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あれから30年

さて最大震度7を観測し、6400人以上が犠牲となった阪神淡路大震災から先週で30年を迎えた。地震発生時刻には黙とうが行われ各地でも追悼行事が営まれ各々犠牲者の冥福を祈る光景が見られたが、この追悼・関連行事も主催団体の高齢化や財源不足などを背景にしてここ10年ではほぼ半減している。ところでこの30年、地震列島なだけに同規模の震度を観測した地域が相次いだ。

ザッと挙げても2004年10月の中越地震、2011年3月の東日本大震災、2016年4月の熊本地震、2018年9月の北海道東部地震、そしてつい昨年2024年の能登半島地震などなど。またちょうど一週間前には宮崎で震度5弱の地震があり、この地震は影響していないとしつつも政府の地震調査委員会は想定される南海トラフ地震が今後30年以内に発生する確率について、これまでの「70~80%」から「80%程度」に引き上げたと発表している。

この引き上げは7年ぶりの事だが、多くの人が犠牲となった阪神淡路大震災を契機に震度情報や耐震基準などさまざまな見直しが行われ、防災を取り巻く環境も変化しているとはいえ避難所のあり方などいまだ変わっていない課題も残る。政府は2026年度中に「防災庁」を創設することを目指しているが、上記のような想定されている大地震への備えは国の主導がマストなだけにこの辺の更に進んだ取り組みが望まれる。


政治的公約>法の支配

退任まであと数日を残すのみとなったアメリカのバイデン大統領だが、周知のように年明け早々に日本製鉄による米鉄鋼大手のUSスチールの買収禁止を命じている。この案件が持ち上がった一昨年末から日本政府でもこれを後押ししていたものだが、早速当の日本製鉄は「結論ありきの政治介入」とこの命令を不服として連邦控訴裁判所に提訴を行っている。

ところで現在世界の鉄鋼メーカーの粗鋼生産量ランキングを見てみると、ベストテンの1位、3位、5位、6位、8位、9位と中国企業が実に6社も入り世界を席巻している状況になっている。この中国が厄介な構造問題の元で、需要が縮小しているなかにおいも過剰生産を止めずに鉄鋼を安価で世界に継続売却しているので結果、スパイラルで鉄鋼価格の下落を招き世界中の鉄鋼業界が強い逆風に見舞われているのが現状となっている。

そんな環境下から自主再建を断念し身売り表明したUSスチールであったが、これを狙っていたのがランキング22位の米クリーブランド・クリフス社、ところが入札で日本製鉄に敗れた経緯がありこのまま同社に買われると米市場での優位性確保が危ぶまれる危機感から全米鉄鋼労働組合と結託し組合員85万人を有する強大な政治力を利用しバイデン氏に働きかけた一連の動きがあったというのが事の成り行きだ。

果たしてというかクリフス社は買収禁止令が出た後に待ってましたとばかりに再度のUSスチール買収に意欲を示しているが、今回も前回の入札で敗れた時同様にその買収額は日本製鉄を大幅に下回る額である。こうして見ると何とも最初から出来レース感は否めない感もするが、はたして事の真相は如何に?というところだ。

確かに「国家安全保障上の脅威」と謳うには先端半導体等ならまだしも鉄鋼をこれに嵌めるのは無理がある。そもそも日本は同盟国で且つ最大の投資国だが、この件が対米投資等に影響しビジネスを委縮させてしまわないかが懸念される。米当局は先週末に日本製鉄が要請していた買収破棄期限を当初の来月から6月までの延長を認めてきたが、ビジネス感覚に長けたトランプ氏の就任ではたして風向きは変わるや否や?今後もこの件から目が離せない。


DEIと日本企業

一昨日の日経紙一面・春秋では、近年多くの米国企業が掲げるDEI推進活動が日本に波及していたものの、本家のほうで急ブレーキがかかっている旨が書かれていた。DEIに関しては当欄でも年末に逆風が吹いている旨を書いていたが、昨日当欄で「世界10大リスク」を取り上げた文中でも米大手企業がDEIに否定的なトランプ氏に配慮しこれらの施策を廃止する動きも出ている旨を書いている。

