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各社冷食注力

昨日の日経紙ビジネス面では「無印の冷食商品数25%増」と題し、良品計画が8月末までに雑貨店「無印良品」で冷凍食品の商品数を約100品と足元から25%増やす旨の記事があった。雑貨店とはいうもののココはレトルトカレー中心に特に食品部門が伸びており、私も銀座店に時々行くがほとんどが食品関係の物色がメイン、この冷凍食品もキンパなど前から人気があったが最近はイタリアンから中華まで幅広く網羅している。

ところで冷凍食品に注力といえばコンビニも注力する向きが出ている。ローソンは今月に冷凍おにぎりの販売を現在の約400店舗から関東の約1700店舗に拡大させると発表している。更に今年11月末までに約2000店舗、来年は9月までに約4000店舗、そして来年中には冷凍ケースが無い店舗を除いて国内の全店に拡大することを目指すという。

これまで冷食といえばストック需要がウエイトを占めていたものの、このおにぎりなどは直ぐに食べられるニーズも取り込めるか。同紙にも出ていたが昨年の冷凍食品の消費額は前年比で4.4%増の1兆3000億円超えと過去最高を記録しており、10年前は1兆円にも届かなかったものだがそこからは32%も増加している。

低食料自給率の日本では喫緊の課題としてたびたびフードロスが取り上げられているが、冷凍食品は消費期限の長さ含め企業側も製造コストなどメリットは多くこうした点でまだ伸びしろが予測されている。近年の冷凍技術の飛躍的な向上とも相俟って食品ロスを防ぐ魅力的な商品の拡大に今後も期待したいもの。


最高益更新後の収益モデル

周知のように三井住友FG参加の三井住友カードの「Olive」とソフトバンク系のスマホ決済「PayPay」とが連携しデジタル金融サービスで手を組むことが先週に報じられている。現在のOlive利用者は500万人以上、そしてコード決済でナンバーワンのPayPayの利用者は約6900万人ということだが、ポイント経済圏の覇権争いが激しさを増すなかこの連携で日本最大級のポイント連合が誕生することとなる。

さてメガバンク勢のこうした動きでは他にも今月は既にウェルスナビを完全子会社化している三菱UFJFGがインターネット専業の新しい銀行を来年中に設立する方針も報じられているほか、昨年末にはみずほFGが巨大なポイント経済圏を構築している楽天グループとリテールビジネスを再構築する旨も報じられており、若年層を含めた多くの個人顧客を囲い込むうえで各社共にこれら連携が加速している感がある。

ところでこれら3メガバンクといえば先週には決算も出揃っているが、金利のある世界の復活を追い風として冒頭の三井住友FGはグループとしては初めて最終利益が1兆円を超え、上記の三菱UFJFGは前年比で25%増、またみずほFGも前年比30.4%増とこの3社合計では4兆円に肉薄する規模となりいずれも過去最高を更新してきている。

改めて金利の重要性が再確認されるというものだが、この要の金利引き上げも米の関税政策などによる景気の不透明化で後ろにずれることも予想される。金利に頼らない収益源を視野に入れることを考えるに、今回のような提携は収益モデル転換の選択肢の一つとして挙がろうか。そういった意味で今後ほかの金融機関や決済サービス等でも顧客を囲い込むために新たな提携を模索する動きが活発化してくる可能性もあり注目か。


オルタナティブ資産のオルタナティブ

今月は代表的な暗号資産であるビットコインがニューハンプシャー州やアリゾナ州などが挙って同通貨への投資や準備金使用の州法を成立させた事などを背景に2月上旬以来、約3か月ぶりに10万ドル台を回復してきている。このビットコインといえば今週の日経紙夕刊では「資産価値への好影響に期待」と題し、ビットコインを保有し株価や企業価値を上げようとする上場企業が日本でも次々と登場している旨の記事があった。

ここで挙げられていた上場企業はネクソンやenish、等のゲーム会社はじめ電力小売りのリミックスポイント等であったが、メタプラネットなど五反田でビジネスホテル(先々はビットコインホテルに生まれ変わるとか・・)を運営している企業とは思えないほどのビットコインホルダーである。株価も分割前の一昨年だったか、わずかに10円台という低迷時期からビットコイン高騰を囃しミーム株の如く数十倍に急騰した経緯がある。

