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AI株席巻

本日の日経平均は小幅続伸ながら連日で史上最高値を更新している。高値更新もさることながら売買代金も活況で、本日の東証プライム市場のそれは10兆300億円と市場再編前の1部時代も含めて過去最大を記録している。この辺は言わずもがなAI関連の値嵩株の寄与が大きいと思うが、それにしても今週もマーケットはAI一色と言っても過言ではないほどの一極集中相場である。

この売買代金だが本日のトップは連日で年初来高値を更新しているアドバンテスト株で8488億円、昨日の同株は比例配分でストップ高のまま引けていたがこの株の急騰がほぼ昨日の日経平均への寄与となっている。思えば昨年に日経平均が34年ぶりにバブル期の高値を更新したのもエヌビディアに刺激された半導体関連勢が約4割も寄与した部分が大きく、この構図は以降今もなお続いているということになるか。

米国でも主要指数が史上最高値を絶賛更新中だが、上記のエヌビディアは昨日のNY市場で時価総額が遂に世界初の5兆ドル超となっている。大手テックの中で負け組とも揶揄されたアップルも今週はその時価総額が4兆ドルを突破しているが、エヌビディアがこの4兆ドルに到達したのがつい7月のことで、そこからわずか3か月で1兆ドルも増加していることになるわけだ。

こうしたテック系の狂乱?相場を目にするにどうしてもかつての2000年前後の“ITバブル相場”を思い出してしまうのだが、同セクターの高めといわれるバリエーションで見てもまだITバブル期のそれにはまだ及ばず利益の裏付けも付いてくるとすればこうした短絡的視点では見誤るということか。とはいうもののこのバリエーションに何処まで付き合うかその見極めはそれぞれ分かれようか。


ショートスクイーズ

昨日に初の5万円大台を達成した日経平均株価だが、本日は利確の売り等が優勢となり3営業日ぶりに反落となった。そんな中で依然として気を吐いていたのがSBG株で、本日も大幅続伸して上場来の高値を更新していた。SBGといえば本日の日経紙投資面にも「SBG株、空前の大商い」と題し、空売り等もテコに全員参加型の上げ相場となっている旨の記事があった。

同社株の売買代金も1銘柄として初の1兆円超を記録していたが、本日も売買代金ランキングは2位のフジクラの3倍以上を記録して堂々のトップ。そうした大商いの過程において相当量の空売りを誘い込んでいることもあって約2年ぶりに逆日歩も発生していたが、貸借倍率もまだ低位で再度の踏み上げ素地は残る。まだ東証が無法地帯?だった頃はこうした売り長株に仕手筋が目を付け仕掛けたケースも多かったが、規制の煩い現代にあって久し振りの光景だ。

空売りをテコに仕掛けるといえば米でも最近は2021年以来の“ミーム株”ブームが再燃している模様。21年はゲームストップやAMCがその象徴銘柄であったが、今月は代替肉のビヨンド・ミート株が約1週間で14倍以上にも化けている。ミーム株はリスクオンの先行指標ともいえるが、他に当欄でも先週に金(ゴールド)もミーム化と書いたように今回はその物色の幅も広がっておりこうした過度なリスクオンに警鐘を鳴らす向きも少なくない。


日経平均5万円大台達成

先週に日経平均株価は50000円の大台まで指呼の間に迫るもあと一歩のところで息切れしあと急落の憂き目を見ていたが、週明け本日の日経平均株価ははれて史上初の50000円大台に乗せてきた。思えば昨年の2月に約34年ぶりにバブル期に付けた最高値を更新し、その翌月には史上初の40000円大台乗せを達成したが、そこから約1年7か月で1万円上昇し次なる大台を達成したことになる。