既に昨年のうちにDEI関係への取り組みの廃止を表明している「ウォルマート」、「ボーイング」、「スターバックス」等々に加え、年明け早々には米「マクドナルド」もこれまで2025年までに世界で管理職に占める女性比率を45%、人種的・性的少数者の比率を30%に引き上げる事などの数値目標を取りやめることを発表し、その数日後には米「メタ」もDEIの実現を目的とする複数の施策を廃止すると明らかにしている。

また「フォードモーター」も昨年のうちにDEI評価のため外部組織が実施する企業調査への参加を中止しているが、この自動車業界では日本企業大手にもこの波が押し寄せてきている。例えば「トヨタ自動車」は性的少数者団体HRCが実施する企業平等指数への参加取りやめを表明し、「日産自動車」もまた企業平等指数への参加取りやめるほか、人種公平性を重視したイベントの資金提供も見送ることを表明している。

とはいえ日本企業でもDEIを廃止する事のリスクを考慮し商社や重電の一部はDEI方針の変更はしないと表明しているところもある。やりたい放題が懸念されるトリプルレッド状態の次期トランプ政権、確かに似通った属性の人が意思決定を担うこうした構図がそのまま大企業に続々波及してくるリスクも懸念されるが、今後もステークホルダーと保守層を天秤にかける苦悩の場面が出て来ようか。


世界10大リスク2025

さて年始恒例のモノは先週も書いてきたが、国際政治学者のイアン・ブレマー氏率いる米調査会社ユーラシア・グループが発表する「世界10大リスク」もまた年始恒例のものである。今年1位に挙がったのが「深まるGゼロ世界の混迷」で、世界的な課題対応を主導し国際秩序を維持する国家は存在しない状態で地政学的な不安定が常態化し、新たな世界大戦が発生するリスクが高まっているというもの。

そして2位に挙げられたのは「トランプの支配」、これまで明らかにされてきた政権人事においては司法省やFBIといった政治的に権力を持つ組織にトランプ氏に忠誠を誓う人物を据えようとしている。行政権力に対する独立したチェック機能が低下し法の支配が弱体化、加えて政治的に近い企業を優遇すれば市場競争ではなく権力への近さが成功を左右するシステムが生まれる可能性があるとしている。

この辺に関してはテスラのイーロンマスク氏はもう言わずもがなだが、株式市場を牽引してきたIT大手トップの“トランプ詣で”が喧しい。メタのザッカーバーグCEOは大統領選後にトランプ氏の自宅に訪問し100万ドルを次期大統領就任基金に寄付しているが、アップルのティムクックCEOも個人で100万ドルを寄付、他にもアマゾンの創業者ベゾス氏、グーグルのピチャイCEOやオープンAIのアルトマンCEOなどなど名だたる大手テック企業のトップ達がトランプ氏の邸宅を訪問し多額の寄付を表明している。

歩み寄りといえば直近ではDEIに否定的なトランプ氏に配慮し、上記企業の一部にもこれらの施策を廃止する動きも出て来た。確かに今回の大統領選でトランプ氏を再選に導いた最大の功労者はテック業界の起業家連中なのは疑いようも無い事実だが、手のひら返しでトランプ次期政権に歩み寄るスピードの速さを見るにユーラシア・グループの懸念も一層現実味を帯びてくるというものだ。

ちなみに冒頭のイアン・ブレマー氏は石破氏に関しては、「安倍元総理のようなトランプ氏と渡り合えるカリスマ性も無く、石破政権は1年も持たなそうだ」としている。


経営者が占う2025年相場

昨年の株式市場は能登半島地震を受けて大発会は鐘も鳴らさない異例の静けさで始まり、大納会は金融行政に対する信頼が大激震となった東証社員インサイダー取引発覚でその年に話題になったゲスト招待も見送るという最初も最後も異例な光景で終わった。その足取りは2月にバブル期の史上最高値を34年ぶりに更新、翌3月には初めて4万円の大台を突破し、更に7月には42000円超えの史上最高値を更新するも、翌8月には1日で4000円超えという過去最大の下げ幅を記録するというボラタイルな市場であった。

