137ページ目   雑記

追加売却への壁

さて、先週末の日経紙マーケット面の銘柄診断では2020年3月期の連結純利益予想の上方修正を好感し4か月ぶりの高値となったかんぽ生命株が取り上げられていたが、このグループでは日本郵政株の上昇をもっとも願っているのが復興財源確保を狙っている他ならぬ政府の面々だろうか。

かんぽ生命が4か月ぶりの高値を付けた先週末はこれにツレ高し出来高を急増させながら反発していたとはいえ、前回同様の件を取り上げた7月末の株価から3カ月以上経ってなおほぼ同値水準と冴えない。政府が売却予定の保有株で4兆円計画の残り1兆2千億円以上を確保するにはやはり前回同様、売却までの需給緩和を勘案しても10%以上の値上がりが最低ラインとなってくる。

斯様な状況で追加売却に向けた政府の作業も事実上ストップしている状況だが、先ずはグループ全体のコーポレートガバナンス体制の再構築が何所で一区切りつくのかが焦点となると前回書いた通り、投資家の不透明感が払拭され信頼が戻ってこない限り株価の回復も覚束無いだろうか。


遠のく風物詩

今週は某回転寿司チェーンの前を通った際に「価格高騰なんのその!かに祭り」なる宣伝を見掛けたが、カニといえば先週解禁された日本海のズワイガニ漁の初セリでは鳥取港での競りでブランドカニ「五輝星」が、カニの落札価格としてはギネス記録を塗り替える世界最高値500万円で競り落とされた旨が各紙で取り上げられていた。

ちょうど昨年の今頃に当欄では「季節の味覚が危うい」と題し、ズワイガニとタラバガニの輸入価格が過去最高値となっている旨を書いたが、アジア諸国の嗜好変化に加え日本海では今年も稚ガニの数が過去20年間で最低の水準と生息数は減っており資源量は2年後までに更に2〜3割減る見通しと先週の日経紙にも出ていた。

ウナギの高騰はもう何度も取り上げているが、先月末はサンマが鯛よりも高くなった旨を書き、このカニも昨年に続いての高騰と通年で丑の日、サンマ祭りや鍋におせち等々節目のイベントに不可欠なモノが次第に高根の花になりつつある。競り落とされた冒頭のカニは銀座の料亭に出荷されるようだが、こういったブルジョワ向けは兎も角も一般向け水産物も受難の時代になりつつあるか。


仮想通貨操作

さて、直近ではスノーボードの元オリンピック選手が大麻取締法違反の疑いで逮捕されたというショッキングなニュースがあったが、今朝のTVでは有名な金融トレーダーのKAZMAXなる人物が麻薬取締法違反の疑いで渋谷区にあるクラブから出てきたところを逮捕されたというニュースが流れていた。

同氏は仮想通貨の売買が盛んだったビットコインバブル期に所謂マスコミが煽った”億り人”なる造語と共に頻繁に取り上げられたが、その勢いに乗じて同氏に肖りたい投資家を集めた会員制オンラインサロンを立ち上げ最盛期には5000人を超える会員を煽り”サロン砲”なる価格操作の手口を使い仲間内で私腹を肥やしたという黒い噂が報じられた事もある。

ところで仮想通貨の意図的な操作といえば、先週は米の大学教授らによって或る特定の市場参加者がテザーを使ってビットコイン価格の操作を行っていたとする論文が発表されている。その規模は両者で全く違うものの、国内では仮想通貨は金商法の対象外となっている事で罰則は無いだけに改正法施行まで先行参入した向きの中にはヤリ得だった輩は相当数居るのは想像に難くないか。


1%包囲網

先週末の日経紙夕刊・十字路では「外為法改正 悪魔は細部に か」と題し、10月に閣議決定された国の安全上重要な企業に対し株式の保有比率が10%以上になるなら事前届け出を求めてきたものを、1%以上と厳しくし外国資本からの出資規制を強化する外為法改正案が書かれていた。

ここでは中国を念頭に米などと歩調を合わせて目を光らせるという米に忖度する旨も書かれていたが、もう一つ近年は株主要求が通り易くなったのを背景に重要提案を目的とする株式の新規・追加取得の集計が過去最高水準になっているのにみられるように、世界の「物言う株主」が日本企業への投資を増やしている事への防衛?の観測も一部出ている。

この事前届け出対象となる株式保有割合をG7各国で見てみると緩いところでフランスの33.3%、従前の日本と同様の10%がドイツ、もう少しキツいところでイタリアの3%があると先月の日経紙にも書いてあったが、この3%前後でも企業への重要提案が通る事例もあるだけに1%という数字を弾きだしたのにも合点がゆく。

とはいえ機関投資家への配慮から経営参画しない投資については免除が新設されているものの、その具合的な線引きや審査の実効性など課題は多い。上記のように安保上のリスク管理の側面と投資誘致の規制緩和のバランスをどう図ってゆくのかまだ紆余曲折がありそうな感も否めないところ。


フォーエバーではなかった?

本日の日経紙社説には「流通業は閉鎖の次の一手を」と題し、冒頭はアパレルなど流通業に店舗閉鎖の嵐が吹き荒れているとの書き出しであったが、店舗閉鎖といえば先月末で米フォーエバー21が日本の全店舗の営業を終了し完全撤退した。完全閉店セールと題しファストファッションとはいえ全品50円の張り紙と併せ空虚な在庫処分そのものの様相を呈していたが、さほど話題にもならずにひっそりと消えゆくさまは開店当時に想像も出来なかった。

思い出せば今から10年前に当欄では黒船来襲の如く同社がH&Mと共にファストファッション市場を席巻、激戦区の原宿に1000人を超える列を作って出店を果たし当時の松坂屋銀座店でもグッチが撤退した後にココが入る運びの旨も書いたが、まさに盛者必衰とは斯様な光景のことか。

ココはイオンモール等のSCにも入っていたが米国では消費を牽引してきたSCがそれらを支えてきたテナント小売店がネット通販に押され集客力低下を背景に苦境が鮮明になっており、国内もゾゾタウンなど新興ネット勢の破壊力は凄まじかったがSCのみならず百貨店との蜜月関係も破綻しつつある。

ファストファッションの中で成長率を維持しているのが唯一ユニクロくらいであるが、他の競合も近年はエシカル消費の流れでファストからH&Mが先行したエコやZARAが取り組むサステナブルへと傾斜しつつある動きも見られる。生き残った新興勢もまた新たなフェーズに入って来たというところか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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