斯様にビットコインの大量保有が事業戦略の一環となっている企業の代表格は言わずもがな米ナスダック100指数にも採用されているマイクロストラテジー社で、今年もCB発行による資金調達で買い増しを図り現在では約477億ドルのビットコインを保有している。暗号資産関連では他に暗号資産取引所のコインベースもナスダックに上場しているが、もう一つ、日本の交換業者としては初めてマネックスグループ傘下のコインチェックの持ち株会社も昨年末にナスダック市場に上場を果たしている。

これらの株価はビットコインとの連動性の高さから投資家の多くに代替投資先にもされているが、ビットコインETFも解禁され投資の選択肢も多彩な米に比べこの辺の解禁が遅々として進まぬ日本こそ代替投資先としてこれら関連企業が魅力に映る投資家も少なくないか。ともあれこれらの行方は今後のビットコイン価格に懸かって来るだろうが、政治的な不確実性が高まっているなかで枝葉の拡大は不可逆的なものともいえるか。


地銀業界も再編加速?

本日は金融庁が地方銀行等の地域金融機関に公的資金を注入する制度の大幅な期間延長を検討していることが報じられている。現行制度は来年の3月末に申請期限を迎えるわけだが、これまで5年程度の延長期限を繰り返してきたが今回は米の関税強化や人口減による経済減速懸念を背景にして延長幅が10年を超える可能性も指摘されている。

そんな地銀を取り巻く環境だが、地銀といえば今年はこの業界も再編に拍車がかかってきた。年明けの1月は青森銀行とみちのく銀行が合併して青森みちのく銀行に、また同じく1月に愛知銀行と中京銀行が合併してあいち銀行に、3月には千葉銀行が千葉興業銀行の株式を取得、再来年には荘内銀行と北都銀行が合併してフィデア銀行となる予定のほか、この年の4月には群馬銀行と第四北越FGも経営統合を目指す事で合意している。

これら以外でも包括業務提携や連携協定を結んだり、大手証券と金融商品の仲介業務などで包括業務提携を結んだりする地銀も少なくない。こういった背景にはこれまでのマイナス金利の世界では経費率など如何にコストを削減するかが焦点だったが、金利のある世界に突入し預金の重要さが復活するために規模の拡大など再度攻めの時代に突入したことがあるか。こちらもまた不可逆的な流れで次は何処の地銀が動くのか今後も注視しておく必要があるか。


異形のポイズンピル

昨日は親子上場解消を巡ってその対象銘柄がTOB価格にサヤ寄せする動きで盛り上がっている旨を書いたが、TOBといえばもう一つ昨年から「牧野フライス」に対し“同意なき買収”で両者が火花を散らしてきたニデックが、牧野フライス側による買収対抗策が壁となり高裁への即時抗告やTOB期間延長もしないまま早々に先日この同意なきTOBを撤回している。

そういったことで先週は株価の方も明暗がハッキリと分かれ、NTTデータや三菱食品がストップ高まじえて急騰するのとは対照的に日を同じくして牧野フライスの方は買収プレミアムが一気に剥げた形となり前日比で2000円以上も暴落する憂き目に遭った。終わってみればこの“同意なき買収”は牧野フライスのホルダーに恰好の売場を提供しただけという顛末となり、同意なき買収の成功体験を持つニデックにしてみれば想定外の結果だったに違いない。

ところでこの買収劇、投資ファンド含むホワイトナイトが出現するとも一時報じられていたが、今後は牧野フライス側の身の振り方?にも関心が向かうこととなるか。今回の顛末を踏まえてファンド側の行動に変化が出てくるのかどうかその辺も気になるが、先の暴落でPBRは再度の1倍割れ、仮に単独路線を取ることになるにしろより資本市場との向き合い方が重要になってきている昨今、経営陣も株主に対して緊張感を持った企業価値向上の責務が問われる。


