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日本市場に商機

さて、先週末の日経紙投資情報面には「物言う株主の要求最多」と題して、所謂アクティビストが公にした日本企業への取締役の受け入れや株主還元の強化など新規の提案や要求の件数が、9月末時点で22件と既に昨年の19件を上回り年間ベースの過去最多を上回るなど増加している旨の記事があった。

この辺に絡んでは本日も東京ドームが香港の投資ファンドから社長ら取締役3人の解任を求める通知を受け取った旨が報じられていたが、主戦場の米市場に次ぐのが日本市場となっておりガバナンス改革推進で株主要求の通り易さが以前とは異なる上に、往って来いまで戻っていない株価も商機?と見て同頁にも書いてあったような自社株買い要求に並びガバナンス絡みの提案も増えている模様。

この辺はやはり日本企業の特徴として内部留保の厚さや企業統治改善の伸びしろが大きいところが背景にあるといえるが、株主と企業の攻防もかつて総会屋が蔓延っていたシャンシャン総会の時代とは全く違う意味で今後も激化してくるのは想像に難くなくこの辺の景色も隔世の感を禁じ得ない。


秋の味覚異変 

さて、今年は猛暑の影響で漁場の水温が上昇し台風や大雨によるしけも影響し先月の全国水揚げ量は過去最低の不漁といわれた前年の三分の一と記録的な不漁が報じられていたサンマだが、今月に入ってようやくその水温が下がった事などを背景に先週の北海道花咲港では今シーズン最も多い水揚げがあった模様だ。

斯様な背景もあって旬といわれる時期には巷のスーパーなどでようやく売られていたモノが一尾400円近くの値が付けられているのを見掛けたものだったが、これら脂ののっていない痩せたサンマの数倍はあろうかという同じ日に並べられていた立派な鯛などはこれと同じ値で売られており土用の丑の時期に書いた価格の逆転現象を思い出した。

こんな異常気象でサンマのような異常高の事例もあれば、一方でこれが最適な条件に合致し昨年の約10倍の収穫量と稀に見る豊作で異常安となっているのが同じく秋の味覚の代表格マツタケか。主要市場ではキロ当たり例年の二分の一から四分の一程度で取引され、成る程店頭に並んでいるのを見るに昨年同等のモノの約半分から店によっては五分の一程度にまで暴落?した値札が付けられていた。

しかし近年の異常気象で斯様な事例が恒常化してくるようであれば日本人が大切に謳ってきた季節感そのものも崩れようというものだが、今後は【旬】という概念が変わるのであれば我々消費者も無理をしてない物強請りをするのではなく、底値モノを大いに消費しいただくのが生産者にとっても我々にとっても互いにベストな構図となるか。


連動モノの匙加減

OPECが昨日公表した月報では来年の世界原油需要見通しが前月から下方修正されていたが、原油といえば先週の日経紙・市場点描には野村證券が原油先物指数のNOMURA原油ロングインデックスの算出ルールを11月末に変更するとして、先に価格変動の影響を抑える運用ルールに変更していた野村アセットマネジメントのETFに同指数が追随する格好になった旨が書かれていた。

ところでこの原油系組成商品に絡んではもう一つ、先の東証のシステムトラブルで終日売買停止となった際にETN系も当然ストップしたが、これらの発行体の証券会社は残高増減に合せ東商取の原油先物を売買する性質上、この日も支障なく稼働していた東商取の原油先物もこの影響で注文減との思惑からその売買高がロールオーバーも含め前日比で約2割ほど減少した経緯もあった。

こうしたケースではリクイディティーが細ることからともすればその価格変動が大きくなり易くなってしまうが、冒頭のケースは逆に価格変動が小さくなってしまいリスク選好の投資家離れに繋がる可能性も出て来る。投資家保護の観点含め何れがというところは難しいところだがここ数年選択肢が増えた裏で個別の課題もいろいろと見えてきたというところか。


関係悪化と金買い

本日の日経紙商品面には「世界の中銀 一転金売り」と題し、金価格が2000ドル大台超から史上最高値を更新していた8月に、コロナ禍で外貨収入源に苦しむ新興国を中心とした中央銀行が準備資産の一部として保有していた金を約1年半ぶりに売りに転じていた旨が書かれていた。

ネットで売却が上回ったという今回の件ではウズベキスタンやロシア等の国が挙がっていたが、ここ数年では米国債から金に資金移動するなどの動きがこのロシアなどで目立ち米による経済制裁を受ける同国の外貨準備に占める割合が20%に達しその残高は約2300トン超えと保有量4位のフランスに次ぐ水準となっている。

とはいえ上記のロシアは今年に入ってその動きを止めているものの、これと入れ代わる格好で台頭してきた存在でトルコが報じられており今年1月から5月累計で世界の中銀で最大の買い手となり前年同期比の伸び率も3倍となった模様。同国もまたここ数年米との悪化が報じられているが、ドル離れと併せ各国中銀のスタンスに大幅な変化が想像出来ない事から今後も金買いが継続されるのは想像に難くないか。


国際金融都市に向けて

ちょうど1週間前には東証がシステム障害により初の全銘柄の終日売買停止に追い込まれる事態となり当欄でもその旨を書いたが、先週末の日経紙・真相深層でも「東証縛った2つの約束」と題し2012年と2018年に起きた同様のシステム障害後に取り決めたよりよい運用を目指した約束が今回の件では裏目に出た格好との旨が書かれていた。

この項の末尾では「運用面でも様々な事態を想定した対策の準備が必要になる」と書いてあったが、今回の件もつい昨年末にシステム刷新した際に導入したばかりの運用系ネットワークにおける共有ディスクの故障が原因で事業継続計画にも再起動した場合のその後の手順は記載されていなかったという。

システム会社や会員などが一体となった体制作りが安定運用に欠かせないのは当然だが、前回も「親亀コケたら皆コケる」と他の地方取引所もこの影響を被った旨を書いた通り、今回改めてクローズアップされた斯様な取引所の一極集中という特異な形態も資本市場のインフラの根幹を支えている部分なだけに今後再考の余地が出てこようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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