日本の宇宙ビジネス

さて、昨年11月にはJAXAの「イプシロンS」がエンジン燃焼試験中に爆発して昨年度中の打ち上げ断念となったが、その1か月後にもスペースワンの小型ロケット、「カイロス」2号機が3月の初号機打ち上げ失敗に続いて同じく打ち上げに失敗している。宇宙ビジネスや開発の難しさを物語るが、そんな中で先週はアイスペースが開発した月着陸船「レジリエンスランダー」を搭載したスペースXのロケットがケネディ宇宙センターから打ち上げられた。

同社は高頻度で低コストの月面輸送サービスを目指しているが、同社もまた2022年に打ち上げた初号機は制御システムの不具合から月面着陸失敗に終わった経緯がある。小型探査機等でさまざまな技術を月面で実証する計画で、着陸後は月の砂の採取を行いNASAに有償譲渡もするというが、着陸は5~6月ごろの予定で成功すれば日本の民間企業として初の快挙となる。

一方で米国では昨年10月にマスク氏が率いる民間企業スペースXがブースターを発射台に回収することに成功し再利用に一歩前進している。次期大統領のトランプ氏は1次政権時に有人の月面調査を目指す「アルテミス計画」を始動させたほか、軍事部門に宇宙軍を設置するなど宇宙産業に意欲的だったが、今週から始まった第2次政権でも同計画の推進などに注力するものと思われる。

その期待を映すかのように米市場では宇宙関連銘柄のETFなどが昨年の大統領選挙後にS&P500をアウトパフォームする上昇となっているが、宇宙市場の経済規模は2030年に1兆ドルを超え世界の半導体売上を上回る巨大市場に成長するとの見方もある。日本も30年代に宇宙ビジネスを20年比倍の8兆円規模に成長させることを目指しているようだが、そういった意味でも先ずはこの月面着陸の成功に期待したいところだ。


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