解消加速

今月に入ってすぐ当欄では親子上場解消に絡んで「豊田織機」の非公開化報道、並びに株価動向に触れていたが、先週の株式市場で目立っていたのは「NTTデータグループ」株と「三菱食品」株のストップ高含めた急騰劇か。共に親会社による両社の完全子会社化の報道を受けてものだったが、今月は上記の豊田織機に続き矢継ぎ早に親子上場解消を伴った再編劇が具現化しこれら加速してきた感がある。

正式社名の「日本電信電話」から民営化以来40年ぶりに「NTT」へと社名を変更した親会社のNTTだが、同社は既にNTTドコモを国内企業として最大規模といわれたTOBで完全子会社化しており、今回のNTTデータの完全子会社化は一連のNTT再編の流れの最終章ともいえるか。また三菱商事も業界では三井物産が先に食品卸など5社を統合しているが、それに続く再編劇となる。

二番煎なのか豊田織機の時にも反応した銘柄群でも、住友電気工業の上場子会社である「住友電設」など好決算なども手伝いNTTドコモや三菱食品と時を同じくして先週は急騰を演じ上場来高値を更新してきている。今年は解消絡みでは1月の「富士通ゼネラル」に2月の「イオンモール」、先月上場廃止となった「山陽特殊製鋼」等の例もあるだけに、上記以外の他の思惑含みの銘柄等も水面下で次の宝探しの動きが活発化してきており今後も“解消モノ”はテーマとして目の離せないものとなってくるか。


歪と伸びしろ

今週アタマの日経紙総合・経済面では「ふるさと納税額最高」と題し、2024年度のふるさと納税の寄付額見込み額が23年度から1割増加の7690億円と19年度の2倍強に膨らみ過去最高を更新する見通しとの記事があった。このふるさと納税といえば今や利用者が1000万人を超え、住民税を払っている向きの6人に1人が利用し今やその市場は1兆円を超える巨大マーケットになっている。

そうしたことも背景に昨年はアマゾンなどガリバー級が参入し、大手コンビニでも昨年にローソンが先陣を切って業界としては初めて参入したが、今年はファミリーマートがそれに続いている。これの場合、他の仲介サイトとの大きな違いは寄付金が1000円等少額から可能で、返礼品コスト3割といわれるなかでも自社のPB提供等で更にコストを抑えられるメリットがあり、ファミペイ決済含めほぼワンストップで完結出来る構図というところか。

上記のアマゾンや楽天も自身で返礼品事業はやっておらずまさにコンビニならではの強味が生かせるわけだが、あとは他との競争力という部分がどうなるかだ。さて、返礼品といえばそうした一方で今年もまた返礼品(シャインマスカット)の産地偽装が発覚している。これまでも黒毛和牛や鶏肉に雲丹など彼方此方の自治体で偽装が発覚しているが、相次ぐ産地偽装は拡大化の裏でふるさと納税の抱える歪が表出したものか。

またふるさと納税を巡っては今年の秋から仲介サイトの利用者へのポイント付与が禁止される予定だが、これが及ぼす影響は自治体含め如何ほどのものだろうか?市場の増大化が続くなかで総務省の規制にも拍車がかかってきているが、差別化の芽が摘まれゆく中で各社共に今後他とどのように差別化を図ってゆくのか?今後の業界勢力図を見てゆく上でその辺には引き続き注目しておこう。


高粘着性の圧力

GWも終わり今日からまた通常モードだが、今月もまた値上げの波が続く。恒例の帝国データバンクによる主な食品メーカーにおける飲食料品の値上げ動向だが、今月は478品目となり単月の値上げ品目数では1月以降5か月連続で前年同月を上回り、この5ヵ月連続前年超えは記録的な値上げラッシュとなった2023年の6月以来、約2年ぶりの事となる。

分野別では調味料の192品目がトップ。足元では「カレーライス指数」が11か月連続で高値更新してきているが、ハウス食品はカレールウやレトルト製品を今月に8~15%値上げする。これまで同指数の上昇要因は具材やライスに因るもので、ルーの変動は無かったが今後はこの辺も上昇要因となってくるか。次いで加工食品の137品目が続き、コーヒー豆の高騰からUCCもコーヒー飲料など41品目を15~30%値上げするが、今年は早くもこれで2度目である。

