330ページ目   雑記

隠れ蓑さまざま

直近の当欄では「魑魅魍魎対決」として、手口が巧妙になってきた証券詐欺について触れたのだが、周知の通りその翌日の日経紙一面には「年金2,000億円大半消失」のタイトルで国内独立系投資顧問会社であるAIJ投資顧問が、企業年金から運用受託していた約2,000億円の大部分を消失させていることが証券取引等監視委員会の検査で判明、金融庁が業務停止命令を出す旨の記事が載っていた。

こちらはまた随分とスケールの大きな詐欺?に見えるが日本橋高島屋のほぼ向かいに位置する同社は、確か痴漢やら何やら二度も迷惑防止条例違反で逮捕、起訴されたことのある某経済評論化がかつて顧問をやっていたところか?そのHPには「お客様の資産運用に係わる者として、常にコンプライアンスに努め、良識ある行動体制を確立してお客様の信頼に応えます。」と謳ってある。同紙によればオプションで相場変動に左右されずに安定して高い収益を上げる「絶対収益」の獲得を目指す運用戦略とのことであったが、セルボラ中心であったようにも一部報道されていることで昨年の大震災でヤラれたか?一方で流用説もあり何れにしろ続報が待たれる。

しかし近年でこの手は2008年のナスダック会長によるヘッジファンドの詐欺事件等もあったが、今回はアドバンテストや安川電機など東証一部の名門企業も引っ掛かっていたところを見るに思い出すのが、やはり一世風靡したプリンストン経済研究所だろうか。規模は今回の約半分ながら当時も東証一部の名門が何社も嵌り、帝国ホテルで行われる恒例の同社セミナー当日には同ホテル近所が上場企業の役員車で溢れていたのが思い出される。

このプリンストン経済研究所はクレスベール証券(懐かしい!)、そしてAIJはアイティーエム証券がフィルターになっていたワケだが、これで金融庁は他の同業に加え管理側の信託銀行も一斉調査に入ったようでとんだとばっちり?か。とはいえ、まあ至極マトモなことを言っている真面目な運用会社も含めやはり全てに共通しているのは資産を減らそうが信託報酬なんぞ無情にも徴収されるワケで、その辺の整合性やいろいろな受け皿にされる素地というものもこの辺で一度見直される時というところか。


魑魅魍魎対決

さて、今週は日経平均がスルスルと9,500円を越え、長らく眠っていた東証二部なんぞは株価指数が実に37年ぶりに27営業日連続で上昇するなどさながらミニバブルの様相を呈してきた株式市場である。こんな株式の温まりと共にドサクサ紛れで最近は架空増資事件やら、直近では日本風力開発株をめぐり、兵庫県内に住む主婦がインサイダー情報による株の売り抜けで5,000万円以上の損失を免れていた旨の記事もチラホラ。

こんな普通?の主婦の情報源は当該企業の社長だったという話だが、犯罪も明るみに出てくると一体彼らはどんな関係だったのやらといろいろプライベートも詮索されるものだ。それはともかく、風力といえば原発事故で風力発電所建設が増えるとかで投資を募る詐欺も最近出ているとかで、この辺が今週21日付けの日経紙でも「証券詐欺 手口巧妙に」と出ていた。

業界でも一昔前はよく取引員の上場話を使った未公開モノが一部ドロップアウト外務員の間で横行したこともあったが、FX熱を読みながらマイナー通貨モノや金やら上記の風力開発やらと時事モノを上手く織込む技はかつての営業で鍛えられた賜物か?我々から見ればおかしいのは瞬時に判断できるが、ヤラレる方も生半可な経済知識がかえって災いしている例も多分にある。

しかしこの記事の末尾、「なぜ、本物の証券市場に資金が集まらないのに詐欺の被害は拡大しているのか」の一文は当たり前といえば当たり前ながら苦笑。まあこの手は時流を読みながらまだまだ新手のモノが出て来るだろうしイタチゴッコになるのは目に見えているが、だからこそ先手先手の啓蒙が常に必要になってくるだろう。


