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取引所騒動彼是

昨日の日経紙グローバル市場面では「LME、信頼回復半ば」と題して、LME(ロンドン金属取引所)がロシアによるウクライナ侵攻により供給懸念からニッケル価格が暴騰したのを背景にしてニッケル先物の取引を一時停止して話題になった、所謂「ニッケル騒動」から3年が経過し売買が復調傾向となっている旨の記事があった。

当時の相場は記憶に新しいが、週明けから前週末比で2倍に急騰した相場は翌日も更に2倍以上に暴騰し遂に1トンあたり10万ドルの大台を突破するに至った。結局この時の10万ドル超の最高値での約定を無効扱いにまでしたことが後々まで関係者の物議を醸し出したわけだが、当時は彼方此方でマージンコールの嵐のなか某中国大手メーカーの看過できない額のショートポジションが市場全体に多大な影響を及ぼすとの懸念から発動された措置であったと推測されている。

東証でもこのニッケル暴騰劇を受けて“別子”こと住友金属鉱山が急騰したが、この22年の3月と4月で月足は見事に教科書的な「毛抜き天井」を6600円台で形成しいまだこれを抜けていない。またETFでも「WisdomTreeニッケル上場投信」はこれと同時期にたった2営業日でその価格がほぼ2倍に暴騰しその時に付けた6152円の上場来高値が大天井となっている。

そういえばもう四半世紀も前になるが、当時のTOCOMでも一部訴訟問題にまでなった「パラジウム先物強制解け合い事件」があったものだが、これもしばらくトラウマとなり以降取引は低調を強いられ、現在では極端な流動性低下を背景に各社は新規建玉の停止もしくは制限を設け殆ど休止状態に陥っている。今後もマーケット間の競争は激しくなると思われるが、結局は競合の有無や流動性確保が帰趨を決することになるか。


消えたコメの行方はいずこ

本日の日経紙には「餃子の王将」の価格改定の全面広告が出ていたが、値上げの理由として一行目に書かれていたのは「コメの価格高騰」であった。週明けの当欄でも「天丼てんや」や「崎陽軒」の今月からの値上げを取り上げたが、これらの背景も総じてコメ価格の高止まりによるところが大きい。一向に鎮静化のみられないこうした状況を鑑み、先週には農水省がコメの流通が滞っていると判断された場合、条件付きで政府備蓄米を販売出来るよう運用を見直すことを決めている。

この“令和の米騒動”、昨年の8月に当欄では新米が出回り暑さの落ち着きに歩調を合せ価格も落ち着きを見せるのか否か注視しておきたいと書いていたが、暑さが落ち着く頃どころか結局年が明けても末端の価格は高止まりしたままだ。コメが店頭からすっかり消えたあたりから備蓄米放出の提案が彼方此方から出たものだったが、ここまで慎重姿勢を貫いていた政府も上記のように漸く重い腰を上げたかっこうか。

そんな背中を押された背景には日経紙等でも“消えた”、“行方不明”などと報じられている通り、市場に出回らずコメが消えている?ことに農水側が懸念を示したのもある。公表されているところでコメの生産量は前年比で約18万トンほど増えている筈だが、囁かれているところでは食糧管理制度廃止で自由に販売出来るようになっている農家に異業種の参入業者などが挙って群がり、JAなど集荷業者より高値で買い漁り貯め込んでいるのも一因といわれる。

まるで転売ヤーの如きなんとも目敏い連中だが、この備蓄米放出の実行がいよいよ現実味を帯びてくるとなるとこうした連中が“投げ”に動くことも想定される。この辺はコロナが始まった頃の魑魅魍魎な連中のマスク買い占めが災いし一転暴落から各所で投げ売りが多発した光景が記憶に新しいが、政府としては相場に与える影響を考慮し市場が混乱しないタイミングと放出量をどの程度にするのかこの辺も思案所となるか。


高級酒バブル一服

昨日の日経夕刊の値札の経済学では「国産高級ウイスキー、2割下落」と題し、中国の景気低迷を背景に長らく高騰が続いていた国産ウイスキーの流通価格が昨年の半ばから下落が始まり最盛期から2割近く下がるなど落ち着いてきた旨の記事があった。国産高級ウイスキーはベースに世界的な評価の高まりから原酒不足も加わり、メーカー側の大幅な価格改定も相俟って投機対象に乗り易かった経緯もあった。

