343ページ目   雑記

大学と企業

本日の日経紙社説は「人材の質損なう就活長期化の是正を」という見出しで、会社説明会の開始時期こそ2ヶ月遅くなったものの、企業や経団連は採用活動の時期を見直すべきとし併せて新卒一括に偏った採用を柔軟にすることが課題としている。

この辺の問題に関しては当欄では一昨年に「就活と一言でいってもいまや学生も企業も消耗戦の様相ともいえるか。〜考えてみれば大卒という肩書きだけの為に出もしない講義に費用を払っているといえば大袈裟だが、就職活動だけを見れば学生も企業も本末転倒になっている部分はかなり見受けられる。」と書いたことがあった。

また同紙一面の採用異変に出ていたが、経済同友会は東大が表明した秋入学への移行を支援するため「現行の新卒一括採用にこだわらず手法を多様化すべき」と企業に提言とある。確かにこの東大のグローバルというか「標準化」は今後を睨んでの行動展とも言えるが、これで外資系への就職また優秀な外人留学生を誘致するという流れの裏では中小企業には人が集まらないという構図も浮き彫りになってくる。

そういった現況で見ると国立大も企業も視点が外国に傾斜している構図も見え隠れするが、上記の通り国内事情も平行して勘案してゆくことも何処かの取引所ではないが今後の課題ではないかと思う。


混合解禁へ一歩

昨日一寸医師と混合診療の話に及んだのだがちょうど昨日の日経紙一面には、厚生省が重い病気にかかっている患者に対し国内で未承認の医薬品を使いやすくする制度を創設、これは新薬の審査・承認を待てない患者に投薬治療の機会を提供する狙いで、治療を受ける患者の経済的な負担を和らげるため保険診療と保険外診療を併用する「混合診療」を新制度に一部適用することも検討と載っていた。

この混合診療について当欄では2009年12月に、「無知な机上論の危うさ」として漢方薬の保険外適用議論について書いた際に、「この混合診療とて現状は曖昧な一部解禁、医療分野の技術革新は日進月歩、一刻も早い混合診療の解禁も願うところである。」とコメントしたことがあった。

今後もこの混合診療に関してはいろいろと議論されようがそもそも何故原則禁止なのだろうか?貧富の差による医療格差の広がりというのが一般的だが、衣食住同様に患者や経営側は選択の余地が出て患者負担も軽減されるし、ある意味経営安定という側面もまたあるだろう。まあ、逆の見方をすれば自由診療の受け皿となる医療機関が圧倒的に少ないという構図もまた浮き彫りになってくるが、いずれにせよこれが混合診療拡大への一歩となるのかどうか今後の厚生省の動向を見守りたいところ。


形骸化

本日の日経紙、一目均衡には「ありえるはずのない好成績」として2008年に発覚した米マドフ事件に絡めて、直近で問題になっているAIJ投資顧問事件が語られていた。何れも危険信号が多数出ていたものの、マドフ事件は最初の告発から8年後になるなど当局が動く頃には手遅れなのがこうした事件の常と書いてあった。

告発といえばこのAIJ投資顧問も海外証券監視当局等から以前より疑問視され、金融庁や証券取引等監視委員会など日本の関係当局にも情報提供がなされていた旨も明らかになっているが、それでもこうした事態になるということは結局のところ対応していなかったということなのは明らか。

これ自体問題だが、信託銀行も外国籍を使った運用に対し正確な時価自体を取得出来ていなくてそうしたことから年金基金に正しい運用実績が伝わっていなかったというのもまた問題か。外務員試験にも出てくるが、信託銀行業務は運用会社が指図した投資内容を記録管理し運用資産内容は信託銀行から年金基金に対して定期的に報告されることになっている筈。

まあハイリスクな金融商品でこうした性質の資金運用を認めている制度自体にも疑問があるが、当局然り金融機関然りまた形骸化が浮き彫りにされた事例だろうか。


あれから一年

昨日で東日本大震災から一年が経過した。一年経ったのがうそのように今でも当日の様子は鮮明に脳裏によみがえるが、先週末には東京タワーや東京スカイツリーに特別仕様のイルミネーションが灯り、銀座の和光では「その」時間に鐘が鳴らされる等、全国各地はじめ海外まで追悼行事が行われる哀悼の祈りに包まれた一日となっていた。

この日各紙にはこれまでの震災被害状況が出ていたが、人は勿論のこと企業も上場企業が震災損失4兆円を計上、関連倒産も阪神の4.2倍に上る等あらためて本当に酷い数字である。企業といえば7日には文部科学省のプロジェクトチームからは従来の想定を上回る震度7規模の首都直下型の可能性ありとの分析結果を公表していたが、これに先駆けて財閥系の錚々たる大企業が揃って大阪に本社移転という噂もまことしやかに流れたりもした。

「安全神話の崩壊」によって物の考え方が厳しく問い直されている。想定の範囲を何処に置くかだが原発然りまた東電の株然りで生半可なパラダイムシフトでは何時でもまた阿鼻叫喚な光景が何処でも訪れるということだろうか。加えてこの一連の災いはまた官の杜撰さと責任転嫁の狡猾さを如実に露呈、斯様にいろいろ課題が在り過ぎていまだ何処からとう感じだが、一番大切なのはやはりこの災いを風化させてはならないということだろうか。
あらためて被災された方々に深く哀悼の意を表すると共に再生に向けての進展を祈りたい。


巣食う天下り

本日の日経紙一面には、今問題になっているAIJ投資顧問に絡んだ厚生省の調査で2009年5月時点で全体の3分の2にあたる399の厚生年金基金に、旧社会保険庁職員ら国家公務員OBが全体で646人も天下りしていたことが明らかにされた旨が載っていた。

先の東電でも早くから当欄で指摘してきたような長年にわたって続いた続天下りの悪しき構図が明らかにされたばかりだが、何か問題が起これば当然こうしたところにも深く巣食う天下りの構図も次々と炙り出される。しかしAIJの販売拡大にこうしたOB人脈が深く関与していたということだが、詐欺会社に有名人が小遣い稼ぎで名前だけ貸すパターンと然程変わりがない。

こんな外面で次々と成約してしまう現状を見るに基金側も企業側も果たしてどれだけ金融に通じているのだろう?という疑問も出てこないわけではない。悪しき構図といえば、そもそもこの基金を所管するのは厚生労働省、一方で金融庁は運用する業者を所管するといった具合に現状監督官庁がまたがっており、こうした部分が問題をややこしくしかねないところもどこかの業界と似ているなと。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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