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調達と運用

本日の日経紙一面で目に付いたのは、早大が利付き学校債なるものを早ければ今夏にも発行する見通しとの件。

此処も他同様に金融情勢の混乱で外国債や投資信託を中心とする資産運用収入が3割程度減る見通しと記してあったが、先に日本私立学校振興・共済事業団が発表したところによるとこれ以外に私立大を運営する学校法人のうち65法人が08年度にデリバティブ取引を行っていたとし、13法人は運用状況の不振から「教育研究に大きな支障が生じる恐れがある」「現実に生じている」との答えを出していたとの発表があった。

話は戻って学校債で今回の件は利付きで発行するのが珍しいとしているが、もともとその与信に見合ったクーポンをがあって然るべきとは思うが、一昔前は保護者に対する購入圧力があったとかないとか?これで連想するのが融資先に暗に金融商品購入圧力を掛けたとの経緯で問題に挙がった事のある銀行か。

献金やら何やらで世間は喧しいが何処も調達と運用で苦心、投資家とのマッチングもキーになって来ようか。


NewDealいろいろ

さて、この週末にはまた一つ上場企業が市場から撤退させられるが、その名も最近俄かに話題になっている政策名にも似た「ニューディール」、ヒッソリと消えゆく企業は近年増えているが同社の場合なんといってもあの『東証マザーズ』上場第一号銘柄であっただけに関係者は感慨?深い。

しかしココも記憶では一時1,000万円超を付けていた時期があったはずだが、昨年の末くらいからは1円カイ2円ヤリの繰り返しとはなんとも変わり果てたものだ。

1カイ2ヤリといえばここ近年は値上がり率上位には100%とか50%とかものすごい数字が並ぶが、ランキングされるのはなんのコトはない1円、2円といった一桁銘柄が多く、昨年の9月だったかトランスデジタルの件で破綻前に1円を付けていた異色さを挙げた事があったが、これも恒常化してくると目に馴染んでくるから恐い。

しかし上場企業が退場させられるパターンにもいろいろあるが、とりわけ新興企業のそれはデパートのように多岐に亘りモラル・ハザードについてつくづく考えさせられる。素人でさえも何年も上場ポストに居座れる不思議さを感じる向きは居ると思うが、これも広く見れば主幹事とか取引所側も何かコメントがあって然るべきのところこれまたなるべく触れたがらないとくるから困ったものだ。


期末模様

本日の日経平均株価は方向感を欠く展開から小反落となっていたが、本日はもう早いもので権利付き取引最終日である。

例年この時期は配当狙いや株主優待に着目した話題が俄かに出て来るものだが、今年の場合半ば公約に近かった増配組も上場来初の減配始め続々とこれら覆し、また株主優待制度にしても野村IRによれば国内証券取引所に上場している企業のうち同制度を廃止した企業は直近で80社以上にも上っているという。

株価急落に加えて減配や無配、株主優待制度廃止のトリプルショックのうちここ直近で二割ほど回復した上昇した事で逆張り組のキャピタルゲイン系で少しお茶を濁した感もあるが、先に書いた年金運用ではないがリスク許容度の高さと相俟って最後に飛び付いた向きはトリプルショックのリスクを被る可能性も無い訳ではない。

ここ近年従業員の給与・賞与ダウンに対して配当金は約3倍以上にも膨れ上がってきたが、本日の日経紙財務面に出ていたTDKが賃金などとのバランスを考慮し今期の増配を撤回するなどの動きも出てきたように、この構図もまたこの環境で変ってゆくのだろうか。


思惑の相違

本日の日経紙経済面で目に留まったのが、東京証券取引所が09年中に予定していた上場計画を現況の環境下でのファイナンス含めた効果は疑問として同計画を来年以降に延期する方向で検討に入ったという件。

東証といえば所謂プロ投資家向け専用市場『TOKYO AIM』の立ち上げ課題等を抱えており、取り急ぎこうした件を最優先にするとしているが、指定アドバイザーの件一つ取っても業界関係者の間では所謂「労多くしてナントカ」ではないがけっこう好意的に受け止める向きは少数派とか。そうした会員サイドの事情といえばその件もさることながら、それよりもこれで昨年の夏だったか当欄で触れたこの上場を首を長くして待っている経営がキツくなっている一部会員の失望感は推して知るべしか。

さて取引所と言えば変って商品業界では逸早く嵐?の中を株式会社化したTOCOMが13年度中の上場を目指しているが、合併待望論が出ている東穀取に関しては「時宜を得ない」と素っ気無く、当の東穀取側も自主独立路線を依然として掲げておりこの辺は外部から?の決定待ちか。

余談だが一部取引員も数年前は主幹事を決めて上場計画したものの、市況環境もあってか結局マルにしたパターンもあったがその後数年間で業界は様変わり受託業務からも撤退、結果的によかったのか否かこの辺はいろいろ考えさせられる。


コンサバ回帰

昨日の日経紙一面にあったのが、株安で今年度の運用利回りが2月末迄で18%以上のマイナスに落ち込み、企業年金が運用資産に占める株式構成比率の引き下げに動いているという記事。

これで思い出したのが数十兆円という運用資金を持つJA共済連やそれに次ぐ規模の全労済が、従来の安全運用を基本とする債券中心の保守的運用から株式等へのリスクを取りに行く積極投資へ方針へ転換したものの、市況悪化が直撃し結局保守的運用へ戻ってしまった経緯があったという事。

この辺は約束利回りを下回る逆鞘状態を何とか解消したいという苦肉の策が垣間見られた訳だが、やはり背に腹は変えられないという事だったのだろう。

ところでもう一つ、同紙の市場アウトルックに出ていた某ストラテジストの「〜厚い壁を上回れば株をもたざるリスクも意識〜」という旨のコメントを見て思ったのだが、こうした考え同様に機関投資家というのは上昇相場でリスク許容度が高くなり下落相場で債券系シフトが進むというパターンが殆ど、生保も含め「順張り」と「逆張り」のカラーが分かれるところだが動きたい時に動ける余力を持つのはマイノリティの方か。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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