日進月歩

米株式市場が休場のなかで、本日は指数こそ気迷いで小甘かったものの商品市況の上昇期待から商社や資源関連などはなおこの高値圏で更に一段高となっていた。ところで資源といえばこのところまたレアメタル関係の記事が目に付く。

先々週にはクラレと福井大学が水に溶けたレアメタルを短時間に大量に回収できる不織布を開発したという記事を目にしたが、先週には日本化薬がレアメタルそのものを使わない新型の太陽電池に使う独自の新色素を開発したとの報道もなされていた。前者はこれによって海水や工場廃液などからレアメタルを効率的に回収できる事業を出来ると期待、後者はこれによってレアメタル調達リスクから解放されコストも安定するという。

思えばちょうど一年くらい前の当欄でも、芝浦工大などが鉱山廃液中のレアメタルを微生物を使って効率よく回収する技術を開発した旨や、森下仁丹のレアメタル回収バイオカプセル特許の件などを取り上げたが、レアメタル不使用と共に上記の通り回収技術も日進月歩で進んでいる。そのうち広くは海水等からも貴金属回収が期待出来、都市鉱山の範囲も技術革新と共にグンと広がってこようか。


今年のFoodfaddism

本日の日経紙「春秋」には、トマトブーム?到来との話が出ていたが、確かにここ最近はトマトに関する報道がやたらと目に付くようになった。これは周知の通り今月10日に京都大学研究グループが「トマトに脂肪燃焼効果がある」との研究結果を発表したことでこれ以降、店頭ではトマトの売れ行きが急激に伸びトマトジュースの品薄感も強まっていることによるもの。

なるほど確かに先週あたりからスーパー等ではトマト物の特設コーナーがにわかに登場していたり、棚からこの手の品物が品薄になっている光景を目にしたが、実際トマトジュースの受注は出荷が追いつかないほどで一部製品は販売一時休止、先週末の日経紙商品面にもトマトの卸価格が高止まりしている旨が載っていたがこの辺も少なからず影響しているのだろう。

しかし数年に一度こんなフードファディズムの買い漁りが起きるがこんなのも最近で言うところのステマ効果?なのか。まあこの手は今に始まった事ではなくここ数年ザッと並べてみても、寒天、ヨーグルト、ココア、それにこの前の事例では納豆というのもあったがそういえばこの納豆の時は株式市場でも旭松食品や篠崎屋といった納豆関連銘柄が急騰したものだが、今回のトマトでもカゴメなど先週は年初来高値を更新してきている。

前にも書いたが対象商品でも株式でもその国民性が非常に操られ易いという土壌も奏功しての商機なワケで、この手の現象は今後も創造されてゆくのは想像に難くない。


デフレ慣れ

さて、今週は金融緩和策が好感され株式市場も漸く一頃の資金が戻ってきたかにも感じるが、やはり金融緩和期待で真っ先に物色されたのは金融、不動産、ノンバンクといったところが目立った。

さてこんなところから、風が吹けば桶屋が・・ではないが斯様に金融緩和歓迎で株式活況ともなると富裕層消費の追い風になるとの読みとして、今週の日経紙マーケット面のチャート&データでは競売大手の米サザビーズなど高額消費株が反発している旨が出ていた。先に世界最大の高級ブランドグループ、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンが出した決算も過去最高を記録してはいたが、ここから更なる追い風ということになるか。

ところで上記の日経紙マーケット面チャート&データではこの高額消費銘柄と共に節約銘柄も載っていたが、海外では高額消費銘柄が節約銘柄よりはるかに上昇率が高いのに対し日本では依然としてデフレ銘柄の上昇率が高額消費銘柄よりも高くなっている。なるほどファーストリテイリングも昨日には年初来高値を更新していたし、トリドールも先週年初来高値を取ったばかりである。

依然としてデフレ銘柄は有望と見る向きが多いのはすっかりデフレに飼いならされてしまっているからなのか、この辺はこれだけ日本株式が最後尾で出遅れていても一寸上がってくるとすかさず空売りを浴びる傾向等からもそれが窺える。上記のファーストリテイリングも恒常的に逆日歩を発生させており、この辺も上げの原動力になっている構図というのもまた面白いところだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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