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無くならない不公正

今週はじめの日経紙夕刊・ニッキィの大疑問には「不正な株取引どう摘発?」と題して、株式市場での不公正取引の手口をはじめその他諸々の課題について書かれていたが、この辺に絡んでは直近で記憶があるのがやはり昨年末の元仕手集団の大物代表の逮捕に続く旧村上ファンドの元代表への強制調査だったか。

証券取引等監視委員会擁する金融庁の政治もあってどの辺に絞って挙げているか解りようもないが、思えば発足当初のマンパワー不足は否めず正直調査も最初から限界が見えていた感もあったが、昨今は当時からすれば可也のところまでそろえているという感触に代わってきた。

しかし思えば末尾にも書いてあったように、一昔前は本当にインサイダー天国なる言葉が作られる背景があったのは紛れもない事実である。一般的にベタな新薬や新製品開発という買いのイメージより圧倒的に多かったのがやはり破綻情報であった。まあ漏れるルートはそれぞれであったが、比較的一般にまで情報が漏れた結果異常な逆日歩が付き破綻までに持ち出しになる本末転倒?な結果になった例も多発したものだった。

あとはハコになった企業なんぞはファイナンスから何から殆どザルであったりもしたが、機関の確立に伴い魔女狩り的に感じられる件も心なしか多くなってきたようにも思える。末尾には高速取引への対処課題等も書いてあったが、こうした次期の事項課題も山積みでこちらの整備も急務といえよう。


美味しいタワマン

本日の日経紙企業・消費面には「マンション価格、平均5518万円」と題して、昨日に不動産経済研究所が発表した首都圏のマンション市場動向調査では、2015年の1戸あたりの平均販売価格が5518万円と一昨年より9.1%上がった旨が載っていた。

これは1991年以来、24年ぶりの高さであり上昇は3年連続というが、マンションといえばここ近年富裕層中心とした相続対策としてタワーマンションの人気は特に衰えを見せない。高層階の値鞘を利用した評価額のトリック?で俄かに人気を博した感もあるが、あまりに世論が沸いた為か国税が規制に乗り出すとの報もあった。

この報が出た直後はこれに過剰反応し大手不動産中心に不動産ポストの株が軒並み急落した経緯もあったが、しかしタワーマンションだけを規制するのはアンフェアとの声も根強い。何れにせよ一寸前までは保険、そして今度はタワマンがやり玉に挙がった格好だがまだまだ手を変え品を変え出てくるのは想像に難くない。


ファンド変調

昨日まで日経平均は3営業日続落し昨年9月29日以来、約3か月半ぶりに終値で17,000円大台を割り込んでいた。世界的な株安になかなか歯止めがかからないが、本日の日経紙には産油国のSWF(ソブリン・ウェルス・ファンド)など政府系ファンドやヘッジファンドがリスク資産の売却を加速している旨も出ていた。

ヘッジファンドなどは夏場の波乱相場に端を発し運用成績の悪化で次々と閉鎖や清算準備に入ったところが続出していたが、政府系もSWF資産の伸びは昨年4%程度だったとの報もあるが、過去5年平均が12%であったことを考えれば急速に萎んできておりこの辺もまた既に昨年の秋口から言われていた事が具現化してきたともいえる。

これまで原油高の追い風を享受してきた国々もこうした動きが逆回転し始めた感があるが、株式市場のみならず8,000億ドル以上を運用する世界最大級の政府系ファンドであるノルウェー政府年金基金など、東京で数千億円の投資でオフィスビルを取得する旨を昨年秋口に表明していた経緯がありこの辺も含めて今後も各所への影響に注視しておきたい。


寄与商品

先週末は底が見えない原油について書いたが、その後も時間外取引で一時1バレル28ドル台まで下げておよそ12年2ヵ月ぶりに29ドル台を割り込んでいる。スタンダード・チャータード銀行は10ドルまでの下落の可能性をアナリストが言い出し、本邦の官房長官は「日本経済にはいい影響を与える」との見方を示していたがはたしてそうだろうか?

それは兎も角そんな原油活況も寄与し、欧米先進国の主要な商品取引所の昨年の売買高は14年に比べて15%増える事となった。当然ながら最も伸びた原油はNYMEXで14年比18%の増加、加えてICEの粗糖やCBOTの穀物も伸びたものの、対照的にLMEの非鉄は低調となった模様。

上記集計の中には東京商品取引所も含まれるが、国内の2015年の売買高も同所と大阪堂島商品取引所計で前年に比べ12%増え4年ぶりの増加となった。この辺はやはりETN等の普及でこの手の間接効果があったのも大きく寄与したのだろうが、9月の日本取引所グループと売買システムの共同利用を控え今年もその動向から目が離せない。


油は火種

さて、今週は国際的な指標となるWTI原油の価格がニューヨーク商品取引所で、約12年1ヵ月ぶりに1バレル30ドルの大台を割り込む場面があった。昨年末にはこのWTIが北海ブレントを5年ぶりに逆転する場面があったが、売買高も数年ぶりに見る急増となっており今年も引き続き原油はリスク要因の一つとなるか。

しかしこうなるとETFやETNの崩落も凄く、TOCOM原油WブルのETNなど昨年の2月には5,000円を超えていた記憶があるが、本日も年初来安値更新でザラバでは700円大台割れに迫る場面があった。この1年のうちに約八分の一の値段に沈むなど、まるでIPO初値天井となった粉飾紛いの新興市場銘柄並みの動きである。

また世界の資源株も然りで昨年末で石油関連株の時価総額は1兆ドル以上失われ、年明けからでも英豪リオ・ティント株が1割の下落となり、米エクソンモービルも週明けには約3ヵ月ぶり安値に沈み、本邦も本日は三菱商事等が年初来安値に沈み、資源安が非鉄にも波及している事で住友金属鉱山も揃って本日は年初来安値に沈んでいる。

今後も下落が続くとなれば予想物価上昇率に与える影響も大きくなるが、何れにせよ今年も引き続き金融市場の主役級の座を維持し続ける公算が大きく目が離せない展開だ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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