宝飾品にも波及

今週はグリーンランドを巡るトランプ政権と欧州の対立が警戒されるなか投資家のリスク回避姿勢が強まり金価格が急騰、ニューヨーク先物は中心限月で初めて1オンス4800ドルの大台を突破し史上最高値を更新、国内価格の指標となる田中貴金属工業の小売価格も遂に1グラム27000円を超え史上最高値を更新した。斯様な状況で米ゴールドマンサックスGは直近のリポートで今年末価格見通しを5400ドルへと上方修正している。

さて、上方修正は価格見通しだけでなく斯様な急騰を背景に今週はやはりというか挙って宝飾品も値上げが開始されている。ラグジュアリーブランドではカルティエがアイコンともいえるトリニティリングを約8.5%、戦々恐々の噂があったダムールに至ってはやはりというか30%以上もの値上げとなっている。銀の小売価格も史上最高値を更新するなかティファニーも人気のオープンハートが約9%の値上げ、平均で約5%ほどの値上げが今週から始まっている。

今週はこの手のラグジュアリーブランドに限らず国内でもスタージュエリーなどは全体の6割にあたる約1800点を10~15%値上げする。ハイブランド等はこれまでも対ユーロでの円安を理由に年数回の値上げを繰り前してきたが、これらと合せるとここ数年から10年で価格が2倍、モノによっては3倍以上に化けた商品も少なくない。背伸びして何とか購入してきた向きにはいよいよ高嶺の花になりつつあるか。

昨年の8月頃だったか1~6月期決算においてエルメスとLVMHモエヘネシー・ルイヴィトの両者で増収増益と減収減益の明暗が分かれた旨を取り上げた事があったが、その時に「~ある程度手が届く領域はそれだけ顧客の分布も多い~」と書いていたが、上記のティファニーなどこのLVMH傘下にあるだけにこの値上げの影響がどちらに転ぶのか今後の決算関係には注目しておきたいところ。


世界10大リスク2026

今年も国際政治学者のイアン・ブレマー氏率いる米調査会社ユーラシア・グループが発表する年始恒例の「世界10大リスク」が先に発表されている。日本でも多くの企業がこのサービスの提供を受けているが今年で20回目となるこの10大リスク、今年はこの10のうち1番目の(米国の政治革命)と3番目の(ドンロー主義)、6番目の(米式国家資本主義)、9番目の(USMCAのゾンビ化)の4つがトランプ大統領に絡むラインナップだ。

さて、ザッと昨年を振り返ってみると1番目に挙がっていたのが(深まるGゼロ世界の混迷)、そして2番目が(トランプの支配)であったが、国連など主要な国際機関の影響力が低下するなか米が多くの機関からの脱退を続けリーダーシップのない中で世界秩序は崩壊しつつあり、自身への反対派を次々と排除し周りをイエスマンばかりで固め行政権力の監視や法の支配も弱体化しつつあるなど概ね同グループの懸念が現実化している。

今年1番目に挙がった(米政治革命)だが、トランプ氏はこれまでもFBIから労働統計局長に統合参謀本部議長など専門職の公務員たちを能力とは関係ない政治的理由で辞めさせており、直近ではFRB議長を刑事捜査の対象にするなど業務上の独立性が脅かされている。また3番目の(ドンロー主義)だが、これは言わずもがな直近のベネズエラ大統領の拘束作戦で具体化したように西半球を米の勢力圏と主張し軍事圧力や経済的強要をもって米の優位性を高めようとしており何とも危ういものを感じる。

また10のうち2番目の(電気国家中国)と7番目の(中国のデフレ)は中国に絡むものとなっているが、特に現在の日本の貿易の最大の相手国である国のデフレは今年の日本の成長見通しにとって最も重要なリスクと指摘している。この中国、連休明けに書いたレアアース問題然りで中国依存の経済からの脱却チャンスを指摘する向きもいるが、これらと併せ日本は今後安保にも絡んで如何に米を巻き込みわたり合ってゆくか真価が問われる。


エコノミック・ステイトクラフト

高市総理の「台湾有事」を巡る発言では昨年11月の当欄で「日本に比べて切るカードが多い中国側は非難合戦で輸出規制とか次のステージに貼ってくる可能性もある」と書いておいたが、やはりというか中国商務省は軍事転用が可能な軍民両用製品の日本への輸出を全面的に禁止すると発表している。自由貿易のルールも無視するあたり中国らしく詳細を明言していないなど不透明だが、マーケットではこの辺を懸念し敏感に反応する光景もみられた。

