伝統工芸展2026

昨日で終了したが、日本の優れた伝統工芸の保護と育成を目的に日本工芸会が開催する日本工芸の技と美が集結する公募展「伝統工芸展」の第73回が開催され先週これを観て来た。陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸の7部門の一般公募作品1071点から選ばれた作品と“人間国宝”の最新作を含む約550点を一堂に展覧していた。

2年前の伝統工芸展で「輪島塗」に当欄で触れた際には、ちょうど年明けの大地震で工房が被害に遭ったことから仮設工房で作業再開するも続いて能登地方を豪雨が襲いその影響が懸念される旨を書いていたが、今年も石川県からは輪島塗ほか素晴らしい作品が数多く出品されていて一先ず安堵した。被災地といえば直近では熊本大地震もあったが、この熊本からも素晴らしい作品が出品されていた。

そういえばこの熊本、この7月に発生した大地震の復興を後押ししようと各所で支援の動きが見られるが、ラグジュアリーホテルなどではホテルニューオータニが熊本県産の栗を使ったモンブランを販売したり、帝国ホテルでも熊本県産の商品を展開している。いずれにせよこうした支援の輪のもとに日本が世界に誇る伝統技術の灯を絶やすことなく継承していってほしいものだ。


夢の国の試金石

先週末の日経紙夕刊ビジネス面で東京商工リサーチまとめの2025年度のテーマパーク・遊園地などの運営企業の売上高合計が、インバウンド消費や国内訪問客増加などの寄与により1兆931億円と24年比3%増となり4期連続で増収だった旨の記事を見た。ちなみに売上高首位は東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドで5881億7100万円と2.9%増となっている。

さてこの東京ディズニーリゾートといえば「東京ディズニーシー」が先週に開業25周年を迎えている。はや25年かと開業当時を思い起こせば何とも時の流れの早さを感じるものだが、この辺は料金にも表れている。当時6000円もしなかった1デーパスポートは今やほぼ2倍に、既に年パスやファストパスも消え、更にこれが来月から新たに高価格帯も追加導入されて大人の1デーパスポートは最大12400円が登場する予定だ。

思えばシーのエリア内に「ファンタジースプリングス」がオープンしたあたりから高額化政策が顕著になってきたようにも感じる。同施設を楽しむ迄のハードルの高さもさることながら、新エリアにオープンした直営ホテルも最上位のラグジュアリーの位置づけで開業している。このホテル事業も直営の稼働率は26年3月期で実に95%を叩き出しており、おの売上高と営業利益も揃って過去最高をはじき出している。

高単価路線が業績には奏功しているかというところだが、株価の報はこのファンタジースプリングス開業の年をピークに翌年には半値以下にまで沈む憂き目に遭っている。いろいろ挙げればきりがないが、要は“成長に対する天井感”を反映しているか。パーク拡張の土地の限界も見据え数年後にはクルーズ事業を開始する予定の同社だが、どこまで脱落しないファンを誘致し続けられるか今後の戦略の一つ一つが試金石になるか。


睡眠市場の伸びしろ

さて、気温の変化が急で睡眠のリズムも狂いがちな日々だが、先週3日は「睡眠の日」であった。OECD(経済協力開発機構)で昔からいわれていることだが日本人の睡眠時間は主要国の間でも最も短時間らしく、大谷翔平選手が一日約10時間の睡眠を確保している旨などを聞くにそこまで寝るのは不可能とも思えるが、実際に欧州の知人などと話すとこの程度の睡眠時間がみんな普通らしい。

そういった事で健康の為に費やす平均金額の伸びと共に東京ビッグサイトなどで「健康博覧会」や「SPORTEC」等の開催を見るが、睡眠というところではリカバリー服の“BAKUNE”シリーズを展開するTENTIALは昨年に東証グロース市場への上場を果たしている。こうしたリカバリー服の市場規模は一昨年の189億円から今年は500億円を超える見込みといい、更には2030年には1700億円規模にまで成長が予測されている模様だ。

十分な睡眠は業務の効率性からも重要なのは間違いないが、冒頭のOECDでは睡眠不足による損失が約20兆円にものぼるという。こうなってくると企業にとって労働者の睡眠の確保などもまた経営課題にもなりそうだが、既に仮眠環境を整える企業など大手中心に増加しつつあり今後の市場の伸びしろには注目しておきたい。


K字型で二極化鮮明に

周知のように先週は日本の長期金利の指標である新発10年物国債利回りが19996年9月以来、30年ぶりに3%の大台に乗せてきた。3%の長期金利は日本国内の企業はもとより家計にも影響が及ぶ。預貯金等は金利収入増加となる反面、住宅ローン等は固定型・変動型共にメガバンク中心に相次いで引き上げの発表が為されているが、この辺一つとってもまた格差が広がる二面性が出てくるか。

最近ではこの金利上昇でやむを得ず50年もの超長期ローンやペアローン等を組む向きも急増している模様だが、潤沢な預貯金や銀行株、国債等を保有し住宅購入も一括で支払える向きはこうしたローン組が落とすカネ等でますます肥える。最近はよく「K字型経済」なる言葉を見聞きするが、上記以外の部分でもこうしたところを上手く掬い取ろうと試みる動きが各所で見られる。

例えば昨年に当欄で「くら寿司」を取り上げた際に「~外食産業では高級路線とコスパとの二極化がいわれている~」と書いたが、この「くら寿司」はこれまでの店舗形態に加えて高級路線の「無添蔵」を関東にも展開させる一方で、これよりも前に年始のマグロ初競りですっかり有名になった高級路線を展開する「銀座おのでら」は比較的低価格の立ち食い寿司や廻転寿司(タブレット注文)を展開している。

寿司以外でも外食では他に牛丼の「松屋フーズ」がどこまで洒落なのか「銀座松屋」の中に神戸牛を使った高級路線の「松屋PREMIUM」を展開している。斯様に従前路線ではこのK字型経済の需要を取り切れないことで企業がこれまでの業態の価格イメージの“枠”を超え、これら取りこぼし無きよう次の一手を模索する動きからまたイメージを覆す新たな業態が表れるかもしれない。


各々の軸

久し振りにマツキヨで買い物をしたが、マツキヨといえばここは先週にオーガニック化粧品のジョンマスターHDを買収すると発表している。もともとNY創業の企業だがリーマンショック前に日本には上陸、22年からPEファンドのアスパラントグループ傘下となっているが、この買収で同社はラインナップを拡充するほか製造コストの抑制にも繋げたい意向だ。

これまでも他企業とのコラボで共同開発するなどPBに力を入れているマツキヨだが、そういえばこのジョンマスター買収の前にも同社はアサヒGとも提携し新たなPBを展開する旨も発表している。アサヒGといえばサプリなどで圧倒的な研究開発の実績を持っているが、消費者の場偉大なデータを持っているマツキヨとしては同社と組む事で消費者が欲しがっているものをいち早く作成出来るというわけだ。

M&Aに大手との提携と精力的な動きを見せているが、ドラッグストア業界では大手イオンなど強力な対抗軸が構築されている。そういった中で各社は食品構成比を高める向きありこのマツキヨのように美容・ヘルスケア構成比を高める向きありと各々が舵を切っている。昨年末に当欄では「マツキヨは統合後の飛躍的な経営効率上昇で話題になった経緯がある」と書いていたが、今回もM&A成功例として語られるかどうか注目しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2026

9

1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30