346ページ目   雑記

バリューを見出す

さて、日曜日付けの日経紙一面には、東日本大震災の影響で日本企業の投資戦略が急減速している旨が載っていた。特に企業のM&A件数は先月の状況を見てみれば震災発生前までは64件と前年同期とほぼ同じペースであったが、震災後から期末までは66件と前年同期の141件から急減となっている模様。

このM&Aといえば先月に当欄でも、政府が企業のM&Aを促す為の産業活力再生法改正案を閣議決定し企業のM&Aを促進させる方向で進んでいる旨を書いたばかりだが、国同様各社共に新年度予算に苦慮している状況下で買収案件も一旦棚上げになってしまっている格好と状況が一変してしまっている。

またファイナンス関係も、先週当欄でコメントしたように今月にIPOを予定していた向きが震災の影響で続々と上場を延期。社債市場からの調達も震災後から月末まで条件決定したのは1社のみで、調達額は前年同期から9割近く減少しているという。

ところで今迄成長産業を築いてきた著名経営者はかねがね「不況であるが故にM&A等においてもチャンスが巡ってくる」との発言をしている。同じ日曜版の「けいざい解読」にはさわかみ投信で額面を下回った住金株を1株41円で買った話が出ていたが、体力のある向きにはこうした自粛ムードの状況下においてバリューを見出してゆくのが商機ではないかと思う。


有終の美を飾る赤プリ

本日は期末、さまざまな思いを込め大方の事業年度が終るが、もう一つ本日をもって営業を終了することとなったのがあの「赤プリ」ことグランドプリンスホテル赤坂である。前にも少し触れたがバブル期の象徴の一つで私も昔はよくお世話になったものだが、それも55年の歴史に幕を下ろすこととなった。

閉館を決めた当初はこんなロケーションで何故?と寝耳に水であったが、この赤プリ跡地の再開発概要として西武HDは、2棟の高層ビルを建設し現在の半分以下の客室数の高級ホテルを核とする複合施設と100〜200戸の住宅専用施設にする予定で着工は2012年春、完成が15年の予定とか。老朽化が理由の一つとなっていたが、同じグランドプリンスでは高輪なんぞもどうなのだろう?と思うが西武HDの対株主政策色も濃いとも一部ではいわれている。

思えば、昨年末には「赤プリ ラストクリスマス」と題した案内が届いていたが、あの11月末からスタートする赤プリのクリスマスイルミネーションももう見られなくなるし、絶品だったフォワグラサンドも此処ではもう食べられなくなると思うとやはり寂しい。

さて、そんな赤プリも周知の通り来月からその取り壊しが始まるまで原発避難者に全客室を避難所として提供することが決まっている。震災当日も帰宅難民の為に建物を開放した経緯があったが、まさに有終の美を飾るとはこのことだろうか。


火事場泥棒?

本日の日経紙経済面には東日本大震災を受け、震災後も日本でのビジネスを継続してゆくことをアピールする狙いもあって、米ゴールドマン・サックス始め米モルガン・スタンレー、米JPモルガン・チェースなど欧米の大手金融機関の間で経営幹部が日本を訪問する事例が相次いでいる旨が載っていた。

しかし外資系といえば今回の震災では行動の早さが目立った。自動車、家具、アパレル、ソフトウェア、たばこ、ヘルスケア、ジュエリー等々本社機能を関西に移転したり大半を出国させたりで、上記の金融系など一頃は幹部含めた人員引き揚げの用でプライベートジェット需要が増しているとの話も浮上したことがあった。

漸く戻ってくる動きも見られるが外資系金融といえば、震災後のパニックに陥ったマーケットにおいて、これを抑える為に一時的に市場を閉鎖するよう東京証券取引所に要請する動きがあった事も表面化したが、そんな中でもゴールドマン・サックスは市場流動性を提供し、顧客投資家ニーズに答え続けるのが責務と一貫して主張してきたという。

15日の市場ではサーキットブレーカーが2回も発動となったが、その間に個人は売りたくも無いものまで已む無く吐き出され、いざ敗戦処理が一服してみれば外資系はこの混乱の一週間で約1兆円近くも買い越しが膨らんだことが明らかになっている。なんでも物は言いようだが、これも当局の協力?無しには実行出来ない事もあり猜疑心も出て来るのは自然なところか。


2002年の再来?

さて日銀が連日大量の資金供給をする中で、金融系では週末から問題になっていた件でみずほ銀行の大規模のシステム障害が今週も続いた。公共・公益性のある銀行業務で数日間に亘って障害が続くのは忌々しき事態だが、昨日も滞っていた振込み関係は処理を終えたとの発表後に未処理報告が続々と出ている。

よりによってこんな重要な時期にライフラインの役目を円滑で実行できない様はとんだ失態だったが、ここ一連の頭取の説明を見ていても上記の如く復旧に関するディスクロが二転三転し、さながら東京電力の原発事故や計画停電発表について関係者が右往左往している状況に酷似している。

しかし、これで思い出すのはこのメガバンク統合時の初日である。折しも新年度から大規模なシステム障害が発生し、たしか数週間程度預金者の混乱を引き起こした記憶があるが、こんな洗礼を受けているはずの同行がまたしても同じ事を繰り返しすなど、はたしてその教訓を生かせなかったのか?

金融インフラが脅かされた例としては、ライブドアショック時に大量の注文を処理しきれず全銘柄が取引停止になってしまった2006年の東証があったが、この震災下で頑なに取引続行を謳う取引所とて投資家側から言わせればまだまだオペレーションに疑問符が付く部分もある。風評被害が相次いでいるが、こと金融システムへの信頼が揺らいでしまうようなこれら事例もまた恐く避けなければいけないものである。


情報戦と恐怖心

週末の東日本巨大地震発生から数日経過したが、依然として計画停電や原発を巡って情報が交錯し被災地の混乱した様子が一日中報道されている。しかし原発はモノがモノだけにどう捉えたらよいのだろう?長い間原子力をエネルギー政策の柱に置き、その利用を享受してきた歴史の帰結という表現もあるが問題自体が大き過ぎて一言で表現するのは難しい。

放射性物質放出に絡む、無数にある不安情報やコメントを真に受けて恐怖心から外出も控えているのだろうが街に出てみれば心なしか人も少ない。SSではガソリンありませんの札が並び、コンビニやスーパーでは保存の利く食品や生活必需品が見事に棚から消えたままの一方で、生鮮物が大量に買い手の付かない様子は何時もの通りだなとつくづく。

こんな行動は日本人独特だろうと思ったが、動けるうちがチャンスとばかりに、早々に日本を発った外国人の知人も多数。おそらくではあるが、仏大使館あたりの影響が大と思うがまあ国土の広さを考えるとあながち笑えない部分もある。しかし大使館関係は兎に角ネットワークというか流石いろいろ長けているなと。

しかしこんな未曾有の事態でも、義援金詐欺とか何れデッドストックになる生活用品などに法外な値札を付ける商売が横行するなど何時も通りの商機と捉える輩が居るのはほんとうに情けない。おそらく今後出て来るのはバイアグラよろしく「ヨウ素剤」の類だろう。経済停滞の長期化が言われる一方、こんな部分の経済活性は国難を如実に物語る。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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