育たない土壌

さて、本日21日は今年7月に米グーグルが主要株主と合意していたところのスマートフォン決済のスタートアップ企業であるPring(プリン)の買収が完了となる日だが、斯様な海外勢による日本のフィンテック企業買収が相次いでいる旨が「国内フィンテック青田買い」と題し先週末の日経紙・金融経済面にも載っていた。

本邦勢の決済サービスといえば頻繁にテレビのCMなどで目にするpaypayはじめとしてd払いや楽天ペイ等々大手の乱立状態にあって、上記のプリンは決済サービスの中では失礼ながら今一つ抜きん出た存在感に欠けるというのが個人的な印象だったが、決済ビジネスへの伸びしろへの高い評価と割安感を背景にガリバー的存在が目を付けて触手を伸ばしたというところか。

ところでグーグルによる本邦勢の買収劇といえば、数年前に日本企業に出資を仰ぐも評価が認められなかったロボット開発スタートアップ企業のSCHAFTを同社が買収したのが記憶に新しいが、斯様に積極的にリスクを取れる国内投資家も少なく足元の利益や実績を重視する根強い傾向にあり、M&AやIPO時の企業価値評価も低くなり易く成長企業が国内で育ち辛い土壌にあるといえるか。

同頁には直近であった米決済大手ペイパル・ホールディングスによる後払い決済のペイディ買収も載っていたが、このペイディもわずか数社という日本の数少ないユニコーン企業の中の一社であった。実際に同社以外のユニコーン企業の中にも既に米有力ベンチャーキャピタル数社から資金調達している向きもあり、今回の相次ぐ買収劇はSCHAFTの事例から数年経ても旧態依然としている日本企業の目利き力の課題が改めて問われるケースであると考えさせられる。


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