タイムラグで顕在化

さて今年のゴールデンウイークも終わったが、足元では中東情勢の悪化によるナフサ不足で商品包装材などの価格高騰で食品類などへの影響が出始めている。食品類といえば月初め恒例の帝国データバンクによる主要食品会社の値上げ状況に少し触れれば、今月は2798品目であった4月比で97%減少し70品目と1月以来、4か月ぶりの100品目を下回る模様だ。

分野別ではチョコレート菓子などの菓子類が最も多かったが、チョコといえば一昨年の今頃には1万ポンドに迫る高値を付けたカカオ豆先物相場であったが、そこから今年の3月には高値の約5分の1近くまで下落してきてはいるものの依然として製品の値が緩むことはない。仕入れやストック、タイムラグなど影響していると思われるが、上記のナフサ供給不足もこれが続けばタイムラグを伴いながらこのコストが顕在化してくる。

生団連の調査によるとナフサ不測の影響を受けていると回答した食品メーカーなどの企業は44%にのぼったが、これが3か月以内には75%以上に拡大する見通しという。既にミツカンは来月から“物価の優等生”といわれてきた納豆商品の一部をトレーやフィルムの高騰で最大2割も値上げし、食品トレー大手のエフピコも来月からの出荷分を2割引き上げと発表している。

このエフピコは先行きの不透明感から2027年3月期業績予想の発表も見送りとして、先週末の株価も年初来安値を更新してきているが、関係各社とも安定供給できる期間も今後限られて来ようか。そういったことも含め帝国データバンクでもこの夏以降、ナフサ不足を要因とした広範な値上げが再燃する可能性があるとしているが、各社共まだまだ中東緊迫の影響は出尽くしておらず身構える動きが続こうか。


“最強”エルメスにも暗雲?

さて先週末の日経紙グローバル市場面には「フランス株に三重苦」と題し、中核をなすところの高級ブランド株の失速でフランス株の低迷が長期化している旨の記事があった。欧州主要600社の株価指数であるストックス600は23年末比で約3割ほど上昇しているが、フランスの代表的な株価指数であるCAC40は1割にとどまり苦戦が際立つという。

ラグジュアリーブランド勢は先週始めに発表された時価総額首位のLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンの26年1~3月期の売上高が、今月の中東地域の売り上げが急減し前年同期比6%減となっていたほか、最強といわれていたあのエルメス・インターナショナルもアナリスト予想を下回る結果に終わり先週は同社株が日中ベースで同社としては最大の下げを演じる場面があった。

そういった事で上記のエルメス・インターナショナルの株価は年初来で23%安、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンの株価も年初来で25%安の水準に甘んじている。両者共に度重なる値上げを敢行してきたが、一部の値上げに動じない富裕層が売り上げを牽引している構図の中で、これまでなんとか値上げに堪えて付いてきた主要店の中間購買層が順次脱落してゆく景色になってきたか。

こういったラグジュアリー勢、昨今の円安で本国で買うよりも日本で購入した方が安く手に入る逆転現象から日本では依然好調だが、反面このユーロ高が全体での足枷にもなる。今後のラグジュアリーブランドを占う上で粛々と揺るぎない富裕層には今後も期待したいが、好条件が揃っていた中東の販売拠点に暗雲漂い、中東発の今後の旅行コスト上昇やインフレ、株式市場の動向含め諸々と目が離せない。


春の丑の日

本日は春の「土用の丑の日」、“一の丑”である。夏の丑の日はよく知られるところだが、この夏にあやかって春も商機とする向きも最近では増加傾向にある。ところでこのウナギだが今春は前年同期比でところによっては約2割前後安くなっているのも散見され、この物価高に追い打ちがかかっているなか消費者にとってちょっとした朗報でもあるか。

日本は言わずもがな世界最大のウナギ消費国だが、この消費量のうち約7~8割を中国からの輸入が占めている。この安価傾向になってきた背景の一つとして言われているのが豊漁で飽和状態にあった屋内養殖場の買い付け絞り込みと併せ、この中国が昨年の春に上限を3倍近く超える数の稚魚を捕るなどしたことで供給過剰状態となり輸出価格が急落しているという構図だ

昨年末だったか当欄でEUが提案していたウナギの国際取引の規制強化案を取り上げた先に、「乱獲の疑義かかかる中国はじめ資源管理の強化は欠かせない」と書いた事があったが自業自得だろう。それはさておき今月から新年度、そして新生活を送る中ではや疲れが出ている向きもいるとは思うが、斯様な事情でお手頃になったウナギでスタミナを付けるのも良いかもしれない。


ナフサが株価も直撃

昨日の株式市場では後場からTOTO株が後場に入ってから急落を演じた。これは中東情勢緊迫化でナフサ等の供給が滞る中、商品に使われる原材料の一部が不足している事から昨日付けで同社が取引先にユニットバスとシステムバスの新規受注を停止したことによるもの。ナフサに絡んでは一昨日の日経紙でも住宅価格や建材メーカーの在庫に影響が出る可能性を報じている。

建材メーカーではタカラスタンダードも同日に原材料の調達が不安定な状況で、こうした事態が長期化した場合はあらゆる方面に影響が出るとしており同社株も本日は大幅続落して年初来安値を更新していた。また住宅設備大手のリクシルも生産コストなどが上昇し自社努力の範囲を超える状況となっていることで出荷制限や価格改定の可能性に言及、こちらの株価も週明けは急反落し年初来安値を更新している。

また旭化成もサランラップの値上げは避けられないとの認識を示しており、ガソリンやら軽油やらといった原油価格が直撃するモノから化学素材を通じて実体経済に波及してきた感じだ。政府側は少なくとも国内需要4か月分を確保など時間軸で報じているが実際の在庫は如何ほどなのいか?諸外国では既に消費抑制の動きが活発化しているが、関連各社の動向と併せて身構える動きが続きそうだ。


インサイダー天国?

先週末の日経紙オピニオンでは「軍事を賭ける市場の危うさ」と題し、イスラエル当局が昨年のイラン攻撃を巡り米予測市場のポリマーケットでインサイダー取引をしていた2人を起訴した旨の記事があった。ポリマーケットについては当欄でも昨年末から取り上げているが、上記のイスラエルの件の後も今年に入ってからはベネズエラ攻撃を巡っても不自然な取引が報じられていた経緯がある。

直近ではパキスタンが仲介した米とイランの停戦協議も合意に至らず物別れに終わりまた事態は混沌としてきたが、既に先月には原油の先物取引においてトランプ米大統領がSNSにイランと生産的な対話を行ったと投稿し価格が急落した際に、この投稿の15分前に取引が急増した旨も報じられている。FTではWTIと北海ブレントの先物で計6200件、約920億円相当の取引が行われた他、天然ガスや米主要株価指数先物取引でも同じタイミングで取引急増した旨を報じている。

斯様な不自然な取引が相次いで報告されていることを受けて米政府は職員に対し予測市場や先物市場などでインサイダー取引をしないように警告した旨も報じられているが、先月末には超党派の上院議員たちが連邦政府職員や議員らが公務で得た非公開情報を使って予測市場で利益を得ることを禁じる法案が提出されている。

しかしこの予測市場、二者択一に賭けるシンプルさやその対象となる予測の多彩さを見るに市場の急成長も頷けるところだ。しかしこれもスポーツ賭博の“八百長”の如く結果を左右出来るようなある程度巨大な“闇の力”を持つ向きが挙って参加してくるとなるとなんとも恐い。定量的なデータに一役買い大手取引所も予測市場に出資するまでになった一方、上記のような部分の警鐘も自ずと出てこようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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