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日経平均5万円大台達成

先週に日経平均株価は50000円の大台まで指呼の間に迫るもあと一歩のところで息切れしあと急落の憂き目を見ていたが、週明け本日の日経平均株価ははれて史上初の50000円大台に乗せてきた。思えば昨年の2月に約34年ぶりにバブル期に付けた最高値を更新し、その翌月には史上初の40000円大台乗せを達成したが、そこから約1年7か月で1万円上昇し次なる大台を達成したことになる。

大台突破の呼び水となったのは米中協議の進展とかだが、先週末の利下げ期待の米株高、ハト派寄りの高市内閣の高水準の支持率等々、金(ゴールド)よろしく複合的に好材料ばかりが期待先行で好感されている状況ともいえる。年始の日経紙恒例の「経営者が占う2025年」の予想で今年の日経平均の最高値の平均予想は44450円、万年強気の大手証券トップでも5万円を上げた向きは皆無だったがあっさりとこの水準を超えてきた。

こうなってくるとなかなか悩ましいのがバリエーションに対する視点か。過去のチャートを並べて現在値の水準を測る向きもあろうが、 “失われた30年”が何度となく引用されてきた日本株への捉え方そのものが外国人投資家をはじめ変貌していたらこの辺は何の意味も持たない。個別よろしくマーケット全体が“バリュー”から“グロース”に変わりつつある転換点が今なのかどうかこの辺も今後見極めておく必要があるか。


海外企業も“同意なき買収”成功

今年4月に当欄で一度触れた温度センサー最大手の芝浦電子が台湾の電子部品大手ヤゲオから“同意なき買収提案”を受けていた件だが、その後紆余曲折を経て一昨日には芝浦電子へのTOBが成立している。ホワイトナイトとして登場した国内大手企業が敗れた?のも衝撃だったが、これで海外の事業会社が日本国内のプライム上場企業に対して“同意なき買収”を成立させた初めてのケースとなる。

かれこれ2月から始まったこの争奪戦?、ホワイトナイトとして名乗りを上げたミネベアミツミと数度にわたる価格競争を繰り広げ長期に及んだ外為法の審査手続きをもクリアしての悲願のTOB成立となった。4月の当欄でこのTOB合戦を取り上げた時の芝浦電子株の終値は5550円だったが、結局最終的には株式応募は約87%にのぼり価格は1株あたり7130円、買収額は当初予定から1.6倍超にも膨らんだ計算だ。

前にも書いたが経産省は一昨年に企業が買収提案を受けた際に企業価値向上に繋がる真摯な提案を理由なく拒んではならない旨の「企業買収における行動指針」を策定しており、買収に関する潮目の変化から今回の買収劇はその辺を象徴しているともいえる。とはいえ今回の件ではミネベアミツミも一連の過程でヤゲオを上回る価格提示で対抗し戦いを挑んでいたものの、経済合理性で説明のつかない価格で競り負けた点を含め経済安全保障に絡む官民の役割の在り方など今後も課題となってこようか。


高市トレードの賞味期限

周知のように一昨日の総裁選において高市前経済安全保障相が自民党第29代総裁に選ばれた。15日にも召集する臨時国会で第104代首相に氏名される公算が大きいという事で、「アベノミクス」のような金融緩和や機動的な財政政策路線を継承するとされる「サナエノミクス」思惑から本日の日経平均は2175.26円高と大幅に3日続伸し過去最高値を更新、またドル円も8月上旬以来、約2か月ぶりに150円台の節目を付けることとなった。

個別銘柄では先月の石破首相が辞任表明した際の二番煎じと左程期待していなかったが、それでも改めて三菱重工やIHIが買われ揃って上場来高値を更新、逆にネガティブに働いたのが高市氏の前向きな原発再稼働の対であるレノバなどの再エネ関連で先週末の高値引けから一転して今日は急反落、失望売りといえば小泉関連として地盤を買われ前回ストップ高を付けたさいか屋が本日は一転してストップ安に、またライドシェア推進派だっただけに大和自動車も同じくストップ安と急落の憂き目に遭っていた。