ところで高級酒といえば同じく中国の景気低迷を背景に、当の中国を代表する高級白酒を手掛ける「貴州茅台酒」の時価総額も先月末で1兆8000億元と1割強にあたる約2700億元が減少し、同じく白酒を手掛ける老舗の「瀘州老窖」の時価総額も約600億元減少しているという。かつて貴州茅台酒は国内で時価総額トップを誇るトヨタ自動車をも凌ぐ時価総額を誇りその高いROEで海外の機関投資家からも人気だったものだがすっかり色褪せている。

上記の高級酒以外でも同じ投機のテーブルに乗せられていたロレックスも一部人気モデルが大幅な値崩れを起こしている模様だが、考えてみれば本来は身に着けたり飲んでそれらを愛で楽しむものが、違う目的で値を付け投機対象になるのを異常な光景と見て来た向きも多かっただろう。顧客需要に支障をきたす場面も少なくなかった事でメーカー側も希望小売価格から大きく乖離した価格で流通する実態に困惑してきたものだが、図らずも中国の不動産不況がもたらした景気低迷がこれの是正の一助となることになる。


タリフマン砲

本日の日経平均は一転して急反発、トランプ米大統領がカナダとメキシコからの輸入品に対する関税強化策適用を1か月延期すると発表した事を好感してのものだったが、昨日はこの政策発動で世界経済の先行きに対する懸念からザラバで下げ幅が1100円を超える場面があり引けも1052円安と急反落の週明けとなった。日経平均に限らずアジア圏では春節で中国が休場となるなか韓国KOSPIや台湾加権指数なども同様に下落の憂き目に遭っていた。

為替市場も前週まで比較的底堅く推移していたカナダドルやメキシコペソが対米ドルで急落、今後は欧州も対象となり得るとしていたことでユーロまで下落が波及した。東証の個別では関税の影響が大きいとされる特に自動車セクターが直撃され、メキシコに生産工場のあるホンダやマツダが揃って7%を超える急落を演じ、もう一つのトヨタ自動車も5%安となり部品関連でもデンソーが8%を超える急落となっていた。

この政策で関連する国全体のGDPの目減りは年90兆円規模にのぼるといい、米の全輸入額トップのメキシコの実質GDPは関税実施の場合、2032年までに従来の想定から2%押し下げ要因になるとの試算がある一方で、JETROのアジア経済研究所では日本は対象国から米国への輸出が落ち込むなか、これらの国に代って日本から米への自動車関連の輸出が伸び2027年にはGDPが0.2%押し上げられると試算している。いずれにせよ楽観に傾きかけていた局面でもいつ冷や水を浴びせられるかわからなくなってきた事で暫くは身構える動きとなろうか。


恵方巻もシウマイ弁当も

昨日は「節分」であったが、今年は恵方巻が材料であるコメや海苔が去年から約1.2~2倍に高騰しているのを背景に値上げ傾向で、帝国データバンクの調査ではその平均価格今年初めて1000円の大台を超えたという。そういった事で今年の商戦は各社の案内等を見るにクリスマスケーキやおせち料理よろしく予約開始を早くする向きや、ハーフサイズなど通常サイズに幅をもたせるなど各社工夫が見え隠れする。

恵方巻きはそんな感じだが、恒例の今月の帝国データバンクによる主な食品メーカーによる飲食料品の値上げは1656品目、先月に続いての1000品目超えとなっている。今年既に値上げが判明している品目は8800品目にのぼるというが、現在のペースが続いた場合は昨年を大幅に上回ることになるという。ほか、外食では天丼てんやは今月13日から天丼など約60品目を値上げし、崎陽軒も今月からシウマイ弁当など13品目を値上げしている。

これで慣れ親しんだシウマイ弁当も遂に1000円の大台乗せとなったが、外食値上げといえばスタバも今月15日から立地別価格を導入し全国1991店舗のうち東京空港内、大阪市内など約3割の店舗で価格を引き上げる。既に先駆けてガストやマックなどはこれを導入済みで、マックなど昨年夏からその店舗も拡大傾向にある。上記の飲食品値上げの一因には人件費の上昇があるが、この立地別価格も収益性を考慮しこれに対応するもので今後も追随する店舗が拡大してくるのは想像に難くないか。


