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DEIに逆風

今月に入って米ナスダック総合株価指数は11日に初めて2万ポイントの大台を超え史上最高値を更新したが、これと同じ日にナスダック証券取引所に対し米連邦巡回区控訴裁判所は同取引所が上場企業に女性やマイノリティーの取締役選任を求める取締役会多様性ルールを無効と判断している。米では経営でのDEI推進に対する保守派の反発が強まり、企業によるこれら取り組みの後退が相次いでいる模様だ。

ザッと挙げても小売り大手「ウォルマート」はDEIに基づく行動基準を縮小することが明らかになっており、「ボーイング」はDEIの担当部署を解散、「ハーレーダビッドソン」も今年4月以降DEIの取り組みは実施せず、女性やマイノリティーの採用枠を無くしており、「フォード・モーター」もDEI評価のため外部組織が実施する企業調査への参加を中止している。

これら以外でも飲食系では「スターバックス」が役員報酬のDEI連動分を廃止、「モルソン・クアーズ」もDEI施策の取りやめを発表するなどしているが、次期大統領のトランプ氏もかつてもし再選したらDEIを終わらせる旨の発言をしており、トランプ氏と蜜月なイーロン・マスク氏もDEIを逆差別とXで投稿しておりリベラル派との間で火花を散らしている。

こうした世界中でブランドが浸透している大手企業の重要な顧客には保守派も少なくないだけにこれら選択をした向きも悩ましい部分があるとは思うが、多数の雇用の受け皿となるこの手の大企業の従業員層には黒人やヒスパニック系なども少なくないだけにこういった施策変更で今後の人事面や待遇面で影響が出ないかこの辺がまた懸念されるところでもある。


クリスマスケーキ2024

気が付けばクリスマスがもう来週に迫っているが、先週あたりからホテルや百貨店などは今年のクリスマスケーキの予約を締め切るところも出てきた。クリスマスケーキといえば3年前の2021年のこの時期に当欄では「甘くない今年のケーキ」と題し、砂糖や小麦に乳製品の値上げで甘い香りも吹き飛ぶ関係者の苦悩と書いたことがあったが、以降毎年のように材料費の高騰が続き一服の気配も無い。

今年の場合よく取り上げられていたところでは、先ず卵が記録的な猛暑で卵の生産量が減った事や、鳥インフルエンザの発生件数も過去最悪であった2022年とほぼ同じペースだということもあり最高値を更新、またカカオも当欄で何度か取り上げた通り国際取引価格は昨年から3倍以上に暴騰した事で専門店の仕入れ価格もそれに則し急騰し、イチゴも記録的な残暑の影響で品薄になり争奪戦の様相という。

そういったことで各所では関係者の苦悩の表情がうかがえるが、帝国データバンクが出している一般的なクリスマスケーキの平均価格も今年は昨年比149円、率にして3.4%の値上げと発表しているが、ラグジュアリーホテルや著名なパティスリーなど幾つかは昨年を大きく上回る価格転嫁や、価格据え置きでも号数が小さくなり価格換算では数千円も値上がりしている向きも多かった。

ところで冒頭の通りここ数年各所のクリスマスケーキ価格を見ているが、ホテル系の値決めはどういった基準なのか正直なところよくわからない。某ホテルではシンボル的なタワー型ケーキ価格がここ3年で約60%も上昇したが、近年急騰しているカカオやコーヒ-で作るオペラは3年で価格は1円も値上げしていない。また別の某ホテルではケーキの値段はほぼ変わらずの推移だが、クリスマス菓子のベラベッカはここ3年で70%も値上げしている。価格転嫁も匙加減一つといった感じだが、何処まで強気な価格転嫁が進むのか来年もまた注目しておきたい。


キオクシア上場 

本日は年内最後の大型案件となる半導体メモリー大手のキオクシアHDが東証プライム市場にはれて上場のはこびとなった。注目の初値は公開価格の1455円を1.03%下回る1440円となったが、あと切り返しを見せ大引は公開価格を10%上回る1601円となった。当初は上場時の時価総額目標を1兆5000億円と想定していたものだが、大引ベースで8630億円となった。

