599ページ目

次の淘汰ポスト

先月25日に開幕した09〜10年秋冬ミラノコレクションも本日で終るが、関係者によれば直前のキャンセルもあって参加ブランドは昨年から10以上も減少した模様である。

斯様に不況の影響がファッション業界をも侵食しているが、こうしたコレクション物でさえこの状況では一般アパレルこそ推して知るべしで、国内でも既にセオリーがユニクロの傘下に収まるなど各社生き残り合戦がヒタヒタ進行している。

ちなみに今年に入ってからも上場企業の破綻は早くも11社と異常なハイペースが続いているが、直近で破綻したのはシャツ大手で知られるトミヤアパレル、同月のその前にはゴールデンベアで知られていた小杉産業も破綻している。

斯様にパンク企業が不動産関連一辺倒であった昨年からアパレルポストもその順番で次第に呑み込まれて来ているが、この期に及んでまだ殆ど一部役員の趣味の領域としか思えない赤字垂れ流しのアンテナ事業を継続させているアパレル企業もあるのを見るとまだまだ崩壊余地は大きいとも感じる。
余談だが、フォーブスの09年版「日本の億万長者」でトップに立ったのはユニクロの社長であったが、目下のところこの業界で独り勝ちは同社のみ、不況期の特徴の一つでもある需要の一極集中が如実に出た形だがデフレ経済の指標の一つだけにそうした面からも注目したい。


歴史の売買

産経で見掛けたのだが近くニューヨークで競売に掛けられるというマハトマ・ガンジー氏の遺品を巡って、インド政府が他者の手に渡る事なく祖国に留まるように躍起になっている模様だ。

斯様にオークションで他の手に渡るのは我慢ならないというところで今一番話題になっているのが、周知の通り故イブ・サンローラン氏の遺品から競売に出された、1860年に円明園が英仏連合軍の略奪に遭った際に持ち出されたとされるブロンズ像である。

このクリスティーズで思い出すのが今からちょうど一年前くらいに当欄で触れた「運慶の大日如来坐像」出品騒動か、このクラスを扱う大手になると時にトンでもないものが突如として出てきたりするのでその経緯にいろいろ想像を馳せるのも面白いが、結局問題の銅像は3,140万ユーロで中国人が競り落とす結果になった。

さてこの落札で競り落とした中国人だが「取り戻しましたよ、はいどうぞ」と無償で国に返還でもしたらそれこそカッコ良すぎたのだったが、やはり?というかこの期に及んでカネは払わんと言っているらしい。間に入ったクリスティーズも大変だが歴史的経緯が絡む国際問題だけにまだまだややこしそうである。


お題目に反する空洞化

商品取引所連絡会が纏めたところによると先月中に取引された国内石油先物市場の出来高は、TOCOMと中部大阪の合計で前年同期比59%減となった模様である。

これに呼応?するかのように週末の日経紙商品面にて目に留まったのは、デリバリー常連組であった日本ユニコムが採算の効率化から今秋をメドに石油会社からの受託業務から撤退する旨の記事であった。

この石油ではないが昨年には老舗の三幸食品や三忠が東穀取から受託業務廃止や会員脱退の動きがありこちらも常連組一角の撤退が記憶に新しいが、撤退していない常連組においても岡地のように行政処分から業務停止の憂き目に遭うなど委託先法人の戸惑いも想像に難くない。

取引所やお上が起死回生策として呪文のように実需家の誘致を唱え続けている間にも、当の現場は現場で経営に活路を見出しこうした部分を見切りに入っているという業界の縮図が何とも解り易く出ている構図だが、老舗牽引で軸足を移行させる動きがますます加速してゆく感がある。


国有化の是非

昨晩のバーナンキFRB議長の下院金融サービス委員会証言では、注目されているシティグループについて国有化を望んでおらずその必要性もないとの言明が為された。

ちなみにシティグループの株価は年末の6ドル後半から直近では安値1ドル台となんとも酷い、まあディーリングやるには面白い銘柄ではあるが国有化になれば株主持分は当然ゼロ、この辺が思惑だが当該のシティ始めとして他の大手金融機関の普通株式をある程度は取得する可能性がある事も仄めかしており、そうした経緯から中途半端な国有化が脳裏に浮かぶという矛盾も出て来る。

国内も日経平均株価が今週は一時バブル後の最安値を記録したが、これは昨年当欄でメガバンクを以ってして金融系の本格的立ち直りまでは楽観論はどうかなと指摘した通りである。

ちょっと前の米政府系住宅金融会社も粛々と規定路線通りに事が運んだ訳だが、概ね今迄は昨年に某ファンド関係者から聞いていた通りの筋書き通りに進んでおり、俄かに対主軸通貨で弱含んで来た円含めて注目点はまだ多い。


禁じ手とジレンマ

本日は東京証券取引所においてUBS証券がカプコンCBにおける売買で3兆円規模の誤発注をするドタバタ劇があったものの、米株高に円安効果もあって日経平均株価は4日ぶりに反発となったが、財務・金融・経済とあちこち兼任している与謝野担当相は昨日閣僚後会見にて政府として株価対策を検討してゆく方針を明らかにしている。

一部紙には政府による株の買い支えなど「禁じ手」にまで踏み込むかが注目されている模様だが、この期に株式買い入れ機関構想等さしたるファクターにはならないばかりか後の弊害が懸念される。

当欄で昨年に日経平均株価が7,000円の大台を割った時には「〜昔の所謂PKOだのPLOなる造語が流行った時代を彷彿させる〜」としたが、この時の空売り規制にしてもそうだが人為的に逆行する介入は結局相場も自立性も歪めてしまうし地盤沈下もかえって促進させてしまうだろう。

諸外国では取引所側の動きも日本企業誘致の働きかけを粛々としているが、こうした禁じ手が焦眉の急だとしても更にこうした動きを助長させてしまっているというジレンマに陥るのはなんとも八方塞な感じがする。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2025

1

1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31