2025年における飲食料品値上げの勢いは前年に比べ強い状態が続いているが、値上げ要因をここ数年で比較して見るに物流費と人件費の伸びがやはり目立つところで、これらが上がった分が価格に転嫁されるという動きが今年は特に強まっている。インフレに合せて賃金が上昇している向きはまだよいが、そうでない向きは今後もなかなか厳しい状況を強いられるわけでその辺を睨み価格競争力を維持すべく大手小売り各社の戦略も注目される。


東証改革のカタリスト

さて、今週の株式市場でひと際目立っていたのは週明けから値を飛ばしていた豊田織機か。週明けのストップ高を交え連日急騰を演じたが、周知のように同社は非公開化の検討に入ったとの報道がありプレミアムを乗せたそのTOB価格へサヤ寄せした格好か。同社はトヨタグループの本家ともいえるが、一昨年だったかアイシンが政策保有株ゼロを目指す旨を打ち出したあたりから潮流の変化が見られそれに続く動きが顕著になってきた。

トヨタグループはその複雑な株式持ち合いと親子関係で知られてきたが、週明けは同グループでは愛知製鋼も急反発し年初来高値を更新、また親子上場解消思惑が他銘柄にも波及し住友電気工業の上場子会社の住友電設株が続急伸し年初来高値を更新、他にも関西電力の持ち分法適用会社のきんでんも急反発し一気に年初来高値を更新してきているなど思惑が絡むところが反応し軒並み値を飛ばしている。

何といってもTOBは豊田織機にみられる通りそのプレミアムを乗せた旨味が大きいだけに、その辺に着目したトレードや金融商品等も近年は見られるようになってきた。2023年には「政策保有解消推進ETF」なるアクティブETFが登場し、2024年にはファイブスター投信投資顧問も親子上場の解消でTOBされる可能性のあるものを狙った「資本効率向上ファンド・TOBハンター」の運用を2月からスタートさせている。

そういった背景の一つにはやはり東証の存在が大きく、親子上場の在り方への関心が高まる一方で現状の取り組みや開示内容を巡って投資家目線とのギャップが生じているとの指摘があるのを鑑み「親子上場等に関する投資家の目線」を今年2月に取りまとめている。斯様に年々その要請も踏み込んだものになってきているが、それら一連の改革は日本企業の特異な商習慣?というかその構造を近年大きく揺るがしてきているのは間違いなく、今後もカタリストとして投資家の関心を惹きつけようか。


何故いま福岡うどん?

さて所用で錦糸町へ向かう際に両国を通ったのだが、東京1号店としてオープンした福岡の「資さんうどん」の階段には夕食ピークの時間はとうに過ぎてはいたものの行列が出来ていた。2月のオープンからはや2か月経過してなおその人気はとどまるところを知らずといったところだが、福岡のうどんといえば先週はその福岡で創業74年の老舗「因幡うどん」も福岡県外初となる店舗を原宿にオープンしている。

彼らが提供している甘めの出汁に柔らかめのうどんの“ごぼ天うどん”は福岡のソウルフードというが、個人的には仕事で何度か福岡に行ったもののラーメンに走ってしまい残念ながらその味はいまだ知らない。それは兎も角、そういえば今月はもう一つ、実業家の堀江貴文氏が創業にかかわった会社もやはり福岡のうどんチェーン「うちだ屋」を買収するなど今月は福岡のうどんが話題だ。

冒頭の「資さんうどん」はすかいらーくHDの傘下、そして上記の「因幡うどん」の方は力の源HDの傘下となっているが、ここは博多ラーメンの「一風堂」も擁している。共に東証プライム市場の上場企業だが、こういったところは食材仕入れのスケールメリットやこれまでに培ったチェーン展開のノウハウなどでシナジー効果が発揮出来る強味もあり、先々は海外展開も視野に入れているのだろうか。