ところでこのキオクシア、東芝メモリと呼ぶ方が馴染みがあるがこの規模だけあってプライム市場ではあるが同市場の上場維持基準の流通株式比率は35%と定められているものの大型特例により現状の比率は28%にとどまる。今後は同比率の引き上げ等も課題になってくるが、舞台がセカンダリーに移行した後は大量の新株予約券付社債を保有し昨年の米WD社のメモリー事業統合交渉で反対姿勢を示した韓国のSKハイニックスの動きも気になる。

度重なる上場延期で煮え湯を飲まされた彼らの思惑如何にというところだが、彼らが新株予約券を株式に転換すれば約14%を出資する大株主として浮上する事になり、更なる出資状況によっては経営に関与してくる可能性が出てくるのかも気になるところでもあり今後も引き続きこの辺の動向には注視しておきたい。


美容若年化

東証プライム市場に上場している無添加化粧品大手ファンケルは本日から小学生のためのスキンケアシリーズ「クリアアップ」を直営店舗や通販などで発売している。小学生向けでは初という事だが、まだ成熟しきっていない低年齢層向けの市場に参入することによって親世代と共に彼らを取り込みブルーオーシャンの市場でシェアを拡大したい狙いも見える。

こうしたスキンケア等はまだ関心の薄い向きも多いものの、美容絡みでは以前にも書いたように若年層の美容意識の高まりで最近では小・中学生世代での脱毛施術が増加しており、某クリニックではここ数年で脱毛を希望する中学生が8倍以上に増加しているほか、中には小学生どころか3歳から脱毛できる子供向け脱毛サロンの存在もある。

一方こうした動きの裏で直近ではアリシアの破綻にみられるように帝国データバンクによればこのような脱毛サロン倒産件数は今年14件と昨年を抜いて過去最高を更新、この2年間で少なくとも27万人がこうした倒産の被害を受けたと分析している。代金前払いを原資にした大量広告や大幅値引きなどで顧客を獲得するビジネスモデルの在り方も問われているが、判断能力に乏しい若年層のリテラシー不足も懸念されるところである。


身近になる各種原資産

本日の日経平均は日米中銀のイベント控えで様子見姿勢が強まるなか小幅に続落となったが、先週はETF市場にみずほフィナンシャルグループの資産運用会社アセットマネジメントOneの「One ETF FTSE・サウジアラビア・インデックス」が上場している。既にサウジ株ETFではSBIアセットマネジメントが昨年10月に「SBIサウジアラビア株式上場投信」を上場させているが、サウジビジョン2030を見据え外国からの投資を誘致する動きが活発化している。

新規上場したETFは任天堂などIPビジネスを手掛ける多くの日本企業の大株主にもなっているサウジ政府系ファンドのPIFと手を組んでいるが、これまで日本の個人が投資し難かった市場への選択肢が増える。しかし近年のETFといえば斯様に直接投資するのが難しい原資産へのアクセスがますます容易になってきている感があるが、今年ビットコインETFが承認された米ではそのラインナップも多彩だ。

上記のビットコインに見られる通り今年は株式以外のコモディティなどの資産の動きでも目を惹くモノがあったが、2023年末比で上昇率トップ10に入ってきているものでも変わり種ではウラン等がある。AIデータセンター増設によって電力需要が拡大するなかクリーンで安定的な燃料源である同価格の上昇は顕著だが、このウランもETF(URA)があり代替投資として注目されている。

この手では他にも当欄で昨年10月に取り上げた期限が1日のゼロデーオプションなどを組み入れたカバード・コール型のETFや、リクイディティーの低い数百の融資債権に分散投資するETFなども高い利回りを求め資金流入が加速している模様だが、こうした新商品が続々投入されるのを見るに返す返すも資産運用立国実現を謳いながらも腰の重さが目立つ日本のラインナップがもどかしく感じるというものだ。