深度求索

今週は中国のスタートアップ、ディープシークが開発した生成AIアプリが話題となり市場には激震が走った。何でもこのモデル開発にかかった期間は約2か月、費用は約560万ドルと米競合企業の10分の1以下という事で、これまでのような巨額投資も必要なくなるという思惑からマーケットのメインシナリオが根底から揺らいだことでAIバブルの終焉警戒感から日米の株式市場に波乱を呼んだ。

というわけで週明けの米市場ではこれまで市場を席巻してきた代表格のエヌビディア株の18.2%安に続き、ブロードコムが19.8%安、オラクルは16.9%安、TSMC(ADR)は15.4%安、AIによるエネルギー需要を見越して買われてきた電力会社ビストラに至っては28.3%の暴落となるなどAIへの期待を背負っていた主力株が総崩れの憂き目に遭った。日本市場もまた然りでアドバンストの11.14%安はじめやソフトバンクGの5.22%安やフジクラの9.21%安などAI関連株が総崩れとなった。

このディープシークのAIアプリは「オープンソース」で提供されているだけにアップストアで1位になるほど需要は強くAIの民主化に一役買うのに十分な存在となろうが、つい先週には上記のソフトバンクGやオラクルの企業連合で米のAI開発に4年間で5000億ドルを投資する新会社を立ち上げると発表したばかり。これまでのディープシーク側の主張が本当の話だとすればなんとも文春砲並みのタイミングで物凄いモデルが登場したものだ。

特に注目すべきは半導体の輸入に制限がかけられているなか、旧型の半導体を使いながらもオープンAIやメタと遜色ない性能を発揮しているという点か。これで思い出すのが一昨年だったか中国のファーウェイが米国技術に一切依存することなく5Gスマホ、Mete60Proを作り上げ米政府に衝撃が走ったというニュースか。今回の件と併せ制裁が逆にイノベーションを促した証左ともいえるが、斯様に開発で差が縮められるなか今後対中戦略に変化は出てくるのかこの辺も併せてみておきたい。


過ぎてわかる超割安

昨日の株式市場はハイテク勢が総崩れする一方でこれらの資金の受け皿となるべく上げが目立ったのは銀行株群の堅調であった。日銀総裁が発言したところの中立金利までの幅から一段の利上げ期待が高まり、メガバンク勢では三菱UFJFGがザラバ高値1982円と実に19年ぶりに上場来の高値を更新、三井住友FGやみずほFGも揃って年初来高値更新と気を吐いていた。

前にも書いたがメガバンクのPBR1倍乗せは当時の経済を取り巻く環境からしてもほぼ不可能と思われたものだったが昨年には三菱UFJはいち早くこれを達成、また本日も年初来高値を更新してきたみずほFGもこれまた難しいと思われてきた2003年の1兆円増資の優先株を2016年に普通株へ強制転換した時の2829円を三菱UFJのPBR1倍回復と時を同じくしてクリヤ、今や株価はその水準から更に5割も上回ってきている。

このみずほFGや三井住友FGも年初来高値更新で三菱UFJに続きPBR1倍を超え、これでメガバンク勢は全てPBR1倍超えを達成する事となった。今後は他行や地銀セクターも物色の矛先が向う可能性もあるが、思えばつい数年前のマイナス金利の時は今の株価のそれこそ4分の1から5分の1程度でいつでも買えたわけで、いずれどこかでマイナス金利が終わると楽観視してコツコツため込んだ向きがやはり報われたということになる。


米ETFの強み

本日の日経紙グローバル市場面には「ETF、世界で流入最高」と題し、世界のETF(上場投資信託)への資金流入額が昨年は1兆5400億ドルと前年比で85%増加し3年ぶりに過去最高を更新した旨の記事があった。中でも米国の一強は鮮明で、昨年は現物ビットコインETFが承認された事もあり流入資金のうち7割が米国に上場するETFとなった。