しかしながら既にトリドールHDの「丸亀製麵」や、吉野家HDの「はなまるうどん」が幅広く東京に進出しているなか、何故今まで進出してこなかったのだろうとも思ってしまう。近年のインバウンドの動向などを見てのものなのか否か、嗅覚の鋭いホリエモンまで手を出すあたり何らかの勝算があるのだろうが、いずれにせよその地方に行かない限り食べられなかったメニューが何処でも食べられるようになるのは我々にとっても朗報といえるか。


値嵩株も射程圏

本日の日経紙一面では「株最低投資額10万円に」と題し、東京証券取引所が若年層も少額から日本株を購入できる環境を整え、国民資産の「貯蓄から投資へ」のシフトを後押しするべく、株式投資に必要な最低投資金額を取引環境整備についての議論で個人投資家が求める水準としての10万円程度に引き下げるよう全上場企業に要請する旨の記事があった。

現行で東証が望ましいとしている最低投資金額は50万円未満だが、2022年にこの単位引き下げを要請して以降各社共に分割の動きが年々急増し昨年は211社にのぼり、当初要請から既に400社以上が株式分割を決議するなどの動きがあった。とはいえ同紙にも出ていたがユニクロを展開するファーストリテイリングなど一昨年だったか1株→3株に分割こそしたものの、それでも最低単元購入には本日段階で460万以上が必要となる。

同社を含め値嵩モノでは他にも筆頭格のキーエンスやディスコなども最低単元で新NISAの年間枠を軽く超えてしまうのが現状で、最低単元買い付け金額が冒頭の10万円を超えてしまう企業は東証全上場企業では6割、成長投資枠で物色し易いプライム市場では8割がこれを上回る。そうなると制度面ではNISA年間投資枠の引き上げか売買単位の変更もしくは分割による最低投資金額の引き下げが俎上に上る。

このうち現状では単元株制度そのものには手を付ける方向になく、冒頭の若年層が少額から日本株を購入できる環境という面を踏まえれば年間投資枠引き上げではなく最低投資金額引き下げが残るという事か。これが叶えば一気にこれまでの5分の1になる計算だが、上記のファーストリテイリングを例に取れば更に46分割以上が必要になる計算で、一昨年のNTTの25分割を超える事例が幾つも出てくることになるか。

東証の要請は解るものの各社が大幅分割に二の足を踏んでいる一つには小口株主の急増による株主総会関連資料その他諸々の事務コストに絡む問題もあるが、この辺は以前から株主総会に絡んで言われている課題であるところのデジタル化など含め再考の余地がある。これまで株式市場では日本の特異性が際立つ部分が多かったものの、東証の本腰を入れた改革で一つ一つが国際標準に近づいてきているだけに今後の要請にも引き続き注目しておきたい。


コンクラーベ

周知のように週明けにローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が亡くなったとローマ教皇庁が発表している。教皇の在任中は貧富の格差解消から気候変動対応まで呼びかけるなど地球規模の課題解決に向けて積極的な発信を行っていた。日本にも2019年にローマ教皇としては38年ぶりに来日し被爆地の広島や長崎でスピーチし核兵器の廃絶を強く訴えていたが、復活祭のミサの翌日に天に召されたあたりまるで選ばれたかにも思えるものだ。

ところでここからは服喪期間を経て教皇が空位になってから15日後以降に、多くの観光客も訪れるシスティーナ礼拝堂の密室で次の教皇を決める「コンクラーベ」が開かれることになる。世界中に居る枢機卿の中で投票権を持つ者が参加し、投票者は外部との通信が遮断され電話なども持ち込みが禁止されるが、裏側ではいろいろと根回しや権謀術数まであるとまことしやかに囁かれている。

コンクラーベといえば奇しくもその裏側を描いた映画「教皇選挙」が先月にはアカデミー賞の脚色賞を受賞し話題となっているが、ほかに映画という絡みでは記憶にあるのは一寸前になるが2009年の「天使と悪魔」か。ここではコンクラーベのプロセスなどかなり丁寧にわかり易いタッチで描かれており、前作の「ダ・ヴィンチ・コード」と共になかなか楽しめたが、いずれにせよこの礼拝堂から決定の知らせとなる白い煙が上がるのはいつか見守りたい。