消費税減税が値上げトリガー?

周知のように先週末に首相は現在8%となっている食料品の消費税率を、来年の4月から2年間の限定措置で1%に引き下げる意向を表明しているが、食料品といえば今月も値上げ喧しく帝国データバンクによれば主要食品メーカーにおける今月の値上げは2311品目にのぼる。値上げ品目の2000品目超えは先月に続いて2か月連続となり、前年同期比では80%増加となる模様。

依然として中東情勢の緊迫化でホルムズ海峡混乱を背景としたナフサなど石油製品高騰によるトレーやフィルムなどの資材費上昇などが影響しているが、今月の最多は加工食品の1419品目で加工肉大手の日本ハムやプリマハム、それに缶詰大手の極洋やはごろもフーズなどが1日出荷分や納品分から値上げする。

また円安による輸入コスト高も恒常的になっているが、斯様に二重三重の値上げ圧力がかかっているなか、この度の食料品消費税減税という買い控えを防ぎ易いタイミングに歩調を合せ、企業側の中には値上げする動きも想像に難くないか。そういった意味でもはたして狙い通りに物価上昇に即効性のある対策となったのかどうか、その辺の行方も見ておく必要があるか。

しかしこの消費税減税、自民党内でも賛否両論となっている模様だが財源の確保は特例公債(赤字国債)に頼ることなくとはしているものの現状で詳細は不明、今後もこの辺の不透明が拭えないと金融市場が判断すれば、捨て身の介入で150円台に戻った円も再度円安の憂き目に遭い金利上昇と併せこれが物価高となる可能性も秘めているだけにこの辺の政府発信にも注視しておきたい。


地銀再編の波

さて、先週末には愛媛銀行と愛媛県地盤で伊予銀行を傘下に置くいよぎんホールディングスが、経営統合で基本合意した旨の発表があった。これによりいよぎんHDは2027年4月をめどに愛媛銀行を完全子会社化するということだが、2020年に可決・成立した地方銀行同士の統合・合併を独占禁止法の適用除外とする2030年までの特例法の適用を申請する見通しという。

両行の経営統合予定は上記の通り2027年4月めどというが、地銀関係ではこの2027年4月には群馬銀行と第四北越フィナンシャルグループが経営統合を予定しているほか、千葉銀行と千葉興業銀行の経営統合、それからあいちフィナンシャルグループと三十三フィナンシャルグループも経営統合で基本合意している。

冒頭のいよぎんHDの背景には政府が重点分野に位置付ける船舶関連の旺盛な資金需要があるというが、両行の経営統合後の総資産は12兆円規模となり愛媛県内で7割超のメインバンクシェアを持つ地銀グループが誕生する。この規模は上記の統合予定の地銀勢の中では、あいちフィナンシャルグループと三十三フィナンシャルグループの統合後総資産11兆7520億円とほぼ同等となるか。

政府が重点分野に位置付ける経済安保強化の動きでは、いよぎんのような造船関連だけでなく今後活発化してくるであろうところのAIや半導体産業関連にも新たな資金需要が生まれてくるのは想像に難くない。加えて地銀は預貸率の上昇という課題も浮上してきている事で、これに絡む預金獲得など一層の基盤強化の動きからの次なる再編劇の動きに注目しておきたい。


猛暑でナイトタイムシフト

さて、先週末の日経紙夕刊の一面には「涼しく運動 楽しまナイト」と題し、連日の猛暑で熱中症の危険が増すなか各種ナイトスポーツを楽しむ旨の記事があった。ナイトスポーツといえば昨日は3回目となる有明の東京ビッグサイト周辺道路を封鎖しての「フォーミュラE・東京E-Prix」が開催されたが、今年のこれは日本初のナイトレースでの開催となった。

またナイトレジャーといえば今月は夏恒例のナイトプールが続々と始まっており、東京プリンスホテルのCanCamナイトプールはじめ、業界で初めてナイトプールを展開したニューオータニ系は深夜帯のミッドナイトプールを投入しグループ初となる空調を備えた屋内シートも新設、プールの見える室内に日差しや暑さを避けながら過ごせるシート席を設ける。

