512ページ目

株主総会

さて先週は株主総会のピークであったが、今年の場合は決算期終了間際に起きた未曾有の国難で多数の企業業績に大きな影響を及ぼしたことや、この流れからの利益配分も今年は義捐金等絡んで一部変化もあるなどで例年とは一寸その色を変えた総会も多かったようにも思う。

一方で震災に絡んで渦中の企業ははたしてかな個人株主から厳しい発言が相次いだが、厳しい発言といえば議案提出を通じて彼是物言うファンド系などはすっかり影を潜めている。当欄でも何度か取り上げたこの手の代表系の「米スティール・パートナーズ」は昨年末にサッポロHD株を全て売却して以降すっかり噂も聞こえてこないが、3月末ベースの株主名簿でも外資系ファンドが日本企業の株を買い増す動きは目立たないという。

これら外資系ファンドは一部新興国市場へ舞台を移しているという話も聞くが、先月はあの「村上ファンド」を率いた村上世彰氏の有罪判決も最高裁で確定している。ココも所謂アクティビストとして有名であったが、法を犯した実質の部分は兎も角も一連の過程での利益至上主義全ての部分を否定してしまっている部分は現社会においてなんとも矛盾を感じざるを得ない。

裁く側からすれば水が清くなったのだろうが、外から見れば特異な非常識を日本に感じている業界関係者は多数。彼らがいい意味での緊張感をもたらしていた当時から比べるに、現在の株式市場は売買代金ひとつ取ってもその凋落ぶりが著しい。株主の変遷を見るにつけそんなことが頭に浮かぶが、水清ければ魚住まずもまた市場か。


非連動の売買高

本日の日経平均は7連騰となり東日本大震災以来4ヶ月ぶりの高値水準で引けた。この7連騰というのは2009年7/14〜7/27の9連騰に継ぐ現象であるというが、しかし先月でQE2は終了となったものの大方の弱気とは裏腹に値段だけは殊の外強いという感。

この値段だけという感がするのも、やはりこの10,000円大台超えの局面でも大手証券株の低迷が物語っているように売買代金が1兆円そこそこに依然とどまっているからに他ならない。依然海外勢頼みだが一部ストラテジストは新興国を中心としたウェートが上昇し、相対的にウェートが低下した日本株にリバランスの買いが入っているとし、バリューに着目したというよりは機械的な組み入れだという。

今迄は海外相場の写しで昨日のように休場であれば凪のような展開になり、昨晩のNYのように小動きなら本日14時頃迄のようにやはり凪のような相場が通常であったが、本日14時頃からの独自な動きは国内独自で相場構築の兆しが出て来たのか?はたまた上記のリバランス要因なのか単なるSQに向けての演出なのか政局を睨みつつも今暫く注視したいところだ。


市場の足枷

さて、NYが休場となった本日の日経平均はまさに凪のような相場で狭いレンジで小動きとなった。個別では出遅れモノが物色される一方で、超節電型データセンター関連を囃し暴騰した日本ラッド等が反動から昨日のストップ安に続き本日も続落となっていた。

しかし最近は材料だけで食い付きが凄い。昨日は週明けの日経紙一面でレアアースの巨大鉱床が太平洋海底で発見との報材料に、海洋資源開発の日本海洋掘削は14%高、ボーリングの鉱研工業が17%高、石油・ガス生産設備の三井海洋開発も急伸など軒並み高、当該会社側からは市場の思惑が大き過ぎるとの戸惑いの弁も出ているが、民間のみの実施には難題も多く戸惑うのも当然だろう。

他にも先の小笠原諸島の世界遺産登録の報を受け、グループで此処への交通手段を独占しているということから株主優待連想も絡んで東海汽船がストップ高まで暴騰したが、そもそもこの優待は小笠原航路では使用不可な上に世界遺産でここまで買い上げてしまうのが凄い。業績への影響が未知数という意味では昨日書いたヤマタネのコメ先物上場を囃した急伸も同様、同社ではあくまで試験段階の話、すぐに業績への影響はないとしている。

何れも主力の部類でなく一日天下というモノも混在であるが、やはり主力に腰を据えて取り組めないのは当の国会が脆弱なままに他ならないからだろうか。本日も松本復興担当相が被災地での失言を理由に辞任の報があったが、つい先月末の就任からわずか一週間そこそこのスピード辞任というお粗末さ。よくもこう次々と阻害する材料が出て来るものだが、この辺が解決しない限り本質的な主力の立ち直りは先延ばしになりそうだ。


悲願のコメ

先月末あたりから農相などが「認可しない考え方に立つのは難しい」とほぼその方向が固まってきたコメ先物の試験上場であったが、周知の通り月替わり1日には、農水省が東穀取と関西商取に対してこの試験上場を認可することとなった。6/20付け当欄では「どちらのバンザイか?」としたが、東穀取と関西商取側が認可取り付けで一先ずは万歳となった格好だ。

株式市場でも一連の報道に絡んで先月末からコメ関連でやはりお約束のヤマタネなどが賑わっていたが、05年の申請で一度退けられたこのコメ先物も1939年以来、実に約72年ぶりの実現が見えてきた。それでは早速と商取系にありがちな遣っ付け作業も懸念されたがとりあえずは9月下旬が予定されているようでこの辺の調整も成功の鍵となるので重要か。

しかし新商品上場で毎度の事ながら意見が分かれるのは当然で、一部大手紙では投機資金の流入がコメ価格の乱高下をもたらす等と懸念するところも見られるが、TPPもしばしば論点に上る中を市場開放と自由化は政策の課題。何れ避けて通れない問題ならその一歩としてもこうした価格変動リスクを回避する手段を提供する市場の意味はやはり大きく、そういったことも懸かっているだけに軌道に乗せられるかどうかその責任もまた重い。


BLACK SWAN〜魔性を宿す市場

さて、先週で大方メインの劇場では終ってしまったが、知人の誘いもあって過日はナタリー・ポートマン主演の「ブラックスワン」を観る事に。さすがアカデミー賞やゴールデン・グローブ賞の主演女優賞を受賞しただけあってナタリー、ある意味コワ過ぎな感。バレエ団監督役のヴァンサン・カッセルも、こうして見ると「オーシャンズ」シリーズで演じていた怪盗よりもこちらの役の方がハマリ役かと。

何れにせよ肉体を昇華させ必要以上?に意識させるホラーにバレエという素材を使ったのはなるほど正解という気がした作品であった。余談だが、劇場からほど近い「キルフェボン」のケースにはこの映画の公開記念と称し「ブラックプリマのタルト」なるものも並んでいた時期があったが、これまた官能的な香りに仕上がっておりなかなかだったのもフト思い出した。

ところでこの「ブラックスワン」、こんな有名な映画は知らなくともこの言葉をしばしば使う市場関係者は多い。この映画公開前から既に使われてきた、確率的には稀ながら仮にそれが起きた場合は極めて多大なリスクを伴う、その想定外リスクの大小を示しているというCBOEが算出・公表している通称「ブラックスワン指数」なるものがあるからだ。

この指数、「VIX」に酷似しているがこちらはより深刻な状況を示唆、今年も実際に2月中旬には一時130台超えとなり、これは金融危機時を上回る水準となっていた。この段階で既に「ブラックスワン」の登場を警戒する不安心理の高まりを示していた訳だが、果たしてその後は周知の通り。市場もまたプリマ同様常に二面性を秘めている。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2025

1

1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31