関西最大地銀へ

週明けにはスペースXとテスラの経営統合を取り上げたが、国内でもっとローカルなところでは滋賀銀行と大阪地盤の池田泉州HDが経営統合に向け協議する事で基本合意したことが本日報じられている。現在関西の主要地銀で総資産トップは約12兆円の京都FGとなっているが、3位の滋賀銀行と5位の池田泉州HDの統合が叶えば両行合わせて14兆円を超えてくる計算でこの京都FGを抜いて域内で最大となる見通しだ。

地銀統合といえば今年は5月に愛知県地盤のあいちフィナンシャルグループと三重県の三十三FGが経営統合で基本合意との発表があったがわずか4か月で白紙となりこの経営統合は破談となった経緯がある。背景には持ち株会社の方向性での見解の相違があった模様でこれが地銀再編に水を差すことになるのかとの懸念もあったなか、今月に入って東北では青森みちのく銀と秋田銀、岩手銀で経営統合協議開始が報じられている。

これで東北でも3県をまたぐ広域連合が動きだすわけだが、この3県といえば人口減少率のワースト3県である。3県にまたがる地銀グループといえば現在総資産30兆円以上でトップのふくおかフィナンシャルグループ、他には山口フィナンシャルグループが挙げられるが、人口減少が追い打ちをかけ経営環境が厳しさを増す中でこうした動きが加速しているといえようか。

斯様にこうした再編の流れの中で有力といわれる地銀間でも再編圧力はかかっている。以前にも書いたが総じて地銀は上記のように人口減少に加え預貸率の上昇という問題も浮上してきており、預金獲得など一層の基盤強化に迫られていることからもこのスケールメリットを出せる規模の拡大を目指した動きは不可逆的なもので今後も各行の動きには注目しておきたい。


生保運用の潮流変化

昨日の日経紙金融経済面では「生保、国内債の購入活発」と題し、明治安田生命保険が国内債券において利回りの高い銘柄への入れ替えを加速し、第一生命保険も期初計画に比べて入れ替え額が1兆円超に増える見通しになるなど各社とも低利回りの債券から高利回りの債券への入れ替えペースを速める動きが広がっている旨の記事があった。

第一生命保険は上振れする入れ替えにおいて「超長期債」など償還までの期間が20~40年の国債など中心になる見込みだが、長期金利の上昇は保有国債の含み損につながる。ここ上昇一服のタイミングで動く生保が増えてきているわけだが、同頁に出ていた生保10社の2026年度下期の運用計画を見るとこの国内債や外債と並んでオルタナ資産を各社共に増加させている点が注目される。

国内生保は資産・負債の総合管理の観点から利息を生まない金への運用は消極的だったものだが、昨今の中東情勢の先行き不透明感など地政学リスクやインフレ圧力を背景として伝統的資産に対する分散を狙ってきたあたりが潮流の変化を感じる。こうした第一生命のような巨額資金を運用する向きの参入がマーケットにまた新たな流れを起こすのかどうか今後も注視しておきたい。


外食業界マッチング

さて、先週にファストフードチェーンの「スガキヤ」が横浜に約20年ぶりの新店舗をオープンさせ話題になっているが、これを運営するスガキコンシステムズが「ドムドムハンバーガー」を運営するドムドムフードサービスを買収した事が発表されている。ドムドムバーガーといえば相次ぐ店舗閉鎖で青息吐息であったものが、専業主婦だった社長の下でカニやタラを一匹丸ごと使う奇抜なメニューなどでV字回復を遂げたことで知られている。

ところで外食業界と言えば先月も鎌倉パスタなどを運営する「サンマルク」が、うどんの「つるとんたん」を買収している。このサンマルクは2年前にも牛かつチェーンの京都勝牛を買収しているが、これに限らず今年は年明けに牛丼の松屋がラーメンの松冨士を買収したり、春先にはコロワイドが珈琲館やベローチェを運営するC.Unitedを400億円以上で買収している。

