ダブルパンチ値上げ

さて、互いに停戦合意違反を非難していた米とイランが攻撃停止で合意との報道が出ているが、原油や石油製品の供給不安による影響は今月も表面化している。帝国データバンクによる主要食品メーカー調査では7月値上げ予定の飲食料品は2566品目に上っている。単月の値上げ品目が2000品目を超えるのは今年の4月以来、3か月ぶりのことで、上記の中東情勢などが品目数を押し上げている。

分野別では即席麺などの「加工食品」が1084品目と最多で、4月に日清食品が、そして6月に明星食品が価格改定を実施していたが、今月は“赤いきつね”や“緑のたぬき”の東洋水産に“スーパーカップ”のエースコック、そして“カップスター”のサンヨー食品の3社が一斉に値上げする。これに続くのが「パン」の1078品目で“ロイヤルブレッド”の山崎製パン、“超熟”のPasco、“ネオバターロール”のフジパンなど大手が一斉に値上げに走る。

外食系ではバーガーキングが2月に続き半年も経たないうちにバーガーからサイドメニューに至るまで2回目の値上げを敢行し、モスバーガーも15日から値上げ、すき家も円安による牛肉価格の高騰を背景として8日から牛丼を値上げ、昨年の値下げも今回の値上げで“往って来い”で元通りになった。またドトールコーヒーショップやエクセルシオールカフェも中東情勢を受けた包材高騰を背景に主力商品を23日から値上げする。

1か月前には「~11兆円以上も投入した介入効果虚しく円安基調は変わらない~」と書いていたが、そこから一時は1か月で更に3円近くも円安が進み約40年ぶりの円安水準に。中東情勢の悪化にこの円安も輸入コストを上昇させるダブルパンチで帝国データバンクの言う年間値上げ品目数2万品目台での着地想定を睨み今後も身構える動きが継続されようか。


健康保険法改正案効果

先に「健康保険法等の一部を改正する法律案」が可決・成立しているが、これで来年の3月からOTC類似薬がこれまでより高くなる。通年で薬を使うケース等では追加負担を求める新制度の対象外とする案も先週に提示されているが、果してその数は約1100品目にのぼり厚労省のHPに出ていたそのイメージ図によれば解熱鎮痛剤、去痰剤に抗アレルギー薬などどれもすぐに商品名が出てくるくらい馴染みの薬が対象になっている。

ちょうど1年前の今頃にOTC類似薬を取り上げた時には負担が現行から10割の満額にする等の案としていたが、一先ず薬価の25%の追加料金となったようだ。とはいえ今後も来年度以降の引き上げが検討されているようで安心も出来ないが、後は診察料が個別でどの程度別途オンされてくるかによりトータルでの“お得感”?が試算されようというものか。

そんな胸算用は兎も角も、医療費はコロナ禍の2020年の約42兆円から一昨年には約48兆円にまで拡大してきており現役世代の保険料負担も増大の一途を辿っていることも鑑み、政府としては今回のこの見直しにより年間で約900億の医療費削減効果を見込みというものの、1年間の1人当たり換算でその保険料削減効果は約400円、よく節約評論家が電気代節約の為にいろいろ面倒な手間を提案する話があるがその割に年間で数千円程度の話と同じ感さえする。

そういった事でその効果と引き換えに日本医師会など経済的負担から必要な治療が出来なくなる可能性や、自己判断で診断や治療開始が遅れ重症化につながる懸念を指摘している。1年前のタイトルには「お薬受診」と書いたが、反復処方出来るリフィル処方箋など含め厚労省のHPでも掲げている「持続可能な医療保険制度」にする為に何が重要になってくるか改革は道半ばか。


路線価2026

本日は国税庁が相続税や贈与税の対象となる2026年分の路線価を発表している。全国約31万地点の標準宅地の平均は、外国人向けのホテル需要や再開発への期待感などを背景に前年比で2.9%プラスとなり、算出方法が現在のように変わった10年以降で最大の上昇率となっており5年連続の上昇となっている。

