春の値上げ

新年度入りとなったが今月も幅広く値上げの動きが継続、先ず食料品は恒例の帝国データバンク調査による主要食料品メーカーにおける値上げ動向では2798品目が値上げされるが、単月の値上げ品目が2000品目を超えるのは昨年10月以来約6か月ぶりの事。個別では調味料が最も多く、次いで加工食等でマヨネーズ、カップヌードルに食用油など身近なものが幅広く値上げされる。

食料品に限らずその他でも生活密着品では大王製紙等もティッシュやトイレットペーパー等の一部を約10%値上げし、ガソリンの補助金は再開となったものの一方では電気・ガス料金は政府の補助金終了で大手電力10社、ガス4社で標準家庭向けが今月分から値上げされる。ちなみに中東情勢の影響として出てくるのは6月使用分以降に反映される見通しだが上記の食料品もまた然り。

すなわちナフサ輸入に暗雲で大手一部ではエチレン減産を開始しているが、この影響をもろに受けるのが食料品のトレーや包装材などで各方面にわたり価格転嫁の動きが出そうだ。またホルムズ海峡封鎖による混乱で原油や肥料価格も高騰し小麦の輸送や生産コスト増との見方が強まっており、シカゴの小麦先物は昨年6月以来の高値を付けておりこれまた製品へ波及しそうだ。

冒頭の帝国データバンク調査では今年に入ってから初の値上げラッシュとしているが、まだ中東情勢悪化による影響は反映されておらず今後は上記の影響が粛々と価格に出てくるのは想像に難くない。仮に中東情勢緊迫が長期化した場合は日本企業の減益が意識されることになるが、世界的なエネルギー危機にとどまらず食への波及がより一層意識されてくることになるか。


半導体企業誘致バブル

先日銀座に出かけた際に今年もまた商業地最高価格地点が山野楽器本店だったなとふと思ったが、この時期恒例の公示地価の発表では全用途の全国平均が5年連続のプラスとなりその伸び幅はバブル期以降で最大となった模様。ほか商業地では4.3%のプラス、住宅地は2.1%のプラスとなっていたが、やはり上昇率では東京圏と大阪圏が拡大し東京の住宅地などその上昇率はリーマンショックの直前以来、18年ぶりに全国で最も高くなっている。

この住宅地の地価上昇率で昨年にトップだったのがインバウンド増加を背景にした北海道富良野市北の峰町の31.3%、この富良野は毎年上位に顔を出すが今年は同じく好調なインバウンドを背景に長野・白馬村の33%が首位であった。恒常的に安く成り下がった円の影響もあり別荘やコンドミニアムなどインバウンドの富裕層需要がこんなところで生み出されている。

また商業地の上昇率1位は北海道千歳市の44.1%であったが、これは言わずもがなの半導体の“ラピダス効果”によるもの。巨額の投資で工場建設が急ピッチで進み周辺にはホテルも新規開業が相次ぐ。数年前には同じ半導体の“TSMC効果”で熊本工場周辺がバブル化していたのを彷彿させるが、同じ半導体企業でも完成形のTSMCと違って数年前に国策連合でスタートしたこのラピダスは軌道に乗るかどうかこの辺が未知数なだけに今後この辺も見ておきたい。


春闘2026

今年の春季労使交渉の集中回答日が先週にあったが、連合が目標としている5%以上の賃上げが相次ぎ先ずはプライム上場の主要製造業の6割超が労働組合の賃上げ要求に満額回答している。斯様な大企業では好調な数字が並ぶ結果となっているが、連合側としては昨年に全体の要求水準として5%以上、中小企業には6%以上、そして非正規労働者に対しては更に高い7%の目標を掲げていた。

大企業は上記の通りとして、こうした恩恵も及ばず取引先にも十分な価格転嫁が出来ていない向きもある中小企業勢にこの賃上げの動きが波及するかどうか気になるところ。昨年も連合は大手企業との格差是正を目指し6%以上所目標を掲げるも5%にも満たない結果に終わっている。今年も格差是正を目指し同じ目標を謳っているが、よりによってこの時期に中東情勢緊迫化の地政学リスクが勃発している。

