ステルス系増殖
このところまるで新興国通貨を見ているような円の変動ぶりだが、今後食品価格への影響など出てくるのだろうか?ということで恒例の今月の値上げだが、帝国データバンクによれば主な食品メーカー195社における今月の飲食品値上げは642品目。これで8か月連続で前年同月を下回ることとなり、平均値上げ率は12%と今年に入ってから最も低い水準となった。
全食品分野で最も多かったのは「加工食品」で319品目、輸入小麦高騰を背景にニップンの小麦粉や昭和産業のホットケーキミックスなど製粉大手3社が粉製品など約230品目を値上げする。次いで「菓子」、引き続き原料となるカカオ豆の価格高騰を背景にロッテはコアラのマーチなど74品を値上げなどチョコレート製品の値上げが中心となる。
チョコレートといえば今年の3月にはカカオ豆先物価格がNY市場で銅価格を上回ったのが話題になったが、そういえば週明けの日経紙一面には「バイオ技術で代替食品」と題し明治HDがチョコレート原料のカカオを細胞培養しこれを使ったチョコレート風食品を米国で発売との記事が出ていた。これまでの食生活が数年後、数十年後も当たり前とは限らないことさえ考えさせられる記事だ。
ところで冒頭の平均値上げ率に見られる通り、最近では値上げ後の商品の買い控えなどが見えることで価格の引き上げから内容量減量などの所謂ステルス系も目立ち始めている。昨日発表された実質賃金は前年同月比1.1%増加で2年3か月ぶりのプラスとなるも、6月実質消費支出は前年同月比1.4%の減少と2か月連続で減少となった。収入増でも物価高から節約する動きが続いており、値上げの勢いは更に後退してくるかどうか注視したいところ。