大台突破の呼び水となったのは米中協議の進展とかだが、先週末の利下げ期待の米株高、ハト派寄りの高市内閣の高水準の支持率等々、金(ゴールド)よろしく複合的に好材料ばかりが期待先行で好感されている状況ともいえる。年始の日経紙恒例の「経営者が占う2025年」の予想で今年の日経平均の最高値の平均予想は44450円、万年強気の大手証券トップでも5万円を上げた向きは皆無だったがあっさりとこの水準を超えてきた。

こうなってくるとなかなか悩ましいのがバリエーションに対する視点か。過去のチャートを並べて現在値の水準を測る向きもあろうが、 “失われた30年”が何度となく引用されてきた日本株への捉え方そのものが外国人投資家をはじめ変貌していたらこの辺は何の意味も持たない。個別よろしくマーケット全体が“バリュー”から“グロース”に変わりつつある転換点が今なのかどうかこの辺も今後見極めておく必要があるか。


海外企業も“同意なき買収”成功

今年4月に当欄で一度触れた温度センサー最大手の芝浦電子が台湾の電子部品大手ヤゲオから“同意なき買収提案”を受けていた件だが、その後紆余曲折を経て一昨日には芝浦電子へのTOBが成立している。ホワイトナイトとして登場した国内大手企業が敗れた?のも衝撃だったが、これで海外の事業会社が日本国内のプライム上場企業に対して“同意なき買収”を成立させた初めてのケースとなる。

かれこれ2月から始まったこの争奪戦?、ホワイトナイトとして名乗りを上げたミネベアミツミと数度にわたる価格競争を繰り広げ長期に及んだ外為法の審査手続きをもクリアしての悲願のTOB成立となった。4月の当欄でこのTOB合戦を取り上げた時の芝浦電子株の終値は5550円だったが、結局最終的には株式応募は約87%にのぼり価格は1株あたり7130円、買収額は当初予定から1.6倍超にも膨らんだ計算だ。

前にも書いたが経産省は一昨年に企業が買収提案を受けた際に企業価値向上に繋がる真摯な提案を理由なく拒んではならない旨の「企業買収における行動指針」を策定しており、買収に関する潮目の変化から今回の買収劇はその辺を象徴しているともいえる。とはいえ今回の件ではミネベアミツミも一連の過程でヤゲオを上回る価格提示で対抗し戦いを挑んでいたものの、経済合理性で説明のつかない価格で競り負けた点を含め経済安全保障に絡む官民の役割の在り方など今後も課題となってこようか。


高市トレードの賞味期限

周知のように一昨日の総裁選において高市前経済安全保障相が自民党第29代総裁に選ばれた。15日にも召集する臨時国会で第104代首相に氏名される公算が大きいという事で、「アベノミクス」のような金融緩和や機動的な財政政策路線を継承するとされる「サナエノミクス」思惑から本日の日経平均は2175.26円高と大幅に3日続伸し過去最高値を更新、またドル円も8月上旬以来、約2か月ぶりに150円台の節目を付けることとなった。

個別銘柄では先月の石破首相が辞任表明した際の二番煎じと左程期待していなかったが、それでも改めて三菱重工やIHIが買われ揃って上場来高値を更新、逆にネガティブに働いたのが高市氏の前向きな原発再稼働の対であるレノバなどの再エネ関連で先週末の高値引けから一転して今日は急反落、失望売りといえば小泉関連として地盤を買われ前回ストップ高を付けたさいか屋が本日は一転してストップ安に、またライドシェア推進派だっただけに大和自動車も同じくストップ安と急落の憂き目に遭っていた。

こうした個別銘柄のストップ安続出を見るにある意味で小泉氏の敗北はサプライズな部分もあったというところだが、浮かれる株式市場の裏では財政悪化リスクを懸念し超長期債は海外勢を中心に売られ、新発30年物の利回りは過去最高水準に、20年物も約26年ぶりの高水準を付けている。こうしたことを背景に日銀の早期利上げ観測も後退、今後はこの日銀との関係性、またコンサバ色が強いといわれるなかで人事や連立の行方など課題は山積みなだけに暫くは目が離せそうにない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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