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文春並みの投資会社

ここ最近の回転寿司店を巡る迷惑動画でスシローを展開するFOOD&LIFE COMPANIESの時価総額が一連の報道を嫌気し一時約170億円減少した云々と喧しいが、こんなモノではない実にグループ時価総額の約半分が失われたと話題なのがインドの新興財閥アダニ・グループだ。米投資会社のヒンデンブルグ・リサーチが不正会計疑惑を指摘したのがきっかけになっているが、中核会社の公募増資が撤回を迫られるなど窮地に立たされている。

この手の空売りを仕掛け企業の不正や疑惑の告発で株価下落を狙う手法の投資会社は以前からあり、当欄でも7年前に日本市場に参入し第一弾として伊藤忠商事に矛先を向けた米グラウカス・リサーチ・グループや、日本電産を狙った米マディ・ウォーターズ・キャピタル、また共に会計処理に疑義があるとしてSMCを狙ったウェル・インベストメント・リサーチ等を取り上げたことがあった。

他にもサイバーダインの割高を指摘した米シトロン・リサーチなど幾つも出てくるが、このヒンデンブルグ・リサーチもこれまでの実績?として新興EVの米ニコラやローズタウン・モーターズの問題を指摘しニコラはその株価が半値に暴落し会長は投資家を欺いた罪で有罪にもなっている。

狙われた企業はたまったものではないが、彼らも物言う株主の村上ファンド等と同様にコーポレートガバナンスコードを背景に企業に是正を促す切っ掛けを与え緊張感をもたらしているという点である意味同類か。とはいえこの騒動、印中央銀行が国内銀行に対しエクスポージャーの報告を求め始めるなどインドの金融システム全体に影響が及ぶリスクも懸念されておりしばらくはこの動向から目が離せない展開か。


南南東

明日は節分。今年の恵方巻き商戦の様子は先週書いた通りだがもう一つ、この節分を前に大手雑貨チェーン「3COINS」では先月販売した子ども向け節分グッズ、トラ柄の鬼のセットアップや恵方巻になれる?ベストから鬼のこん棒に鬼のウィッグまで多くのアイテムを展開したKIDS節分なる商品に大勢の客が殺到し店内が阿鼻叫喚の騒動になった件が物議を醸し出していた。

さてその物議は地獄絵図となった当該店舗だけにとどまらず、これらの発売日と同時にこの争奪戦となった戦利品?が早速ネット上でフリマサイトにラインナップされ、例えば上記の鬼のセットアップなど定価が550円のモノが10倍の5500円という法外な値段で出品されるなど、毎度転売ヤーの醜い行為が露わになった。

ところで転売ヤーといえば先月に惜しまれつつも会社を廃業した佐久間製菓の「サクマ式ドロップ」も依然としてネット上では定価の何倍もの法外な値段で出品されている。スリコの鬼グッズと共に商材にされているワケだが製造元は方や廃業、方や飛ぶ鳥を落とす勢いの成長産業と明暗を分ける。とはいえこの度の廃業も新陳代謝が遅いと言われて久しい中では評価されるべき価値のある英断ともいえるか。


二月逃げる

今日から二月逃げるの如月入り。先月に書いたように今月は22年以降で2番目に多い規模となる5000品目以上の食品類の値上げが予定されている。特に冷凍食品など加工食品が多く値上げされ、本日納品分からニッスイが家庭用や業務用の冷凍食品を約6~25%値上げするほか、ニチレイフーズも同じく家庭用・業務用の冷凍食品を約5~25%値上げする。

他にも本日納品分からマルハニチロが家庭用・業務用食品、永谷園はふりかけ、カゴメはトマトケチャップ、山崎製パンはランチパックなどを1年ぶりに再値上げし、菓子・スナック類では大塚製薬がカロリーメイトやSOYJOY等を初の値上げ、江崎グリコはポッキーやパピコを、飲料類では雪印メグミルクが家庭用乳飲料や果汁飲料等、アサヒ飲料はエナジードリンクのモンスターを、メルシャンはワインや梅酒などを値上げする。

また値上げの波は生活用品にも及び、日本製紙クレシアは本日出荷分からティシュやトイレットペーパーなど家庭向けの紙製品を全て15%以上値上げする。ガソリン補助金上限も年明けから段階的に引き下がるが、一方で東電など大手10社の電気料金や都市ガス料金など2月請求分から政府の物価高騰対策の補助金で値下がりする。とはいえ東電は約3割の値上げを国に申請中、政府が製粉会社等に輸入小麦を売り渡す価格の改定も今後控えているだけにこれらの動向もまた注目される。


変わりゆく渋谷

本日をもって渋谷の東急百貨店本店が閉店した。東急といえば先に東急東横店も閉店していたが、これで1967年の開業から55年あまりの歴史に幕を閉じるということになる。最後に行ったのはもう数年前になると思うが、文化村通りの突き当りに位置したこの店は渋谷にあって渋谷らしからぬ?ある種落ち着いた雰囲気が醸し出されていたものだ。

100年に一度の再開発と喧しい渋谷だが、同所の跡地には商業施設のほかザ・ハウス・コレクティブが展開するホテルや賃貸住宅などを備えた地上36階建ての複合施設が27年度の完成を目指して建設される予定になっている。ちなみにバブル期に此処に隣接したBunkamuraもオープンしたが、こちらもオーチャードホールを除き同27年度まで休館するという。

斯様に渋谷は現在都市再生計画が進行中で、上記の東急百貨店跡地はもとより宮益坂周辺地区もアーバン・コアの整備で数年後にはまた景色が一変する予定だ。学生時代に毎日見慣れた東急文化会館が消え渋谷ヒカリエに、そして今度は東急百貨店も無くなる。当たり前にあったいつもの光景が無くなるというのはそれを見慣れた向きには実に寂しい事だが、次の新しいカルチャー発信地の登場に期待したい。


2023年IPOの幕開け

先週末に2023年の第1号IPOとしてITソリューション事業のテクノロジ-ズが東証グロース市場に新規上場をはたしたが、注目の初値は初日は終日買い気配値を切り上げたものの寄らず。上場2日目の翌日になって公開価格1000円の役3.65倍の3650円で初値を付け、ザラバでは4000円の大台を付ける場面も見られた。

同株は他のIPO案件との申し込み期間被りは1社として無い事や、大株主のロックアップ等の需給環境の良さからロケットスタートとなったが、過去1年間に上場した銘柄の値動きを指数化したIPOインデックスも先週末は22年末日で13%高く、2022年1月5日以来、約1年ぶりの水準まで上昇している旨が先週末の日経紙に出ていた。

2017年以来となる1月IPOの同社株だが、規模的には公開規模も10億に満たない小型の部類に入る。小型といえば昨年は東証中心に国内での上場件数は90社超と高水準を保っていたが、世界経済の不透明さや地政学リスク等を背景に大型案件が慎重になったこともあって1社あたりの市場調達額は前年より4割減る見通しという。

世界レベルで見てもIPOは米での中止件数がITバブル崩壊以来の高水準になるなどで、昨年のIPOの調達額は1400億ドルと前年より65%も減少している。各国中銀の金融引き締めで景気後退懸念が高まったことで投資家のリスクマネーが減少している証左だが、今後の金融政策は引き締めのペースダウンが期待されるなかでこの構図が変化するか否か海外の機関投資家などの需要動向に注目したい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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