ヒット商品2025

今年も残すところあと2か月というところだが、先週日経トレンディが発表したこの時期恒例の「今年のヒット商品」は昨年同誌がヒット予測として挙げていた「ジャングリア沖縄」が意外?に下の方の29位にランクイン、上のほうに目を移しベスト3を見てみると3位には「Nintendo Switch 2」、2位は「国宝」、そして1位に輝いたのが「大阪・関西万博withミャクミャク」となっていた。

1位の大阪・関西万博、当初はどこも不評であったがふたを開けてみれば2500万人が訪れ、ミャクミャクなどの関連グッズの売り上げも後押しして一転して230億円を超える黒字となり、その経済効果も軽く3兆円を超えるともいわれている。そして2位の「国宝」、歌舞伎界を舞台にしたこの興行収入は22年ぶりに100億円を超えて先月末段階で166億円を突破、実写日本映画歴代興行収入1位も見えてきている。

そして3位の「Nintendo Switch 2」、今年6月に発売されわずか4日間で世界累計販売台数350万台を突破し、9月末までに1000万台を突破、従来販売台数予想を1500万台から1900万台に引き上げた。そういったことで来年3月期純利益の見通しを当初予想から500億円引き上げた3500億円に修正しているが、同社の想定為替レートもドルもユーロも堅めなラインに置いているのでこの辺は期待が持てよう。

そして来年のヒット商品予測としては、“時短”や“苦労キャンセル”がキーワードらしく日本初の行列型スキップ型優先入店サービスの「SuiSui」や、1位に選ばれた「多言語リアルタイム翻訳」等が挙げられていたが、9位には暗号資産のステーブルコインがランクイン。米はステーブルコインの普及を目指すところの「GENIUS法」が成立、日本でも先月から日本初となる円建てステーブルコインが発行されているが、さてこれが来年のヒット商品にランクインしてくるのか否か興味深い。


値上げ一服の霜月

帝国データバンクが発表する毎月の飲食料品の値上げ状況だが、半年ぶりに飲食料品値上げのピークになった先月から今月の値上げは合計で143品目と一転して年内最小となる見通しとなっている。分野別ではチョコレート製品など含む菓子が最多となっていたが、先月まで10か月連続で前年を上回っていた品目数が今月は前年から58.4%減少し11か月ぶりに前年同月を下回ることとなった。

値上げ要因の方は原材料高が96.2%と最も多く、それに続くのが物流費の78.7%となっていたが、円安の影響が前年から低下した一方でこの物流費の方は増加している。この物流費だが、人件費とは違って政策による燃料価格の値下げなどによっては軽減の道が見えてくる。運送会社の経費で大きな割合を占めているのが燃料の軽油等だが、現政権は年内にガソリンの暫定税率を廃止、軽油に関しても来年の4月に廃止の方向となっている。

軽油高騰対策の補助金扱いがどうなるかにもよるが、この価格が下がるとなれば自ずと物流コストが抑えられてくることでひいては価格上昇圧力の緩和にもつながってくるか。とはいえこうした部分は期待できるものの、人件費など上がると下がり難い粘着質なものも同時進行しているだけにどの程度の肌感覚で落ち着きがみられるのかこの辺は未知数なだけに今後のもその辺の動向には注意しておきたい。   


続く円安と転落

さて先週にIMF(国際通貨基金)が発表した最新の推計によれば、日本の名目GDPは為替が円安傾向にありドル建てて目減りしている影響もあり来年は4兆4636億ドルと世界4位から5位に後退する模様だ。そういったことで26年はインドにも逆転される模様だが日本は一昨年にドイツに抜かれて以降、昨年のそれも4兆193億ドルと米国、中国、そしてこのドイツに次いで4位であった。

上記のインドだが自動車販売台数は22に日本を抜いており、人口もまた中国のそれを抜いていると推定されており中間層の急増が経済成長に寄与しているわけで高成長も頷けるというものだ。こうした猛迫してきた国と比較するに日本の成長率は見劣りし、何と言ってももはや金利差では説明がつかなくなってきている近年の円安でこうした成長率自体も吹き飛んでいる格好となっている。

