M&Aの矛先
本日の日経紙マーケット面には「市場同意得た予告TOB」と題しTOBを予告する手法がここ数年で増加しつつあるなか、東証スタンダード市場に上場している工作機械のTAKISAWAに対して同社と合意しないまま市場の同意を得るという新たな戦法で買収提案をした東証プライム上場のニデックが取り上げられていた。
ニデックといえば旧日本電産時代から国内外で上場企業を含む60件以上の企業買収を成功させてきたM&A巧者では有名な企業であったが、2008年には東証スタンダード市場に上場している東洋電機製造へのTOBは同意が得られず断念した経緯がある。TAKISAWAも同様に資本業務提携を提案し昨年断られた経緯があるが、今回は同意を得られずともTOBを開始する意向だ。
ところでM&Aといえばこのケースのように日本企業同士のM&A、所謂イン・イン型が増加してきており、今年上半期の買収額は6兆8000億円と前年同期比で8割も増えている旨がちょうど1週間前の日経紙に出ていた。1兆円を超えるところでは日本産業パートナーズによる東芝、産業革新投資機構によるJSR、また名の知れたところでDHC、SBI新生銀行など数多。
総じて長引く円安によりイン・アウト型のハードルが上がってきている面もあるが、東証のPBR是正要求もこうした国内型増加に一役買っている部分もあるだろうか。冒頭のTAKISAWAは来月にも賛否の意見表明を行うとしているが、いずれにしても今回の件が試金石となり他の買収対象となり得る企業の経営戦略にも影響を及ぼす事になりそうだ。