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専業の厳しさ

本日も日経平均は先物主導で売られ5日続落、こんな地合い下では派手に乱高下する仕手系も幾つか出てくるがさしずめ直近ではジーンズ中心のカジュアルチェーン、ジーンズメイト株か。1ヵ月の間に100円そこそこから600円超まで急騰を演じたものの、先週末から一転して連日のストップ安の後もここ数日未だ終戦処理が続いているといった感じである。

ところでジーンズといえば、先月末にはあの「エドウィン」グループが投資の失敗を隠すために不正経理を繰り返していた疑いがあることが発覚したとの報道があった。証券やら為替デリバティブやらと詳細は諸説あるが、近年の業界の厳しさを反映してこのエドウィンと共に和製の双璧であった「ボブソン」に至っては民事再生申請するも再建のメドが立たずにとうとう破綻している。

安値合戦の標的にされた余波でジワジワ浸食が進行してきた格好だが、思えばちょうど3年前にユニクロが1,000円を切る価格帯のジーンズを打ち出し、その後にイオン、ダイエー、西友が800円台を、更にはドンキが600円台を出すなど証券会社の手数料並みに安価の売出し合戦を繰り広げていたものだ。

大手がやはり本腰を入れてくると専業はコスト面で対抗出来得る筈もなくやはりきついワケで、そんな逆境の中でこんな事件発覚を見るとまさに弱り目に祟り目といった感だが、他の業界でもこれと同様の環境のものは多業種に亘っておりまだまだ予断を許さない状況である。


設定熱も束の間

本日も株式市場は小動き推移のなかを4日続落であったが、先の9,200円水準から真綿で首を絞めるようにジリジリと弱い地合いがここまで続いている。思えばこの直近でこの高値を付けた20日といえば、野村アセットマネジメントの単位型投信「野村日本株投信1208」が設定された日である。

12年ぶりの大型設定で1,200億円と意外?にも集めた感があるが、これまでも2度設定されていずれも半年ほどで繰り上げ償還になった実績を持つだけにこの効果も高かったのは明らかか。この繰り上げ償還だが、分配金を除く基準価格が12,000に到達すると繰り上げ償還になる条項付ということだが、条項モノでは本日の日経紙には商社株を対象にした仕組み債の件も書かれていた。同債券を組成した向きはヘッジ絡みの売買に駆られるとの事だが、ズルズルと年初来安値を更新している個別にはこの手が結構紛れていたりするから要注意である。

ともあれこの大型設定で日本株にスポットがあたりココに追随する運用会社の資金が日本株に継続的に入ってくるのではという期待が関係者には多かったのだが、フタを開けてみれば現況では上記の通り打ち上げ花火に終ったような何とも寂しい状況である。やはりイニシアチブを執れる参加者が不在という状況は今も変わりはない事の表れか。


匠の技と昇華

さて、大手百貨店ではセールも終りこの時期になると開催されるのがワールドウォッチフェア、ちょうど1週間前に終ったが今年も案内を頂いたので三越ワールドウォッチフェアに過日行って来た。

だいたい毎回見たい物は決まっており、昨年であれば時計ではなかったのだが「カランダッシュ・1010Diamonds」の特別製作モデル、更にその前であれば「ショパール&山田平安堂の漆と蒔絵シリーズ」の作品等であったが、今年は「ハリー・ウィンストン・プルミエールフェザー」である。以前よりこのダイアルを担当したフェザーアーティストのネリー・ソーニエ氏には興味があったのだがはたして実物は圧巻、フェザーもここまで昇華出来るものかと改めて感動であった。

ところで一昨年のこの会場では中国人客もメイン層と捉えそれこそ通訳スタッフが会場の彼方此方で見受けられ、実際其れなりの顧客が思い思いの品を手にとっていたのが思い出されるが、少なくとも私が訪れた日にはこの手の顧客は全く見当たらず心なしか例年より閑散とした雰囲気も感じられた。中国景気も失速感がいわれる昨今、あの「ヴァーチュ」のブースも消えこんな一角からもその片鱗が読み取れる感もあるか。


コメ先物上場1年

さて、今月でコメの先物が東京穀物商品取引所と関西商品取引所に上場して1年が経過した。72年ぶりの復活上場と鳴り物入りで登場したものの、果たしてメインの市場であった東穀取に至っては何度もその杜撰経営を取り上げてきた通り経営不振から解散の挙句に擁していたコメ市場を来年2月に関西へと引き継ぐことが決まっている。

同所経営陣がまったく場当たり的な経営を続けてきたのは、その他の商品を東工取へ移管決定した後の記者会見にて社長が「〜度重なる勧誘規制の強化が取引減少の理由〜」とその辺の三流マスコミレベルの答弁をしているあたりでも窺えたが、三菱地所のパークハウス基礎工事が粛々と行われている剥き出しの取引所跡地もまた目に入る度に資産食い潰しの酷さを物語っている。

そんな迷走も足を引っ張り上場からこの1年の1日あたりの平均売買高は約370枚で、国内上場商品の売買高ランキングでは14位である。これだけでも東穀取社長の「全限月が揃ってからが本番と考えてくれ」とか「1日5,000枚」というのが如何ほどの大風呂敷かという事になるワケだが、この移管が決まった関西商品でも板寄商いとなるなかで異銘柄共存の相乗効果は未知数と明確な展望があるわけではない。斯様にコメのゆくえも気になるところだが他を引き継ぐ新生「東京商品取引所」もまた然り。

世界の商品先物取引所を見てみると2011年取引高ランキングはNYMEXが3年ぶりに首位に返り咲き、このベストスリーでは2位にインド・マルチ商品取引所、そして3位が上海商品取引所となっている。その後にはCBOTやらLMEが続くが、はたして新生「東京商品取引所」は何位くらいになるのだろうか?おそらく売買高ベースでは首位比較で数%程度と見られるが、先の日経紙には東工取の先月の外国人売買比率が最高の31%になった旨も載っていた。今後彼ら主力含め他をどう誘致してゆくか、先を見れば日本取引所グループの骨子がはっきりしてくるあたりでまた新展開も考えられるが何れにせよまだまだ安穏な道ではない。



関心と矛先

欧州問題が依然として不透明な中を米金融緩和を睨んでかここ直近で金の堅調が目立つ。価格堅調と共に一時期残高が減少した代表的な金ETF「SPDRゴールド・シェア」の運用残高も先週時点で約1,286.5トンと前月比で約4.5トン増加し、4/9以来約4ヵ月半ぶりの高水準となった旨も週末の日経紙に載っていた。

そういえば昨日記のジョージ・ソロス氏のファンドやポールソン&カンパニーも4-6月期にこの手の金ETF保有額を増加させている事も報じられているが、国内でも足元では4-6月の「金需要動向」にて日本の投資用の金需給がおよそ3年半ぶりに買い越しに転じた旨をワールド・ゴールド・カウンシルが発表している。

ところで金といえば先週の日経紙には「東工取、取引に停滞感」として、東工取の売買回転日数が今月20日時点で約9.5日を要し前年同月の3.8日や前年平均の5.4日を大幅に上回っている旨が出ており、先物へはこの辺の波及効果は今ひとつといったところだろうか。その前の同紙には若年層の間で金投資の関心が高まっている旨の記事も見掛けたが、商機かどうかは別としてこちらの啓蒙も業界は工夫したいところだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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