コーヒーもチョコも

さて、本日よりドトールコーヒーが全国の店舗でコーヒー飲料等を値上げしている。背景には恒常的な物流な人件費の影響もあるが、世界的な2大産地での干ばつや暴風雨の影響による収穫減少懸念によるコーヒー豆の高騰が大きい。特にアラビカ種は国際指標の米ICEのNY先物価格が先月から上昇が加速し、先月末には1ポンドあたり3.35ドル超えとデータが遡れる1977年以来で最高値を付けてきている。

このコーヒーでは当欄でも今年9月にベトナムの異常気象でロブスタ種が指標のロンドン市場で初の5000ドル台を示現した旨を書いていたが、双方への代替を経て急騰が相互に波及している状況だ。USDAも先月のレポートで24~25年度のブラジルコーヒー豆の生産量を下方修正しているが、更にそれ以降の収穫量にも懸念が燻っている事もあり輸出好調で在庫が減少しているなか生産者が24~25年度モノを売り渋る可能性もあるとの見方も出ている。

そういった事で冒頭のドトールに先駆け既にスタバやタリーズも値上げに踏み切っているが、味の素AGFも来年3月から商品の値上げや内容量変更があり、ネスレも来年2月納品分からネスカフェエクセラなど内容量減に加え値段も300円以上値上がりする。そういえば“豆”といえば春先の狂乱相場から一服していたカカオ豆も先月は再度の供給不足懸念を囃し4か月ぶりの高値を付けてきており、これら共に来年も悩ましい価格転嫁が続きそうだ。


テーマパーク明暗

本日はUSJのスーパー・ニンテンドーワールドに拡張オープンした世界初の新エリア、ドンキーコングカントリーが開業している。全世界でシリーズ累計販売本数約6500万本にもなった人気ゲームだが、ライド・アトラクションはじめとしたさまざまなアクティビティなどワイルドな冒険が盛りだくさんで、エリア内ではドンキーコングならではのフード類やパーク内でしか手に入らないグッズも楽しめる。

テーマパークといえば先週末の日経紙アジアBiz面では「中国テーマパーク閑古鳥」と題し、中国のテーマパークでは不動産バブルによる投資ブームに地域振興を狙う地方政府の後押しが加わった事から各地で乱立が相次ぎ供給過剰になった結果、有力なIPを持たないところは閑古鳥が鳴き全体の22%が赤字で19%が損益ゼロとなっている状況が報じられていた。

これに対し強力なIPを擁する日本は、冒頭のUSJはじめ今年は東京ディズニーシーが約3200億円を投じた「ファンタジースプリングス」が開業するなど投資が相次いで加速している。今後も例えば来年には沖縄に日経トレンディ「2025年ヒット予測ベスト30」の12位にランクインした、あの刀がプロデュースする日本最大級のテーマパーク「ジャングリア」がオープンの運びとなる予定だ。

各テーマパークにおいては業界的にもこれまで以上にインバウンドの取り込みが重要になって来るか。先に観光庁が発表している1~9月の訪日外国人による消費額は歴史的な円安や高騰している宿泊費も全体を押し上げ、速報値で前年同期比61.7%増の5兆8582億円と過去最高であった昨年2023年の年間消費額5兆3065億円を早くも上回ってきている。入園料も各所で最高値更新が止まらないが、それを受け入れられるべく魅力的なコンテンツ競争もより激化してくるか。


エコフレンドリーの広がり

本日は所用で日比谷界隈に行ったが、この時期の風物詩でもあるイルミネーションが綺麗だ。お隣の丸の内も今年の煌びやかなジャンパンゴールドのイルミネーションがスタートしてはや1ヵ月になろうというところだが、先月末からはもう少し歩いたところの東京駅と皇居外苑を結ぶ行幸通りの一部でもイルミネーションが輝いている。

斯様に先月あたりからは上記の丸の内界隈をはじめ、イルミネでは此処と双璧ともいえる六本木ヒルズのけやき坂のイルミネーションもまたスタートしているが、今年は昨年よりもLEDの数を10万個増やしたそうでこちらは相変わらずアイスブルーが綺麗だ。この時期は各所でクリスマスツリーも飾られるが、この近所のアークヒルズのカラヤン広場のツリーは昨年までクリスマスイベントで使われたツリーが再利用されているという。

