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アンワインド合戦

本日も日経平均は前日に過去最大となる上昇幅を演じたダウ工業株30種平均を受け、昨日に続いて1,000円超えの急騰を演じて1994年1月以来、26年2か月ぶりの大きさで歴代5位の上昇幅を記録する大幅続伸となった。これで今週に入ってからわずか3営業日で約3,000円も上げたという事になる。

つい先週の日経夕刊投信番付では上昇率上位8本にはズラリと所謂「ベア型」が並び、1位の楽天日本株3.8倍ベアは2週間で104%の上昇となった旨が載っていたが、斯様なアンワインドが発生すると昨日今日の全市場値下がり率ランキング10傑にはズラリとVIXやVI、インバース系ETFのメンツが出揃っていた。

ちなみに昨日ストップ安まで叩かれる憂き目に遭っていたのは先週末に年初来高値を更新したばかりのVIX短期先物指数であったが、本日の値下がりトップは同じくストップ安まで叩かれた日経平均VI先物指数ETNでこれまた先週末には年初来高値を更新していた。このVI、昨日は8日ぶりに急低下したものの本日は日経平均の大幅続伸にもかかわらず上昇に転じ40ポイント台後半を維持しているあたり市場の根強い警戒感は否めないか。


NTも乱高下

本日の日経平均は大規模経済対策を巡る共和党と民主党の話し合いが難航している事が失望を誘い週明けの米株式は大幅続落となっていたものの、FRBが国債購入無制限実施を発表、SOX等も大きく上昇した事で高寄与度銘柄の物色が旺盛で4年半ぶりの上げ幅で大幅続伸し18000円大台を回復した。

特筆すべきは上記の通りその高寄与度個別で、長年にわたるETF買いの影響で浮動玉も吸い上がっているのかどうか筆頭格のファーストリテイリングが5,600円超の暴騰を演じ200円以上の寄与に、またソフトバンクGも昨日のストップ高に続いて本日も大幅続伸し130円以上の寄与とこの2銘柄で本日の上げ幅の約四分の一を担った事になる。

そんなワケで先週には12.77まで低下したNT倍率は本日も拡大となっているが、NTといえば先週後半は続落する225を他所にTOPIXは不気味な続伸を演じ、昨日は寄り前のダウ先物がサーキットブレイカー発動交えた急落を演じていたにも拘らず、異様な回復力で急反発となるなどこの辺は日銀の過去最大となったETF購入との絡みを指摘する声も多い。更なる買い入れ額倍増政策で従来の常識で捉えられない動きが今後も増えて来るのは想像に難くないか。


揺れ継続

先週末の欧米株式の続急落を受け懸念された週明け本日の日経平均は日銀総裁談話が報じられ、一回の買い入れ額としては過去最大の日銀によるETF買い入れ実施をした事から終わってみれば6営業日ぶりに反発となったが、その値幅も758円と2018年2月6日以来約2年1か月ぶりの大きさとボラタイルな展開となった。

日米欧の時価総額は前週末比較で1割減少したと先週末の日経紙一面では報じられているが、オプション市場も半信半疑なコールに比較し手掛け易い3月限プット17750など本日は寄り付き99円が夕刻には50円台に半減したのも束の間、これを書いている現在は185円の高値を付け約3倍に急騰するなど目まぐるしい展開を見せている。

街へ眼を遣ると外出自粛ムードも相俟って先月の百貨店売上高は前年同月比2桁減少が相次ぎ、首都圏ではホテル料金も軒並み2〜3割ディスカウントになってきている。また本日からの休校要請でテレワークと共に休校で自宅のパソコンやタブレットを活用した教育もテレワークと共に注目を集め出した。

ともあれ日銀総裁談話で取り敢えずの一服を見せた日経平均だが、各国による協調利下げが実施される運びになってもそれで企業業績の急回復が望めるワケでなく、ましてや新型コロナウイルスの感染拡大が止まるワケでもないわけで今後のディスクロで更に顕著化して来る経済への影響とタイムラグの先取りとが交錯する相場展開になろうか。


焦土作戦?

さて、新型コロナウイルスの世界的感染拡大の警戒感から本日も日経平均は大幅に4日続落となり銘柄によっては魅力的な利回りのモノも出てきたが、先週末の日経紙・真相深層では前田建設工業によるTOBの標的となった前田道路がこれに対する対抗策として従来の2020年3月期計画の6倍に相当する535億円の特別配当実施を決めた旨が出ていた。

要はTOB条件によく付帯されている買収対象の資産価値が大幅に変動するようなケース、つまり今回の場合は10%以上が減少する場合はTOBを撤回出来るという条項をTOBを断念させるべく実際に行ってしまおうというものだが、確かに豊富な現預金を吐き出した箱になお買収する合理性があるのかというところで何とも捨て身な作戦に出たものだ。

このTOBに関しては当欄で先月末に一度触れているが、前にも書いた通り同じ前田の名前が付くも元は他人同士で独立を保って成長してきた経緯があり、しかも時価総額で見れば前田建設工業よりも上位に位置しているだけに一言では語れないようなある種プライドのようなものがコアになっている感も。

豊富な手元資金を巡ってはまだ投資ファンドがハゲタカ等と揶揄されていた時代から多くの上場企業がこの点を指摘されターゲットにされてきた問題でもあったが、このご時世に余剰資金を成長投資に使う事なくTOB回避の増配に回さざるを得なくなった今回のケースは企業価値向上という部分でまだ新たな問題提議をしそうだが、さて、捨て身に出た前田道路の賭けが奏功しTOB撤回となるのか否か先ずは注目しておきたい。


パンデミック懸念

週明けのNY DOWは1,031.61ドル安とその下げ幅は2018年2月8日の1,033ドル安以来、過去3番目の大きさを演じ、連休明けの日経平均もこれを受けザラバで1,000円を超す急落を演じて引けは781円安と2019年10月21日以来、約4か月ぶりの安値水準で引けた。この連休中にイタリアや韓国で感染者数が急増した事でさすがにパンデミックが現実味を帯びてきた表れか。

マーケットの構図も先週はTA等のファンド勢の短期マネーを背景にNT倍率が約28年ぶりに14倍の大台に乗せる歴史的な水準を記録、TOPIX先物への執拗な外資売りにSARSの時の覚えで日経平均も悲観視されていなかったバレンタインデーの頃には既に金も40年ぶりの高値まで不気味な上昇となっていたのも今更ながら急落に備え粛々とヘッジが這わされていたという感もある。

パンデミックでオリンピックの東京開催が難しくなるシナリオが最悪のケースだが、一方では上記のSARSやMERSなど歴代のパンデミック懸念時にショック安した後の騰落率を見るに有事の買いは奏功し易く、セル・イン・メイの前の仕込みにこの2月を挙げる市場関係者は多い。果たして今回もこのアノマリーが適うのか否か、VIXやVIなども睨みながら引き続き注視しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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