街では三菱地所が丸の内で「MARUNOUCHI SUMMER FEST」を展開、夕方から座って楽しめるボードゲーム遊具を設置するなど限定スペースを設け、夏の夜に合うノンアルコールカクテルも提供されている。三菱地所は日が落ちた後に夏の夜を楽しめる仕掛けを作ることで周辺店舗へ回遊させる狙いで、丸の内エリア全体に経済効果を波及させたいという。

他にも水族館やサファリパークなど営業時間の延長を試みている向きもあるが、最近出来た商業施設なども夜に観劇が出来るスペースを設けるなどナイトタイムエコノミーの活性化を図る意図での構造となっている。インバウンドのナイトタイムエコノミーの国内市場規模も9兆円に迫る規模という試算もあり、この40年ぶりの円安のおり各所でこの伸びしろに賭ける動きがまだ出てきそうだ。


土用の丑2026

さて今週末の「土用の丑の日」に向けて街の店から大型スーパーまでウナギ商戦が盛り上がっているが、4月の“春の丑の日”でも書いたように今年の場合は昨年豊漁だった稚魚が成長して市場に出回り国産ウナギの月別卸売り平均価格は昨年の4月が5307円であったものが、今年4月には2983円と4割も安くなっている事などを背景に消費者には優しい価格が彼方此方で見られる。

とはいってもこのウナギ、国内のウナギ供給の約7割を輸入に頼っている状況で漁獲量もやはり天然資源に依存しているだけにその安定感は安穏としたものではない。そういった事で養殖など官民挙げて精力的に取り組んでいるが、水産庁は卵から育てた世界初となる完全養殖のウナギの試験的一般販売も始めてお5月には三越日本橋などでこの試験販売を開始している。

ただその価格は冒頭のウナギなどと比較するに約2.5倍となかなかの設定。では生産コストはといえばこの稚魚1尾あたりの生産コストは現在のところ水槽の自動給餌器等の工夫もあり約1800円だが、10年前にはこれが実に40000円であったから飛躍的に下がっているが、それでもなお天然モノの約3倍にもある。

この辺も今後は現在の半分以下までコストダウンを図りたいとの努力目標らしいが、更なる工夫などを図り完全養殖ウナギが一般に手の届き易い価格に収れんしてゆくのかどうか、そんな想いも馳せながらとりあえず“お得な価格”で食べられる今年の美味しいウナギに感謝しながら舌鼓を打ちたい。


官製相場食色彼方此方

本日の日経紙グローバル市場面には「金利急低下「GPIF」の影」と題し、昨日の20年物国債入札が異例ともいえる好調さを示したのを背景に金利が急低下した旨の記事があった。この辺は巨額の資金を動かすGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などの所謂“クジラ”の買い観測が出ているわけだが、斯様なクジラを動員してまでも金利を低下させようとしているとの観測に警戒感も募る。

そういったことで昨日こそ長期金利も低下したわけだが、一向に霧の晴れない中東情勢の緊迫化を背景にして世界中で金利は再上昇傾向にあるのは周知の通り。とりわけ日本の場合はこうしたことに加え、先に所謂“骨太の方針”原案をきっかけに財政健全化と日銀利上げ日程の“ズレ”がより一層警戒され先進国の中でもかなり早いペースで長期金利が上昇してきた経緯がある。

斯様な状況が続けば国債が売られ、円に対する見方もどんどん厳しいものになってくるわけで冒頭のような思惑も湧いてくる。しかし最近はこういった“官製相場色”の話が良く出てくる。為替介入はもとより一寸前には原油先物市場介入の奇策が取り沙汰され、今回のGPIFによる国債購入観測だ。バブルを知る世代には崩壊後の“PKO”の失敗が記憶に新しいが、昨日のバブル期を彷彿させる時価総額光景と共にこちらもまた当時を彷彿させるものだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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