再挑戦のルルレモン

本日はカナダ発のスポーツアパレル大手の「ルルレモン・アスレティカ」が原宿で日本初となる旗艦店をオープンしている。昨日はこれに先行し開業イベントを開いていたが、私の周りでも昔からここのウエアは人気でその愛用者は少なくない。SNSで俄かファンになった向きも多いと思うが、かつては20年以上も前に日本進出を果たしたものの撤退の憂き目に遭った経緯がある。

店舗の再挑戦など意気込みは十分なものの、株式市場の方では関税の影響なども影響し今年に入って4割超も下落するなど低迷している。こうした傾向は同社に限ったことではなく、スポーツアパレルで世界シェアトップを誇る「ナイキ」の株価も同様に安値低迷に甘んじて米&P500に対する相対的な弱さは約25年ぶりの水準にあるのが現状だ。ちなみにこの原宿の旗艦店はナイキの跡地に建つあたりが何か因縁を感じる。

そういった意味では最近「オニツカタイガー」の事業部を分社化した「アシックス」は今秋に入ってからも上場来高値を更新と破竹の勢いといえようが、スポーツアパレルの株価も長年追いかけているといろいろ業界模様が垣間見られてなかなか面白い。いずれにせよこの店舗、プロダクトのみならずアートやコミュニティを通じ同ブランドの価値観を体験出来る空間に仕上がっており再挑戦の試金石として興味深い。


GPIFと政治

一昨日の日経紙投資面・一目均衡では「GPIF、予期された政治介入」と題し、7月の財務大臣の「GPIFをはじめとする年金基金により日本の金融資産にさらなる投資をしていただく方向で後押ししたい」との発言などから、GPIFの比率変更がある場面では世間が年金受給者ではなく政治のための変更だと受け止めかねず、はたして「自主性や創意工夫」を発揮できるのかとした旨の記事があった。

この辺に絡んでは先月も「官製相場色」として当欄で一度取り上げているが、うっかりなのか確信なのかGPIFを引用?した事でいまだ思惑が交錯している。現在のGPIFの配分比率は国内株式・外国株式・国内債券・外国債券で25%ずつだが、プラスマイナス6%までは許容範囲とされている。6%とはいえ約300兆円を誇る運用資産だけに1%変更だけでも約3兆円が動くことになるだけにそのインパクトは大きい。

実際にアベノミクス時代には債券から株式比率を増やしたことで円安・株高構図を創造した“実績”がある。冒頭の「自主性」という面ではその運用方針に合致すればその配分は独自に決められるが、政治利用に世間が敏感なのは前回も一寸だけ書いたようにバブル崩壊後にこのGPIFの前進を使って所謂“PKO”で株価を買い支えた苦い記憶があるからにほかならない。

ただ現在のポートフォリオは昨年の4月に始まったばかりで次のプロセスまでは時間がかなりあるが、そもそも論でGPIFのポートフォリオはあくまで年金積立金を増やすことが目的なわけで経済政策の援護射撃が目的ではない。先週末に公表された今年6月末の構成比率はほぼ基本ポートフォリオに沿った結果であったが、秋に公表される第2Qの資産構成にも注目しつつ今後も各所での官製相場を匂わす発言等には注意を払っておきたい。


購買意欲を刺激 

本日の日経紙投資面では、日清食品ホールディングスの2026年4~6月期の連結決算で国内外での値上げが浸透し純利益が前年同期比18%増の132億円だった旨が出ていた。国内では「カップヌードル」等が販売を伸ばした旨が出ていたが、同社のカップヌードルといえばCMもなかなかのバズり具合で今年はシーフードヌードルのそれが某美容クリニックのオマージュ?でなかなか笑える。

このシーフードヌードルは昨年も同じく“霊長類最強”と謳われたレスリングの吉田沙保里氏が某バラエティー番組で話題になった連続風船割りをオマージュしたものが話題になっていたが、こうなると次は何を出してくのか待ち遠しい。またこのカップヌードルでは数年温めていた製法を確立し直近で「冷やし」も販売に踏み切るなど攻めた戦略が奏功している。

