乱高下のFMH株

さて、昨年の春からフジ・メディア・ホールディングスへの圧力を段階的に強めていた村上氏であったが、節分の昨日に不動産事業の再編検討と大規模自社株買いを発表した。同社が予てより要望のあった村上氏側の要求をほぼ汲んだかっこうとなり、これによりこの自社株買いに応じて保有していた同社株を手放す方向に。これでかれこれ1年近くに及んだ村上氏側との攻防は手打ちとなり一先ずは収束に向かうという形になる。

ここまでアクティビスト勢と対峙するなかでフジ側は「有事導入型買収防衛策」導入の決議をしたり提案に対する具体策を発表しないままなんとか凌いで?やってきたわけだが、一連の流れで村上氏側含むアクティビスト勢が議決権株式の3割超を持つに至り今回の大幅譲歩の流れになったか。様々な思惑から本日の同社株は年初来高値を更新するもそこから10%以上も売られその後急速に戻すなど乱高下の一日であった。

今日の株価乱高下には資本有効活用進展の期待がかかるものの、成長の柱に据えるとしたメディア・コンテンツを今後どうしてゆくか施策の出されないところへの不透明感も滲み出る。将来性の思惑で今後も株価は思惑含みになりそうだが、村上氏系では昨日提出の大量保有報告書で東証プライム上場のレンゴー株を5%以上保有していることが明らかになっておりこれら含め関連株には今後も注目しておきたい。


逆風下での逆行高

さて、フジサンケイグループへの圧力をじわじわと強めている旧村上ファンドの村上氏の長女だが、先週末のマーケット引け後にはサンケイリアルエステート投資法人の持ち分を7.36%取得したことが明らかにされている。ココは既に年明けに子会社が一任契約で運営管理するファンドのTOB実施が伝えられ同価格にサヤ寄せする格好で急騰を演じた経緯があるが、この報を受け本日は年初来高値を更新しこのTOB価格を上回る急騰を演じている。

ところでこのREITといえば有利子負債を多く抱え教科書的には近年の金利上昇圧力が逆風になるはずだが、当のマーケットは各市況の好転や資本効率の改善などを背景に、東証REIT指数は約4年ぶりの高値圏で推移しており先の日経紙では低迷する米はもとより豪州、シンガポールのパフォーマンスをも上回りきれいな上昇トレンドを描いている模様の旨が書かれていた。

こういった中で、上記の村上氏もそうだが国内のREIT市場にもアクティビストの手が伸びてきている。今からちょうど1年前にはシンガポールの投資ファンドである3Dインベストメント・パートナーズがNTT都市開発リートに対してTOBの発表をしており、さらに同ファンドは翌月にも阪急阪神リート投資法人に対してもTOBを実施する旨を発表している。

ちなみにこのTOB劇はその後いずれも不成立に終わっているが、株式市場で親子上場解消の動きが進むなかこうした動きは今後も活発化してくるか。株式市場のみならずREIT市場でもアクティビストがカタリストとしてその存在がクローズアップされてくるか否か、今後もその動向に注目しておきたい。


市場退出が増加傾向

本日も日経平均は続落しこれで5日続落となったが、奇しくも昨年もこの1月中旬に5日続落を記録している。衆院解散を手掛かりに上昇してきた銘柄勢の売り物が目立つが、日経平均上昇に関係なく置き去りになっているのが東証グロース市場か。先の日経紙でも22年4月の3市場再編以来、プライム市場とスタンダード市場が最高値圏にあるのに対し、グロース市場は発足時を下回るアンダーパフォームと不甲斐ない状況となっている旨が書かれていた。

そんなグロース市場だが、先週末の日経紙ビジネス面では「グロース企業のM&A最高」と題し、成長に向けM&Aを活用する新興企業が増加しそのM&A金額は昨年には前年比で63%増の7495億円と過去最高になった旨の記事があった。また件数も247件と15%増加しこちらも過去10年で最高というが、所謂“小粒上場”を減らすという東証改革の影響で大手への傘下入りやMBOを選択する企業が増加している模様。

