21ページ目   雑記

4位陥落

先週に内閣府がGDPを発表しているが、物価の変動が反映されより生活実感に近い2023年の名目GDPは5.7%増えて591兆4820億円と過去最高額となった。とはいえ予てから予測されていた通りこれをドル換算すると4兆2106億ドルとなり、ドイツの4兆4561億ドルを下回って世界4位に後退することとなった。

低成長が続いている事に加え、円安の進行でドル換算した場合の規模が目減りしたことも影響し世界3位の座をドイツに明け渡すことになった構図だが、2010年に次ぐ陥落で気が付けば2ランク下がった。この3位に陥落の時は実に42年間にわたって世界第2位の経済大国の座を保ってきただけに、それを中国に明け渡すことになった衝撃が走ったのを思い出す。

OECD(経済協力開発機構)など人手不足を展望しさまざまな雇用促進を日本に提唱しているが、そのOECDの加盟38か国中でも2022年の日本の一人当たりGDPなどは年末に書いたように前年のイタリアに抜かれ比較可能な1980年以降で最も低い21位に陥落、先進7か国でも2008年以来の最下位に沈んでいる。

購買力平価で試算した名目GDPはまだドイツを上回っているというから左程悲壮感は無いという向きも居るものの、この低成長に円安が続けば来年にはインドにさえ抜かれると指摘する声もある。連続のマイナス成長となっているのを余所に日経平均はバブル期の史上最高値を指呼の間に捉え沸いているこの解離感をどう捉えるか、いろいろ考えさせられるものだ。


Valentin’s2024

昨日は毎年恒例のバレンタインデーであったが、先週末の日経紙マーケット総合面では「足りぬカカオ豆争奪戦」と題し、商戦真っただ中のなかチョコレートの原材料であるカカオ豆の国際価格が主要生産国の天候不順による供給減や、旺盛なチョコレート需要を背景に足元で過去最高を更新するなど高騰が止まらない旨の記事があった。

そんなワケで今年のバレンタインチョコは帝国データバンク調査によれば去年に比べて平均で4.5%の値上げとなった模様だが、このバレンタインデーに向けての前哨戦ともいえるこれまた恒例の「サロン・デュ・ショコラ」はこの程度の値上げが霞むほど強気な価格帯ばかりが勢揃いしてなお今年もまた変らず盛況で、今年は特にパティシエによる実演販売などこの期間や場所でしか味わえない“トキ消費”の特別感を謳った百貨店が目立った。

これらイートイン意外のラインナップでは、今の時代を反映してか大手の明治がカカオの可能性を追求すべく廃棄されてしまうカカオ豆の皮から抽出したカカオセラミドを使ったチョコレートやドリンクを登場させ、チョコレートの製造過程で取り除かれるこのカカオハスクをアップサイクルした「CACAO STYLE」のベースやコースター等もお披露目していた。

冒頭の通りの需給逼迫等から新興のスタートアップ勢等では代替材料を用いてチョコレートを製造する動きも出ているが、個人的には何でも代替素材にする昨今の食には時として辟易してしまう。しかしながら上記の明治のようにこれまで廃棄されていた部位等を活用する試みは、消費者にサステナブルなソリューションとして受け入れられるのかどうか興味深くこの辺の今後には注目したいところだ。


山の上ホテル休業入り

本日の日経紙一面の春秋でも触れているが、名だたる文豪が愛し定宿としてきたあの1954年創業の老舗「山の上ホテル」が、建物の老朽化を理由にレストランも含め12日の営業を最後に昨日から休業に入った。再開時期も未定とのことで、支配人曰く「今後再開したとすればまた山の上ホテルらしいおもてなしを提供したい」と述べていたが、さてどうなることやら。

ところで山の上ホテルといえば言わずもがな食通だった池波正太郎も好物であったココの天婦羅が有名だが、いざこのロケーションで食べられなくなると思うと寂しいもの。この天婦羅以外にも全てにレトロ感漂うパーラーのババロアや時代に逆行した固めのプリン、ロングマカロニのグラタン等どれも美味しかったものだ。

