8ページ目   雑記

五輪スポンサー明暗

昨日はパリ五輪に出場した日本選手団の解団式が行われたが、今大会で日本選手団が獲得したメダルの総数は45個となり海外開催では最多を記録している。事前のメダル獲得予想も近年精度が高くなってきているが、スポーツデータ分析の米グレースノートが開幕1か月前に予想していた日本勢のメダル総数は46個と今回も見事な僅差具合でほぼ的中、またJOC日本オリンピック委員会が目標としていた金メダル20個もピタリ達成となり海外開催では2004年アテネ五輪の16個を上回る最多の快挙となった。

ところでこのメダル、今大会のスポンサーを務めているのが「LVMH」だけあってそのデザインは傘下の高級宝飾ブランドの「ショーメ」が担当しているがジュエリーブランドによるメダルはオリンピックの歴史で史上初の事だという。同じく傘下の「ルイ・ヴィトン」も今大会ではメダルやトーチを収納・運搬するトランクやメダルの専用トレーに、ベアラーのユニフォームまでルイ・ヴィトンが担当している。

東京五輪でパナソニックなどがスポンサーを務めたのと同じパターンだが、今大会の開会式でのムービーではヴィトンの工房まで流されまるで同社のCMを見させられているようなある種違和感を覚えた。ところでこのスポンサー、上記のパナソニックに加えトヨタ自動車やブリジストンはこれまで最高位スポンサーとしてIOCと契約締結していたがトヨタ自動車など今回のパリ五輪でその契約を終了予定という。

その背景には年々加速してきているスポンサー料金の高騰に見合う費用対効果があるのか疑問というところがある模様だが、上記のパナソニックなど開会式でDJがパフォーマンスを披露したシーンで使用されたミキサーがなんとライバル企業のものだったというから同社もトヨタ自動車に続きスポンサー契約を見直す可能性は十分にあるか。斯様にブランディング向上の為ワガママを通せた企業とで明暗が鮮明だが、今後のスポンサー各社の動きが二極化してくるかどうか注目しておきたい。


パリ五輪2024

17日間にわたり熱戦が繰り広げられたパリ五輪が閉幕した。持続可能性と男女平等をコンセプトに史上最もサステナブルな大会を謳ったこのパリ五輪は今までの大会とは一線を画す要素が多かったが、環境問題が終始付き纏ったセーヌ川や選手村、それになりよりも多くの競技において続出した誤審疑惑の数々などモヤモヤが多く残る大会だったのは否めなかった。

そんな誤審疑惑喧しかった中でも一経験者として終始注目していた体操競技は、日本企業が開発したAIを活用した最先端の採点システムが導入されており安心して観ることが出来た。特に初出場で五輪3冠を達成し男子体操の主役級になった岡選手がやはり素晴らしく、団体・個人を合せた1大会3冠は72年ミュンヘン五輪以来52年ぶり、メダル数も84年ロス五輪以来40年ぶりという記録であるから快挙である。

その内容だがいかにも日本らしい。例えば鉄棒などD+Eで14.533とコロンビアの17歳A・バラハス選手と岡選手は同得点であったものの、メダルの色を分けたのは“Eスコア”が勝った点であった。まだ若干20歳の岡選手だが、この辺りがお家芸と言われた上記のメダル量産時代からの他国とは一線を画す“魅せる綺麗な体操”という日本体操界の精神が今も脈々と受け継がれている事の証左だろうか。

とはいうものの個人的に戯言を言わせていただくと鉄棒など見応えという点で、例えば岡選手はアドラー1回ひねり単発だったが、台湾の唐嘉鴻選手はアドラー1回ひねりからコスミック一回ひねりの大技ウェルストロムの組み合わせを披露、途中のトカチェフにしても岡選手はこれまた単発だったが、同唐選手はこのトカチェフをそれぞれ伸身・開脚・屈伸の3連続でやってのけたあたりが満足度で大きく両者の明暗を分けるものであった。

ただそういった点では惜しくもメダルこそ逃したものの、同じく今回初出場した杉野選手など鉄棒でなかなか目にする機会の無いF難度クラスのペガンを果敢に取り入れるなどしており“Dスコア”の底上げなど今後も挑戦を続けて欲しい。いずれにせよ幅広い種目で若い世代の大躍進が目立った今大会、各選手共に4年後の次なる熱戦の舞台での活躍に期待が大きく膨らむ。


1兆円大台突破

この時期は旬のフルーツなどふるさと納税の案内が喧しいが、先週に総務省が発表したふるさと納税の23年度寄付額は前年度比16%増と4年続けて過去最高を記録し、その寄付額は1兆1175億円と初めて1兆円の大台を突破している。2008年の制度開始から実に140倍にもなった計算になるが、ふるさと納税をした人の数も初めて1000万人を超え住民税を支払っている向きの6人に1人が制度を利用していることになる。

