343ページ目   雑記

兜町もまた

本日は所用があって兜町界隈を通っていったのだが、東京証券取引所の脇にあるSMBC日興証券を見た際にそういえばココは本社機能をこの夏から秋にかけて新川へ移転すると直近で報じられていたのを思い出した。

大手系ではいまや微妙な立場に居る野村HDが本社機能を大手町へ移し、大和証券Gも丸の内のグラントウキョウタワーが本拠地。ちなみにこの日興の真ん前にある大和証券Gのビルにはかつて上層フロアに取引員が入っていた時期があったなと思い出す。まあそれは兎も角として斯様に兜町もこうして内部では構図がずいぶんと変わってきた。

ところで日本証券業協会の2011年度末の会員数は廃業や除名、合併で11年度に日証協を脱退した証券会社の数は17社、新規参入は7社ということで10年度末に比べて10社減り、283社となっている。この兜町の顔でもあった老舗の十字屋など中小証券の撤退が相次ぎこれで減少は3年連続である。

昨年末には当欄で「業界の地を想う」と題して、東京穀物商品取引所を始めそれを囲む取引員勢が次々と拠点を移し蛎殻町一帯の風景が急速に変わってしまった旨を書いたことがあったが、そういったところでは鎧橋を境界線にして兜町の証券、そして蛎殻町の商品という区分けもはたして段々となくなってゆく運命にあるのか。


動きが読めるか否か

さて先週末にカナダの子会社がケベック州政府から訴状を受理したとの報があったJTだが、昨日政府は東日本大震災からの復興財源に盛り込まれた政府保有500万株のJT株式のうち約167万株の売り出しについて、主幹事証券として大和証券、みずほ証券、GS証券、JPモルガン証券の4社を選定したと発表している。

このうち取り纏め役となるグローバルコーディネーターとしては大和証券とGS証券が選ばれ、早ければ今秋の売却が可能という。ところでこの面子を見てやはり気になるのはあのガリバー野村の選定漏れという事態だろうか。例のファイナンスを巡るインサイダー取引関与が影響したのは想像に難くないが関心が向くのは今後である。

証券取引等監視委員会検査がヤマ場を迎える中、このところ当局の空気を蔑ろにしてきた同社への態度硬化が実しやかに喧伝されている。業績絶好調で株価も我が世の春を謳歌していたグリーやDeNAなどが俄かに挙がったコンガチャ問題からあっという間に時価総額を半分以下にまで吹き飛ばしたのは記憶に新しいが、こんな権力の逆鱗に触れたらたまったものではない。

いままで何度も書いてきたが、中小証券と違って大手証券はプライマリービジネスを取れる恩恵で中小組の数年分を一気に捲くれる強みが武器であった。本日の東証定例記者会見では野村出身の社長でさえ同社批判をしていたのが目立ったが、この売り出しの他も大きなところではJAL再上場も控えており今後コレも主幹事団の顔触れが変ってくるのか否かこの辺を見ておきたい。


同一基準への一歩

さて、今週は週初に「日経・東工取商品指数先物」の上場廃止の旨を書いたが、上場廃止といえば株式の方では東証が直近で上場廃止ルールを見直す旨が大手紙に出ていた。現行の判断基準が不明確で取り急ぎ「特設注意市場銘柄」に自動的に指定するという。

今まで上場廃止を巡っては日興証券やライブドア、直近ではオリンパス等に見るようにその企業を巡る利害関係者の構図が大きくこれに影響し釈然としなかった部分があったワケだったが、外国人投資家の突き上げもあって漸く被害者たる株主にとっても救済というか公平性を持たせる芽が出始めたといったところか。

当欄では以前、投資家保護を謳っていても一罰百戒で紙屑にされてしまい上記のような穿った見方をされるのを避けるにはやはり東証の誰が見ても同一基準の明確化が必要とのコメントをし、また今回の件の代償?として今後監督責任含め一層監視される厳しさも増そうかと書いた事があったが、今回の制度見直しは先ず一歩としてまさにこの特設注視市場の指導責任こそ市場の質が改革できるか否かのキーになってゆこう。


ショートターミズム

昨日の日経紙には「金、短期売買で乱高下」として、金の国際価格が荒い値動きとなっている旨が出ていたが、そんな要因として先行きが不透明感から中長期の姿勢の投資が減った為、価格の変化率やチャートの節目に着目して短期売買するプログラム取引の影響が増している為としている。

ところで短期志向を指摘しているのは何もコモディティに限ったことでなくその前の頁の「一目均衡」には、米国にまん延する短期志向として個別銘柄が割安かどうかといった視点が後退し現物株の取り扱いが減る一方で、関心が向かうのはオプションの例を挙げ目の前の現実で資金が右往左往する相場の方向感という記事も出ていた。

もうこうした構造は別に海外に限ったことでなく日本でも数年前からほぼ定着しており、将来を見据えたリスクマネーなんぞの悠長なことを唱えている向きは不安定相場では恰好の肥やしになってしまうのは明白。歴史的安値に落ち込んだTOPIXや主力の個別はリスクオフだけでは説明が出来ない問題を内包しているわけでデレバレッジの世の中、市場構造も斯様に変貌し商いやインフラもまた併せて進化を遂げつつあるのは自然な流れだろうか。


独占の歪

週明けから各ポストには「電気料金値上げのお願い」として東電から案内が投げ入れられている。冊子?には来月からの値上げについてその値上げをお願いするに至った理由からシミュレーション、果ては節電節約手法までご丁寧に書かれているが一般的には月1,000円超の値上げになるというところか。

ところで案内には「徹底した経営合理化に取り組んでいます。」と謳ってあるが、今月は同社の給与引き上げ計画が明るみになったばかり。会社側は新たな技術者の育成等の観点も考慮しこれ以上の年収減額は電気事業の遂行に支障をきたしかねないので勘弁してくれという言い分だ。

しかし今迄の収益構造を一般は皆納得しているのだろうか?そもそもこれも総括原価方式のデータ詳細を頑なに拒んできただけにベールがかかっていたものだが、これの一端が明るみになったところで同社利益の90%以上を一般家庭の電気料金から吸い上げていることが判明している。小口向けの販売割合が30%台という事を考えると或る意味凄い。

企業向けと違って電力販売が独占出来る家庭向けは否応なしにいい値状態となっていたワケだったが、自由化無きところに市場原理は働きようもない。上記の給与引上げ計画話も含めてこんな半端な競争政策がより一層公務員色を強くしてきたのは明白だろうが、この辺に今後新たな政策が出るのかどうか注視しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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