しかしたまにしか行かないホテルでもいざ閉館やら休業やらとなるとそこのお気に入りだったメニューが食べられなくなるとの思いで寂しくなる。一昔前なら銀座のホテル西洋銀座、近年であれば開業50周年という節目を前にしてコロナ禍が直撃して営業を終了してしまった九段下のホテルグランドパレスもその類だが、何らかの形でのまたあの味との再開が叶う日が来ることに期待を寄せたい。


大型再編の号砲か?

当欄では昨年の10月に「再接近?」と題して、ツルハHDの株主総会で物言う株主が創業家役員の再任に反対し独自の社外取締役を設けるなどの株主提案をした一件を取り上げた事があったが、結局この時ツルハHDと資本業務提携を結んでいる大株主のイオンはツルハHD側に寄った格好で否決の決着となっていた。

あれから半年、先月末にイオンはこの時の投資ファンドからツルハHD株を取得する交渉に入ると発表している。新聞の折り込み広告でウエルシアHDが入っている日は必ずといっていいほどツルハの広告も同じく入るが、現在大手ドラッグストアの売上高は1位がウエルシアHDで2位がこのツルハHD、そして3位がマツキヨココカラ&カンパニーとなっているが、前述したようにウエルシアHDとツルハの大株主には共にイオンが君臨する。

上記の通り去年の株主総会ではファンドに賛同しなかったイオンであったが、当欄では末尾で「~場所によっては同社が出資するドラッグストア同士の競合も発生しており、今後も物言う株主の経営改善圧力は弱まる事はないであろうことを考えるとそういった圧力が結果的にイオンの背中を押し更なる再編に向けての動きが起きるかもしれない。」と書いていた。

結果的に前回当欄で書いたことが具現化した格好になったが、この度の経営統合が為されれば1超円規模同士の統合で実に売上高2兆円規模の巨大ドラッグストアの誕生となる。投資ファンドのオアシスがツルハ同様に株主提案をしたアオキスーパーも、年明け早々にMBOを実施すると発表しTOBが成立すれば上場廃止へ。飽和状態といわれて久しいこの業界だが、次のまた新たな再編劇が水面下では進行している。


市場席巻の生成AI

米巨大IT企業の2023年10~12月期の決算が出揃い、マイクロソフトは先の2023年10~12月期決算は売上高が四半期として過去最高を記録、アップルは2023年10月~12月期の決算が5四半期ぶりに増収増益となっていたが、昨日の日経紙社説には「AI時代に競争に入った米巨大IT企業」と題して、世界のテクノロジー産業に大きな影響力を持つ巨大IT企業の主戦場がスマホからAIに移り変わったと認識すべきとの旨が書いてあった。

それもその筈で生成AIの市場規模は2022年が推定で398億ドルであったものが、大手証券系ではそれが今後の拡大により2027年は0.4兆ドル規模の予想、2032年予想では1.3兆ドル規模に拡大が見込まれているとの試算を出している。実に2032年にかけて市場規模は約33倍、年率平均で42%の成長が予想されているからこれは凄い。

米の時価総額ランキング1位に君臨するのはマイクロソフトだが、同社の株価上昇率は1年で65%にも達し時価総額は24日に初めて3兆ドルを突破したのは周知の通りで史上初の4兆円企業が視野に入っている。2位はアップル、3位はアマゾンだが、元々本業で住み分けが出来ていた彼らも生成AIがこの領域に浸食し安定的な構図も変わりつつある。

大手が挙って新興生成AI企業に投資をし始め、更に大手から投資された企業がまた別の新興AI企業に出資するなどでこうした競争激化でAIはますます洗練化される構図か。経産省も国内の生成AI開発を支援する旨を表明、海外勢が先行する生成AI基盤の国産化を促すとしているが先行する米市場の背中はまだまだ遠く見える。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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