仲介サイトによるポイント付与や昨今の物価高による節約志向などで利用が伸びたことが背景になっているが、このポイントを巡っては先に総務省が利用者にポイントを付与する仲介サイトを使って自治体が寄付を募ることを来年の10月以降は禁止すると発表したことが物議を醸し出している。楽天Gなどはこれに早速反応し、ポイント付与禁止の撤回を求めるオンライン署名のメールが私のところにも届いた。

この発表が為された時は大規模なポイント還元を打ち出している仲介サイト運営会社の株価が下落し、反対にポイント還元を打ち出していない仲介サイト親会社の株価が上昇する光景も見られた。確かに何処も返礼品で差が付きづらくなってきた状況にあって、ポイント付与がユーザーから選ばれる理由の一つとなっていた部分もありポイント還元競争めいたところがあったのは否めないだろうが、ポイントの原資の詳細が不透明なのも事実だ。

しかし総務省も次から次へとアラ?を探しては矢継ぎ早に規制をしているが、これもいたちごっこだろうか。各自治体は独自のサイトで運営してもそこから入る寄付者は稀で殆どが仲介サイト経由なのは想像に難くなく、その存在は自治体にとっても重要なのは間違いの無いところ。ポイントにメスが入ったとなると上記の通り各社共に差異の無い状況に戻るワケで、今後は各社どういった差別化を図って来るかこの辺にまた注目してみたい。


ステルス系増殖

このところまるで新興国通貨を見ているような円の変動ぶりだが、今後食品価格への影響など出てくるのだろうか?ということで恒例の今月の値上げだが、帝国データバンクによれば主な食品メーカー195社における今月の飲食品値上げは642品目。これで8か月連続で前年同月を下回ることとなり、平均値上げ率は12%と今年に入ってから最も低い水準となった。

全食品分野で最も多かったのは「加工食品」で319品目、輸入小麦高騰を背景にニップンの小麦粉や昭和産業のホットケーキミックスなど製粉大手3社が粉製品など約230品目を値上げする。次いで「菓子」、引き続き原料となるカカオ豆の価格高騰を背景にロッテはコアラのマーチなど74品を値上げなどチョコレート製品の値上げが中心となる。

チョコレートといえば今年の3月にはカカオ豆先物価格がNY市場で銅価格を上回ったのが話題になったが、そういえば週明けの日経紙一面には「バイオ技術で代替食品」と題し明治HDがチョコレート原料のカカオを細胞培養しこれを使ったチョコレート風食品を米国で発売との記事が出ていた。これまでの食生活が数年後、数十年後も当たり前とは限らないことさえ考えさせられる記事だ。

ところで冒頭の平均値上げ率に見られる通り、最近では値上げ後の商品の買い控えなどが見えることで価格の引き上げから内容量減量などの所謂ステルス系も目立ち始めている。昨日発表された実質賃金は前年同月比1.1%増加で2年3か月ぶりのプラスとなるも、6月実質消費支出は前年同月比1.4%の減少と2か月連続で減少となった。収入増でも物価高から節約する動きが続いており、値上げの勢いは更に後退してくるかどうか注視したいところ。


争奪戦突入

昨日も書いたところの日銀による政策金利の追加利上げ決定を踏まえ、メガバンク勢は普通預金の金利を現在の年0.02%から5倍の0.1%へ引き上げることを発表、これに追随する形で大手地銀なども軒並みこれに倣い始めている。彼らが待ち望んだ金利の上昇は教科書的に銀行のビジネスにとって追い風となり、預金の獲得狙いが自ずと進むこととなる。

またネット銀行の一部でも普通預金金利を更に上乗せする動きも出てきたが、このネット銀行も主要行の預金残高合計は30兆円超えとコロナ前と比較し2倍以上に増えてきておりメガバンクや地銀もうかうかしていられない状況だ。コストのかかるリアル店舗を持たない優位性と独自の経済圏の強みもあり、今後の預金緒奪い合い?などが大いに注目されるところか。

ところで斯様に日銀の利上げによりセクター別で有望視された銀行株は昨日も書いた通りで、三井住友フィナンシャルグループのストップ安をはじめ新NISAの個別株購入で第2位の人気株であった三菱UFJフィナンシャルグループも急落し今年の上げ幅を全て帳消しにする往って来いで株価は大発会水準に戻る憂き目に遭っている。足元での日米長期金利の急低下や米景気後退で日本企業の資金需要に陰りとの見方だが、こちらもここからの仕切り直しでどう軌跡を描くのか目が離せない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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