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個人の存在感

連休明け本日の日経平均は急反発となっていたが、先週はAI・半導体関連株がキオクシア株筆頭に最高値から軒並み半値水準に崩落の憂き目に遭っており、特に“マル信”での買い持ちが蓄積している銘柄ほど追証逃れの叩き売りから下げも鋭角になっていた。ところでこうした向きはそれとして、今月に入って東証が発表した6月第4週の個人投資家の買い越し額が9503億円に膨らみ過去最大になった旨が明らかになっている。

斯様に昨今の株式市場では個人が存在感を高めてきており、東証が今月に入って発表した昨年の株主分布状況では個人株主が前年度比839万人増加し過去最多となった模様。特に自動車や商社ポストなどの株主が増えており、有価証券報告書によれば総合商社大手5社の個人・その他の株主数は“バフェット効果”がかすむこともなく前年同月末比8%増の約190万人とここ3年で4割も増加した模様だ。

この辺に関してはNISA(小額投資非課税制度)を活用する若年層の増加なども大きく影響していると思われるが、近年急増している株主分割も背景にあると思われ上記の商社など一昨年に三菱商事は株式を3分割、また三井物産の方は株式の2分割を実施しており、今年に入ってからは伊藤忠商事も株式を5分割し、直近では今月に住友商事が株式を4分割している。

ひところの“オルカン”投信一辺倒といわれた状況を思い出すに個人マネーの潮流の変化を感じるものだが、個人株主の急増に伴い株主提案のハードルも下がりその資質も問われてくることにもなる。この辺に絡んでは直近で政府・自民党が臨時総会の請求権と共に株主提案権の行使についても「個数要件」を拝する方向との報道も出てきており、引き続き取り纏めに注視しておきたい。


単一銘柄ETF急拡大

さて、先週はETFが分配金を手当てするための日本株売りが計1.7兆円規模であるとの需給イベントが警戒される場面もあったが、ETFといえば当欄でひと月ほど前に「レバレッジの油」と題し、スペースX上場に合せレバレッジ型ETFの上場申請がなされた件や、韓国でも単一銘柄のレバレッジ・インバース型ETFが解禁され投機熱が警鐘を鳴らす領域に入ってきた旨を書いていた。

この韓国と言えば株式市場全体に占める割合の70%をサムスン電子とSKハイニックスの2銘柄でけん引しているが、SKハイニックスは今月に入って米ナスダック市場に上場し公募価格比13%高で初日取引を終えている。これに合せ上記のスペースX同様に複数の資産運用会社が同社株のレバレッジ型やインバース型のETFを投入、これにより米国市場をより直接的に揺さぶり得るとの懸念も出ている。

この辺の背景として米のレバレッジ型ETF残高は今年は2000億ドルに迫る勢いで10年間で6倍に膨張しているが、JPモルガン・チェースによれば投資対象の8割がナスダック上場銘柄で半導体やテック関連で市場が1%動くと約80億ドルの売買需要が発生するという。過熱したETF商品では度々市場価格が基準価格と比較して異常乖離するなどの場面があったのは見てきた通り。

既に上記の韓国市場ではSKハイニックス株でこのパターンが起きているが、投資家に影響を及ぼす弊害も顕著になってくれば新たな規制論もまた出てこようか。今後どういった予期せぬ動きが出てくるか知る由もないが、こうした新商品の拡大は市場のリクイディティーに大きく貢献するのか、それ以上に波乱の種をもたらすのか今後も注視してゆきたい。


時価総額万華鏡

本日の日経紙では「三菱UFJ、時価総首位」と題し昨日の株式市場で三菱UFJ・FGの時価総額が、トヨタ自動車を抜いて初めてトップになった旨の記事が一面を飾っていた。株式時価総額といえばつい先月に当欄では「22年ぶり首位交代」として、時価総額トップを誇ってきたトヨタをソフトバンクGが上回り国内企業の時価総額トップに躍り出たことを書いていたが、その翌週にはキオクシアホールディングスがトップに躍り出ている。