そこで今年もまた新年恒例の日経紙「経営者が占う」シリーズでこの株式市場を振り返ってみたい。昨年の日経平均の高値予想平均は37900円でその時期は年末との予想が多かったが、一昨年に続いて予想平均を4000円以上も上回る好パフォーマンスとなった。一方で安値平均は31250円であったが、こちらは8月の“令和のブラックマンデー”で示現した31156.12円と皮肉にもほぼドンピシャとなった。

有望銘柄とした個別企業は上記の通り日経平均が予想を4000円超も上回る上昇を演じたことで、2位の伊藤忠商事から6位の東京エレクトロンまでの5銘柄全てが上場来高値を更新するなど当然な結果に。今年の有望銘柄は昨年1位に選ばれながらも上場来高値更新が叶わなかったダイキン工業が3位に転落する一方、昨年2位の伊藤忠商事が1位になり昨年ベストテン圏外だった日立製作所が2位に急浮上している。

そして今年の日経平均高値予想平均は44450円、安値平均は37025円であった。昨年控えめに4万円の高値予想を挙げたSMBC日興証券の今年の予想は同業大手の大和証券の45000円を大きく上回る48500円と大きく上方修正してきた。ちなみにこの高値予想の平均44450円だが、大発会の日に買いた巳年平均上昇率を大発会の引け値に当て嵌めた値段44574円と奇しくもほぼ一致する。

いずれにせよ今年最大の注目点はトリプルレッドとなった予測不能なトランプ政権の動向、そしてやはり日銀の金融政策動向だろうか?いずれも日本経済の腰折れにつながるような政策が取られるようであればそれこそ昨年高値がしばらくハードルとなるリスクシナリオとして認識されてしまう展開になるだけにこの辺には特に注意しておきたい。


粘着性値上げ継続か

年が明けても物価上昇のニュースが喧しい。月初め恒例の今月の値上げ動向だが帝国データバンクによる主な食品メーカーにおける飲食品値上げは1380品目、特に原材料の高騰を反映したパンの値上げが目立ち、山崎製パン、フジパン、敷島製パンが主力の食パンや菓子パンの一部商品を値上げし1月としては調査開始の22年以降で最多となった模様。

昨年の食品・飲料の値上げは1万2520品目で年間の平均値上げ率は17%となり、年を通じて値上げが抑制され前年比で6割の減少となったが、今年はここから4月までに飲料など6121品目の値上げが既に決定しており昨年同期比でこちらは6割の増加となっている。総じて現状のぺ-スが続けば昨年を上回る1.5万~2万品目前後が値上げされる見通しとしている。

一部シンクタンクのエコノミストは今後円安の落ち着きや原油価格の下落が見られれば去年よりは値上げペースが鈍化すると予想しているが、この為替も物価上昇率が目標を超えてきているにもかかわらず当の日銀は基調的な物価上昇ではないと悠長に構えた出口戦略を取る姿勢だ。結局この物価目標未満のところで中途半端な利上げを続けていくつもりだろうが、そんな感じであればなかなか円の反転は期待出来そうにもなく粘着質な値上げが続く構図となるか。


マグロ初競り2025

先の日曜日には各地で年初の風物詩である初競りが行われたが、やはり話題になるのは「マグロの初競り」、今年は2019年に記録した3億3360万円に次ぐ過去2番目の高値となる2億700万円で競り落とされ豊洲が沸いた。見事にこれを落札したのは5年連続でまたもONODERAフードサービス、コロナ前はすしざんまいの「喜代村」の独壇場であったものだがここ数年一番マグロの常連は「ONODERA・やま幸連合」になっている。

ところでマグロといえばこれまた昨日に続き株式相場に絡んだアノマリーがあり、一番マグロの落札価格が1億円を超えた年の日経平均の上昇率は二桁を超える好パフォーマンスになるというもの。すしざんまいの「喜代村」によって初めて1億円を超えたのは2013年であったが、以降この億超えは2019年の3億3360万円、2020年の1億9320万円、そして昨年の1億1424万円の4回。これらの年の日経平均は2013年のプラス56.7%をはじめ2019年は18.2%、2020年は16.0%、そして昨年は19.0%となるほどいずれも二桁を超えている。

