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歴史に残る一週間

街の金木犀が妖艶な香りを漂わせる中、今週もマーケットの激震には拍車が掛かっていた。

ダウの10,000ドル割れ、日経平均の10,000円割れや昨日の歴代3番目の下落率となった952円安の暴落、各商品市場の暴落、各国通貨の暴落、全銀行の国有化構想もあれば彼方此方で取引所を閉鎖してしまう動き、そして世界10中銀同時利下げという異例の事態等々と、史上に残るであろう事例が矢継ぎ早に起こった歴史的な一週間であった。

問題があまりにも大き過ぎて個別で云々言っても意味がないが、トリガーに過ぎないにしろリーマンを潰してから影響が此処まで拡大するのを当初安易に見た罪は果てしなく深い。

そのリーマンだが、今週の公聴会ではCEOがつらつらと恨み節を語っていたが、何処かの力士よろしく追放されたらもう何でも喋るよとばかりに今後いろいろな件が発覚するのだろうか?

しかしリーマンCEO始め数百億円規模の報酬を取っていた戦犯?の株式評価が紙屑同然になってほくそえむ向きも多いだろうが、富裕層だけの問題でなく今回はこうした件の弊害が何れ一般人にまで及ぶのは必至、センチメントは妬みが喜びに変りまた恨みに変化してゆくか。


サムライ

本日もまた各マーケットは崩落の形相を呈し何処も真っ暗闇、そんな中を某鮨店での会食に招待されたが何時も其れなりに混んでいた店が閑散そのもので改めて冷え込み感じた。

こんな時の中休みで敢えて柔い話題でもと思った今日だが、鮨といえば今週「ミシュラン・ガイド」NY最新版の結果発表においてマンハッタンの「MASA」が鮨?店としては初の三つ星を獲得した模様だ。

日本料理店関係では今年の3月だったかパリの「あい田」が日本料理店としては初の一つ星を獲得した旨を書いたが、昨今この金融混乱の中で外資に次々と触手を伸ばす日本勢をサムライの復讐と仏ルモンド紙に形容されている折、こうした分野でも欧州勢を抑えて徐々に台頭といったところか、そういえば直近のノーベル賞においても日本の快挙は素晴らしいものであった。

ところで話は戻るがミシュランについては啓蒙における貢献度は高いもののその評価基準にに疑問府と書いた事があったが、そうした点で共通の思いなのか否か一方で「ミシュラン京都版」構想が取材拒否等が続出し難航極めているとか、上記のように進出組は其れなりの背景があって成る物に対してこちらは相容れない文化の存在が逆に安心感を齎す。


準国債?

ご存知の通り、週明け6日の国際商品相場は米金融危機の影響から資金流出の動きに拍車が掛かり何れも軒並み崩落、CRB指数もつい先の夏場高値から一気に3割以上も急落した格好になっているがこうなって来るとホンの一握りというか急伸した金が嫌でも目立つ展開。

そういえば過日の日経紙にはリーマンブラザーズ破綻以降は金ETFの売買代金が急増し、例えば大証金価格連動型上場投資信託は9月後半は前半の二倍弱の売買代金に増加したり、SPDRの売買高が9月半ば以降は二倍超に増えている旨の記事を見掛けた。

また別の大手紙ではTOCOMのミニ金も取り上げており、今年夏の設計変更から個人投資家の取り込み狙いが奏功し取引が?爆発的?に増えたとしているがまあこれについてはモノは言い様だなという感も。

兎も角、ほぼ一年前に当欄でも触れた事のある所謂恐怖心指数であるVIXも昨日は初の50台に乗せこれは実に1998年の10月に記録した史上最高値を約10年ぶりに更新とか、まあ確かに信用リスクに過敏になっている今だけにこの部分だけからすれば「安全な資産」と持ち上げられ物色し易い金というのも解らないでもないがなんとも荒涼とした感は否定出来ない。


再編劇混沌

さて毎週末になるとまた何かが出るのではないかとハラハラする米金融危機だが、証券から銀行、そして保険等へ再編の嵐が連日吹き荒れている。直近で注目されているAIGは中核の損保事業に集中するため日本市場を手放す事になったわけで結局アリコなど生保三社の株式を売却方針、史上最大とも言われる競売で何処が触手を伸ばし競り落とす事になるのか興味津々だが、大規模な経営危機が日本市場の業界再編に発展してゆくのも必至な情勢だろう。

また銀行の方も直近ではウェルズ・ファーゴの登場からワコビアが僅か数日でシティーグループへの吸収合併を翻意しこれにNY地裁まで登場し行方は混沌、銀行といえば国内も三菱UFJが土壇場で出資形態を優先株に切り替え物議を醸し出したモルスタへの出資があったが、これも今後国内最大級の証券会社構想等いろいろな話が出ている。

斯様な状況で金融安定化法案可決後も日経平均は下げ止まらず4年8ヶ月ぶりの安値へと急落というのは自然なところだろうが、こちらもこれでまた上場基準割れ等回復の道が一段と遠退き市場から撤退命令が出るモノ多数か。


試金石―TOCOM

本日は、出光興産が既報の通りガソリン等の石油製品の卸値をTOCOM等の製品マーケット価格を指標として週単位で改定する方針に変更することで、毎週木曜に公表(次回からは金曜に変更)という事に則しての第一回目公表日であった。

新日石も同様に今月からこの方式に移行するが石油製品を巡っては、予てより末端には相応のタイムラグが生じ消費側に不信が出ていた事もさることながら、元売り側に取っても交渉難から転嫁が一部しか叶わないという問題がこれで改善の道を辿るかのようにも見えるがさてどうだろうか。

ただでさえ通常の交渉が難航していた給油所の問題があったがやはり今回の件でも「TOCOM市場は価格操作が容易に可能ではないか」等の懐疑心が満載、当の元売りもこれに付いては問題視しており新日石なんぞは特約店の選択方式にするとか、数年前に休止されたままになっている軽油含め市場設計に対する注文も当然出てくるのは想像に難くない。

先ずはこうした件を切っ掛けにリクイディティの復活化なるか、この辺が順調に進んで初めて安易に連呼されている「産業インフラ」というのも現実味を帯びてくるのではないか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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