さてその上昇率トップとなったのは32.7%の長野県・白馬村でインバウンド人気などを囃しココは3年連続全国1位、それに続くのは同じく長野県の野沢温泉村、そして続く3位には北海道の富良野市がランクイン。都内で上昇率トップとなったのは浅草の雷門通りの27.5%、また標準宅地の変動率の都道府県別では東京都が前年比プラス9.4%で東京都が最大であった。

また今回は中野駅北口広場の22.4%や、高円寺駅北口商店街通りの19.8%に荻窪の19.7%上昇など中央線沿線の上昇も目に付いたが、5年前くらいの麻布十番と同水準まで上がってきている旨を大手不動産情報会社が指摘している。冒頭の通り「相続税や贈与税の対象となる」ものだが、斯様な上昇模様を見るに相続財産の割合の変化と共に相続税等の申告義務者も自ずと増加傾向になって来ようか。


糖尿病治療薬蔓延

先週末の日経紙投資面では、高値圏で乱高下している日経平均への不安からディフェンシブ銘柄のうち医薬品などに注目する旨の記事があったが、個別では肥満薬をイーライ・リリーに導出している中外製薬の名も挙がっていた。この肥満薬に絡んでは今月中旬には厚労省が糖尿病治療薬「マンジャロ」等の目的外使用を危惧し適正使用を要請する通知を全国の医療機関向けに発出している。

米国でも同じようにダイエット目的で糖尿病治療薬を使う向きが急増しているが、日経MJ紙ではこうした動きで菓子やスナック類の売り上げが減少している裏でこの薬による副作用対策商品の市場が拡大している旨の記事があった。唾液分泌低下にはガムやミント製品の売り上げが増加し、抜け毛や肌の弾力低下には薄毛対策製品が注目され、同薬品使用中の栄養不足に対してはスムージー業界に追い風が吹いているという。

米JPモルガンではこうした“GLP―1受容体作動薬”などを含むインクレチン関連薬の世界市場規模が2030年までに2000億ドル(約32兆円)に達するとの予測を出しており、日本もこれの後追いで市場が同じような軌跡を描くかどうかだが、それらと併せ薬品ポスト全体の水準動向にも注目しておきたいところ。


株主総会2026

先週は日産の定時株主総会でメインバンク出身の社外取締役の再任が否決された旨を取り上げたが、今年も多くの企業の株主総会が先週にピークを迎えている。日産のような独立性に疑問符が付くモノ以外にも業績不振モノ、不祥事モノなどにもトップ選任の反対票が相次ぐなどここ近年の持ち合い株の減少を背景として企業統治改革を迫られるパターンが今年もより一層顕著になった感がある。

2年前の株主総会の時期に、「近年では選任議案で再任とはなったものの、その賛成比率が首の皮一枚といった取締役も多くなってきた」と書いていたが、昨年は太陽HDの社長再任案が否決される異例の事態となり、今年もこの手の“薄氷組”としては中部電力社長の56.30%、リコー社長の55.69%、KADOKAWA社長の59.68%など50%台が続々と相次いでいる。

アクティビスト勢の姿勢も傾向的には何度か書いたが従前の増配要求など短期的要求から、徹底したボトムアップリサーチで企業改革やガバナンスにより踏み込んだ中長期目線で成長戦略の具体化など経営力向上を意識した提案で賛同表を集める傾向になってきており、昨年は無かった定時株主総会開催日の後倒しを求める定款変更事項議案が20件近く出たのも目に留まる。

この辺は有報の開示時期が焦点になって来ようが、ともあれそういったことでこの6月の株主総会でアクティビストなどから株主提案を受けた企業は50社超と過去最多になっている。総会屋が蔓延っていた一昔前とは隔世の感を禁じ得ないが、今後も企業の成長を高めるための戦略やガバナンスの質の向上が経営陣に求められその対話もますます踏み込んだものになって来ようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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