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右へ倣えと権限拡大

先月末に政府は公的資金を活用して一般企業に資本注入する制度の創設を正式に発表しているが、本日の日経紙一面にはあのエルピーダメモリがこれを活用する検討に入ったと報じられている。

直近でも札幌の老舗である今井丸井がとうとう破綻の憂き目に遭ったが、500億円以上規模の破綻が相次ぐ中、企業申請から資本注入が打倒と判断すれば対象企業が発行する議決権の無い優先株を引き受けるといった格好で支援するとの事だが、通常思い浮かぶ金融機関というか銀行へのそうした措置が一般企業へも枠が拡大されたという事か。

確かに今の米国他を見るとGMだ、シティだ、RBSだと巨額のカネを注ぎ込みもう大金に対しても半ば麻痺状態化しておりこうした気運になり、カラ売り規制や今回もそうなのだろうが何でも他国の真似というのも如何なものだろうか。

だいたい他とは規模こそ違うだろうにしてもそれでも少し纏まれば数兆円単位の話になるだろうし、目下2兆円のバラマキとされているものでも大騒ぎの日本が旨くオペレーションできるのであろうか?

仮にそうなったとしても曲りなりにもというか国が企業に介入という事になると、なにかまた天下りめいたもの含めて穿った見方を敢えてすれば混乱に乗じた官僚の権限拡大狙いとも取れなくもないし、幾つかは利益相反の疑義が掛けられるケースも間違いなく出て来るのが想定されると思う次第。


牛歩

FUTURES PRESSでも既報の通りだが商品取引所連絡会が発表した1月の商品先物出来高は前月比9.1%減の306万731枚と依然として冴えなかったが、今月に入って日本商品先物振興協会は東工・東穀・中部大阪・関西の4商品取引所に対し合併や解散・統合などを促すために「再編に関する提言」を示したと発表している。

そうこうしている中でも本日の時事にてカネツ商事は該当上場商品が人気離散傾向を強める状況にあり、中部大阪商品取引所と関西商品取引所の受託業務を廃止する旨の記事を見掛けたが、まあ最後に一括して纏めるので途中の川下の紆余曲折は黙認されているのかどうか、業界世論も背景に気運がマッチしているのにこれほど時間を費やしているのも珍しい。

結局は最終的な目的がまだ不透明という事の裏返しなのだろうが、証券の方でも中部はセントレックスが上場している五分の一が上場廃止基準に抵触する等こうした部分にも再編のネタあり。

そういえばお隣韓国では、証券や先物を手掛ける企業の合併や再編を加速し総合金融投資会社の育成を狙い、証券・先物など業種間の垣根を取り払う「資本市場統合論」が4日に施行される旨が2日付け日経紙にて載っていた。


悲哀こもごも城下町

週明けも続落と冴えない日経平均であったが、中でも売り気配から終日一際下げが目立っていたのが重電の雄、日立であろうか。

それもそのはず先週末の日経紙一面にも報じられていたように09年3月期の業績予想を下方修正し当期損益が7,000億円の赤字になる見込みと発表、これは実に創業以来最悪の水準でこれに伴い7,000人がリストラ対象になる模様だそう。

朝日紙には早速いわゆる日立城下町へ衝撃が走り各々川下への影響が懸念される旨が載っていたが、これは現状愛知県でも先のトヨタショックからトヨタ城下町も末端までが可也の影響を被っている様と同様。

リーマン破綻の後の昨年10月に「〜富裕層だけの問題ではなく今回はこうした件の弊害が何れ一般にまで及ぶのは必至〜」とコメントしたが果たして川下はこうした憂き目に遭っているといえようか。

また財政上も問題有りでこの豊田市では法人市民税が過去に例が無い90%の減収となり還付金も相当額出る模様、こうした主力産業に税収を頼る自治体の影響も計り知れないが、マクロというか全体で法人税がどの程度吹き飛ぶか、さて国の財政もお偉いさん方に知恵を絞ってもらわなければならない。


La Multi Ani

さて何だかんだで一月ももうすぐ終るが、この一月恒例の新春「歌会始の儀」の今年のお題は「生」であった。

その中で皇后さまや皇太子さまが詠まれた歌はそれぞれ通常であれば先ず注目もされないであろう昆虫や植物を採り上げたものだったが、これから連想されたのが個人的に好きな事もあるのだろうがやはりエミール・ガレか。

その素晴らしい作品は無数に存在するが、一貫して訴えているのがやはり「生」であろう。例えば1900年頃の作品で「蘭文扁壷」という有名なものがあるが、表裏に一厘ずつある花は表に妖艶な花、その裏には朽ち果てた花を溶着しその対比を強調したものとなっているが、この花は朽ち果てる寸前の一瞬の生が投影されまた生への哀惜であり、それがまた花の一瞬の生を際立たせている。

他にもこの系統では上記と同年代の代表作でもある「ひとよ茸ランプ」もそうだし、1889年頃の「蜻蛉文鶴頸扁瓶」の蜻蛉もまた然り、これほど「生」を意識させられるものに只々感心である。

ちなみに来年のお題は「光」だが、はて万事光明を見出す事が出来るか。


待てば海路の日和あり?

本日は打合せで銀座界隈に出向く途中でユニクロの前をたまたま通ったのだが、外から見た感じでも相変わらず繁盛している様子であった。

ところでこのユニクロで他の事を思い出したのだが、同社が一昨年にUAEの国営投資会社と買収合戦で火花を散らし結局諦め?たあの高級百貨店「バーニーズ・ニューヨーク」を当の競り落とした国営投資会社が売却を検討しているとの報道があった件。

高級品も落ち込み当の中東も年明け早々に当欄で触れたように厳しい状況に晒されている状況ならではの売却検討であろうが、当然ディスカウントが予測される中でユニクロさん(ファーストリテイリング)が再度食指を伸ばすか否か興味あるところ。

経済混乱が買収を後押し?した例としては先には三菱レーヨンが英国の大手化学メーカーをポンド安から買収に踏み切る例や、キリンが豪州飲料最大手の買収を豪ドル安から仕掛ける例も既に具現化しており、このパターンは年末に日本電産の件に触れた際に書いた「不況であるが故にM&Aやまた人材面においてもチャンスが巡ってくる可能性があり」とした事例になってこようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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