再利用といえば目黒川のイルミネーションも数年前から地域の飲食店等から廃油を回収し、イルミネーション用の発電機を動かす燃料にバイオディーゼルとしてリサイクルする活動が継続されている。食用油のリサイクル燃料はUSJでもまたパーク内レストラン施設の廃油をリサイクルしアトラクションの燃料として活用できるようになっている。斯様に各所でエコフレンドリーな動きが活発化しているが、こうした広がりで来場者の方も意識の向上に繋がってゆくのを期待したいところ。


ネット銀戦略

先週はヤマダデンキのヤマダNEOBANKにおける積み立て預金の満期特典の10%還元中止が報じられたのが話題になっていたが、預金といえばこれと同じ日にはSBI新生銀行が28歳以下の全ての預金者を対象に普通預金金利を通常の0.11%から3%への引き上げが発表され、次いでPayPay銀行も円・ドル貯金セットでメガバンクの普通預金の約20倍になる年利2%を開始と報じられるなどネット銀行のニュースが相次いだ。

このネット銀行だが、以前に当欄でコロナ前と比較して預金残高が2倍以上にも増加しておりメガバンクや地銀もうかうかしていられない状況だと書いたことがあったが、彼らの精力的な動きが近年は目に付く。上記の金利引き上げに加えネオバンクサービス等もそれで、冒頭のヤマダNEOBANKを共同で提供しているのは住信SBIネット銀行だがココは高島屋とも組み高島屋ネオバンクを展開、他にJR東日本×楽天銀行によるJREBANKなど他業種とのコラボも目立つ。

日銀の利上げによる“金利のある世界”の到来ではや預金獲得競争がスタートしているが、SBI新生銀行は若年層にターゲットを絞る戦略で、またネオバンクの類は大手百貨店など富裕層が眠る宝庫が魅力でもあり他業種側の方は総合的なワンストップサービスの提供から顧客の囲い込みが狙えるウィンウィンの関係を狙っているが、今後一層他業種との提携等が加速する可能性は高い。

その辺に絡んでは高島屋やヤマダデンキと組んでいる住信SBIネット銀行をNTTドコモが買収との週刊誌報道もあり同社には物色の矛先が向き本日も続伸して年初来高値を更新してきている。いずれにせよ長らくの金利の無い世界の間にネット銀行が台頭してきた経緯もありこれに伴い競争の構図も変わった感があるが、これら預金獲得競争が今後も激化してくるであろう象徴的な報道でもある。


田中一村展2024

さて、9月から先の日曜日まで東京都美術館で「田中一村展」が開催されていた。当欄で田中一村に触れたのは今から6年前に同じ東京都美術館で開催されていた「プーシキン美術展」を取り上げた際にアンリ・ルソーのテイストにも似ている旨を書いた時であったが、私も当時そう書いたように田中一村は度々過去の偉大な画家達とよく比較されてきた。

意を決して南国に移った事でよく言われてきたのは同じく南国に題材を求めた仏のポール・ゴーギャンになぞらえ「日本のゴーギャン」、また絢爛たる極彩色と精緻な筆遣いで花鳥風月を描いたことで、江戸時代の画家、伊藤若冲になぞらえ「昭和の若冲」とも評されたこともあった。ただそういった極彩色の作品が多数ある中でも「枇榔樹の森」などの作品にみられるモノトーンの美しさがひと際光る作品が個人的に惹かれる。

もともとこの田中一村を知ることになったのは、個人的にバリのプンゴセカンスタイルの絵画が好きでかつて何度か現地に買いに行ったものだが、20年くらい前からプンゴセカンを得意とする現地の画家が挙って上記の「枇榔樹の森」や「奄美の海に蘇鉄とアダン」など特徴的な炭黒のグラデーションをアクリルでもってかなりの完成度で模写し始めたのを目の当たりにしたのがきっかけである。

