8ページ目   商品先物

総合取引所始動

本日JPX(日本取引所グループ)は貴金属や農産品等の市場を東京商品取引所から大阪取引所に移管しこれで株価指数先物から商品先物まで一体的売買が可能な総合取引が本格的に始動した。市場も各社も起死回生の最後の切り札として期待するところだが、これで大証では新たな証券会社が商品先物を扱う見通しとしている通り規模拡大でその競争環境もまた変って来ることも予想される。

ところでそんな初日を飾る?ように金先物が大幅続伸となり中心限月としては最高値を更新、本日の時間外取引でも国際指標のニューヨーク金先物が2011年9月に付けた1トロイオンス1923ドルの史上最高値を約9年ぶりに上回り、現物の国際指標であるロンドンでも同じく11年に付けた史上最高値を更新してきている。

斯様な状況で国内でも金地金の方も小売り価格が消費税導入前の80年代以来約40年ぶりに最高値を更新して来たが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各国の金融緩和拡大で米など実質金利が過去最低となったのを背景にドル安が進行、加えて直近ではEU首脳が難航していた7500億ユーロの復興基金で合意しユーロ高が進行した事もこれに拍車をかけている。

上記の通りの各国の金融緩和拡大から世界中で金利がほぼ消失している折、金利が付かないという金の弱点解消が囃されるのには十分な局面か。思えば新型コロナ第一波の時に全部安の如く一緒くたに売られた場面も絶好の拾い場であったが、上記ドル安以外に米中対立深刻化などの地政学リスクも燻り代替資産たる金への資金シフトはまだ暫く衰えそうにもないか。


間接効果の恩恵

昨晩はWTIが3月以来の40ドル大台を回復してきたが、先週末の日経紙商品面では原油価格指数に連動するETNの売買が個人マネーの流入で急増、発行体の金融機関が原油先物の持ち高を増加させたことで東商取の原油先物の4月の売買高は前年同月比で4倍以上となるなど取引が急拡大となっている旨が載っていた。

このETNといえば文中に挙げられていた「日経・TOCOM原油ダブル・ブルETN」が代表銘柄であるが、これまでも原油が数年ぶり安値に沈む度にこのETNが商いを集めて注目されており、その建玉は先週段階で1年前の約4倍に増加し売買代金もまた4月には上場以来の最高を記録している。

原資産の存在も緩和マネーの影響で投資に流入する厚み自体が増し各々数カ月ぶりの高値となっており、他にも先に当欄で取り上げていた野村のインデックスETFなどはWTI暴落に乗じて個人が群がった当時の二桁から三桁へと値段が跳ね上がっている。これらETNやETFなどその設計上から東商取への間接効果は上記の通り無視出来ないものがあるが、今後どの程度商いを集められるのか注目というところか。


コロナの歪み

本日の日経紙商品面には「貴金属、広がるゆがみ」と題し宝飾品や産業用に使用するプラチナや銀などの貴金属の国際市場間でも、ニューヨークの先物価格と現物を取引するロンドンやチューリッヒ等の欧州スポット価格との差がプラチナで2000年以降で最大となるなど目立って来た旨が出ていた。

通常この手のケースでは裁定が効いて価格差が縮まるものだが、このコロナ禍を背景とした国境閉鎖や商業航空の大幅な減便など物流リスクの影響で現物デリバリー前提の裁定取引が難しい事で冒頭の現象が起きており、英銀行大手HSBCなど先駆けとなった金のこうした誤算で大幅な評価損を出した旨も書いてあった。

銀行の金取引といえば株式等のバスケット取引などで機関投資家と証券会社間で遣り取りされる事も多いEFP取引が主流だが、ニューヨークとロンドンのオンス当たりの差がロックダウンによる影響で数十ドルに拡大した事が直撃した格好か。マイナス金利然り、先のWTIマイナス価格も然りでコロナが引き起こした未曾有の現象が今後各所にどう影響してくるのか引き続き目が離せない。


買い手市場

さて昨日触れたWTI、納会を控えた当限が投機筋等の手仕舞い売りを浴び1999年3月以来ほぼ21年ぶりの安値まで沈んでいた旨を書いたが、その数時間後にはマイナス圏に沈み納会ではまさかの1バレルマイナス37.63ドルで取引を終えている。兎にも角にも価格がマイナスとなるのを見るのは市場初めての事態だ。

既に用船料が数倍に高騰しているとの一部報道にある通り貯蔵施設能力に限界を来すほど原油在庫が積み上がっている様相だが、マイナス圏でロングし納会を迎えた向きには現物と共に現金が受け取れる構図という事はいわばこの現金部分が原油の貯蔵を確保するコスト分という事と捉えられるだろうか。

ところで原油の場合は斯様に貯蔵が可能だが、同じく資源のLNG等はその特性上備蓄が出来ない事が災いし需要が冷え込みを背景にしてそのスポット価格もまた年初から半値以下の水準まで急落の憂き目に遭っている旨が本日の日経紙に出ていた。新型コロナウイルスがエネルギー市場をも侵食してきた格好だが、資源メジャー各社はこの受難にどう向き合うのかその舵取りが注目される。


金のデジャヴ

さて、先週末に米ニューヨーク市場では金の先物価格が約7年半ぶりの高値を付けていたが、これを受け今週はTOCOMに上場する金が1982年3月23日の取引開始以来の過去最高値を更新、また地金小売価格の方も同じく40年ぶりに過去最高値を更新する事となった。40年前といえば年足など広げてみるに直ぐに目に飛び込んでくるあの旧ソ連のアフガン侵攻時だが、昨今のドルとの相関関係の変化も読み取れるか。

こうした構図の裏にはETF経由での資金流入もあるが、WGCが先週纏めたところによると3月末時点の世界の金ETF残高は3185トンと前月末から151トン増加と3ヵ月連続で最高を更新、昨年末比でも298トンの増加を見せ四半期の増加幅としては16年1-3月以来の高水準となった模様。

しかしコロナが猛威を振う前の「全部高」の構図からコロナショックで「全部安」の憂き目に遭ったものの、FRBの資金供給策等から独り驚異の回復力を見せる光景はあのリーマンショック時からその後にも見られた通りで、こんなデジャヴのような光景を見るにやはり未だ完全に解明されていないウイルスを前に拠り所としての安全資産の位置を再認識させられるというもの。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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