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フィンテック日進月歩

本日の日経平均は堅調な米11月雇用統計を受けて週末から一転して急反発となった。同内容は非農業部門雇用者数が予想を上回る21万1千人増、失業率は前月と同じ5.0%となりこの発表でFF金利先物取引から算出される12月の利上げ確率は76%に上昇しており、利上げはほぼ確実と一部で報じられている。

これまで上値を抑えてきた主因が金融政策の不透明感であったと考慮すればこの度の利上げ確率は好感されて然るべきであったが、反面週末の急反落はECBが期待されていた追加金融緩和策を発表したものの期待されていた資産買い入れ規模拡大は含まれなかった事で市場に失望感が広がったもの。

斯様に金融政策結果でボラタイルな展開となる為にその予想にも関心が向かうが、先週の日経紙にはこの辺に関して「AIが読む政策と株価」と題しAI(人工知能)を使った予測モデルが立て続けに開発され、実際に追加緩和がコンセンサスであった先の10月の日銀金融政策決定会合では緩和に動かずとの示唆をしてその能力の高さが証明された旨も載っていた。

GSAMではアナリストリポートを全てAIで解析するというが、高速売買が市場を席巻し人が作成したリポートもAIに投げる時代になった。このGSは昨年にAIでリサーチャー業務を代替する米ベンチャーに出資もしているが、これら運用や助言はじめ電話応答までフィンテックも日進月歩となっている。


TAX裁定

さて、昨日も書いたようにファンド勢の金売り鮮明化で今週は週明けのニューヨーク市場時間外取引で金相場が1トロイオンス1,050ドル近辺まで下落、COMEXでは中心限月が約5年10ヶ月ぶりの安値まで沈んでいる。FRBによる年内の利上げ観測の強まりで、利息が付かなく米ドルの代替投資先である金の需要が弱まるとの見方からなかなか底が見えてこない。

ところでこの金といえば、直近では先月下旬に韓国から下関港にフェリーで到着した活魚運搬車から20キロの金塊が見つかり運転手の男が関税法違反の疑いで逮捕された旨が報じられている。昨年4月の消費税率引き上げ以降は、斯様に海外で手当てした金を売却して消費税分のサヤを抜こうとして摘発された密輸件数が前年の22倍となったという。

さてこれで思い出したのは5年くらい前の関空で見つかった密輸事件で、これまた利ざや狙いで韓国から日本へ金地金の密輸を謀ったものであった。当時は特に付加価値税と関税合せて13%の還付、加えて国内での売却で消費税5%(当時)もゲットし計18%をそっくり抜こうというもの。

他にも香港やらオーストラリアからの摘発例も昔からあったが、時が過ぎて消費税率が変れど悪知恵の働く連中のスキームは不変。しかし国内だけでも消費税アップに乗じ価格変動リスクを考慮しなければ正当?に上昇分だけの鞘抜きが出来る云々の話もかつて喧しかったが、更にもう一歩踏み込む悪知恵のセンスといたちごっこはまだ続くというものだ。


プラチナハンティング

本日の日経紙マーケット面には「ファンドの金売り鮮明」と題して、CFTC(米商品先物取引委員会)が公表した先月末時点のニューヨーク市場でのファンドの買い越し幅が前週に比べて半減し10年ぶりの低水準になった件が出ていた。

また同じ貴金属のプラチナも1日には1トロイオンス840ドル前後と約7年ぶりの安値圏となり、こちらの買い越し幅も前週比で19%減の18,426枚となったものの金より大きい旨も出ている。この辺はプラチナ相場が底値になっているとみるファンドの存在があるとの指摘だった。

さて、このプラチナといえば国内でも価格下落による割安感から個人投資家向けの販売量が過去最高水準に達した旨も先に伝えられている。ちなみに大手の田中貴金属では1〜9月の販売量が前年同期比3.6倍にまで膨らんだと報じられているが、VWショックも重なり工業需要減退が言われる対で投資需要が伸びつつある背景には斯様な逆張り本邦勢の存在も寄与する部分が大きいか。


視聴覚

昨日の日経紙では朝刊・夕刊共に特許庁が直近で新しく認めた商標に絡めて、企業等が商標取得に向けて厳しくなりつつある審査突破を睨んだ動き等について書かれていた。先の新しい商標の中にはCMで流す音や声までが登録されたのは新鮮であったが、一寸前に揉めていた正露丸など思い出される。

上記の通り昨日の朝刊では「色の商標権、企業が争奪戦」として色彩に関しての企業の関心の高さも載っていたが、確かにコーポレートカラー等として各社この辺は周知徹底されているだけに登録獲得しておきたいところだろうが単色での登録はティファニーブルーなど一部に限られ事例が少ないという。

確かに個人的にも昔見たKOREANAIRのCMは、最後に企業ロゴが出るまでてっきりティファニーのCMと勘違いしてしまった事があったのを思い出したが、この辺が長年親しまれ認知度が高い物の証なのだろうか。他にもルブタンのあのレッドソールに関しての裁判沙汰の話もあったが、主観と客観が鬩ぎ合う商標権の世界は実に難解を極めるか。


撤退と進出

本日の日経紙一面には「中国高齢化、巨大市場に」と題して、ニチイ学館やエーザイ等が中国の急速な高齢化をにらみ現地向けのサービスに積極投資する旨が載っていた。日本で培った事業ノウハウを活用し、巨大市場の変化を商機として掴むという。

斯様に中国ビジネスに商機を見出す進出組がある一方で、先週末の同紙では日清食品HDが中国での即席麺合弁事業解消の報道もなされている。提携企業と戦略に温度差があったというが、同じ食品業界ではヱスビー食品が生産を打ち切り、カルビーに至っては商品戦略での意見の違いから合弁設立からわずか3年というスピード解消をしている。

他にも今年に入ってパナソニックの液晶テレビ生産打ち切り、NTTコムの事業計画頓挫、ホンダの新工場建設見送り等の報道もあったが、1-9月の中国への直接投資実行額は前年同期比25%減と中国経済の減速も影響したのか対中進出への衰えが顕著だ。かねてより様々なリスクから対中ビジネスの難しさは指摘されてきたが、個々の戦略とコミット次第で今後も明暗が分かれてくるのは想像に難くない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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