確かに先月も建設業のドラフトがMBOで市場からその姿を消し、その前にはDX教育支援のアイデミーがアクセンチュア傘下に、更に遡れば人材紹介のトライトはカーライルに買収され、投資用マンション販売のLeTechも住友林業傘下となり市場から姿を消している。上記の通り30年以降の時価総額基準を見据えた動きともいえるが、グロース以外のポストも東証要請を背景に退出組の増加は今後も続くことになるか。


創業家vsアクティビスト

週明けの日経平均はデンマーク領グリーンランドに絡む米関税政策や国内政治を巡る不透明感が嫌気され3営業日続落となったが、そうしたなかでも先週の急騰の流れを継いで東証プライム上場の豊田自動織機株は3営業日続伸模様となっていた。こうした背景には豊田陣営による同社株に対するTOB価格の16000円台から18000円台へと約15%の引き上げ報道がある。

もともと同社株に関しては急騰第一幕?の時に既に16300円という当初のTOB価格を上回る18000円台まで上昇していた経緯があり、当欄では「現在のBPS実績が約16300円であるからちょうどPBR1倍といったところだが、これが本質的な企業価値なのかどうかというところだろう」と書いていたが、その後大株主の米エリオット・インベストメント・マネジメントは保有株式数を増加させながら企業価値の過小評価を訴えていた。

こうしたケースでは先月からMBOを実施中のネット印刷大手のラクスルに対しても大株主の英ベイリー・ギフォードや、香港のキーロック・キャピタル・マネジメントも揃って米ゴールドマン・サックス系の投資会社によるTOB価格への過小評価を訴えており、こちらもまた豊田自動織機よろしくマーケットではそのTOB価格を上回る水準での値動きが続いている。

これらの行方が気になるところだが、昨年はもう一つ同様のケースでカーケア用品大手のソフト99コーポレーションを巡るMBOでは、創業家と過小評価を訴えた村上ファンド関係者系のエフィッシモとで買収合戦が繰り広げられた末にエフィッシモ側のTOBが成立勝し創業家のMBOは頓挫する結果になっている。かつて東証一部のカネボウ破綻劇でもTOB価格を巡る混乱劇が思い出されるが、これが現代ならその行方も全く変わっていただろうとつくづく。


FOMO?

本日は高市総理が自民党と日本維新の会幹部と会談、来週招集の通常国会の早期に衆議院を解散する意向を伝えている。詳細は来週に総理が説明するとしているが、この解散観測で「選挙は買い」のアノマリーで連休明けから“高市トレード第2弾?”が始動、本日も大幅続伸で大納会からはや4000円以上も急騰して本日は初めて54000円の大台に乗せ連日で史上最高値を更新している。

上昇は株式のみならずいつもの如く長期金利も然り、前場に指標の新発10年物国債の利回りは財政悪化懸念から上昇圧力がかかり2.180%を付け1992年2月以来およそ27年ぶりの高水準となっている。斯様に金利が急ピッチで上昇しているなかで同時に株式急騰という違和感のある光景は昨今の特徴だが、この同時急騰は「金」もまた同じで今週は4600ドルの大台を超え史上最高値を更新、国内小売価格も26000円超で史上最高値を更新してきている。

米がベネズエラに軍事作戦を実行し、反体制派による抗議デモに絡みイランにも矛先を向けなど地政学リスクが囃されたとされているが、過去の湾岸戦争やイラク戦争など記憶に残る米軍事介入のケ-スでは軍事展開後のマーケットでは株高とはなるも金は下落パターンがお決まりの光景であった。上記含めた“逆相関崩れ”がパラダイムシフトなのか、はたまたいずれもう一方から乖離することになるのか今年もマーケットは一段と興味深くなっている。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2026

2

1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28