このレアアース、「産業のビタミン」ともいわれているだけに身近なスマホ、テレビ、電気自動車から医療用MRIまでこれらに無くてはならないものだが、尖閣諸島問題の時にはこの輸出を一時停止にされている。この前年には中国からの輸入は約85%に上っていたが、この輸出規制の反省から2020年にはこれが約59%にまで縮小していたものの、半導体需要の高まりを受けて昨年は約72%にまで再拡大しており、これが規制されると経済損失は3か月で約6600億円になるとの試算も出ている。

とはいえ中国も自国の景気後退局面のなか、日本頼みの部分もある経済情勢下で自分の首さえ絞めかねない伝家の宝刀を抜くまで踏み切れるだろうか?またレアアースを使った日本の製品は世界中に流れており米も例外ではない。そう考えると日本への制裁がひいては米へも飛び火してしまい、現在は安定しかけている米中関係が再度危うくなってしまいかねない可能性も出てくるわけであくまで“脅し”の範囲とも取れるか。

こうした事態から昨日のG7でも中国依存低減へ向けて議論が為されているが、日本も既にEVでもレアアース不使用の高性能モーター開発に成功している企業もあり、昨日は国産レアアースの開発実験が行われる南鳥島に向けて探査船も出航している。中国は米制裁下にあってなおファーウェイが高性能スマホを作り上げてきた経緯があるが、日本も数々の局面下で技術的なイノベーションをもってこれを乗り切ってきた経緯があるだけにこれらの今後の動向には大いに注目しておきたい。 


福袋も体験型に

さて、「働いて働いて働いて・・・」と連呼する人もいるが、働き方改革が浸透し元日営業を止める向きも多くなったなか、大手百貨店でも今年は3日からという向きも出てきている。百貨店といえばマグロ初競りと並んで今月の風物詩として「福袋」がある。昨年のお歳暮商戦では“お試し”など「体験価値」を提供する向きも多くこれが一つのポイントであったが、今年の限定福袋も体験型が主流となっている感がある。

高島屋では今年の干支である馬に絡めて競走馬デビュー前の育成馬の1口馬主として牧場見学や馬主席での観戦ができる馬主気分が味わえる福袋を抽選販売、今年で開店100周年を迎える松屋銀座では、銀座と浅草に居を構えていることから銀座でスーツの仕立てに浅草観光など6つの複数体験が出来る福袋や、銀座の老舗和菓子店で和菓子作りができる体験福袋を販売、また東武でも今年の干支にちなみ乗馬体験ができる乗馬体験&記念撮影の福袋を販売した。

しかし福袋と言えば一昔前はファッション系が花形でそれも中身に何が入っているか分からないものが多く、それでもそんな不透明さ?が楽しみの一つでもあったわけだが、消費喚起のスタイルが変遷した今、何とも多彩な内容に変わったものだ。令和に変る境目くらいからコト消費モノも進化してきた感があるが、今後も体験価値やお得感を明確にする戦略で各社が鎬を削る動きが継続しようか。


初競り史上最高額

昨日記の通り東証は景気の良い大発会となったが、日を同じくして年初の風物詩として「マグロの初競り」が行われた。昨年は過去2番目の高値落札となったが、今年はこれを大きく上回るなんと5億1030万円で競り落とされた。これを見事に落札したのがかつてのコロナ禍前まで常連であったすしざんまいの「喜代村」、コロナ禍を境にONODERAフードサービスの後塵を拝していたが、6年ぶりに表舞台に返り咲いた。

満を持しての返り咲きといった感じだが、それにしても5億超とは凄い。そのまま価格転嫁したら一体一貫幾らになるかだが、すしざんまいでは通常価格での大盤振る舞いを実施。ちなみにだがこの配分、荷受けの東都水産が6.5%、地元漁協力に5%、青森漁連に1.5%が払われこれらを差し引いて約4億4千万がこのマグロを釣ったところに行く計算、ガッツリと税金が徴収されるもののまあそういった感じでなんとも景気のいい話だ。

さてマグロほど注目を浴びないものの、この日はサクランボの初競りも行われておりこちらも「佐藤錦」が1箱155万円と史上最高額の落札となった。史上最高額同士で比較してみるとマグロの方は1グラム約2100円だが、こちらは約3100円とマグロより高額な計算に。そんなことは兎も角も1番マグロが1億円を超えた年の日経平均上昇率は二桁を超えるパフォーマンスのアノマリーもあり「午尻下がり」を撥ね退けるのか注目したい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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