また2年前に資さんうどんを買収したすかいらーくHDも春先にはシンパチ食堂のしんぱちを異例の高額で買収するなど、斯様に近年では大手による買収などで業界では店舗網を一気に拡大する動きが目立っている。昨年の外食業界のM&A件数は過去最高を記録する110件であったが、今年は8月迄で既に94件となっておりこのペースで進めば昨年を上回る勢いとなっている。

いずれの買い手も新業態に出るのではなく既存ブランドを買って出ているが、こうしたところは名前を聞けば誰でも知るところの既にブランドとして成立している店ばかり。買われる方も知名度に対し店舗数が頭打ちで海外等を視野に入れるのはハードルが高い向きもあり、こういった部分も大手とのマッチングを後押ししているのは想像に難くなく今後も伸びしろを買うM&A動向を引き続き注視しておきたい。


脱デフレ下の転嫁術

本日の日経平均はAI・半導体関連銘柄の一角への売りで続落となっていたが、そんな地合いのなかですかいらーくHDやサイゼリヤ等の外食大手が買われていた。先の衆院予算員会で食料品の消費減税関連法案を巡って外食産業の需要喚起策が検討していると明らかにされたことが背景だが、上記のサイゼリヤといえば今月末より上場来初となる本格的な値上げに踏み切ることが話題だ。

外食の値上げでは他に先週から松屋が牛丼を値上げしているが、他に本日の日経紙ビジネス面にもあったようにファーストリテイリング傘下のカジュアル衣料品店「ユニクロ」が19日までに一部商品を値上げする。このユニクロにしてもサイゼリヤや松屋もいずれもがデフレの象徴かのように君臨?してきたわけだが、こうしたところが続々と値上げに踏み切っているあたり改めて脱デフレへの景色を感じる。

値上げの報は時にマーケット上で明暗だが、本日のファーストリテイリングも急反発しており、サイゼリヤもこの値上げの報があった翌日は14%以上の急騰を演じている。直近でも値上げ表明した大手食品系で炎上したところもあったが、価格転嫁の苦慮する企業が多いなか以前にも少し書いた通りアドの時代から関係性の時代へ差し掛かっており、“与党”をどう増加させるか各社の戦略が問われよう。


直美問題

Netflixの「ダウンタイム」を見た。ネトフリのシリーズを見るのは一昨年の「地面師たち」以来のことだったが、ネトフリが選ぶテーマが相変わらず鋭く面白い。所謂“ダウンタイム”期間が確保できるチャンスの広がりなどでコロナ禍から俄かにその体験者も広がった美容整形業界だが、“美”を追い求める人々の欲望に双方の裏側に潜む光と闇を境目なく描き出し人間の本質をあぶり出すさまはいろいろと考えさせられる。

この美容医療といえば先の日曜日の日経紙一面のチャートは語るでは「美容医療に流れる医師」と題し、都市部を中心に美容医療機関が集中し地方の他の診療科の勤務医が高給などの好待遇に惹かれ転職が増加してくれば医師不足問題も出てくる可能性を指摘していた。もう一つ書かれていたのは医学部卒業後2年間の臨床研修を終えそのまま美容クリニックに就職する所謂“直美”問題。

ちょっと前のデータになるが、厚労省が2022年に行った調査ではこの“直美”がここ10年で約12倍にも急増していることが明らかになっている。美容医療はほぼ自由診療なのでなにしろ客(患者)単価も高く、報酬面でもこれが顕著に表れて初年度でも一部では2000万円を軽く超えるといわれる年収目当ての向きがほとんどだ。

ところで総務省が先に発表した全国841の公立病院の昨年の決算では81.2%が経常赤字となっており、5年前の42.8%からほぼ倍増している計算になる。直美の背景もあり特に人材確保が難しくなっているというが、私の知人の医師も指摘していたところで直美の経験値の少なさを危惧する声も多い。赤字や直美問題解決には診療報酬はじめ労働環境まで諸問題山積みだが、今後の医療のバランスを考える上でも喫緊の課題か。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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