この影響でにわかに我々を直撃した足元の原油価格高騰に対して政府はガソリン補助金再開など再度のバラまきで躍起になっているが、円安も恒常化しておりディマンドプル型でないコストプッシュ型のインフレがより一層加速しないのかの懸念が強まる。物価の影響を除いた実質賃金は1月に13か月ぶりにプラスとなったが、こうした好転の兆しに冷や水を浴びせるには十分である。

ともあれ働く人の約7割を占めるところの中小企業勢がどの程度大手との格差是正が叶うか否かだが、日本商工会議所の調査では中小企業の25%が今年の賃上げを行わない予定と回答している。これからこちらの交渉が本格化するのを前に暗雲だが、地政学リスクに晒される中でもこれに左右されない実質賃金プラスが定着するかどうか正念場か。


代替食品需要は如何に

毎年3月恒例の業者向け「FOODEX JAPAN」が先週末まで東京ビッグサイトで開催されていた。もう50回を超えるこの展示会だが約80の地域から食の最新情報・プロフェッショナルが一堂に集結しており、今年も本邦勢のプラントベースの豚骨風スープやこんにゃくを使った代替肉などの植物由来の原料の代替食品が数多開発されて出展されていた。

こうした植物由来の代替食品が登場して久しいが、近年では一部ラグジュアリーホテルのレストランメニューや一部ビジネスホテルの朝食ビュッフェにも登場してきている。TPCマーケティングリサーチによれば、プラントベースフードの世界市場は年々拡大を続けている。12年前の2014年には2兆円にも満たなかった市場だが2022年には3兆1372億円と3兆円を超え、2030年の予測では5兆円の大台を超えるという。

こうした事を背景に国内の食品大手も動き出しており、不二製油グループ本社では2030年までにプラントベースフードの売り上げ1000億円の達成を計画に掲げ、キューピーも既に2023年に新たなブランドを立ち上げている。また半世紀以上にわたってプラントベースフードを手掛けて来た昭和産業は代替肉の開発で培った技術を生かし肉以外の新感覚用途食材を開発しミシュラン店などに新食材を試してもらう試みも。

フーデックスジャパンの責任者は「代替食品は一時期は健康という話で増えてきた部分もあるが、昨今の物価高で肉や卵が値上がりしていることもあり代替食品はひとつの大きなカテゴリーになっている」と述べていたものの、インフレの足音が聞こえ節約志向が高まるなか、お世辞にも安いとは言えないプラントベースフードの需要の高まりがどの程度盛り上がるのだろうか?一方では額面通り受け取れない部分もあるか。


原油価格に戦々恐々

本日の日経平均はNYのWTI先物の4営業日ぶり反落が好感され、前場の上昇幅が一時600円を超えるも引けにかけてマイナス圏に沈み結局4日続落で引けた。一服とはなったものの依然としてこの原油価格への不安が根強いことの証左だが、本日の日経紙グローバル市場面では「原油100ドル続けば日経平均5万円割れ視野」と題し、原油価格が高騰すればEPSに下押し圧力がかかり日経平均の大台割れも計算上視野に入る旨の記事があった。

野村證券ではこの原油価格が年度平均で10%上昇した場合は主要企業のEPSが1~1.25%の下押し圧力がかかるとしており、昨日のWTI先物93ドル台では先月から4割超の上昇でザッとEPSには4%超の下押し圧力となる計算だ。下押し圧力と言えば一部シンクタンクの試算では原油100ドルが定着した場合には実質GDPには0.53%のマイナス、また物価上昇率は1.21%になるとされこれらへの影響も懸念される。

しかしつい先月には上記の野村をはじめとした証券大手や運用大手各社がEPSの増益を見込み日経平均株価見通しを相次いで引き上げていたものだが、1か月もしないうちにすっかりセンチメントが変わってしまっている。EPSもさることながらこれまで地政学リスクではPERも低下圧力がかかってきた経緯もあるだけに致し方ない気もするが、昨日から始まった民間備蓄放出含め補助金再開など政府が場を繋いでいる間に何とか正常化の道筋が見えてきてほしいと願うばかりだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2026

4

1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30