ようやく解禁?

さて、金の国際価格が今週は遂に1トロイオンス5000ドルの大台を突破している。一方で金と並びデジタルゴールドとも言われたビットコインの方は昨年10月の史上最高値から約3割安の水準にありその関連銘柄と共に低迷している。オルタナティブの一つとされることが多かったものだが、終息が見えてこない地政学リスク台頭の下ではやはり伝統的実物資産との明暗が浮き彫りになった格好か。

ところでこのビットコインといえば、今週は日本で2028年にも暗号資産(仮想通貨)で運用するETFが解禁される見通しとなった旨の報道があった。当欄では一昨年に米で悲願の承認が為された時に「~ところでビットコインETFの国内承認は叶わないのだろうか?」と書いていたが、当時の金融庁は指針改正で暗号資産を投資対象に含む投資信託の組成・販売を禁止しており運用対象である特定資産から外れていたものだが金融庁がこの制度を変える方向に舵を切る。

しかしこの暗号資産といえばこれまで古くはマウントゴックス事件やコインチェック事件にDMMビットコイン事件などいずれも数百億円規模の流出事件があり、そういった事も背景に投資家保護から投資対象としての扱いには二の足を踏んでいた経緯があるが、世界の仮想通貨の時価総額はこの3年で3倍に拡大しており課税にしても金融課税扱いしていないのは先進国で日本だけであったことで日本も漸く重い腰を上げる格好か。

紆余曲折ありながらも先に解禁となった米では同年にビットコインETFの運用資産残高がゴールドETFに肩を並べる水準に急増し、既に足元では約18兆円規模に膨らんでビットコイン時価総額の約6.5%を占めるに至っている。国内もこれでビットコイン等に個人投資家や機関投資家が投資し易くなるというわけだが、上記のように投資家保護が至上命題なだけに解禁までの牛歩感が否めないのはなんともという感じだ。


春闘2026

昨日は経団連の会長と連合の会長が2026年の賃上げについて東京都内で会談をもうけ、今年の春季労使交渉が事実上スタートしている。昨年はベースアップと定期昇給合計の平均賃上げ率が連合集計で5.25%であったが、5%超えは2年連続。連合としては今年も5%以上の賃上げ率を目標としているところだが、プライム上場の大手一角ではこの連合が掲げる目標を上回る賃金を打ち出しているところが続出している。

これらの中には円安を追い風に輸出でガッツリと稼いだり、或いは内需企業でも強気の価格転嫁で利益を積み増す企業が多いわけだが、一方で中小企業はというとこうした大企業のような恩恵が及ばず取引先にも十分な価格交渉が出来ていない等苦しい状況にあるところが多い。この辺は1月に施行した中小受託取引適正化法などに期待がかかるものの、賃上げにはどの程度の効力があるか未知数だ。

ちなみに昨年の春季労使交渉では連合が上記のような大手企業との格差是正を目指し6%以上の目標を掲げるも結果としては4.65%止まり、今年は更にインフレも加速する見込みで賃上げ余力など含め懸念が残る。政府が悲願としている実質賃金のプラス定着にはこうした中小企業の成長が欠かせず、大手との二極化の是正から中間層も恩恵を受けられるようになるかどうかが焦点だがその兆候が今年は見えてくるか否か注視しておきたい。


脱依存が急務

本日の日経紙グローバル面には「テック向け希少金属 最高値」と題し、中国が生産シェアの大半を占めるEV(電気自動車)向け半導体に使うガリウムやタングステンなどのテック産業を支えるレアメタルが、日中対立の影響で輸出規制の対象懸念などから2002年以降で最高値を付けるなどこういった方面にも波及してきた旨の記事があった。

こうした中国によるレアメタルの輸出規制が懸念されるなか、重要鉱物を手掛ける中国のタングステン企業など24年末からその株価が3倍の水準まで上昇した旨も書いてあったが、国内でも上記のガリウム関連では豪州で生産に向けた調査を始めた双日が今月は上場来高値を更新し、タングステンのリサイクル事業を強化する三菱マテリアルも昨日は日経平均が急落するなかで年初来高値を更新している。

