金逃避下では金へシフト等と悠長な動きも絶たれ一緒くたに外す動きになるのが普通でそう考えると今は未だ余裕がある段階ともいえるのか。


新ベンチマーク

さて、今週は先に東証が上場初承認となった野村アセットの「NEXTFUNDS JPX日経インデックス400」と、日興アセットの「上場インデックスファンドJPX日経インデックス400」の二本が上場している。日経紙等でもこのETFの広告を見かけたが、周知の通りこれら新指数であるJPX日経400に連動するタイプのETFである。

前にも書いたように、この指数の特徴はROEを重視したものであり、かねてより海外企業のそれが20%前後であるのに対し日本はせいぜいその四分の一程度に甘んじていたのが現状。斯様に「資本の効率性」が大きく見劣りするといわれてきた日本企業だが、この手の指数新設から枝葉が増えてくれば企業側にもそれらを意識したよい緊張感が出てこよう。

ETFでは来月に三菱UFJ投信のMAXISシリーズもこれらに続いて上場予定となっているが、これらに先駆けてこのJPX日経400に値動きが連動する企業年金向けファンドの販売も相次いでおり、従来のTOPIX連動型一辺倒の株式ファンドから新しいベンチマークの一つとして資金分散も徐々に促進されることになろうか。


政府の匙加減

本日の日経紙金融人には「コメ先物テコに大阪復活」と題して大阪堂島商品取引所理事長のコメントが載っていた。コメ先物といえば関係者はご存知の通り昨年8月に農水省が試験上場の2年間延長を決めている。というワケで試験期間はあと1年半だが、春には更なる振興策を打ち出すなどして本上場を目指すという。

政府は5年後の減反廃止を決め輸出拡大を目指すが、この減反廃止で価格形成を需給に任せれば農家が変動リスクを回避する場としての先物市場が必要になってくる旨を同紙の商品欄で兼松の執行役員もコメントしている。日本の農家には先物を投機とみなす風潮があるとも述べていたが、JA会長はマネーゲームとまで言っており立場違えば見解相違という典型だろう。

ここではジャスダックに上場している木徳神糧の取締役もコメントを出していたが、市場に関してはやはりJA等の不参加がネックになっており前出の兼松執行役員も指標としては規模が小さく需給を反映した価格形成になっているとは言い難いとしている。最終的な取引所構想含めて総括的に考えるならばこの辺へ政府がどれだけアクションをおこすかが試金石になろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2025

1

1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31