消えたコメの行方はいずこ
本日の日経紙には「餃子の王将」の価格改定の全面広告が出ていたが、値上げの理由として一行目に書かれていたのは「コメの価格高騰」であった。週明けの当欄でも「天丼てんや」や「崎陽軒」の今月からの値上げを取り上げたが、これらの背景も総じてコメ価格の高止まりによるところが大きい。一向に鎮静化のみられないこうした状況を鑑み、先週には農水省がコメの流通が滞っていると判断された場合、条件付きで政府備蓄米を販売出来るよう運用を見直すことを決めている。
この“令和の米騒動”、昨年の8月に当欄では新米が出回り暑さの落ち着きに歩調を合せ価格も落ち着きを見せるのか否か注視しておきたいと書いていたが、暑さが落ち着く頃どころか結局年が明けても末端の価格は高止まりしたままだ。コメが店頭からすっかり消えたあたりから備蓄米放出の提案が彼方此方から出たものだったが、ここまで慎重姿勢を貫いていた政府も上記のように漸く重い腰を上げたかっこうか。
そんな背中を押された背景には日経紙等でも“消えた”、“行方不明”などと報じられている通り、市場に出回らずコメが消えている?ことに農水側が懸念を示したのもある。公表されているところでコメの生産量は前年比で約18万トンほど増えている筈だが、囁かれているところでは食糧管理制度廃止で自由に販売出来るようになっている農家に異業種の参入業者などが挙って群がり、JAなど集荷業者より高値で買い漁り貯め込んでいるのも一因といわれる。
まるで転売ヤーの如きなんとも目敏い連中だが、この備蓄米放出の実行がいよいよ現実味を帯びてくるとなるとこうした連中が“投げ”に動くことも想定される。この辺はコロナが始まった頃の魑魅魍魎な連中のマスク買い占めが災いし一転暴落から各所で投げ売りが多発した光景が記憶に新しいが、政府としては相場に与える影響を考慮し市場が混乱しないタイミングと放出量をどの程度にするのかこの辺も思案所となるか。