こうした個別銘柄のストップ安続出を見るにある意味で小泉氏の敗北はサプライズな部分もあったというところだが、浮かれる株式市場の裏では財政悪化リスクを懸念し超長期債は海外勢を中心に売られ、新発30年物の利回りは過去最高水準に、20年物も約26年ぶりの高水準を付けている。こうしたことを背景に日銀の早期利上げ観測も後退、今後はこの日銀との関係性、またコンサバ色が強いといわれるなかで人事や連立の行方など課題は山積みなだけに暫くは目が離せそうにない。


秋の分割ラッシュ

多くの企業が下期入りする10月だが、昨日1日を効力発生日として、家具のニトリ、ドンキ運営のパン・パシフィック・インターナショナルHDや先に米USスチールの買収劇で沸いた日本製鉄など実に67もの企業の「株式分割」が行われちょっとした“分割ラッシュ”の様相だ。この株式分割、ここまででも今年4月から先月9月までの株式分割件数は前年同期比で2割増の124件となり12年ぶりの高水準となっている。

上記のニトリなど分割実施は11年半ぶりと久し振りになるが、今回の分割ではつい2年前に4分割した建材商社の高島などは早くも2分割を再度実施し、ジャパンエレベーターサービスHDは上場後これで4度目の株式分割である。一方で同じ2年前に3分割を実施したユニクロを運営するファーストリテイリングは以降再分割の動きはみられず分割してなお最低購入代金は本日現在でも440万円を超えている。

東証が努力義務としてきた最低投資金額は50万円未満であったが、4月にはこれを個人投資家が求める水準として10万円程度に引き下げるよう全上場企業に要請している。今回の分割ラッシュでは発表日の終値ベースで最低投資金額が50万円未満だった比率は6割を超えていたというが、確かに新NISA投資枠など考慮するにまだまだ値嵩モノは買いたくても他銘柄が組めなくなってしまうのが現状か。

東証要請以外でも近年では持ち合い株の解消が加速しており、これに活発化しているアクティビストの存在も絡むだけに安定株主作りはどこも課題になっている。今回は銘柄数が多いだけに中には分割後の最低単元から株主優待がもらえるものあり、今が“旬”の値嵩テーマ株もハードルが下がりより選択肢が広がってきたが、上記の件もあり今後も企業は個人株主の取り込み含めより一層の舵取りが要求されるか。


新規上場彼是

本日は東証プライム市場にソニーFGが再上場を果たした。ソニーの完全子会社化で20年に上昇を廃止した同社だったが、今回「パーシャルスピンオフ」により分離・独立し公募や売り出しを伴わないダイレクトリスティング方式による再上場となる。注目の初値は流通参考価格150円に対し36.7%高となる205円で寄り、引けは173.8円で初日を終えることとなった。

さて新規上場といえばもう一つ、先週には同じくプライム市場に沖縄の「オリオンビール」が上場している。製造業としては沖縄県内初の上場となるが、その知名度もあり応募倍率は個人が約90倍、機関投資家も40倍と前人気も高かったこともありこちらの初値は公開価格の850円に対し約2.2倍の1863円となり、あと2262円まで上昇する場面も見られた。

先に開業したジャングリア沖縄へも出資している事などで同施設での商品提供、オフィシャルホテルも獲得しているが、オリオンといえば2019年に野村HDと米の投資ファンド、カーライル・グループが約570億円で創業家から買収したのが記憶に新しいところ。約6年を経てのイグジットとなったわけだが、これで10%超の株式を保有するアサヒビールが筆頭株主となる。

これまでは県内で製造・販売するビールを対象とする酒税軽減措置等があり、年平均成長率など見ても筆頭株主のアサヒの約5倍を叩き出していたがあと1年ほどでこれが終了することで今後はこの辺が課題になって来る。同社は株主優待品でオリオンTシャツも用意しているが、こうしたグッズ類のライセンスビジネスの伸びしろも今後のキーワードになってくるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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