日本のみがインフレ下にあってなお低金利状態にあるわけだが、日銀も政府も円安弊害の自覚があるのか無いのか直近の“高市トレード”で円安にも一段と弾みがついている。新興国に抜かれ経済的な存在感自体が小さくなる可能性が高いわけだが、この位置でインドと共に数年のあいだ競り合ってきた英国もジリジリと接近しつつあり、円安含めた構図に変化がない限り日本の転落もまだ途上ということか。


自維連立

週明け本日の日経平均は1603.35円高と急反発し49000円の大台を初めて超えてきた。これは言わずもがな政局不安が後退したのが背景にあるが、日本維新の会は自民党との連立で合意する方針を明らかにし、明日にも実施される首相指名選挙で自民の高市総裁が首相に選ばれるのが確実な情勢となっている。この両党に加え無所属層を取り込めるなら衆参両院の過半数確保が視野に入り、自公時代より政策遂行力が高まるとの楽観論も出ている感じだ。

そうしたことでマーケットではAI関連の再物色から個別ではソフトバンクGが急反発し上場来の高値を大きく更新、同じく上場来高値更新組みでは高市銘柄のセキュリティーものでグローバルセキュリティエキスパートも急反発し上場来高値を更新していた。また“維新銘柄”として物色の矛先が向かったものとしては、副首都構想関連でイトーヨーギョーがストップ高の引けとなり、同じく桜島埠頭もストップ高で大引け、また南海辰村建設もザラ場ストップ高まで買い進まれるなどスタンダード市場も大賑わいの一日になった。

この連立、冒頭のように期待感がある一方で維新の経験不足を懸念する声もある。与党政権を経験した議員が少なく、自民としても公明以外と組んだ経験が20年以上もなく維新との与党でさまざまな政策決定が今後スムーズに出来るか否か不透明感も漂う。米市場では先週「VIX」が25台まで上昇、また国内市場も「日経平均VI」が先週末に35台まで上昇してきておりまだボラタイルな展開は続きそうだ。


総裁就任1週間の暗雲

ちょうど1週間前に当欄で「高市トレードの賞味期限」と書いた際に末尾では今後連立の行方など課題は山積みなだけに暫くは目が離せそうもないと書いていたが、周知のように先週末に公明党が自民党に連立政権から離脱する方針を伝えている。企業・団体献金の規制強化について折り合えなかったということだが、総裁選から政権運営の安定化のために連立拡大を訴えて来た新総裁もこれは誤算だったか。

というわけで本日のマーケットもこれを受け日経平均は1241.48円安と大幅続落となったが、昨日の「体育の日」が緩衝材的なものになったか週末の先物12月限の45200円引けなど見るに本日は中途半端にマイルドな下げに終始した感が強い。オプション市場も板が薄いなか商いもそこそこで個別の仕込みやデリバティブなどで一回転狙っていた向きにはなんとも今年の祝日は邪魔になってしまったか。

一方で個別では“高市トレード”で本命とされ直近で上場来高値を更新した三菱重工は本日の寄りがわずかに7円安でスタート、またIHIに至っては8.5円高と反発スタートとなるなどしており引けでは弱含んだもののこの辺を見るにまだ新総裁が総理大臣に選出される期待感は消えていないのか?確かに公明も総理指名選挙では野党側に協力するかどうか微妙な部分もあり今日のこの辺の動きに繋がっている可能性もあったか。

いずれにせよ今後矢継ぎ早に現れる関門として先ずはこの来週早々にも予定されている臨時国会での総理大臣指名選挙ではたして新総裁が次の総理に選出されるか否か、野党側も上記の通り一枚岩にはなれていない現状でこちらも一本化出来るか否かといった状況だが、離脱した公明党の身の振り方も気になる。そうこうしているうちに来週末にはASEAN関連会議、その翌日にはトランプ大統領の来日予定など重要日程が容赦なく迫っており、政局もマーケットも暫くは要注目である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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