昨年11月には当欄で米ビットコインETFの資産規模がゴールドETFの3分の2水準まで迫ってきている旨を書いていたが一強とされる米市場の魅力はその商品の多彩さにもあり、この辺では先月には期限が1日のゼロデーオプション等を組み入れたカバード・コール型のETFやリクイディティーの低い数百の融資債権に分散投資するETFなども取り上げている。

他にも昨年はマグニフィセントセブン等の大手テック株の台頭を受け、米ではシングルストックETFの商品数も拡大し取引高も増加した。同ETFは個別1銘柄の値動きをベンチマークとしたETFで2倍までのレバレッジをかけられるが、ボラが倍という点で信用取引とも似ているが仮に相場が読みと逆に動いたとしてもマル信のように追証や強制決済も無く、元本そのものがマイナスになる事態にはならない点で異なる。

ETFといえば日本でも昨年は6月に日経半導体ETF、また12月にはサウジ株ETFが上場しており、今月に入ってからは世界を代表する米テクノロジー企業10社に均等投資するETF「iFreeETF FANG+」も上場している。ただ上記のETFに見られる“攻めた”商品という点では腕に覚えのある投資家は今一つ食指が動かぬ点は否めないだけに、指数だけでなくシングルストックのようなマル信代替となるような商品拡充も望まれるところだ。


牛歩

周知のように日銀は先週に開いた金融政策決定会合で政策金利を0.25%から0.5%への引上げを決定している。利上げは24年7月の会合以来で政策金利は17年ぶりの水準に乗せることとなるが、この昨年の会合では市場からサプライズと受け止められあの令和のブラックマンデーのトリガーとなった反省を踏まえ今回は会合前の講演等で利上げに向けた地均しが奏功?したか株価は横這いとなり影響は軽微に終わった。

横這いといえば為替もまた然りで公表を挟んで一時円高に振れる場面があったものの、ほどなくして元の水準に戻りこちらも総じて横ばい。利上げ決定でも横這い、利上げ見送りなら円安進行という構図は典型的な売り相場になっている事を物語っており、実際ここまで日本の利上げに米の利下げで両者の政策金利差は縮小してきているものの足元のドル円相場はマイナス金利解除直前の150円水準より円安は進行してしまっている。

日銀は賃金と物価の好循環を謳いここ肯定的に捉えているが、現状日本は食料自給率やエネルギー自給率において前者は40%弱、後者は10%そこそこという構図から今の円安による生活コストの上昇で苦しんでいる向きは多い。日銀は物価の番人としてこれをいかに適切にコントロール出来るかが問われているが、先に書いたように物価目標未満のところで中途半端な利上げを続けることになると物価の番人としてのスタンスが疑問視される。

また賃金といえば一部外資系証券では年平均ベースで1ドル157円を超える円安になると実質賃金の上昇が難しくなるという試算がある。今の水準からわずか1円そこそこでこれに抵触してくるわけだが、上記のような構造的な円安素地に加えトランプ氏の関税政策如何によってもこのトレンドが加速する可能性も秘めてるだけに、不確実性に備えながら為替を睨み適切なタイミングでの利上げ決断が今後ますます求められようか。


外圧の洗礼

今週も先週に続いて大物タレントが起こした女性問題に絡んで社員の関与が指摘されているフジテレビの報道がない日は無かったが、同問題に絡んでは同社社長の閉鎖的で的外れな記者会見が更に不信感を呼び各社のCM差し止めに歯止めがかからない状況になっている。ちょうど今の時期は春の番組改編に向けた広告主募集の時期だけに同社にとっては何とも最悪なタイミングとなったと言わざるを得ない。

もともとキー局の株は近年のテレビ離れもあってPBR一つとっても長らく低迷が続いているが、そんなことも背景に同社もアクティビストに取得され昨年5月にはMBOを提案された経緯がある。このアクティビスト、ダルトン・インベストメンツだが先週は上記問題に関し第三者委員会の設置ほかを要求する書簡を同社に対して送り、今週に入ってからはオープンな記者会見に日弁連のガイドラインに沿った第三者委員会の設置要求等の2度目の書簡を送っている。

