インフレ功罪

先週に総務省から発表になった7月の家庭で消費するモノやサービスの価格の動きを示す指標である消費者物価指数は、変動の大きい生鮮食品を除いた指数が去年より2.4%上昇した。上昇率の2.4%は消費税増税の影響を除くと13年11か月ぶりの水準で、日銀の目標としている2%を超えるのは4ヵ月連続となる。

斯様に消費者物価指数が2%を超える伸びを続ける中、更に高い伸びとなっているのが企業同士で取引される原材料等のモノの価格である企業物価指数で、先に発表された7月のそれは前年同月比で8.6%の上昇と17カ月連続で上昇、依然として乖離も大きなものとなっており企業側が仕入れコスト上昇分を吸収し価格への転嫁が進んでいない事を示している。

しかし国内事情はそれとして欧米では高いインフレが広がっている。米の7月消費者物価指数は8.5%の上昇、英のそれに至っては10.1%の上昇と40年ぶりの高水準となっている。個別で比較しても日本では目立ったところで電気代が19.6%、ガス代が18.8%の上昇であったが、英のそれは電気代が54%、ガス代に至っては95.7%とケタ違いである。

欧米は景気に勢いがあるので賃上げも進んでおりインフレの良し悪しも難しいところだが、売り上げ増や賃上げ実現という経済の基盤になるのも事実。企業は何とかコスト上昇分を出来るだけ価格に転嫁する事で適正な利益を確保し、少しでもスタッフの賃上げに繋げてゆくなど経済の好循環を作る事を目指すのが引き続き課題となるか。


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