エコノミック・ステイトクラフト
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高市総理の「台湾有事」を巡る発言では昨年11月の当欄で「日本に比べて切るカードが多い中国側は非難合戦で輸出規制とか次のステージに貼ってくる可能性もある」と書いておいたが、やはりというか中国商務省は軍事転用が可能な軍民両用製品の日本への輸出を全面的に禁止すると発表している。自由貿易のルールも無視するあたり中国らしく詳細を明言していないなど不透明だが、マーケットではこの辺を懸念し敏感に反応する光景もみられた。
このレアアース、「産業のビタミン」ともいわれているだけに身近なスマホ、テレビ、電気自動車から医療用MRIまでこれらに無くてはならないものだが、尖閣諸島問題の時にはこの輸出を一時停止にされている。この前年には中国からの輸入は約85%に上っていたが、この輸出規制の反省から2020年にはこれが約59%にまで縮小していたものの、半導体需要の高まりを受けて昨年は約72%にまで再拡大しており、これが規制されると経済損失は3か月で約6600億円になるとの試算も出ている。
とはいえ中国も自国の景気後退局面のなか、日本頼みの部分もある経済情勢下で自分の首さえ絞めかねない伝家の宝刀を抜くまで踏み切れるだろうか?またレアアースを使った日本の製品は世界中に流れており米も例外ではない。そう考えると日本への制裁がひいては米へも飛び火してしまい、現在は安定しかけている米中関係が再度危うくなってしまいかねない可能性も出てくるわけであくまで“脅し”の範囲とも取れるか。
こうした事態から昨日のG7でも中国依存低減へ向けて議論が為されているが、日本も既にEVでもレアアース不使用の高性能モーター開発に成功している企業もあり、昨日は国産レアアースの開発実験が行われる南鳥島に向けて探査船も出航している。中国は米制裁下にあってなおファーウェイが高性能スマホを作り上げてきた経緯があるが、日本も数々の局面下で技術的なイノベーションをもってこれを乗り切ってきた経緯があるだけにこれらの今後の動向には大いに注目しておきたい。