市場退出が増加傾向

本日も日経平均は続落しこれで5日続落となったが、奇しくも昨年もこの1月中旬に5日続落を記録している。衆院解散を手掛かりに上昇してきた銘柄勢の売り物が目立つが、日経平均上昇に関係なく置き去りになっているのが東証グロース市場か。先の日経紙でも22年4月の3市場再編以来、プライム市場とスタンダード市場が最高値圏にあるのに対し、グロース市場は発足時を下回るアンダーパフォームと不甲斐ない状況となっている旨が書かれていた。

そんなグロース市場だが、先週末の日経紙ビジネス面では「グロース企業のM&A最高」と題し、成長に向けM&Aを活用する新興企業が増加しそのM&A金額は昨年には前年比で63%増の7495億円と過去最高になった旨の記事があった。また件数も247件と15%増加しこちらも過去10年で最高というが、所謂“小粒上場”を減らすという東証改革の影響で大手への傘下入りやMBOを選択する企業が増加している模様。

確かに先月も建設業のドラフトがMBOで市場からその姿を消し、その前にはDX教育支援のアイデミーがアクセンチュア傘下に、更に遡れば人材紹介のトライトはカーライルに買収され、投資用マンション販売のLeTechも住友林業傘下となり市場から姿を消している。上記の通り30年以降の時価総額基準を見据えた動きともいえるが、グロース以外のポストも東証要請を背景に退出組の増加は今後も続くことになるか。


創業家vsアクティビスト

週明けの日経平均はデンマーク領グリーンランドに絡む米関税政策や国内政治を巡る不透明感が嫌気され3営業日続落となったが、そうしたなかでも先週の急騰の流れを継いで東証プライム上場の豊田自動織機株は3営業日続伸模様となっていた。こうした背景には豊田陣営による同社株に対するTOB価格の16000円台から18000円台へと約15%の引き上げ報道がある。

もともと同社株に関しては急騰第一幕?の時に既に16300円という当初のTOB価格を上回る18000円台まで上昇していた経緯があり、当欄では「現在のBPS実績が約16300円であるからちょうどPBR1倍といったところだが、これが本質的な企業価値なのかどうかというところだろう」と書いていたが、その後大株主の米エリオット・インベストメント・マネジメントは保有株式数を増加させながら企業価値の過小評価を訴えていた。

こうしたケースでは先月からMBOを実施中のネット印刷大手のラクスルに対しても大株主の英ベイリー・ギフォードや、香港のキーロック・キャピタル・マネジメントも揃って米ゴールドマン・サックス系の投資会社によるTOB価格への過小評価を訴えており、こちらもまた豊田自動織機よろしくマーケットではそのTOB価格を上回る水準での値動きが続いている。

これらの行方が気になるところだが、昨年はもう一つ同様のケースでカーケア用品大手のソフト99コーポレーションを巡るMBOでは、創業家と過小評価を訴えた村上ファンド関係者系のエフィッシモとで買収合戦が繰り広げられた末にエフィッシモ側のTOBが成立勝し創業家のMBOは頓挫する結果になっている。かつて東証一部のカネボウ破綻劇でもTOB価格を巡る混乱劇が思い出されるが、これが現代ならその行方も全く変わっていただろうとつくづく。


FOMO?

本日は高市総理が自民党と日本維新の会幹部と会談、来週招集の通常国会の早期に衆議院を解散する意向を伝えている。詳細は来週に総理が説明するとしているが、この解散観測で「選挙は買い」のアノマリーで連休明けから“高市トレード第2弾?”が始動、本日も大幅続伸で大納会からはや4000円以上も急騰して本日は初めて54000円の大台に乗せ連日で史上最高値を更新している。

上昇は株式のみならずいつもの如く長期金利も然り、前場に指標の新発10年物国債の利回りは財政悪化懸念から上昇圧力がかかり2.180%を付け1992年2月以来およそ27年ぶりの高水準となっている。斯様に金利が急ピッチで上昇しているなかで同時に株式急騰という違和感のある光景は昨今の特徴だが、この同時急騰は「金」もまた同じで今週は4600ドルの大台を超え史上最高値を更新、国内小売価格も26000円超で史上最高値を更新してきている。

米がベネズエラに軍事作戦を実行し、反体制派による抗議デモに絡みイランにも矛先を向けなど地政学リスクが囃されたとされているが、過去の湾岸戦争やイラク戦争など記憶に残る米軍事介入のケ-スでは軍事展開後のマーケットでは株高とはなるも金は下落パターンがお決まりの光景であった。上記含めた“逆相関崩れ”がパラダイムシフトなのか、はたまたいずれもう一方から乖離することになるのか今年もマーケットは一段と興味深くなっている。


