345ページ目   雑記

購買力襲来

昨日は一寸付き合いで三越に立ち寄ったのだが、エントランスを入って直ぐに異様な光景に出くわした。それは一階のコスメフロアにおいて「資生堂」コーナーを占拠し、在庫品までが殆どカラになるまでの買い漁りを演じていた中国人観光客の集団行動。新聞やTVなどでは見たことがあったが、実際間近に見るとなかなか恐い感さえ覚える。

ちょうど知人が居たので聞いたところ、資生堂が巨大市場を睨んでの中国進出が奏功して現地ではアッパーミドル層中心にそのネームバリューは絶大であるとか。狙われているのは現地未展開の製品や一部高価格帯の物、詳細なリストが用意されているあたり目的がハッキリしている。

所謂当地リミテッドエディションというところなのだろうが、それにしても凄い買い方である。何処かで聞いた事があるが観光客一人の背後には十数人のオーダーが控えているパターンが多いとか、また更に他の定番モノでもゴッソリ手当てしてゆく裏には、日本で買うからこその品質に絶対的な安心感があるというからこれもお国事情を表しているいい例だろうか。

しかしこんな光景、他人事のように見ているが「人の振り見て・・」とはよく言ったもので、ちょっと思い出してみれば一昔前にはパリの「ルイ・ヴィトン」やミラノの「アルマーニ」などでも大挙して斯様に買い漁っていたのは日本人だったなと。本日の日経紙一面には中国の吉利がポルボ買収で最終合意とも出ていたが、こんな末端消費だけ取っても底知れぬパワーを感じざるを得ない。


貯蓄奨励?

本日の日経紙一面で目に飛び込んできたのは、政府が郵政事業の見直しに関連し、郵便貯金と簡易生命保険の限度額を大幅に引上げる方針を固めた旨の記事。これで郵貯の預入額は現行の1,000万円から2,000万円に上がる見込み。

金融界としては今迄これらに反対してきたワケだがそれもそうだろう、政府の後ろ盾を武器にして限度額引き上げによる資金シフトのシワ寄せやら、様々な優遇措置やらで地域金融機関含めた民業の圧迫は想像に難くない。

別な視点から眺めれば、こうした貯蓄奨励?型の気運は証券関係の税制案などを見てもリスク物に対して決して寛容とはいえず、これまたより一層そうした方向への色合いが濃く見えるものだ。近年は確か「貯蓄から投資」が声高く謳われている筈だったと思うが、何かこう逆行というか矛盾している感が強い。

しかし、JALなど旧官営(事実上は今でもだが)の悪しき伝統モノが市場から消えてゆく一方で、斯様に官業の肥大化が進行している点に不気味さが燻る。これら含めて今迄築いてきた改革が歪み、経済構造が後戻りしてゆくような愚の無いよう祈るばかりである。


世論と文化

さて、13日から中東のカタールで始まったワシントン条約締結国会議も大詰めだが、前にも一度触れたように西洋クロマグロの取引規制を巡っての思惑が飛び交っており、輸出禁止の場合、クロマグロの国内流通量は半減するとも一般的にはいわれている。

ただそこは悲しいかな、長引く景気低迷からの消費落込みで現在では2万トン超の在庫があり、パニックなどという懸念はないとの指摘も多い。確かに昨今の低価格志向を背景に、これら高級食材を取り巻く環境は激変している感もある。この手の魚モノでは年明けのフグの初セリは4割も安かった模様だし、いつだったか高級食材の卸値と前年同期比での下落率等を見た時には特にこの水産物が酷く、クロマグロやカニなどで3割近い下落となっていたのを思い出した。

そんな中でこの世論、昨年の秋にも書いたようにクロマグロ食材に関しては既に英「ゴードンラムゼイ」のレストランやら「NOBU」などは代替魚若しくは提供中止の措置を取っている。高級レストラン勢が加盟する協会「ルレ・エ・シャトー」でも不使用宣言を出し、「エノテカ・ピンキオ−リ」や「トロワグロ」など錚々たる面子がサイン済みとか。

さて、こういったインターナショナルに展開する向きの一方で、同協会には日本も有名旅館やレストランが加盟しているが、こちらは「オテル・ドゥ・ミクニ」始めとして殆どが同宣言に反対に回っているとか。この問題、賛否両論あるものの、ちょうど先週末にも書いた通りひとつの文化だけに、やはり画一的に測れない部分もありおいそれと承諾しない態度には安堵感さえ覚えるのも正直なところである。


フランス人の和食に日本人のフレンチ?

さて、ちょうど一週間前にはあの「ミシュランガイド、京都・大阪版」で三ツ星を獲得した店が食中毒を出し営業停止になったとの報があったがそれは兎も角、ミシュランといえば今月頭の2010年フランス版でジョエル・ロブション氏が初めて手掛けた本格日本料理店が一つ星を獲得したと発表されている。

日本の食材やサービスに大きな関心を持ってきたロブション氏が、外国人の味覚にも合う「正統的日本料理」を目指した店との事だが、正統的日本料理が如何ほど外国人の味覚に合うのか淡い疑問の残る中、フランス人の日本料理店が星を取るなどブランドバリューはやはり健在だなとこちらの威力に感心。

ただ、よく考えてみればこれよりも前に、あの平松氏が手掛ける「ひらまつ」パリ店なんぞはこのミシュランの星を開店早々に獲得しており、これも似たようなものかとも思ったが本場の敵陣?で星を取っている分、更にこちらは凄いなとあらためて感心。

しかし、欧州へ出掛けた際など空港でブロンド女性が寿司を握っている姿を見るなど、斯様に昨今はこの寿司など今や世界の誰もが知る日本食も多くなったが、ある国や場所によっては本来の料理とあまりにもかけ離れたモノが受け入れられて定着してしまっている部分も多く目にするにつけなんとも複雑な思いになることも多い。

ブームの負の側面とみてよいのかどうかいろいろと意見が分かれようが、食もイメージアップにかかわるひとつの重要な文化だけに、これらの取り組みは課題ともいえようか。


報道と企業のポーズ

本日の日経平均はメジャーSQを控えて身動きが取れず今年最小の日中値幅と膠着相場であったが、そんな中で目立っていたのは今朝大手各紙が挙って載せたところの、CSKホールディングス傘下のコスモ証券を同社に売却する方向で最終調整していると報道された岩井証券の急反発であった。

さて、これに対して当の岩井証券側はホームページでも早速「決定を行った事実はない」とのコメントを発表。こうした買収関係はもとよりこの手の「当社として発表したものであはりません。」というお約束のコメントは、決算シーズンなど期の見通しや決算予想など新聞各紙の報道に対して各社何処も上記のように対応してくることが多く見られる。

適宜開示が行われるまで独自で知り得た情報はディスクロのルールで開示出来ない決まりがあったと思うが、しかしながら決算数字やら統合比率やらそのスキームまでかなり詳細に報道されているのを見るとなんともポーズ的な色合いが濃いというか、果たして当の企業側が後に発表したものが寸分違わずであったりすると出来レースの感は拭いきれないのは自然なところだ。

ところで新聞記事においてこの手のよく見掛けるところの「関係者が語ったところによると」とか「関係者の情報によると」の関係者って誰なんでしょう?まあ、一連の行動が紛らわしく感じるにしても先取りするのが市場で、材料は都合のいいように使われるのが常だから別にいいのだが、ふとディスクロ過程に疑問を感じる時もある。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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