30ページ目   商品先物

原油彼是

さて、今週は原油が米国指標のWTIもアジア指標のドバイも揃って一カ月ぶりの高値にまで戻してきたが、この原油に関しては先週末の日経紙商品面にも「原油市場、膨らむ売買」と題して、価格が急落する中、ファンド等の投資家が大幅な価格変動を収益確保の好機ととらえその国際市場の取引規模が2014年11月末に比べて約2割増えている旨が載っていた。

上記のようにヘッジファンドなどの大口投資家が売買を膨らませているものの、個人投資家も物色が旺盛になってきており、日本でも東商取では先物が1ヶ月ぶりの高値を付けその売買高に至っては約10年3ヶ月ぶりの2万枚台まで回復してきている。

また原油に連動する主力の金融商品系ではETFやETNがあるが、今週の全市場値上がりランキングを見ていてもやはりNEXT日経・TOCOM原油ダブル・ブルETN、WTI原油価格連動型上場投信、NEXT・NOMURA原油インデックス上場など普段は目にしないような銘柄が顔を出していた。

こちらもTOCOM同様に商いが急増しており上記の野村原油インデックスは昨年秋口には出来高数千株の日も少なくなかったものが年明けは300万株を超える日も出て、同じ野村でもETNの方は同100株台の日も少なくなかったものが、年明けは40万株を超える日も出て、同ETNのベアに至っては5株にも満たなかったものが年明けの年初来高値を取った日には10,000株を超える商いを作っている。

先月末の日経紙には「値動き2倍ETF活況」と出ていたが、株式のみならずこの手のコモディティーものも斯様にレバレッジ系に人気が集まる構図か。原資産の乱高下が収まった後もある程度リクイディティが確保できていれば玉も解れるのだろうが、一気に萎む構図が続くうちはこの辺がやはり課題になってくるか。


恒常化?

先週末の日経紙商品面には「WTI、ブレントに接近」と題して、原油安が続くなか今月中旬には国際指標の北海ブレントと米国指標のWTIがほぼ同水準となる場面があるなど両者の価格が迫っている旨が書いてあった。

需要や生産面を背景としたファンダメンタルズに加え先物での裁定などもこの辺を後押しして約1年半前の逆転劇も視野に入るとされているが、コモディティーでは最近貴金属の世界でも金と白金の逆転現象が今月中旬以降ニューヨーク先物市場で起きている。

上記の北海ブレントも経済低迷する欧州という背景があるが、プラチナも触媒用途のディーゼル車が主流になるこれまた欧州景気の先行き不透明という素地に加え、やはり中旬のスイス中央銀行による対ユーロで設定していたスイスフランの上限撤廃発表によってユーロ安が一気に進むなど外為市場の不安定さから安全資産とされている金も買われたのが背景になっている。

原油の頁でも末尾にはWTIが長期にわたりブレントを上回るかは不透明だとしているが、これらが今後長期化するか否かが注目されるところ。株式の世界でも同業などの株価逆転が起こった当時は初のパターン等と珍しがられたものも、その後それが恒常化し格差が更に広がるケースも近年多く安易なアノマリーは通用しにくくなってきているのかもしれない。


闇マーケット

先月末あたりから原油価格の下落やドル相場上昇の影響で金や銅などの下落が顕著になっていたが昨日の日経紙商品面でも「金や銅、一段と値下がり」と題して原油安やドル高でこれらが値下がりし、特にLMEの銅地金価格は1日に1トン6,230ドルまで下げて約4年半ぶりの安値を更新した旨が出ていた。

直近でこそドル高で国際相場は斯様に下落顕著と喧伝されてはいるものの、一方では先の急激な円安時にはこんな非鉄金属など大手非鉄各社は先月には建値を約10ヶ月ぶりの高値に引き上げるなどしていた経緯があり、最高純度の銅は先月中旬には3年7ヶ月ぶりの高値を記録したという。

そうなると思いもよらぬ犯罪の類も増えてくるというもので、これに絡んでは秋口以降にエアコンの室外機が盗まれる被害が急増しているという報もあった。室外機の銅は最高純度の9割の値がつく事もあるといい、非正規の業者主体でマーケットが構築されているらしいが先の赤サンゴも然り、いやはや泥臭くも何所にでも目敏い輩が居るものである。


金低迷の裏で

本日の日経紙商品面には「金、4年3ヶ月ぶり安値」と題し、昨日も書いた先週末の日銀追加金融緩和によるドル高進行でドルの代替資産と位置付けられる金市場から資金を引き揚げる動きに拍車がかかり、金の国際相場が一段と下落し4年3ヶ月ぶりの安値になった旨が載っていた。

ところでこの金といえば上海では外国人投資家に市場を解放し、また最近金を活用した金融サービスが熱を帯びているシンガポールでは先月13日に現物の受け渡しを伴う金先物取引を創設するなどアジア各所で取引所が相次いで開設された旨の記事も先月の同紙で見掛けた。

斯様な動きのあるアジアではあるが、上記のような相場低迷期という事もあってこれまでのところは東京商品取引所にはまだ脅威にはなっていないという。ただこれらは政府の肝煎りのプロジェクトといい、この背景にはアジア価格指標を巡る意図も見え隠れするだけに本邦も新たな一手が求められようか。


一寸注目

さて昨晩のニューヨーク原油は3日ぶりに反発となったものの、週明けにはザラバで80ドル割れまで下落し、2012年6月以来およそ2年4ヶ月ぶりの安値を付けた。北米を除くOPEC(石油輸出国機構)非加盟国の生産増加が見込まれるという事で、ゴールドマン・サックスが予想価格を引き下げたのが材料にされたようだ。

同社では、2015年第1・四半期の原油価格予想をWTIで1バレル90ドルから75ドルに15ドルの引き下げ、また北海ブレント先物を1バレル100ドルから85ドルにそれぞれ引き下げたが、これまで教科書的には定石だった中東有事の際の価格上昇に変化がみられる。背景には過激組織の収入源である原油価格を下げたい米国の意図との一部見解もあるが、こんな状況下でワラント取引等も活気づいてきた。

この辺は今月の日経紙商品面や金融アイテムレビュー等でも取り上げられているのを見かけたが、原資産の実際の変動よりはるかにこちらのボラの方が大きく、オプションながら満期も長いことであまりタイムディケイを気にしなくてもよい上になんといっても少額で始められるのがポイントか。

ニュアンス的にはバイナリーや昨日書いたレバレッジ系のETFに近い感覚だが、リクイデイティの面から原油以外にも金も原資産としては注目されており、単品はもとより最近のプナチナスプレッドに注目したプットとコールの組み合わせ等いろいろとバリエーションもきくことでこちらも今後の注目商品になってこようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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