332ページ目   雑記

名門のいばらの道

昨日の日経紙・経営の視点には「反面教師のコダック破綻」として、技術の種追求は日本の長所と記してあり、異分野への展開や内部留保の使い道がコダックとは相違しこの辺が日本企業の場合奏功したと載っていた。かつてそのブランドの上に君臨した名門米企業破綻例ではこのコダックの他にGMもあったが、今やトヨタをも抜き復活の芽が出始めたGMとは違って同社はいばらの道が続くともいわれている。

この辺は競争が激しいIT業界にあってデジタル方面への事業転換や遺産切り売り等だけでは容易ではないというあたりに起因するものだが、確かに消費者相手のデジタル機器においては特許や技術が絶対的優位を持たないのはアップルなんぞを見てみるに一目瞭然である。苦戦を強いられているソニーはこの数でベスト10入りしているが、アップルなどベスト30にも入っていない。

今やわずか数年前に創業した企業がIPOし、名門と肩を並べる時価総額をあっという間に創出するのは珍しくない時代、コダックの破綻は最近では停滞の要因にされる日本的経営の美質と可能性を再認識させると同紙の末尾には書いてあったが、急成長勢の台頭でコダック同様の事例が出る可能性も依然秘めているといえよう。


所詮泥鰌に笊

さて、昨日日経夕刊一面には消費税6%分不足と出ていたが、同紙以外でも最近この手の見出しがやたらと目に付くようになった。増税に向けて下地作りに余念がないといった感じだが、官僚クラスの増税行脚もなにかこう茶番にしか映らない気がしてならない。

そもそも何故にこの時期かという疑問は各方面から出てきて当然といえようが、だいたいそれ以前に公約の反故が甚だしい。以前に触れた年金の段階的引上げにしてもそうだしこんな姑息な下地作りをやる前に、以前にも書いたように歳出が悪の巣窟なワケだからここから手を付けるのが筋だろう。

もとはといえば増税以前に責められるべきはこちらの方といったところだが、結局政権を執れば既得権とべったりといういい事例、削減一つとっても民間企業のような血の滲むような努力が出来るワケでもなしといったところか。


春節消費

本日の日経平均は戻り売りに遭いながらも僅かに締まったが、そんな中で本日はイラン制裁の思惑などもあって業種別上昇率トップとなったのは海運セクター。懐かしいこのポストの仕手株群が急騰となったが、反面昨日まで2日連続のストップ高となった東天紅は利食い売りに急反落となっていた。

さてこの東天紅、確かにPBRは僅かに0.5と安いことは安かったワケだが昨日までの突如の急騰は、中国の旧正月である「春節」休暇の中国人観光局への期待が囃されてのものとか。安易といえば安易だがなんでもテコにしてしまうのが今の相場、ところでこの春節に絡んでは百貨店も先週末などレイアウトや案内を明らかにソレ向きに変更しているのが目立った。

欧州債務危機くすぶる中を欧米人に代わって各方面活路を見出す先はやはりまだ中国。百貨店レイアウトで思い出したが、ことファッション業界などの力の入れようは欧州ブランド中心に半端でないらしい。バブル期を代表したブランドが日本撤退する一方で中国戦略を拡大していたのは記憶に新しいが、そのうちこれらのテイストもシノワズリ系に傾斜した形で日本再上陸などということがあるかもしれない。


相違点

昨晩の米株式は良好な経済指標や企業業績を受けて買われ12,500ドル台へと続伸、これは昨年7月末以来約半年ぶりの高値である。またこの辺は欧州株式も同じ歩調となっており、特にDAXなどは順調に値を伸ばしている。

昨年はトリプルAに君臨した米国債格下げショックがあったものの、米国株は昨年年間で約5.5%の上昇と3年連続でプラス、DAXも昨年のボトムを見れば約20%高と悲壮感は感じられない。欧州危機後、ユーロ諸国間の金利差拡大によってドイツなど実質金利はマイナスとなりドイツの内需とインフレ率の押し上げが言われている。マイナス金利といえば米も同様で、どうやらこれらが両者の株に寄与した格好にもなっているか。

ところでトリプルAの格下げといえばかつて上げの起点になっており、1986年のオーストラリア等は典型であったが、その後の1998年の日本も然程影響されずにその後は上げ相場に移行していった。これら踏まえて昨年騒ぎの最中そういった論調はあったのだが果たして株式、ドル、そして米国債揃って一寸したトリプル高となった。

そんな中で現況日本株は出遅れがいわれて久しいが、この辺は上記の通りマイナス金利と実質高金利との違いも大きいだろう。この辺はいわずもがなデフレ選好の日銀政策が方向転換しない限り解決し辛い問題といってもよいだろうか。


政府の押し付け

さて、本日の株式市場は後場から先物も主導し続伸。中身はこのところ低位株が活況だが本日は東電も1億株以上の商いを集めて反発、これは4月から実施する企業向け電気料金の引上げ幅を平均17%と発表、正常化に向けた第一歩として評価されたものだが、この方針も32年ぶりの大幅値上げとなるらしい。

日経紙には他電力と契約もというような記事が出ていたが、この他社にしても構造上はゆくゆくこれに絡んだ件は課題になってくるだろうし、併せて家庭向けも視野に入ってくるのは避けられない問題となってくるか。ところで原発事故で東電と共に売られた原発銘柄の木村化工機もここ急反発してきているが、同じく日経紙には原発を20年延長する例外規定を政府が認める方針と出ていた。

原発というナーバスな素材を巡って、震災後は企業がある面ではスケープゴートにされてきた部分もあったが、ここへきてヒストリカルにみてみると上記の件も果たして二転三転してきている。企業に押し付けられるうちはまだよいが結局政府の確固たるスタンスが見えてこないところこそ問題にすべきだろう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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