そうなると今年も辰巳天井の縁起を担いで日経平均の二桁上昇が期待出来るというもので、斯様にご祝儀相場は高いほど景気の良さを感じるものだがマグロといえばもう一つ、昨年末の国際会議で今年から日本が漁獲出来るクロマグロの枠が大型魚で1.5倍に、小型魚で1.1倍にそれぞれ増やす事で最終的に合意されている。漁獲枠が増えるのは3年ぶりのことというが、今後は市場のクロマグロの値段が下がる可能性が出てきたのは我々にとっては朗報だろう。


大発会2025

皆様、あけましておめでとうございます
本年もどうぞよろしくお願いいたします


本年最初の取引となる東京株式市場の大発会は500円超の大幅続落のスタートとなったが、大発会の下落はこれで3年連続となった。昨年の株式市場をザッと振り返ってみると「辰巳天井」の通り2月には早々にバブル絶頂期に付けた史上最高値を34年ぶりに更新、翌3月には初めて4万円台の大台をも突破し更に7月には42000円超の史上最高値を記録した。

今年の「乙巳(きのと み)」は西暦の末尾が5の年となり年の前半が冴えないとの指摘も一部にあるが、戦後6回あった巳年の株式市場の勝敗は4勝2敗となっている。兜町の相場格言では引き続き株高がこの年にピークアウトする事を意味するが、過去の巳年ではかつて日経平均の史上最高値を付けた忘れもしない1989年があり、これがその後34年間抜けない大天井を形成することとなった。

ちなみに過去の辰年の日経平均の年間騰落率はプラス26.9%、2024年の大発会値にこの上昇率を当て嵌めてみると42242円と7月11日に付けた史上最高値42224円とほぼ近似値になる。たまたまにしても実にドンピシャな数字となるが、同じように巳年の年間騰落率であるプラス13.4%を今年の大発会値から当て嵌めてみると44574円となる。

そうなれば昨年の上昇の勢いほどではないにしろ曲がりなりにも史上最高値を更新し相場格言通りの「辰巳天井」が具現化することになるがさてどういった展開になるか。予測不能なトランプ政権が始まるだけに、一括りのアノマリーとして済ませるには無視出来ない経験則として存在する十二支の相場格言も今年は頭の片隅に置いて相場に臨みたいところ。


不透明な新時代を映す金

師走恒例の日本漢字能力検定協会による今年1年の世相を1字で表す師走恒例の「今年の漢字」は「金」と過日に発表されている。これで5回目の選出で過去最多となるが、パリ五輪での多くの日本人選手の金メダル獲得に、止まらない物価高騰や政治資金の裏金問題など光と影の2つが混在するさまを示した形だがもう一つ、金といえば“ゴールド”もまた特に注目を浴びた。

この金も今年は史上最高値を更新してきたが、背景には教科書的な定番材料に加え得も言われぬ靄も複合的に高騰要因として効いた一年でもあった。昨年にも増して地政学リスクが増すなか今年は世界各地で選挙が行われたが、年明けから1月の台湾立法院選、4月の韓国総選挙、6月のEU議会選、そしてインドの総選挙、7月のイギリスでの総選挙、フランスの下院選、などなど総じて与党がことごとく敗北、そして日本も周知の通りである。

選挙といえば11月には世界が注目した米大統領選挙ではトランプ氏が勝利。史上最大の復活劇とも謳われていたが、このトランプ新政権がはたしてどのような政策を行うのか予測不能な4年間が始まることになり早くも来年は世界の枠組みが大きく変わる年になる可能性もあるかもしれない。

毎年の如く年の最後の当欄では「来年こそ明るい世になるよう」と願いを込めるが、ウクライナ侵攻もいまだ継続され中東の地政学リスクも新たな拡大をみせ混迷を極める様相となっている。一段と輝きを増した金にはある意味こうした「影」が反映された部分も大きいが、また今年も来年こそは少しでも明るい世になるよう願いを込めて筆を擱きたい。

本年もご愛読ありがとうございました。どうか来年が皆様にとってよい年でありますように。


量から質への転換

さて、東京証券取引所の主要3市場に上場する企業数が2024年末時点で計3842社となり、前年度末から1社減る見通しであることが先週末に報じられている。上場企業数減少は大阪証券取引所の現物株取引が東証に統合された13年以降で初めてというが、この辺に絡んではちょうど1週間前の日経紙でも上場廃止する企業が今年は前年比33社増えて94社となる予定との記事が一面を飾っていた。

