アンハッピー?セット

本日の日経紙ビジネス面にも「ハッピーセット転売問題」と題し記事が載っていたが、毎度この企画をやるたびに物議を醸しだしているマクドナルドの子ども向けメニュー「ハッピーセット」。今回9日からスタートした人気トレーディングカードゲーム・ポケモンカードが2枚付くハッピーセットもやはりというか炎上騒ぎとなっている。

今年でいえば2月の「星のカービィ」、5月の「ちいかわ」の時も転売ヤーの暗躍でこの企画は早期終了となりフリマサイトでは大量の品が法外な値段でズラリと並んだ経緯があったが、それらの対策を踏まえ共同対策を謳っていたはずの今回も全くと言っていいほど効果なしで、店や道端のいたる所にカードだけ抜きとられ誰も食べてくれないハンバーガーの放置や廃棄が多数見受けられる毎度おなじみの事態を引き起こしている。

同社はこれを受け早速公式サイトで謝罪し再発防止策を謡っているが、2月と5月の騒動を経て個数や年齢などいくらでも調整が出来たはずだが、3度目もこんな有り様なだけにやはり性善説頼りの策も限界だろう。いくらマックが社会貢献を謳っていても、この企画をやるたびに転売やフードロスが話題になっているさまはそのブランドイメージにもネガティブに作用する。

そういえばフリマサイトに並ぶマクドナルド関連モノといえば最近では偽造された株主優待券の流通もまた問題になっている。転売ヤーや偽造集団が元凶なのは間違いないところでもあるが、上記にも書いた通り企業のブランディング維持という側面からもマックやフリマサイト運営会社はじめ各所は早急に実効性のある対策が求められるというもの。


エルメス一強

先週末の日経紙ビジネス面には「勝ち組はエルメス・プラダ」と題し、ラグジュアリー業界の2025年1~6月期決算では仏エルメス・インターナショナルが増収増益となった一方で仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンと仏ケリングなどは減収減益と明暗が分かれた旨の記事があった。消費者が財布のひもを締める逆境下で高級ブランドとしての“底力”の差が出たとの見方があるという。

これを如実に表すかのように今年の春先にはエルメス・インターナショナルの時価総額はLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンを抜き去り、今や日本企業の時価総額トップに君臨するトヨタ自動車のそれをも抜いてきている。エルメスといえば“バーキン”がもう代名詞のような存在となっているが、先に行われたサザビーズのオークションではこのバーキン第一号がハンドバッグとして過去最高額の800万ユーロで落札されたのが記憶に新しいところ。

エルメスのブランディングで直ぐに頭に思い浮かぶのはやはり伊フェラーリだろうか。共に需要に対してある一定割合の少なさで生産調整しており、バーキンクラスになるとオファーがかかるのも購入履歴等の積み上げ如何にかかってくるというのが暗黙の了解となっているとか。厳格に管理された販売手法とその希少性により、これまたフェラーリの各種モデルと共にリセールバリューもラグジュアリー界では常にトップクラスを誇る。

当欄では今から14年前の2011年にも自動車業界が減産体制を強いられていた件を書いた際にフェラーリとBMWで明暗が分かれたのを取り上げていたが、そこでは「~要は或る程度手が届く領域のある部分はそれだけ分布も多いので不況の影響はやはり避けられないと~」と書いていたが、冒頭のエルメスとルイヴィトンはまさにこの構図だろう。一部大手外銀では高級ブランド業界の低迷が26年後半まで続くとの予測が出ているが、優勝劣敗が更に鮮明になってくるかどうか注目される。


産業化への道筋

本日の日経紙総合面には、住友ファーマがパーキンソン病を対象としたiPS細胞由来の医薬品候補について厚労省に製造販売承認を申請した旨の記事があった。iPS細胞といえば皮膚や血液の細胞に特定の遺伝子を導入して培養する事であらゆる組織や臓器の細胞に分化出来るようにした細胞だが、2007年には京都大の山中教授がヒトからの作成に成功し臓器や組織の機能を再生できると今後に期待が高まっていたもの。