そしてこの度の三菱UFJフィナンシャル・グループと、なかなかの勢いで首位が目まぐるしく入れ替わっている。現在この三菱UFJフィナンシャル・グループ、トヨタ自動車、ソフトバンクグループ、そしてキオクシアホールディングスは仲良く?1位から4位に入っているが、しばらくは今後もこの4銘柄は場味如何でこの順位がコロコロ変わりそうな気配もある。

ところで三菱UFJのような銀行株が時価総額で首位に躍り出るのはバブル喧しい1986年の旧住友銀行以来という。いわずもがな現在の三井住友ファイナンシャルグループだが、当時住銀と時価総額上位を競っていた興銀や一勧などこうした旧名を見るにバブル期の不良債権問題からの公的資金投入を経ての再編劇を思い出すと同時に、金融株が上位であったバブル期を彷彿させる再びの光景は金融ポストの転機を物語っているか。


増強続くアローヘッド

本日の日経紙金融経済面には「東証、注文処理能力を倍増」として、海外投資家などの流入による注文件数や売買代金の異次元とも呼ばれる急増や加えてシステムに必要なメモリーなど半導体の価格高騰による調達難を鑑み、現在1日あたり8億3千万件の処理能力を持つ注文処理システム「アローヘッド」の処理能力を約2倍の15億件に増給する旨の記事があった。

東証のシステムといえば2006年にライブドアの連日ストップ安の渦中に売買注文のキャパオーバーから東証一部二部まで及ぶ全銘柄の取引を強制的に停止する前代未聞の事態に陥ったのが記憶に新しい。そんな当時から比較するに今の処理能力でも飛躍的だが、先月は1日当たりの注文件数が月平均で2億3000万件とここ1年で約2倍にまで膨らみ、更に直近では3億件程度で推移している。

かつて場立ちが居た頃なら“笛吹き”になるような発行済み株式分が場中に回転してしまうようなケースが近年は頻発し、HFTの自動売買や大手ネット証券中心に売買手数料の無料化も進みこれに伴う注文件数も飛躍的に急増してきている。こうしたネット系もまたシステム増強などの対応を迫られようが、最近のサービスも一昔前では考えられなかったような“至れり尽くせり”の感もあり時代と共に個人のハードルも限りなく低くなったとつくづく。


株主総会2026

先週は日産の定時株主総会でメインバンク出身の社外取締役の再任が否決された旨を取り上げたが、今年も多くの企業の株主総会が先週にピークを迎えている。日産のような独立性に疑問符が付くモノ以外にも業績不振モノ、不祥事モノなどにもトップ選任の反対票が相次ぐなどここ近年の持ち合い株の減少を背景として企業統治改革を迫られるパターンが今年もより一層顕著になった感がある。

2年前の株主総会の時期に、「近年では選任議案で再任とはなったものの、その賛成比率が首の皮一枚といった取締役も多くなってきた」と書いていたが、昨年は太陽HDの社長再任案が否決される異例の事態となり、今年もこの手の“薄氷組”としては中部電力社長の56.30%、リコー社長の55.69%、KADOKAWA社長の59.68%など50%台が続々と相次いでいる。

アクティビスト勢の姿勢も傾向的には何度か書いたが従前の増配要求など短期的要求から、徹底したボトムアップリサーチで企業改革やガバナンスにより踏み込んだ中長期目線で成長戦略の具体化など経営力向上を意識した提案で賛同表を集める傾向になってきており、昨年は無かった定時株主総会開催日の後倒しを求める定款変更事項議案が20件近く出たのも目に留まる。

この辺は有報の開示時期が焦点になって来ようが、ともあれそういったことでこの6月の株主総会でアクティビストなどから株主提案を受けた企業は50社超と過去最多になっている。総会屋が蔓延っていた一昔前とは隔世の感を禁じ得ないが、今後も企業の成長を高めるための戦略やガバナンスの質の向上が経営陣に求められその対話もますます踏み込んだものになって来ようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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