ところで食品系で話題を呼んだモノといえば、今年は他にナフサ不足を逆手に取ってカルビーが白黒パッケージにしたポテトチップスを売り出した件もあったが、こちらは話題を集めた当初こそ前週比45%増だったものがその後は4週連続で落ち込み、ピークからの減少幅は直近1年で2番目となったという。価格転嫁に苦闘する食品業界だが、レーティングも明暗で今後も各社の戦略には注視してゆきたい。


消費税減税が値上げトリガー?

周知のように先週末に首相は現在8%となっている食料品の消費税率を、来年の4月から2年間の限定措置で1%に引き下げる意向を表明しているが、食料品といえば今月も値上げ喧しく帝国データバンクによれば主要食品メーカーにおける今月の値上げは2311品目にのぼる。値上げ品目の2000品目超えは先月に続いて2か月連続となり、前年同期比では80%増加となる模様。

依然として中東情勢の緊迫化でホルムズ海峡混乱を背景としたナフサなど石油製品高騰によるトレーやフィルムなどの資材費上昇などが影響しているが、今月の最多は加工食品の1419品目で加工肉大手の日本ハムやプリマハム、それに缶詰大手の極洋やはごろもフーズなどが1日出荷分や納品分から値上げする。

また円安による輸入コスト高も恒常的になっているが、斯様に二重三重の値上げ圧力がかかっているなか、この度の食料品消費税減税という買い控えを防ぎ易いタイミングに歩調を合せ、企業側の中には値上げする動きも想像に難くないか。そういった意味でもはたして狙い通りに物価上昇に即効性のある対策となったのかどうか、その辺の行方も見ておく必要があるか。

しかしこの消費税減税、自民党内でも賛否両論となっている模様だが財源の確保は特例公債(赤字国債)に頼ることなくとはしているものの現状で詳細は不明、今後もこの辺の不透明が拭えないと金融市場が判断すれば、捨て身の介入で150円台に戻った円も再度円安の憂き目に遭い金利上昇と併せこれが物価高となる可能性も秘めているだけにこの辺の政府発信にも注視しておきたい。


地銀再編の波

さて、先週末には愛媛銀行と愛媛県地盤で伊予銀行を傘下に置くいよぎんホールディングスが、経営統合で基本合意した旨の発表があった。これによりいよぎんHDは2027年4月をめどに愛媛銀行を完全子会社化するということだが、2020年に可決・成立した地方銀行同士の統合・合併を独占禁止法の適用除外とする2030年までの特例法の適用を申請する見通しという。

両行の経営統合予定は上記の通り2027年4月めどというが、地銀関係ではこの2027年4月には群馬銀行と第四北越フィナンシャルグループが経営統合を予定しているほか、千葉銀行と千葉興業銀行の経営統合、それからあいちフィナンシャルグループと三十三フィナンシャルグループも経営統合で基本合意している。

冒頭のいよぎんHDの背景には政府が重点分野に位置付ける船舶関連の旺盛な資金需要があるというが、両行の経営統合後の総資産は12兆円規模となり愛媛県内で7割超のメインバンクシェアを持つ地銀グループが誕生する。この規模は上記の統合予定の地銀勢の中では、あいちフィナンシャルグループと三十三フィナンシャルグループの統合後総資産11兆7520億円とほぼ同等となるか。

政府が重点分野に位置付ける経済安保強化の動きでは、いよぎんのような造船関連だけでなく今後活発化してくるであろうところのAIや半導体産業関連にも新たな資金需要が生まれてくるのは想像に難くない。加えて地銀は預貸率の上昇という課題も浮上してきている事で、これに絡む預金獲得など一層の基盤強化の動きからの次なる再編劇の動きに注目しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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