外食業界マッチング

さて、先週にファストフードチェーンの「スガキヤ」が横浜に約20年ぶりの新店舗をオープンさせ話題になっているが、これを運営するスガキコンシステムズが「ドムドムハンバーガー」を運営するドムドムフードサービスを買収した事が発表されている。ドムドムバーガーといえば相次ぐ店舗閉鎖で青息吐息であったものが、専業主婦だった社長の下でカニやタラを一匹丸ごと使う奇抜なメニューなどでV字回復を遂げたことで知られている。

ところで外食業界と言えば先月も鎌倉パスタなどを運営する「サンマルク」が、うどんの「つるとんたん」を買収している。このサンマルクは2年前にも牛かつチェーンの京都勝牛を買収しているが、これに限らず今年は年明けに牛丼の松屋がラーメンの松冨士を買収したり、春先にはコロワイドが珈琲館やベローチェを運営するC.Unitedを400億円以上で買収している。

また2年前に資さんうどんを買収したすかいらーくHDも春先にはシンパチ食堂のしんぱちを異例の高額で買収するなど、斯様に近年では大手による買収などで業界では店舗網を一気に拡大する動きが目立っている。昨年の外食業界のM&A件数は過去最高を記録する110件であったが、今年は8月迄で既に94件となっておりこのペースで進めば昨年を上回る勢いとなっている。

いずれの買い手も新業態に出るのではなく既存ブランドを買って出ているが、こうしたところは名前を聞けば誰でも知るところの既にブランドとして成立している店ばかり。買われる方も知名度に対し店舗数が頭打ちで海外等を視野に入れるのはハードルが高い向きもあり、こういった部分も大手とのマッチングを後押ししているのは想像に難くなく今後も伸びしろを買うM&A動向を引き続き注視しておきたい。


ストックオプション考

本日の日経紙・学びのツボでは「働く意欲と報酬を左右」と題し、スタートアップなどの一部で優秀な人材を確保するためのツールの一つとしてのストックオプション解説の記事があった。ストックオプションは言わずもがな予め決められた(権利行使)価格で自社の株式を購入できる株式購入権の一種だが、近年ではテスラやスペースX率いるイーロン・マスク氏の巨額ストックオプションが話題になったりした。

同頁ではこのストックオプションでもいくつかの種類がある旨が書かれていたがこれらに伴う税金の取り扱いにも言及していた。しばしば外資系での勤務経験がある役員クラスがこのストックオプションを行使して所得を得た際にその扱いを巡って国税当局とバチバチやり合っている事件を目にするが、通常の累進課税扱いから金融課税扱いまでさまざまで発行側もその辺の多様化が進む。

そういえば今日の株式市場では東証プライム市場のネクセラファーマが急反発し年初来高値を更新していたが、これは業績連動型ストックオプションの導入を発表したことが好感されたもの。昨年東証に上場した企業では実に約9割がストックオプションを導入している旨もこの頁に書いてあったが、就職や転職組に限らず投資家目線でこうした部分に着目して各企業を見るのも一考か。


脱デフレ下の転嫁術

本日の日経平均はAI・半導体関連銘柄の一角への売りで続落となっていたが、そんな地合いのなかですかいらーくHDやサイゼリヤ等の外食大手が買われていた。先の衆院予算員会で食料品の消費減税関連法案を巡って外食産業の需要喚起策が検討していると明らかにされたことが背景だが、上記のサイゼリヤといえば今月末より上場来初となる本格的な値上げに踏み切ることが話題だ。

外食の値上げでは他に先週から松屋が牛丼を値上げしているが、他に本日の日経紙ビジネス面にもあったようにファーストリテイリング傘下のカジュアル衣料品店「ユニクロ」が19日までに一部商品を値上げする。このユニクロにしてもサイゼリヤや松屋もいずれもがデフレの象徴かのように君臨?してきたわけだが、こうしたところが続々と値上げに踏み切っているあたり改めて脱デフレへの景色を感じる。

値上げの報は時にマーケット上で明暗だが、本日のファーストリテイリングも急反発しており、サイゼリヤもこの値上げの報があった翌日は14%以上の急騰を演じている。直近でも値上げ表明した大手食品系で炎上したところもあったが、価格転嫁の苦慮する企業が多いなか以前にも少し書いた通りアドの時代から関係性の時代へ差し掛かっており、“与党”をどう増加させるか各社の戦略が問われよう。


金にも戸籍証明?

