ストックオプション考

本日の日経紙・学びのツボでは「働く意欲と報酬を左右」と題し、スタートアップなどの一部で優秀な人材を確保するためのツールの一つとしてのストックオプション解説の記事があった。ストックオプションは言わずもがな予め決められた(権利行使)価格で自社の株式を購入できる株式購入権の一種だが、近年ではテスラやスペースX率いるイーロン・マスク氏の巨額ストックオプションが話題になったりした。

同頁ではこのストックオプションでもいくつかの種類がある旨が書かれていたがこれらに伴う税金の取り扱いにも言及していた。しばしば外資系での勤務経験がある役員クラスがこのストックオプションを行使して所得を得た際にその扱いを巡って国税当局とバチバチやり合っている事件を目にするが、通常の累進課税扱いから金融課税扱いまでさまざまで発行側もその辺の多様化が進む。

そういえば今日の株式市場では東証プライム市場のネクセラファーマが急反発し年初来高値を更新していたが、これは業績連動型ストックオプションの導入を発表したことが好感されたもの。昨年東証に上場した企業では実に約9割がストックオプションを導入している旨もこの頁に書いてあったが、就職や転職組に限らず投資家目線でこうした部分に着目して各企業を見るのも一考か。


持ち合い解消包囲網

先週末の日経紙一面には「持ち合い株売却 8.8兆円」と題し、日経紙が3月期決算の上場企業約2300社の有価証券報告書集計において、政策保有株の売却額が8兆8900億円と過去2番目の高水準であった旨の記事があった。予てよりコーポレートガバナンス報告書等で東証プライム市場上場企業の約7割が持ち合い株を削減する方針を示していたが、アクティビスト等の圧力も背景にはあろうか。

当欄ではこれまでトヨタグループはじめとしてアシックス、大手損保なども政策保有株ゼロを打ち出してきた旨を書いていたが、今回の纏めで業種別に売却額が多かったのが保険と銀行で互いの政策保有株圧縮が表れているか。企業別で売却額が大きかったのも東京マリンでその資金を買収原資に充てるといい、上記アシックスも資金活用が奏功しかつての赤字から今や売上高1兆円超が目前に迫る。

先にTOPIX見直し第2弾を書いたが今回は年間売買代金回転率と共に浮動株時価総額でもふるいにかけられ、政策保有株はこれにカウントされないので自ずとこういった部分においても解消促進効果はあるか。まさに各所から包囲網といった感じだが、かつてはこの持ち合いも適正化水準まで10年以上かかるともいわれていたものがこれらで各段に進むと思われるだけに今後もその推移を見守りたい。


金利収益の旨味

本日の日経紙グローバル市場面には「信用買い個人、金利高の影」と題し、直近で東証から公表された投資家の信用取引の買い残高の約6.4兆円などが信用取引のコスト上昇などで重荷になる可能性が出てきた旨の記事があった。複数の大手証券では日銀の利上げで短期市場からの資金調達コストが膨らんでおり、これに伴い信用買いの買い方金利の引き上げに動いている模様だ。

同紙では上記の買い残の約6.4兆円をもとに足元の買い方金利の水準を年間約3%と仮定しての計算では、個人投資家全体の金利負担が約1900億円にのぼるという。もちろんこのマル信の性質上ダラダラと期日まで引っ張るパターンは誰もがエントリー当初は想定していないだろうが、先に書いた信用評価損益率のプラス浮上などに惑わされ気が付けば塩漬けの罠にはまっている向きも少なくないか。

さて張る側は泣き笑いの明暗があっても、こうした対で証券会社は恩恵を被る。先の大手ネット証券の2026年4~6月期の合計純利益は前年同期比で2.3倍に膨らんだが、背景には各社共に信用取引の金融収支が貢献し収益全体に占める割合も大きく伸びてきている。日銀利上げのペース以上に貢献している間は良いが、今後の利上げに何処まで付き合えるのかこの辺にも注視しておきたい。


消える選択残る選択

さて、先週は日経平均が調整色を強める中でも2日連続ストップ高の後も続騰していたのが東証プライム上場のアルビスであったが、これは周知のようにスーパー大手のライフコーポレーションがTOBを実施すると発表しその買い付け価格の3780円にサヤ寄せしたもの。当のアルビス側は賛同意見を表明しており、このTOB成立後に上場廃止となる見込みだ。

このスーパー業界では春先にスタンダード市場上場のオリンピックもドンキが買収し上場廃止の道を辿ったが、TOBといえば先月もハウス食品工業が子会社の壱番屋の売却検討の報があり、組み込みソフト開発のイーソルのMBOも報じられておりいずれも株式の非公開化を検討する。斯様に非公開化の選択が増加しているが、ちょうど1週間前の日経紙一面でも東証への上場を廃止する企業が3年連続で過去最多を更新する旨を報じている。

非公開化に向かうケースでは上記のようなパターンもあれば、市場改革により上場維持基準を満たせなくなったパターンもある。昨年末には要請期間内に条件クリアする方策として所謂ロールアップなどの動きや、ファンドが絡んでファイナンスを駆使した時価総額拡大計画の動きなども予測されると書いていたが、ふるいにかける経過措置もいよいよ終了し条件のクリアが難しい10社が来月に上場廃止となる予定だ。

しかしこんなグロース市場やスタンダード市場でなくとも、東証一部からプライム市場に長らく君臨してきたところの「大正製薬」や「久光製薬」など誰もが知る“定番企業”まで非公開化を選択するのを見るに上場を前提としない新たな形が垣間見える。今後もこうした“前向きな退出”が中心になってくることが予測されるだけに、引き続きポスト別に注視しておきたい。


TOPIX見直し第2段階

さて、TOPIX(東証株価指数)の初回定期入れ替えの算定基準日が今週過ぎた。TOPIXといえば市場区分再編前は東証一部全銘柄であったが、それが市場区分再編後に第一弾の見直しが行われ、この度の第2弾ともなる見直しではプライム市場・スタンダード市場・グロース市場の全ての市場から選別されその構成銘柄は現状より更に絞られることになる。

この辺に関しては一昨日の日経紙投資面でも触れていたが、ハイテク系の大型株の上昇とも相まって年間売買代金回転率や浮動株時価総額などでふるいにかけられ構成銘柄数は1000の大台を下回った可能性が高い旨が書かれていた。教科書通りなら新規採用銘柄にはインデックスファンドのマネー流入がポジティブに影響し、除外銘柄にはこの逆でマネー流出からネガティブな影響が想定される。

実際に今週のマーケットでは新規採用が見込まれている銘柄群の中から上場来高値を更新してきている銘柄が見られたが、一方で今回のドラスチックな見直しで約700銘柄が除外の憂き目に遭う予定となる。そういった意味では総指数の質が変わる大きな改革になるとも思われるが、「敗者復活」ではないが来年のこの時期にも再評価があることで“逆風”のなか時価総額を睨んだ戦いを今後目の当たりにすることになるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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