低金利前提の崩壊

さて、先週アタマに取り上げた通り政府は次期日銀総裁に経済学者の植田氏を起用する人事案を国会に提出している。10年にわたり異次元緩和を頑なに続けてきただけに各所のランディングも容易で無いのは想像に難くないが、いまや経済活動自体も低金利を前提としたものが定着してしまっているだけに今後予測される金利上昇局面で各所ではいろいろと影響も出てこようか。

地銀など長引く低金利環境から本業の預金利ざやで稼ぐ銀行のビジネスモデルが通用しにくくなるなか、債券など市場運用に注力し営業部隊は手数料の高い「仕組み債」の販売に傾斜してきた。日銀が年末に長期金利変動許容幅を拡大した事で個人は住宅ローンの固定金利で負担増になるとか懸念されているが、他にもネット銀行などが提供する定期より高金利が売りの「仕組み預金」などは不利になり易いなど様々な金融商品にも影響が及ぶ可能性もある。

またこの長期金利上昇で地銀が保有する国債等の含み損は昨年9月末から年末までで倍増し、仕組み債の方はもう言わずもがな政府や金融業界一丸となって投資家保護へ舵を切る動きが顕著になってきた。保有債の含み損は拡大するわ営業収益の主力だった仕組み債も今後はこれまでのような販売は出来なくなるわとまさに泣きっ面に蜂といった感じだが、メガバンク勢の株価が軒並み復活している姿と併せ悲哀こもごもの光景である。


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