アクティビストの本領発揮という場面だが、本日に開催された臨時取締役会ではこのうち日弁連のガイドラインに沿った第三者委員会の設置が決まっている。株式の取得といえばもう一つ、直近では実業家の堀江氏の同社株取得も明らかになっている。ホリエモンといえば約20年前にも自身が率いるライブドアを介し、フジテレビ経営の関与を目的に親会社のニッポン放送株を大量取得した末に和解で手打ちした過去がある。これも“ねじれ”を突いた買収劇であったが、あれから20年を経て再度同社とまた対峙するさまは何かの因縁か。

当時はフジ側とこの和解後にホリエモンは逮捕されてしまい同氏が描き目指していたメディア業界の改革実現には至らなかったが、さて今回はどういった顛末になるのか?頼みの綱の広告収入が壊滅状態でまさに満身創痍という状態のなか、株価の方も外圧によるガバナンス改善期待と経営不安とが交錯し昨日は急伸、一転して本日は急反落と思惑が交錯し乱高下する展開となっているが、アクティビストの動向も含め引き続き興味深く見てゆこう。


日本の宇宙ビジネス

さて、昨年11月にはJAXAの「イプシロンS」がエンジン燃焼試験中に爆発して昨年度中の打ち上げ断念となったが、その1か月後にもスペースワンの小型ロケット、「カイロス」2号機が3月の初号機打ち上げ失敗に続いて同じく打ち上げに失敗している。宇宙ビジネスや開発の難しさを物語るが、そんな中で先週はアイスペースが開発した月着陸船「レジリエンスランダー」を搭載したスペースXのロケットがケネディ宇宙センターから打ち上げられた。

同社は高頻度で低コストの月面輸送サービスを目指しているが、同社もまた2022年に打ち上げた初号機は制御システムの不具合から月面着陸失敗に終わった経緯がある。小型探査機等でさまざまな技術を月面で実証する計画で、着陸後は月の砂の採取を行いNASAに有償譲渡もするというが、着陸は5~6月ごろの予定で成功すれば日本の民間企業として初の快挙となる。

一方で米国では昨年10月にマスク氏が率いる民間企業スペースXがブースターを発射台に回収することに成功し再利用に一歩前進している。次期大統領のトランプ氏は1次政権時に有人の月面調査を目指す「アルテミス計画」を始動させたほか、軍事部門に宇宙軍を設置するなど宇宙産業に意欲的だったが、今週から始まった第2次政権でも同計画の推進などに注力するものと思われる。

その期待を映すかのように米市場では宇宙関連銘柄のETFなどが昨年の大統領選挙後にS&P500をアウトパフォームする上昇となっているが、宇宙市場の経済規模は2030年に1兆ドルを超え世界の半導体売上を上回る巨大市場に成長するとの見方もある。日本も30年代に宇宙ビジネスを20年比倍の8兆円規模に成長させることを目指しているようだが、そういった意味でも先ずはこの月面着陸の成功に期待したいところだ。


オレンジ代替も高騰

本日の日経紙総合面では「果物、5年連続最高値」と題し、昨年に卸売市場で取引された果物の平均価格が5年連続で過去最高値を更新した旨の記事が出ていた。猛暑による不作に加えてカメムシ被害の影響も小さくなく生産量が減ったことが大きいというが、高級果実の部類ではないミカンやリンゴなど身近な果物が近年に無い高騰を見せているのが特徴だ。

このミカンなど今月上旬の4大市場におけるキロ当たり平均卸売価格は457円と過去最高レベルに跳ね上がっており、末端価格も自ずと高騰してきている。ここ数年オレンジの急騰で大手各社のオレンジジュースは何とか価格を抑えるべく“みかん混合”などミカン果汁を加え工夫して来た経緯があるが、そのみかんも斯様な高騰に巻き込まれると今後が懸念されるところだ。

また野菜も高騰著しい。今年に入り税込でひと玉1000円超も一部で現れた筆頭格のキャベツだが、こちらは平年比で3.26倍にも跳ね上がっており、これ以外の葉物野菜では白菜も同2.18倍、他にも大根が同1.75倍、ネギが同1.46倍、にんじんが同1.40倍等など、果物含め何れも極めて身近な食材なだけに今後の景気ウォッチャー調査や消費者態度等の指数はいつも以上に注視しておきたい。