これを囃して昨日の東証プライム市場に上場している住友ファーマの株価は年初来高値を更新していたが、4月の関税ショックの時に付けた安値からはや約2.8倍近くに化けている。iPS系では他に東証グロース市場に慶応大学発ベンチャー企業でiPS細胞を用いた心筋再生用心筋球のHeartseedも上場しているが、こちらもまた4月の安値から6月の年初来高値まで同じく約2.8倍に高騰しており期待の高さがうかがえる。

しかしiPS細胞といえばつい先日も内閣府の生命倫理専門調査会がヒトのiPS細胞から受精卵を作成する研究を認める事で大筋合意した旨が報じられていたが、現在のところこの分野では日本が世界を主導している。冒頭の山中教授がノーベル賞を受賞した翌月には当時の安倍首相が巨額の研究費を約束した経緯があったが、世界中でこの手の技術開発が激化してきているなかここから産業化まで日本が主導出来るかどうか国の後方支援も今後要になってくるか。


金融課税扱いの是非

さて、金融審議会の作業部会では先週から暗号資産に関する法制度を見直すための議論が始まっている。仮想通貨が主に投資目的で取引されているのを受け、金融商品取引法に位置付けて利用者保護を図るが、インサイダー取引の規制の新設などが論点になるという。今年末に向けて議論を取りまとめて、来年の通常国会での金商法など関連法の改正を目指す意向だ。

米連邦議会では仮想通貨関連法案が成立し次なる法案整備にも期待が集まっているが、今や暗号資産全体の時価総額は直近1ヶ月で約7500億ドル増加し4兆ドルの大台を突破してきている。米企業では先行して仮想通貨備蓄の動きが出ていたが、最近では当欄でも取り上げた通り国内もグロース市場の上場企業一部にもそうした戦略的備蓄の動きが活発化してきている。

そうしたなか冒頭の議論開始の前日に、暗号資産の業界団体である日本暗号資産等取引業協会と日本暗号資産ビジネス協会が金融庁に対し税制改正要望書を提出している。個人投資家にとってはこれが一番関心のあるところだろうが、現在主要国ではスイスやドイツ(1年以上保有)、シンガポール等は非課税、米(1年以上保有)や英では約20%となっているなか、日本はいまだ雑所得扱いとなっているだけに申告分離課税に向けての進展があるか引き続き注目される。


基調的な物価上昇率の一部

さて8月入り。月初め恒例の値上げ状況だが、今月も値上げは続き帝国データバンクによる主な食品メーカーにおける今月の飲食料品の値上げは1010品目。単月の値上げ品目数としては3か月連続で1000品目以上の推移となり、1月からは8か月連続で前年同期を上回るなど依然として値上げの勢いは去年より強く連続増加期間としては記録的な値上げラッシュとなった2023年を上回り最長を更新する事となった。

個別では「調味料」の470品目が最多となり、次に「乳製品」の281品目となるが、明治や雪印メグミルクに森永乳業の大手三社によつ葉乳業は生乳価格見直しで牛乳やヨーグルト等を値上げする。この牛乳の他に朝食価格指数に影響を与えそうなモノでは7月に続いてコーヒー関連もネスレや外食ではタリーズ等で値上げ、またコメ価格高騰を背景に岩塚製菓では米菓10品の価格を改定し、サトウ食品も同様の理由で約11~20%の値上げをする。

斯様に依然として原材料費が値上げ要因となっているものも絶えないものの、冒頭に書いた値上げラッシュに沸いた2023年と比べるに人手不足に伴う人件費上昇などを背景にしたものも依然強い。こうした粘着性圧力を背景に価格上昇も一過性ではなく長期にわたり継続する可能性が高く、所謂日銀の言うところである“基調的な物価上昇率”の範疇にも既になってきているか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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