DEIと日本企業

一昨日の日経紙一面・春秋では、近年多くの米国企業が掲げるDEI推進活動が日本に波及していたものの、本家のほうで急ブレーキがかかっている旨が書かれていた。DEIに関しては当欄でも年末に逆風が吹いている旨を書いていたが、昨日当欄で「世界10大リスク」を取り上げた文中でも米大手企業がDEIに否定的なトランプ氏に配慮しこれらの施策を廃止する動きも出ている旨を書いている。

既に昨年のうちにDEI関係への取り組みの廃止を表明している「ウォルマート」、「ボーイング」、「スターバックス」等々に加え、年明け早々には米「マクドナルド」もこれまで2025年までに世界で管理職に占める女性比率を45%、人種的・性的少数者の比率を30%に引き上げる事などの数値目標を取りやめることを発表し、その数日後には米「メタ」もDEIの実現を目的とする複数の施策を廃止すると明らかにしている。

また「フォードモーター」も昨年のうちにDEI評価のため外部組織が実施する企業調査への参加を中止しているが、この自動車業界では日本企業大手にもこの波が押し寄せてきている。例えば「トヨタ自動車」は性的少数者団体HRCが実施する企業平等指数への参加取りやめを表明し、「日産自動車」もまた企業平等指数への参加取りやめるほか、人種公平性を重視したイベントの資金提供も見送ることを表明している。

とはいえ日本企業でもDEIを廃止する事のリスクを考慮し商社や重電の一部はDEI方針の変更はしないと表明しているところもある。やりたい放題が懸念されるトリプルレッド状態の次期トランプ政権、確かに似通った属性の人が意思決定を担うこうした構図がそのまま大企業に続々波及してくるリスクも懸念されるが、今後もステークホルダーと保守層を天秤にかける苦悩の場面が出て来ようか。


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