また直近では米政府が米レアアース企業の株式を1割取得し政府から計16億ドルの資金援助を受ける方向で合意との発表から同社株も急騰しているが、先に書いたように日本でもレアアース開発実験に伴い探査船を南鳥島に出航させているほかレアアース不使用の技術に挑む企業も少なくない。斯様に脱中国依存の機運が高まってきており、折に触れこれら関連株も物色対象として資金の矛先が向かう展開になるか。


宝飾品にも波及

今週はグリーンランドを巡るトランプ政権と欧州の対立が警戒されるなか投資家のリスク回避姿勢が強まり金価格が急騰、ニューヨーク先物は中心限月で初めて1オンス4800ドルの大台を突破し史上最高値を更新、国内価格の指標となる田中貴金属工業の小売価格も遂に1グラム27000円を超え史上最高値を更新した。斯様な状況で米ゴールドマンサックスGは直近のリポートで今年末価格見通しを5400ドルへと上方修正している。

さて、上方修正は価格見通しだけでなく斯様な急騰を背景に今週はやはりというか挙って宝飾品も値上げが開始されている。ラグジュアリーブランドではカルティエがアイコンともいえるトリニティリングを約8.5%、戦々恐々の噂があったダムールに至ってはやはりというか30%以上もの値上げとなっている。銀の小売価格も史上最高値を更新するなかティファニーも人気のオープンハートが約9%の値上げ、平均で約5%ほどの値上げが今週から始まっている。

今週はこの手のラグジュアリーブランドに限らず国内でもスタージュエリーなどは全体の6割にあたる約1800点を10~15%値上げする。ハイブランド等はこれまでも対ユーロでの円安を理由に年数回の値上げを繰り前してきたが、これらと合せるとここ数年から10年で価格が2倍、モノによっては3倍以上に化けた商品も少なくない。背伸びして何とか購入してきた向きにはいよいよ高嶺の花になりつつあるか。

昨年の8月頃だったか1~6月期決算においてエルメスとLVMHモエヘネシー・ルイヴィトの両者で増収増益と減収減益の明暗が分かれた旨を取り上げた事があったが、その時に「~ある程度手が届く領域はそれだけ顧客の分布も多い~」と書いていたが、上記のティファニーなどこのLVMH傘下にあるだけにこの値上げの影響がどちらに転ぶのか今後の決算関係には注目しておきたいところ。


世界10大リスク2026

今年も国際政治学者のイアン・ブレマー氏率いる米調査会社ユーラシア・グループが発表する年始恒例の「世界10大リスク」が先に発表されている。日本でも多くの企業がこのサービスの提供を受けているが今年で20回目となるこの10大リスク、今年はこの10のうち1番目の(米国の政治革命)と3番目の(ドンロー主義)、6番目の(米式国家資本主義)、9番目の(USMCAのゾンビ化)の4つがトランプ大統領に絡むラインナップだ。

さて、ザッと昨年を振り返ってみると1番目に挙がっていたのが(深まるGゼロ世界の混迷)、そして2番目が(トランプの支配)であったが、国連など主要な国際機関の影響力が低下するなか米が多くの機関からの脱退を続けリーダーシップのない中で世界秩序は崩壊しつつあり、自身への反対派を次々と排除し周りをイエスマンばかりで固め行政権力の監視や法の支配も弱体化しつつあるなど概ね同グループの懸念が現実化している。

今年1番目に挙がった(米政治革命)だが、トランプ氏はこれまでもFBIから労働統計局長に統合参謀本部議長など専門職の公務員たちを能力とは関係ない政治的理由で辞めさせており、直近ではFRB議長を刑事捜査の対象にするなど業務上の独立性が脅かされている。また3番目の(ドンロー主義)だが、これは言わずもがな直近のベネズエラ大統領の拘束作戦で具体化したように西半球を米の勢力圏と主張し軍事圧力や経済的強要をもって米の優位性を高めようとしており何とも危ういものを感じる。

また10のうち2番目の(電気国家中国)と7番目の(中国のデフレ)は中国に絡むものとなっているが、特に現在の日本の貿易の最大の相手国である国のデフレは今年の日本の成長見通しにとって最も重要なリスクと指摘している。この中国、連休明けに書いたレアアース問題然りで中国依存の経済からの脱却チャンスを指摘する向きもいるが、これらと併せ日本は今後安保にも絡んで如何に米を巻き込みわたり合ってゆくか真価が問われる。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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