春闘2025
先週は今年の春闘で大企業が労組に回答を示す山場となる集中回答日を迎えていたが、自動車や電機などお約束のように満額回答が相次いだ。ザッと挙げても電機大手では日立製作所、NEC、富士通が満額回答、賃上げ相場をけん引してきた自動車ではトヨタ自動車が5連続の満額回答となった他、トヨタグループのデンソー、アイシンなども集中回答日を待たずに満額回答の結果となっている。
また外食や流通の労組が集まるUAゼンセンも満額回答がズラリと並び、昨年に過去最高の賃上げを行った牛丼チェーンすき家のゼンショーHDは定期昇給を合せた平均で11.2%の賃上げで妥結したほか、すかいらーくHDは定期昇給も合せて満額の回答、2014年に再上場した同社だがこの再上場以来最高水準の賃上げとなり、株価の方も本日は3000円の大台を超えて上場来高値を更新してきている。
さてこの大手の賃上げの動きが中小に波及するのか否かだが、中小企業の賃上げの状況は価格転嫁を進めて賃上げが出来ている企業と、コストが上昇しても価格転嫁出来ず賃上げ原資がなく破綻する企業があるなど二極化の様相という。実際に帝国データバンクの調査によれば高い賃金を求め他社に移られて従業員不足から破綻する従業員退職型倒産は昨年過去最高になった模様だ。
この集中回答日に併せ石破総理は政府と経済界、労働団体と共に政労使会議に臨み、今後の中小企業や小規模企業の賃上げに向け政策を総動員すると強調し述べていたが、この辺に絡んでは中小企業がうまく価格転嫁出来るよう発注側の大企業が受注側の中小企業と協議せずに取引価格を決めることを禁止する「下請け法改正案」の閣議決定など、これらも後押しするかどうか期待したいところだ。