経営者が占う2026年相場

週明けにも書いた通り昨年の株式市場は米相互関税の発動で前年比2割以上の暴落を4月に演じたものの、そこからは日本のインフレ定着と想像を超えるテック相場の牽引も相俟って5万円大台の大納会まで年間上昇率は26%となり3年連続の上昇となった。それに伴い東証プライム市場にあって株価が2倍以上になる“ダブルバガー”が実に58社と続出し一昨年の29社の2倍に増えることとなった。

そこで毎年の検証が恒例になっているが今年もまた新春の日経紙「経営者が占う」シリーズでこの株式市場を振り返ってみたい。昨年の日経平均の高値予想は平均44450円でその時期は毎年の如く11~12月との予想が多かったが、昨年もこの予想を8000円も上回る好パフォーマンスとなった、一方で安値予想は37025円であったが、こちらも4月の関税ショックで付けた安値はこの予想を6000円以上下回る30792.74円であった。

斯様に総じてボラタイルな相場となったわけだが、この上昇相場でも有望銘柄では9位に挙げられたユニ・チャームが年間約30%のマイナスパフォーマンスとなったほか4位の信越化学も年間約8%のマイナスパフォーマンスとなっていた。一方で圏外ではあったものの信越化学工業社長だけが挙げていたキオクシアなんぞは536.28%と東証プライム市場で堂々の年間上昇率1位に、4月の安値からは実に約9.5倍と“テンバガー”を射程圏に捉える暴騰劇を演じた。

さて今年はといえば日経平均の高値予想の平均は57350円と、「午尻下がり」の相場格言もどこ吹く風で更なる上昇からの最高値更新で一致している。中でも大納会間近の日経紙で全面広告を出していた大和証券の社長は12月の62000円予想と威勢がいい。個別の有望銘柄では1位が伊藤忠商事に2位は日立製作所とこれらの順位は昨年と同じ、アンダーパフォームとなった上記のユニ・チャームや信越化学も昨年から順位を下げたものの多くの経営者が再度挙げている。

週明けに書いたように今年の注視しておくべき点としては昨年から引き摺る日中関係悪化への対応、これが続けば7兆円規模のインバウンド消費の鈍化懸念がくすぶる。また対米投資の成果も求められようが、その米では春にFRB議長の交代が控え、そして秋には中間選挙が控える。TOPIX企業の予想増益率は11~14%に高まるとみる金融機関が多いが、後は各バリエーションをどの程度まで許容出来るか、この辺も相場を見るうえで注目しておきたい。


大発会2026

皆様、あけましておめでとうございます
本年もどうぞよろしくお願いいたします

本年最初の取引となる東証の大発会は米による軍事行動が懸念されたものの蓋を開けてみれば4年ぶりの急反発スタート、とりわけ大発会の上げ幅としては過去最大を記録している。昨年を振り返れば4月には関税ショックで急落し前年比で2割以上もの暴落を演じるも、その後のテック相場でV字回復から11月には52636.87円と史上最高値を更新、大納会を迎えてみれば年間では26%高と3年連続の上昇と、まさに「辰巳天井」後半戦を地で行く相場であった。

さて今年は丙午(ひのえうま)で相場格言では「午尻下がり」。前回の午年は「アベノミクス」効果で株高となったものの、1990年の午年は総量規制の影響で日経平均は約4割も下落、また2002年の午年にはITバブルの余波から日経平均は約2割下げるなど巳年から午年に移るタイミングで分岐を迎えてきたヒストリーがある。総じて戦後の成績は3勝3敗、年平均ではマイナス5%と小幅安といった形になっている。

世界的なAI期待とインフレ定着が潤沢な投資マネーを呼び込んだ昨年の環境であったが、高市政権はこのAI・半導体など17の重点分野への官民による戦略的な投資を掲げている。このインフレ局面での財政拡張も今年はどう転ぶかだが、この新政権は昨年から引き摺る日中関係の悪化対応に対米投資の成果も求められる。その米では春にFRB議長の交代、秋には中間選挙も控えており今年も材料には事欠かない。

というわけで相場格言通り昨年までの「辰巳天井」の楽観ムードから今年は警戒感も出てきそうな気配もするが、株式市場はもとより商品市場まで個人投資家の資金フローが急増してきたのが昨今の市場の構造的変化でもあるだけに今年も各市場から目が離せない展開になりそうだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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