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真意

トヨタショックのほとぼりも冷め遣らぬまま様子を窺っている市場であるが、本日の日経紙の一目均衡欄にはこのトヨタ関連で「トヨタグループ株式ファンド」についてそのディスクロ絡めて「これってどうなの?」と問題提議をしている記事が目に留まった。

しかしこのトヨタショック、確かに一兆円減額はサプライズで改めて彼方此方震撼させるには十分な効果があったとは思うが、半ば公約的な配当政策を取ってきた日産も中間ではまさかの減配等々それにしても自動車業界に対する悲観の眼はこの時世恐ろしい。

勿論これらと同一視出来るはずもないが昨日はドイツ銀行のレポートショックからGM社が62ぶりにたったの3ドルまで暴落、たとえ米政府の救済策があっても株主に利益無しで株価はゼロまで下落と謳われたら堪らないが実際他業種の大手含めてそのまま否定出来ないだけに厄介だ。

さて、この暴落時に新規口座開設した向きの人気だったか金額ベースだったかで筆頭格とも言われるこのトヨタ、上記紙の同欄には予想を大きく外したアナリストらの「会社側予想は極めて堅め」との分析は言い訳めいているとも書かれていたが、実際のところ勘繰れば会社側もこれ以上もう修正したくない事の表れかも知れぬ。


金融危機のバイプロ

本日の日経紙には消費者心理の冷え込みから日米欧での自動車販売が急減速している旨の記事が大きく出ていたが、昨今特に高級車不振が酷く昨日発表のBMW・7-9期は純利益前年同月比63%減という事で新たに4万台の追加減産の意向、同じ独系ではポルシェも年末年始に減産との発表が相次いでいる。

さて、このポルシェといえば相場の方へ話が逸れてしまうが最近で話題になったのは、ここが大株主になっているフォルクスワーゲンの出資比率引上げを発表した為にショートしていたヘッジファンドが我先のカバーに動きこのVW株が前代未聞の暴騰劇を演じた事か。

なにせ200EURそこそこだったものがたった二日間で1,000EUR以上にまで暴騰し、一時は時価総額があの米エクソンモービルをい抜いて世界一にまでなったのだからこれは凄い。

世界的なロスカットに因って株式も通過も暴落模様の中、踏みによる暴騰も当然事例としてはアリだったのだろうが昨年もっとも魅力に欠けると揶揄されていた円もその類だったか、金融危機の珍事?は彼方此方にその芽が存在する。


Trick or Treat

日経平均株価は引続き大幅続伸で連日の大台替りとなっているが、週明けは一部メガバンクが保有株式下落による自己資本比率低下に対して大規模増資の計画を表明した事で軒並みストップ安まで叩かれた事が印象的だったが、久し振りにメガバンク以外のそれを見たらまあどれも酷い株価になっている。

上場時に当欄でも触れた新生銀行なんぞは何時の間にか100円台にまでなっていたが、そういえば前身であるあの日本長期信用銀行の経営破綻から今月でもう10年も経っている。

余談だが当時は同行の略称LTCBと、同じく破綻したヘッジファンドのLTCMとでLTCコンビとかいろいろ言われたものだが、さしずめ今が旬なイニシャルでは米金融機関から取った「ALM」か、何とも皮肉だが本来ALMは「Asset Liability Management」で資産負債のリスク管理方法を指すらしい。

さて話が逸れたが、これらALMへも為されたようにバブル後は金融機関への公的資金という借金が大きな役割を果たした訳だが、周知の通りこの悪環境で業績も推して知るべしでこの完済もまた遠退く事になるか。

メガバンクとて今年の7月に当欄で「5年後の難物」というタイトルでみずほFGを取り上げた事があったように先を考えるといろいろ懸念材料は多し、相次ぐリップサービスで日経平均株価は急騰しメデタシの報道が多いが対照的にみずほFGのザラバで7日続落等こうしたコアの金融系の弱さは否めず、これらの本格的立ち直りまでは楽観論はどうかなという感じがするが。


売り切れ御礼

本日の日経平均は前場で7,000円の大台を割ったあと後場に入って5日ぶりに急反発となったが、自律反発とはいえ本日の日経紙一面にも出ていた緊急市場安定化策の一環としての株空売り禁止制導入に敬意を表し?てか幾分のカバーが入った模様。

まあ周りがどうこうというより先ず国内需給改善主眼というのも無理は無いが、例えば上記の空売り規制にしても昔の所謂「PKO」だの「PLO」なる造語が流行った時代を彷彿させるが、こんな値位置からショートを規制し折角の将来のショートカバーの芽を摘むのはどんなものだろう。

それでも何処かの取引所のようにこの際閉めてしまおうというのよりはマシかもしれないが、売買で成り立つ相場の一方を固めリクイディティを奪うばかりか結局のところ所謂好取組の構築を壊してしまっているようなもので反発してもより自然からかけ離れた人工的な物になってしまう。

また、時価会計の運用緩和にしても企業会計に対する信頼はどうなのというところで、何でも本来想定していない値でしたの一言で説明が付くようになればこれは地雷を静かに埋めてしまうようなものだが、取り敢えず今は何か出しておかなければならない時勢下でそれにタイミングがマッチするか否かのセンチメントだけが頼りといった感じ。

センチメントといえば本日は日本橋から銀座に移動する過程で幾つかのワールドカレンシーショップの前を通ったのだが営業中にも係わらず何処も暇そうな警備員だけが目立つ異様に閑散な光景、よくよく見たら何処も全ての外貨が底を突き売り切れなので受付終了していたという訳だったのだが、皆が右へ倣えで在るものはどう見ても縁が無いカレンシーだろうが全て買い漁るこれまた異様なセンチメントが蔓延している。


狭義の視点

週明けの日経平均は続伸し辛うじての大台乗せ、特にこのところ値嵩優良株が異常な安値云々と煽る?記事が彼方此方に目立つ事からこの手に買い物が集まった部分もあるだろうが、そんな時世だけに日曜の日経紙には投信の確定申告についての記事があった。

さてこの税制改正であるが、先週には自民党あたりが現行の証券優遇税制を09年以降も延長する方向で検討に入っている旨報じられているが、時事が報じたフィディリティ退職・投資研究所によるアンケート調査では実に67.9%が新証券税制を「評価しない」と回答している事が明らかになっている。

もともとまやかしめいた税制は昨年末や今年の8月だったか何度か当欄で触れた事があったが、ちなみにこのアンケートの理由で2割以上に上ったのが確定申告が必要になるというもの、まあ株券電子化にしてもこれで株式保有補足が全て可能になり売買履歴を全て筒抜けにするわけで、「ある」部分のリクイディティが削がれる可能性も大である。

暴落による所謂自律修正一巡後からのモチベーションが一番重要だが、こうした机上で作られるものもまた大きく影響してくる事の認識はあるのだろうか?


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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