昨日の日経紙一面では「流通元不明の金、輸出禁止」と題し、金の密輸に絡む問題で加工後に再輸出する手口の横行を踏まえ、流通経路の不明な金の輸出を差し止める仕組みを2027年度にも導入する旨の記事があった。関税法や関連する政令の改正を検討し税関の権限を拡大する意向で、有識者でつくる財務省の審議会に来月にも素案を示し年内に改正の内容をまとめるという。

こうした法制度改正で流通経路が不明な金の輸出を阻止して組織的な金の密輸をたたく狙いで、金の密輸に関してはこれまで当欄でも何度か取り上げてきた通り輸入量と輸出量の乖離が激しい。同紙では昨年の貿易統計の正規輸入量は10トンだが輸出量の方は228トンと実に20倍以上の開きがある旨が書かれていたが、国庫の損失は想像に難くないか。

そういえば今日は大阪市水道局が昨年匿名の人物から寄付された計21キロの金地金を先週末に売却したとの発表が為されていたが、この売却に関しても今年に入ったあたりから金地金類の買い取りに対して厳しくなってきているというのを聞く。上記の寄付された金地金は写真を見るに国内一流ブランドのものが確認できるが、こちらもまた金密輸等を背景とした事実上のブランド規制というような形になってくるか。

そもそも金の魅力といえば無国籍通貨と言われるくらい万国共通でどこでも換金性に優れていたのが“売り”であったものだが、こうした部分である意味パラダイムシフトしてきているということになるだけに今後の規制の行方にも注視しておきたい。


直美問題

Netflixの「ダウンタイム」を見た。ネトフリのシリーズを見るのは一昨年の「地面師たち」以来のことだったが、ネトフリが選ぶテーマが相変わらず鋭く面白い。所謂“ダウンタイム”期間が確保できるチャンスの広がりなどでコロナ禍から俄かにその体験者も広がった美容整形業界だが、“美”を追い求める人々の欲望に双方の裏側に潜む光と闇を境目なく描き出し人間の本質をあぶり出すさまはいろいろと考えさせられる。

この美容医療といえば先の日曜日の日経紙一面のチャートは語るでは「美容医療に流れる医師」と題し、都市部を中心に美容医療機関が集中し地方の他の診療科の勤務医が高給などの好待遇に惹かれ転職が増加してくれば医師不足問題も出てくる可能性を指摘していた。もう一つ書かれていたのは医学部卒業後2年間の臨床研修を終えそのまま美容クリニックに就職する所謂“直美”問題。

ちょっと前のデータになるが、厚労省が2022年に行った調査ではこの“直美”がここ10年で約12倍にも急増していることが明らかになっている。美容医療はほぼ自由診療なのでなにしろ客(患者)単価も高く、報酬面でもこれが顕著に表れて初年度でも一部では2000万円を軽く超えるといわれる年収目当ての向きがほとんどだ。

ところで総務省が先に発表した全国841の公立病院の昨年の決算では81.2%が経常赤字となっており、5年前の42.8%からほぼ倍増している計算になる。直美の背景もあり特に人材確保が難しくなっているというが、私の知人の医師も指摘していたところで直美の経験値の少なさを危惧する声も多い。赤字や直美問題解決には診療報酬はじめ労働環境まで諸問題山積みだが、今後の医療のバランスを考える上でも喫緊の課題か。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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