利食い下手?

本日の日経紙一面にはドルが急落した今年3月に、日・米・欧の通貨当局がドル買いの協調介入を柱とするドル防衛策で秘密合意していたことが明らかになった旨が出ていた。

果たしてというかよくあるこの手の合意だがこの日・米・欧体制としては2000年からおよそ8年に亘って協調介入を実施していなく、日本単独の為替介入ではイラク問題がトリガーとなりドル売り盛んだった2004年3月16日の円売りドル買いを最後にストップしている。

米も苦渋の介入主導とコメントされていたが、ところで日本といえば当時からの長期ホルダーでそれこそ翌年の円安時における利食い?水準でもなお放置し続け、大量の外貨保有になっている様子は当欄でも度々述べた通り。

一頃「キャリートレード」が彼方此方で謂われたのが頭に浮ぶが介入とて所詮借金、また昨今税収不足が謳われて我々の負担が益々当てにされている折に、それこそ金利も含めてこういった値洗放置も如何なものかまだ一考の余地はあるのではないかとも思う。


誤解の与え方様々

新興不動産業界の窮地は既に何度も触れて来た通りだが、東証一部から昨日は直近のアーバンコーポに続いて創建ホームズが破綻しその姿を消す事になった。

酷い中でもアーバンコーポのように負債総額が今年最大というわけでもなく、非上場のそこそこの規模のモノの破綻はアーバンコーポ以降4社ほどあったが、今回の酷さは実に昨日の破綻発表まで6日連続のストップ高で株価も1週間で約2倍に化けていた点か。

普通に考えれば今の時期とても近寄れるモノではないものの、他に比べて突出したこの派手な暴騰劇で昨日もストップ高6日目にして引け後3,500株以上の買い残しではつい煽られた向きも多いと察するが、両面で取って昨日も笑いながら売った怪しい輩の顔が浮かんでくる。

しかし昨今融資元の関係筋まで騙される等こうも混沌としてくると益々リスキーな市場、今の世の中インサイダー疑惑云々と煩く迂闊な事も言えないが個人においてもこの手は火中の栗と其れなりに心して取引に臨むべきだろう。


ホスピタリティー

本日の日経社会面にはANAプレミアムクラスの宣伝広告が不当表示であったとして、公取委から排除命令が出されていたとの件があったが、ANAといえば先週は国際線のサーチャージを10月発券分から値上げすると発表し、これに続いてJALも同様に10月値上げと追随発表している。

このサーチャージを巡っても今回の件ではないが説明不足等々から消費者とのトラブルが俄かに騒がれた時期があったが、確かに一般論として解り易い仕組みにはなっていないのは事実か。

そうして点で優秀だなと思うのはやはりというかあのシンガポール航空、同社はこういった部分のディスクロもしっかりしているし高級路線な上にサーチャージも日系に比べて総じて安いとくれば人気ランキングを更に後押しするのも頷ける。

しかも日系より売上高は少ないながら営業利益率は遥かに高い事からこうした部分も日系にとっては研究対象になっているようだが、税金や労組やらの問題も絡みそう簡単ではあるまい。

先の航空会社はまた小泉首相が贔屓の赤坂有名割烹と共同企画でファーストクラスの機内食を提供とかだが、ラウンジしかりファーストクラスしかりでどうしても一歩及ばずという感があるのはさながら昨今のホテル戦争にも似た物がある。


無くて普通

本日の株式は自律反発?なのか大幅高となったものの、それでも週末に続いて出来高・売買代金共に連日で今年の最低水準を記録となんとも冴えない。

なんとかこの体たらくに歯止めをかけたいところという事で、首相も内閣改造で就任したばかりの金融担当相に「貯蓄から投資への流れを作る為、税制含め検討して欲しい」と指示、これに週末の日経紙一面にも出ていたが金融庁は月内に纏める09年度の税制改革要望で、高齢者の500万以下の株式譲渡益、100万円以下の配当金を非課税にする優遇措置を求める事が明らかになっている。

しかしどうだろう?自民党幹事長の例の300万円案とてまあ大手どころの通常相場で1〜2%くらいの範囲と見積もってもせいぜい数千円程度の減税、先のガソリンではないが寧ろそれ以下である。

そもそも企業の配当はマトモなところならしっかり法人税を納めて出しているので、これを更に二重取りしている税金を止めにしますよという事を以ってして優遇を謳われてもよく考えればお笑いである。


さまざまな対決

いつもながら終りが近づかないとどうも後回しになってしまう美術館関係であるが、個人的に好きな伊藤若冲の作品も出品されているという事で過日東京国立博物館にて開催されていた「対決―巨匠たちの日本美術」を観てきた。

しかし、対決といっても何れも日本美術史上に輝く巨匠達、各々の色があるので並べて対決といってもその構成には始めピンと来なかったが、なるほど「静と動」、「現実と空想」、「色と線」等々感性に沿うという部分では個人的にハッキリと軍配が分かれ、なるほどとも思ったりした。

さて勿論のこと伊藤若冲作は見事であったのだが、面白かったのは俵屋宗達作の「蔦の細道図屏風」で屏風の左右を入れ替えても絵が繋がるように構図が計算されているが、これはその約100年くらい前のレオナルド・ダ・ヴィンチ作の「モナ・リザ」が先ず連想されるし、逆に例えば1880年代あたりの中期のエミール・ガレ作に見られたような歌を作品に配する物はその約200年くらい前の本阿弥光悦作の「舟橋蒔絵硯箱」などで既に確認出来る。

何れが意識したか当然定かではないが年代や国を問わず芸術分野でこうした物は多く今回も新たな発見であったが、同じ対決でも斯様な事例の構成でさせるのもまた面白いかなとも思う。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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