それらは大多数の花鳥画とは異なり、まるでその中に入って外を見るかのような構図で逆光を思わせるような美しさに生命を感じる。これは閻魔大王への土産品とした晩年の生涯の集大成ともいえる傑作「クワズイモと蘇鉄」においても、クワズイモの花が咲くところから実になりそれが朽ちるまでの全てが描かれる通常ではあり得ない構図を絵の中に完結させているところにも感じられる。

こうした生命とそれが朽ちるまでを一つの作品に落とし込む技法はエミール・ガレの作品にもよくみられるものでいずれも私のお気に入りだ。しかし伊藤若冲にしても田中一村にしてもひと昔前の美術展は直ぐに入場出来てゆったりと鑑賞を楽しめたものだが、メディアの煽りやSNSの発達でにわかファンが殺到する場と化しつつある現状を見るに以前の空間は贅沢であったなとつくづく。


輝きを増す日本真珠

さて、先週末に国内ファンドのユニゾン・キャピタルとアジア系投資ファンドのファウンテンベスト・パートナーズが宝飾品販売のTASAKIを買収総額1000億円規模で買収したことが報じられていた。かつて東証一部に上場していたTASAKIは2017年にMBOに踏み切った経緯があるが、インバウンド需要に伴う消費回復などの追い風もあって環境は大きく改善しているようだ。

ところでTASAKIといえばかつて「田崎真珠」の社名であったように真珠を使った宝飾品に強みを持っていたわけだが、近年は日本の真珠に対する注目度がにわかに上がっている。中国で人気に火が付いた影響もあり真珠の価格推移は、主要産地である愛媛水産統計の養殖真珠単価の例で2012年には1匁(3.75グラム)あたり1997円であったものが2022年では6644円とここ10年で約3倍になっている。

週明けの当欄ではマグロとタコの逆転劇でゴールドを引き合いに出したが、この日本真珠も過去最高値を更新したゴールドと似たような上昇の軌跡を描いてきている。現在ではほぼ同率の上昇軌道だが、とりわけ上記の2022年までの上昇率に限っていえばこの期間での上昇率は日本真珠がゴールドをも上回っている。

いずれにせよ素地として近年の海水温上昇に伴いアコヤガイ稚貝に大きなダメージが出て生産量が減少していたところに人気も乗った格好になるが、ここでも異常気象の影響が出ている。かつて指輪など貴金属を売却する際にウワモノ扱いの真珠等は高グレードの玉でも算定から外されていたものだが、今やしっかりと値が付く存在になっているだけに家で眠る製品に思い当たる向きは確認してみるのも一考か。


ビットコインとETF

昨日の日経紙一面には「DMMビットコイン廃業」と題し、DMM.comグループで暗号資産(仮想通貨)交換業中堅のDMMビットコインが廃業する方針を高めた旨の記事があった。同社といえば5月末に482億円相当のビットコイン不正流出が当時話題になったものだが、今後顧客口座や預かり資産はSBIグループのSBIVCトレードに移管される予定だ。

ところでビットコインといえば、トランプトレードの波に乗り今や節目の大台10万ドルを指呼の間に捉えているが、ETFも米に上場する12本のビットコインETFの純資産総額合計は1000億ドル(約15兆円)にも達し、これを保有する国家はじめ銀行や年金基金からヘッジファンドまで機関投資家の裾野もまた大きな広がりを見せている。

このETFを巡っては1月に米が承認の先鞭をつけて以降、アジア圏では4月に香港が、そして6月にはオーストラリアが承認に踏み切っている。当欄では5月に「ビットコインETFの国内承認は叶わないのだろうか?」と書いていたが、日本では今だそういった機運も高まっておらずETF承認云々の議論さえ始まっていないのが現状だ。

冒頭のような交換所の不正流出が度々世間を騒がせてきたイメージに加え、そもそも暗号資産自体が投資信託の運用対象である特定資産に入っておらずそれら以外で税制面でもまたETFと現物取引での税率の違いなど課題は山積みとなっている。とはいえ既にこれだけ広く浸透している様を見るに、完全に日本が周回遅れなのは否めないだけにガラガラポンでリセットするには今が好機とも思えるが重い腰が上がるのを期待したい。