株式持ち合いが減少傾向にあり同意なき買収が成立し易くなっていることなどで企業買収が活発化し、経営の自由度を高めるためのMBOも増えている事などが背景にあるがMBOに関しては先月も当欄で取り上げた通り。東証が企業に対し資本コストや株価を意識した経営を求めている結果でもありその対応状況を開示するよう要請しているが、プライム市場の開示企業は先月末時点で約9割に達するなどこの1年で8割以上も増加している。

とはいえ取り組みの内容だけを並べる開示にとどまっているケースも多く、東証は先月に開示内容の質の向上を促す為「投資家の目線とギャップのある事例」を公表している。株価も正直なもので単に開示が進展するだけで上昇という局面は既に終わっており、具体性のない取り組みのみで定量的な説明が無いものは将来の企業価値判断にどのように寄与するのか判断が出来ないという点から一歩踏み込んだものだろう。

TOPIXにおいても今後は3市場を対象に入れ替え制が導入され、見直しに向けた判定として先ず来年2025年3月末に浮動株式数判定が控える。企業によっては政策保有株のような固定株売却等の動きが一層促進されるなどコーポレートアクションも出て来ようが、斯様に量から質への舵切りが鮮明になってきた事で米欧との比較で見劣り感の強かった新陳代謝も昨日書いたような上場銘柄の淘汰等も含め今後より一層促進されるか。


ガリバー参入

年末のこの時期はふるさと納税も駆け込みが目立つが、ふるさと納税といえば予てより参入の噂があったアマゾンが先週からふるさと納税仲介サイトをスタートさせている。開始時点で全国約1000の自治体が参加し掲載される返礼品は約30万点にのぼるが、アマゾンのマグカップからアマゾンミュージックのノウハウを生かして人気アーティストを能登町に招いての能登半島地震や豪雨災害の復興支援コンサートを返礼品として提供するなどユニークなオリジナル商品も見られる。

またアマゾンの持つ独自の物流・配送サービス網を自治体が利用し今月中に約1000点の返礼品の翌日配送が可能になるが、配送日の指定まで出来るのは他社には脅威だ。脅威といえば物流網に加え資本力も体力もある同社は自治体への手数料を低く抑えることも可能で、その分返礼品内容の向上が図られて顧客により魅力的に映る返礼品の提供が可能になることも予想される。

またふるさと納税といえば総務省の度重なる規制で来年は返礼品へのポイント付与が禁止の運びとなる。ポイント付与率で顧客を集めて来た大手の楽天は当然これに反対し署名活動まで実施したが、新規制でこれらの差異が無くなるとなれば利用者や自治体にとっても選択肢が広がることになる。既にふるさと納税は大手コンビニまで参入する激戦になっているが、1兆円を超える市場もこのアマゾンの参入で業界勢力図も大きく変わる可能性も出て来ただけにますます目が離せない。


幻の構想再浮上

本日の日経平均は海外投資家のクリスマス休暇もあり積極的な売買が見送られるなか個人などからの持ち高調整の売りが出たこともあって反落となったが、そんな冴えない市場の中でもホンダ株と日産自動車株の大幅続伸が目立った。さてこの両社といえば本日の日経紙一面で報じられていた通り、経営統合に向け協議を始めることで合意している。

今後の絵としては持ち株会社を2026年8月に設立し両社が傘下に入るかっこうになるが、日産が筆頭株主となっている三菱自動車も参画を近々決断するはこびとなる。仮にこの経営統合が実現すれば販売台数で独フォルクスワーゲンに次ぐ世界3位の自動車グループとなるわけだが、かつてまだ日産が仏ルノーに支配されていた頃にも今回の3社連合構想が噂されていた時期があったのを思い出す。

そんな幻の構想が時を経て再び当時とは違う背景で現実味を帯びて来たのも何かの因縁を感じるが、これとてこの歴史的な円安下にある中で深刻な業績不振に陥っている企業だけに今後手放しで明るい未来が待っているとも考え難い。ただ今回のケースのような合従連衡は自動車に限らず他のセクターでも起き得る可能性があるわけだが、そういった形での上場銘柄淘汰が促進されれば世界の投資マネーを呼び込むカタリストともなりそうだ。