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退廃気運

その去就が注目されている米GMであるが、週末は破綻容認観測も台頭し株価が1ドル台前半へと1933年以来、約76年ぶりの安値にまで沈んだ模様だ。
この辺を筆頭にシティーグループは1998年に合併して以来初めての株価1ドル台割れ、月初に追加支援を決めたAIGは更にこれの半値以下にまで下落しており、ニューヨーク証券取引所の暫定措置後を見据えて早くも上場廃止論が出てきている。

しかしまあ、ゼネラルとかインターナショナルとか世界を制するかのような?社名を持つだけあって先に発表された赤字も米GMが4年連続の赤字で約3兆円、AIGも08年通期の赤字が9兆円以上と金銭感覚を麻痺させるに十分な数字を弾き出してきている。

英RBSも先に3兆円以上と英史上最大の赤字を発表しているが、これだけあちこち兆という数字が乱舞すると国内の大型破綻といわれたところでさえ小さく見えてくるが、上記AIGへの政府救済金の使途について早くも物議が醸し出されて来たり、今後狭まる存亡選択肢の議論と併せ一体何が正しい事なのか退廃ムードも広がってくるのは必至だろうか。


理想郷

さて今週気になった話題といえば、週初に都内最大級の広さを売り物に丸の内トラストタワーに開業した「シャングリ・ラ ホテル東京」であろうか。
外資系の中でも後発組になるこのシャングリ・ラ ホテル&リゾーツであるが一昨年相次いで開業した外資系も供給過剰気味、加えてそれ以降の急激な経済環境の悪化でハイグレードを謳うところほど稼働率は低下している模様。

当欄では昔、ホテルといえばコンサバ系が主流の国内勢よりは外資系の方がセンスが光るとコメントした事があったが、なかなかどうして昨今ではこの国内勢が浮沈激しい主要顧客層とコンサバ系顧客層の違いや余暇の安・近・短傾向が幸い?してこの国内勢が急速に息を吹き返している模様とか。

まあ確かに背景となるこうした環境も激変したが、当方も過日ある老舗に所用で泊まった折に、遺失物に対する対応から他の接客に至るまで主要外資系以上に素晴らしいと感じた接客態度に非常に感心した事があり、外資寄りであった嗜好がどうもハードの部分だけ見ていたようで改めて反省しきりだった覚えがあったのも事実である。

まさに土砂降りのような株価暴落の中でIPOを敢行するような今回の開業であるが、さてホテルウォーズ第二幕はどういった戦況になって来るのか今後も目が離せない。


次の淘汰ポスト

先月25日に開幕した09〜10年秋冬ミラノコレクションも本日で終るが、関係者によれば直前のキャンセルもあって参加ブランドは昨年から10以上も減少した模様である。

斯様に不況の影響がファッション業界をも侵食しているが、こうしたコレクション物でさえこの状況では一般アパレルこそ推して知るべしで、国内でも既にセオリーがユニクロの傘下に収まるなど各社生き残り合戦がヒタヒタ進行している。

ちなみに今年に入ってからも上場企業の破綻は早くも11社と異常なハイペースが続いているが、直近で破綻したのはシャツ大手で知られるトミヤアパレル、同月のその前にはゴールデンベアで知られていた小杉産業も破綻している。

斯様にパンク企業が不動産関連一辺倒であった昨年からアパレルポストもその順番で次第に呑み込まれて来ているが、この期に及んでまだ殆ど一部役員の趣味の領域としか思えない赤字垂れ流しのアンテナ事業を継続させているアパレル企業もあるのを見るとまだまだ崩壊余地は大きいとも感じる。
余談だが、フォーブスの09年版「日本の億万長者」でトップに立ったのはユニクロの社長であったが、目下のところこの業界で独り勝ちは同社のみ、不況期の特徴の一つでもある需要の一極集中が如実に出た形だがデフレ経済の指標の一つだけにそうした面からも注目したい。


歴史の売買

産経で見掛けたのだが近くニューヨークで競売に掛けられるというマハトマ・ガンジー氏の遺品を巡って、インド政府が他者の手に渡る事なく祖国に留まるように躍起になっている模様だ。

斯様にオークションで他の手に渡るのは我慢ならないというところで今一番話題になっているのが、周知の通り故イブ・サンローラン氏の遺品から競売に出された、1860年に円明園が英仏連合軍の略奪に遭った際に持ち出されたとされるブロンズ像である。

このクリスティーズで思い出すのが今からちょうど一年前くらいに当欄で触れた「運慶の大日如来坐像」出品騒動か、このクラスを扱う大手になると時にトンでもないものが突如として出てきたりするのでその経緯にいろいろ想像を馳せるのも面白いが、結局問題の銅像は3,140万ユーロで中国人が競り落とす結果になった。

さてこの落札で競り落とした中国人だが「取り戻しましたよ、はいどうぞ」と無償で国に返還でもしたらそれこそカッコ良すぎたのだったが、やはり?というかこの期に及んでカネは払わんと言っているらしい。間に入ったクリスティーズも大変だが歴史的経緯が絡む国際問題だけにまだまだややこしそうである。


お題目に反する空洞化

商品取引所連絡会が纏めたところによると先月中に取引された国内石油先物市場の出来高は、TOCOMと中部大阪の合計で前年同期比59%減となった模様である。

これに呼応?するかのように週末の日経紙商品面にて目に留まったのは、デリバリー常連組であった日本ユニコムが採算の効率化から今秋をメドに石油会社からの受託業務から撤退する旨の記事であった。

この石油ではないが昨年には老舗の三幸食品や三忠が東穀取から受託業務廃止や会員脱退の動きがありこちらも常連組一角の撤退が記憶に新しいが、撤退していない常連組においても岡地のように行政処分から業務停止の憂き目に遭うなど委託先法人の戸惑いも想像に難くない。

取引所やお上が起死回生策として呪文のように実需家の誘致を唱え続けている間にも、当の現場は現場で経営に活路を見出しこうした部分を見切りに入っているという業界の縮図が何とも解り易く出ている構図だが、老舗牽引で軸足を移行させる動きがますます加速してゆく感がある。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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