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再編化け

先週8/2からジャスダック市場で連日ストップ高の暴騰を演じていたFXプライムが週明けの本日漸く大幅続伸で値が付いた。つい最近付けた先月末の年初来安値190円から実に9営業日で株価2倍以上となったわけだが、これは周知の通りGMOインターネット傘下のGMOクリックホールディングスが同社を一株410円でTOBするとの発表を受けてそれに鞘寄せして来ていたもの。

しかしこのFXプライムに限らず最近は業界モノの株価倍増の急騰が目に付く。以前から自社株買いやらで突飛高する単発モノはあったが、先月などこの手のTOBとは違うものの、アストマックスが6月下旬にマネックスグループとの業務提携から同グループ傘下の投資顧問買収を発表して以降動きが急変、提携発表前の11,900円から7/19には43,400円までこちら株価は約3.6倍化の大化けを演じている。

以前は業界モノでも、某投資顧問が介入とかストックオプション等内部事情が絡んだ噂的な話が一人歩きし株価急騰でもその裏に具体的な政策が見えないものが多かったが、近年は合従連衡というか再編絡みの具体的な動きで一気に化ける可能性のある素地が作られつつあったという事だろう。ところで今回のTOBは上場廃止を企図していないとはいえ、上限株数を設定していない状況では事の成り行きによっては上場廃止基準に抵触しないとは限らないわけで今後の行方もまた注目される。


投資家保護と規制緩和

さて、今週目に留まった報としては日経紙金融面などでも載っていたが、東証など全国の証券取引所が「証拠金規制 年内にも緩和」として、信用取引売買当日の再利用解禁の旨がある。周知の通りマル信では受け渡し日迄は次の売買を同一証拠金内で出来なかったが、9月をメドにこの部分の契約規約を変更する規制緩和によって再利用を可能にするという。

ところでこのマル信の規制緩和で先ず思い浮かぶのが、やはり松井証券の「即時決済取引」か。これは当欄でも約一年前に触れたもので店内発注を立会外のJ-NET当日取引として取次ぎというものだったが、そのエッセンスをパクって早くも何処の証券会社でもこれが可能になる。

しかし、斯様にこの手の古くからの街金の即金サービスが堂々と一般の証券会社でやれるようになり、そこから一年で取引所側も契約規約変更の規制緩和でこれが可能になるとは時代の変化を感じる。ただ本来であれば街金や一企業が先駆けて手掛けたものを模倣するのでなく、当初より取引所側が率先してこの手のものを投資家に提供すべきであると思う。

ただもうひとつ一方で、他人の模倣でもやらないよりマシとはいえ売買の薄さに悩む各取引所や証券会社の最近の傾向はなにかこうリスク選好を煽っている感も強い。腕に覚えのある向きにはより機動的で便利な市場にまた進化したと思うが、初心者マークのなかにはこれらに則したテクが追いつく前に中毒性に嵌りヤラレてしまう向きもあろう。「投資家保護」とある部分で対の「規制緩和」、金融庁はこの辺の舵取りの按配が今後問われよう。


交渉術?

さて、昨日入ってきたニュースのひとつにテルモが粉飾決算による株価急落で損失を被ったとして、オリンパスに対して損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした旨があった。ちなみに両者はもともと医療機器販売に関する包括業務提携の一環で、7年前にオリンパスが行った第三者割当増資をテルモが引き受けた経緯があり、現在たしか約2%を保有している。

この手の訴訟は今まで上場廃止で消えていった企業中心に個人でも毎度のことながら行われてきた経緯があるが株価暴落もキツいものの上場廃止にでもなればそれこそ株主は否応無しの一発退場、この辺に関しては先に東証は「特設注意市場銘柄」制度を新たに設けている。現にこのオリンパスはこれに属するが所謂「被害者」である株主救済に一歩近づいたといえようか。

話は戻るが、ところでこの両者といえば、周知の通り直近でソニーが資本・業務提携でテルモとの協議が詰めの段階に入っているところへテルモ側が新たに経営統合を打診という発表があったばかり。そこへこの訴訟話であるから下種の勘繰りかもしれないが、今回の件は殆どお膳立てされている和解案と引き換えに経営統合交渉における優位性を得る為のストラテジーの一環か?


選手と企業事情

昨日はメダル数と株価について触れたが、もっと個別の部分ではそのメダルを獲得した選手の所属する企業や契約先企業の株価も毎度乱高下することが多い。昨日などは重量挙げで銀メダルを獲得した三宅選手が所属するジャスダックのいちごグループホールディングスがザラバ360円高まで急伸する一方で、コナミは体操不振の影響か否か突っ込む場面があった。

しかし所属する企業側も夫々が事情を抱えサポート環境も様々、日本電産サンキョーなどは一時その業績不振から存続の危機に陥るも永守社長がポケットマネーを出して存続させた経緯もあったが、そんな業績不振といえばバドミントンのスエマエが所属するルネサスエレクトロニクスもリストラの嵐の中とはいえ同部は存続させる意向という。

そうそう、かつて金メダリストが所属していたもののこの手で存続叶わず廃部になってしまったものといえば、今は無きかつて上場企業であった取引員グローバリーがあった。金メダルを取った当時は会長が5,000万円のビッグボーナスを出す云々と景気のいい話が飛び交い、いま思えばまさに幻となった株価もその頃がちょうどピークであったのをふと思い出す。


メダルと株価(倫敦編)

第30回夏季オリンピックがロンドンにていよいよ開幕した。今回はサウジ等の女子選手も初参加し世界204カ国の男女参加が実現の運びとなるがその開会式のテーマは「驚きの島々」、芸術監督にはアカデミー賞で幾多の部門を受賞した映画監督を起用したらしいが、ストーリー性もあり花火の演出がCGだった先の北京の開幕セレモニーと比較するに一味も二味も違う完成度を感じた。

さてオリンピックといえば巷ではそのメダルに関心が向かうところだろうが、JOCは金メダル数5位以内を今大会の目標とし、具体的には15〜18個のメダル獲得との胸算用をしている。金メダル獲得最多のアテネ超えも視野に入れていることになるが、先週末の日経紙「まちかど」では、金メダルを10個以上獲得すれば日本勢の活躍による心理改善から消費が活発化し、五輪期間中に日経平均が上昇するという旨が書いてあった。

この手の行動ファイナンス理論は北京のときにも触れたがどこのサンプルを取るかで検証結果はコロコロ変わってくる。そういった意味では7/12記の「ジブリ」モノのアノマリーの方がはるかに正確?とも思えてくるが、株価に影響するといえばもっとマクロで見るとオリンピックが開催された後は金融市場でも大きなニュースになるような出来事が起こっていると指摘する向きもありで、さて今回のマーケットはこれら各々に即しどのような動きになってくるのか興味深いところ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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